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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
72/110

072 だるまさんが転んだ

暗いな。目が覚めて目を開けたんだけれど、それでも周りが暗い。

地面が固い。水を感じない。

水中ではない様だ。

打ち上げられたのかな?だんだんと暗闇に目が慣れてくると今度は自分が倒れている所の隣泉の様なものがあるのに気づく。

泉の底から水が湧き出てきていて、よく目を凝らすと泉の底に空いている穴から湧き出てきている様だ。

泉に川が流れ込んでいる様子はないから、あの泉の底の穴が俺が落ちた川につながっていて、俺が流されて行ったときにそのいわば川のわき道に入ってしまったことでここに流れ着いたのだろう。

でもよくよく考えてみるとそれって結構な確率だと思う。

不通なら川を流れていってその川岸に打ち上げられる。

でも俺はそうならずに川のわき道に入り込んで下へ下へと流されてここに打ち上げられた。

寝落ちする直前に下に沈む感覚があったからきっと川底に穴でも開いていたんだろう、そこに入っていったんだと思う。

ほんとにこの世界来てから運が良いのか悪いのか…

いや悪いわ。

何が悲しくて強敵と戦い続けたり仲間とはぐれたり、その上で高確率で見つからないようなところに流れ着いたりしなきゃいけないんだよ!

前世だって運が良いのか悪いのかよく分からなかった。

そもそも境遇としては運が悪い方だと思うけど割と生きられたからなぁ・・・それを考えると必ずしも悪いとも言い切れない。

でもそもそも割と生きられたで幸運かもしれないって思うような境遇の時点で現代日本では運の悪い方だと思われるのでやっぱり俺は前世から運が悪いのだろう。

「グルルルルル」

うわ生暖かくて臭い息。

しかも結構な強風だぞ。あの嵐が一番弱かった時よりも弱いけどそもそも嵐と比べられるような息を吐く時点でろくでもないので正直現実逃避をしたい。

てか距離が近いのか?何がいるんだ。

目を凝らす。暗くて見づらいので『発光石』を使いたいが、使ったらなんとなくヤバそうなので使わないでおく。

だんだんと鼻息の主が見えてくる。

あーー、そうかぁ。なるほど…

俺の目にはまあたいそう強そうな顔が見えるわけだ。

どうせならこれ俺の顔が良かったなあって、いや人外になりたいとかそういうのでなく、こんな顔の持ち主だったりしたら絶対俺強かっただろうし、こんな苦労しなかっただろうなって、思ってしまう。でも俺が見ているのは鏡でも水面でもなく実像な訳で…何なら水面に背を向けているので光が俺の中を通って複雑に反射して目に入ってこないと映るわけがないのであって…

違う違う。現実逃避をするな。

話を戻す。俺の目に映っているのは、なんというか…ティラノ顔のスピノというかスピノ面のティラノというか…

まあスピノザウルスの様な細長い顔にティラノサウルスの様な顔が張り付けられたものなんだが…

このティラノザウルスだが、最近の復元図ではなく少し前の復元図っぽい顔をしている。具体的に言えば、羽毛の生えていない、恐竜という言葉が最もしっくりくるざらざらの皮膚に覆われている奴だ。

それにしてもこいつは無い気がすごいな、それに臭いし、そういえば『結剣』の無属性版も使えるようになっておかなくちゃいまのままだと不便だしな。

じゃなくて、ダメだダメだ。

気を抜くとすぐに脳が現実逃避してしまう。

まあ、要はここに竜がすんごいうるさいいびきと寝息を立てて寝ているわけだ。

俺は出口を探した。

出口かどうかは分からないが、上に向かっている道は見つけた。

恐らくここが出口なので残る問題はどうやってこいつを起こさずに出口まで到着するかという問題だ。

まあ別にこいつが起きてもこの見た目が単なるこけおどしで、こいつ自体は弱かったならば起こしても問題ないんだけど。

「ぶおぉォォォ」

再び鼻息が顔に掛かる。

この鼻息の強さからして絶対こいつ強いよな、いや鼻息で決める事でもないんだろうけど。


何はともあれ立ち止まっていては何も進展しない。当たって砕けろの精神で足元に気を付けながら、音を立てないことを第一に歩く。

転んじゃだめだ。絶対に転ばないようにしなきゃ!転ばないように転ばないように!

こッ

ん?

カンカンカン

ちょ、それは、まじで…やm

ガッ

あ、終わった。

転ばないことだけを気を付けていたけど足元に転がっていた石ころに躓いてしまった。それでも俺は転ばないように耐えたのだ。

耐えた。でも石の方は転がっていって、竜にぶつかったのだ。

「グr………ーー」

!!!!!

何とか起こさなかった様だ。あれほどの強力な竜なら石がぶつかった程度のダメージでは起きないみたいだ。

良かったよかった。

これで安心して外に出れる。

相変わらず転ばないように気を付けて、それに加えて音もたてないように気を付けて。

「グゥウオアアアア」

お、き、た!

時間差良くない心臓に悪い!

恐る恐る後ろを振り向く。

蛇に睨まれた蛙。

竜の顔はこちらを向いていた。とはいっても俺を見つめているわけではない。それで安心していられる状況でもないが、取り敢えず俺は動かない。

固まる。暗いから動かなければばれないと思うんだよな。

しばらくの緊張状態の後、竜が後ろを向き、がつがつと何かをむさぼる。

今動くしかない。けれど竜が起きている状況で歩くとかそんな度胸が俺にはない。半分後ろを見張り、半分目の前を見て、少しずつ進む。

がくっ

おい!

竜がゆっくりと後ろを向く。俺はただ固まる。冷汗が止まらない。鳥肌が止まらない。頭の中は真っ白だ。

息を殺して竜が食事に戻るのを待つ。

頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む頼む!


竜は、食事に戻った。

あっぶねー

安堵したら急に体から力が抜ける。もう一度武者震い(きょうふ)で振るえる体にもう一度力を入れなおし、慎重に慎重に再び歩き出す。

息が荒くなっている。早歩きになりそうな足を抑え、宥め、慎重に歩く。

がばっ

んーー!!!!!

とっさに体を硬直させる。そういうの良くない!俺のミスに関係なくこっち向くのは本当に良くない!

祈るように見つめ続けている足元が冷や汗で湿っている。

もう振り向くことすらできない。

竜が動く音。少しだけ顔の向きをずらして後ろを見る。どうやら竜は後ろを向いている様だ。

焦る、落ち着け、焦る、落ち着け、焦って走ってしまう。

ダメだ恐怖が胸の中でパンパンに膨らんでいる。

そして案の定、転ぶ。

がっ、だんたっかっ

「グルウオオアアアアア!!」

ばれる!

ギリギリで岩の影に滑り込む。向こうからだと角度的にギリギリ見えないはずだ。竜の足音が響く。

頭の上から振動によって小さな石がパラパラと降ってくる。

あの恐竜の映画でのお玉でかんかんしてラプトルの気を引くあのシーンみたいにしたら助かるのかな?あ、でもそれ以前にあのシーン二人いないと成立しなかった…

四つん這いになって歩こうとする。

岩の影から顔を少しだけ出したところ竜は未だにこちらをじっと見ている。焦って走ったの絶対失敗だったな。

凄い警戒してる。ここからの解決策としてぱっと思い浮かぶのはここから『腐食』で穴を開けていってってやることだ。

でも魔力量はどうだろう?


HP138/281 MP94/276


ほぼ三分の一!足りるかな?多分足りないと思う。

まずどっちが出口か分からないのに進むのは無謀すぎる。一直線に掘り進んでも足りないだろうに。

でも、これ使えそうだな。どの程度掘る方向を決められるかによるけど…

例えば『溶毒』の『毒蛇』で掘り進んだ穴を『発光石』で埋めてその先で上に出して光で囮にしてそのすきに逃げる。

それなら意外といけそうだ。


さっさと実行に移す。硬直状態は心臓に悪い。

地面に着いた断面から『毒蛇』を伸ばし、穴を掘る。

音は立たないだろうけど魔力を察知される可能性はあるので常に緊張状態だ。お願いします。察知しないでくださいお願いします。お願

「グルウウウオアアアアァァァァァ!!!!」

ぎゃー気付かれた―。

竜ってどんだけ強いんだよ、めっちゃ慎重にやってたのに余裕で察知してくんじゃん。

走れえええ

後ろを振り返ると竜が狭いトンネルの中を突き進んでくる。トンネルが狭いおかげでその速度は遅い。

てか何だあの格好。寝そべっているような体勢で進んでくる。

イメージとしては地中を掘り進むミミズというか筒の中にいる鰻とかウツボの様な感じだ。

つまり後ろからステージギミックのように送れたら速氏の壁が迫ってきているという事だ。

改めて竜の恐ろしさを認識したが、俺の思ってた竜ってこんなんじゃない。

余計なことに指向が逃避しながらも全力で走り、息が切れながら走り、

「光だ!」

「ボオオオオオオオオオオ」

うるさい、さっきまでと声が変わった!体勢のせいか?いやそんなこと考えている暇はなかった。とにかく走って、走って…

外に出た!

俺は焦げて黒い墨になった木の散らばる森の中に転がり出た。

…これは森とは言えないか、もともと森であった場所だ。

もしこれもこの竜がやったのだとすればこの竜は火炎放射が出来るわけで…

竜も自身の巣穴から出てくる。そしてその細長い体で直立し、巨大な翼で羽ばたいた。竜の胸が赤く光り始めた。心なしかその周囲がゆらゆらとしている気がする。その赤い光は首の付け根から順々に口元の方へと伝わっていき…

口から熱気があふれる。

白い煙が口からあふれ、やがてそれは黒くなる。

そして今まさに火炎が口からあふれ出ようとしたとき、

声が聞こえた。


「よう、誰か知らんがいいの相手にしてんな。手柄、もらっていいかい?」

よく分からないままに叫ぶ。

「やっちゃってください!」



名前・種・Lv

フェリックス・人・72

攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10

HP281 MP276

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣

装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装


次話新キャラクター登場です。

新キャラって言えるか分かりませんが。

挿絵(By みてみん)

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