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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
71/110

071 落とすも落とされ

光明は見えてきた。あとはそれを掴むだけだ。

影の動物たちは、倒せなかったら再利用されている疑惑があるけど、倒せばもちろん再利用はされていない。

という事は相手が魔力切れになるまで耐えるもしくは模試を抜けるまで走り切ればいいのだ。この敵の何が恐ろしいかって要は森という立体的な動きが可能な場所での戦いになるという事なのだ。サルである相手にとって森の中はいわばホームグラウンド、しかし、相手は自分で森を作ることは出来ない。それにこちらは確証はないが、相手の影の攻撃は恐らく影があることが条件なんじゃないかな、つまり相手は影の動物の召喚に影が必要で、こちらも同様に相手は影を作ることは出来ない。

つまり相手は俺の予想だと、森の中という条件下に最適化されているのだ。もう一度言おう、しかし、相手は森を自力で作り出すことは出来ない。自分で自分に有利なフィールドを作って、自分の有利を継続的に確保してくるあの精霊とは厄介さが全然違う。

あの精霊と比べればこんな猿ごとき!



迫ってくる影に対して『魔力剣』状態の短剣で攻撃する。

影は切り裂かれ、陰に覆い隠されていた投擲された石が見える。

石が体にぶつかる。そこまで痛くない。

反撃に短剣を投げようとして、辞めた。

これでもこの短剣は結構使っているのだ。愛着も沸いている。絶体絶命の状態での逆転の一手になるならまだしも、捨てるには理由が浅すぎる。

せめて『結剣』があれば、投げても戻ってきたのに。

『結剣』の難しいところは『毒蛇』の追尾機能を残しつつと毒の誤爆しかねない攻撃性を無くすという事にあるのだ。まあつまるところは俺が勝手に難しくしてるんだけどね。

だけど相当難しいんだ。

諦めて『毒蛇』をそのまま使えばいいんだろうけど、毒の攻撃性だってメリットにもなり得るんだし、でもどうしてそんな意地を張ってるのかといえば、表向きは誰かと共闘しやすくしたいってことになるんだけど、

まあ、その実毒でも浄化でもない魔術系のスキルが欲しかっただけなんだけど…

だから潔く諦めて『毒蛇』を直接転用した『結剣』を獲得してしまおう。

短剣の柄に『毒小蛇』をさらに補足したものを接続する。

そして短剣を持って振りかぶり、

《結剣》

「『結剣』」

石の飛んできた方向に投げる!

右手中指から紫色の紐の様な物が伸び、短剣が飛んでいく。短剣が何か木よりは柔らかく、布よりは硬い物にぶつかる感覚がする。

手応え、あり!

相手につかまれたりする前に『結剣』を引き戻す。体の中で糸を巻く感覚だ。ちゃんと手元に短剣が戻ってきた。優秀だ。

そしてその後猿の出現と影が一時的に止まった。

相手のリーダー格に攻撃が命中した?

だとすれば…石を投げてくる方向から相手のリーダーの位置が分かる。

猿や影が魔術や投石を使う様子はない。だったら相手のリーダーを潰せば全体の統率が崩壊する。

これはやるしかない。


「リーダー、相手の統率を崩壊できるかもしれないです」

「なるほど、その根拠は?」

「石の飛んでくる方向に、猿と影には見られない影の操作という魔術の行使をする敵がいそうです。一瞬全体の動きが止まりました」

「そうか…」

「リーダー」

「なんだ?」

「行ってきます」

「そうか、本当にやるのか…よし、行ってこい」

「はい!」

屋根の上に上る。

「マリアナさん、後ろの方に飛ばして」

「どうやって?」

「大剣で俺を乗せてぶん回す。あのイカの時みたいに」

「分かった、戻ってきてね」

「当たり前ですね」

「ならいい」

その場で飛び跳ねる。マリアナさんがその下に大剣を差し込み、斜め上に向けって思いっきり振りぬく。それによって俺は飛び、石を飛ばす本体のいそうな馬車へ突っ込む。

今だ!新しく覚えたスキルを食らえ!

「『結剣』」

両手で挟んでいた短剣を空中に放り投げ、それを足で蹴り落とす。

その短剣の柄からは俺の下へとつながるひもが伸びる。

猿の方へと俺の体が引き寄せられていく。そして、木の上に着地。

その衝撃で枝が折れそうになったが、現に今折れていない。

『結剣』を短くすることで短剣を引き戻し、さらに短剣の柄が付いた状態の右手を振って短剣を投げる要領で飛ばす。トイレットペーパーが引き出されて行くかのごとく短剣の柄から伸びる『結剣』も長くなる。

影のように暗いが実体があると確信できる猿のような見た目の魔獣はそれをそらすが、

「知らないだろうけど、俺の『結剣』は軌道修正が出来るんだぜ」

猿の後ろで『結剣』がUターンする。そして今度は猿の前に来たタイミングでUターンし、猿の周りをぐるぐると旋回する。

そして

思い切り引く。すると結剣が締められ、猿はひもで縛られる。

ウツボもどきにやられた技だ。知能の低い猿なんかに分かられてたまるか。


完全に油断していた。事実後は止めを刺すだけで、それはすぐ先にあった。

だからこそ油断した。

右手を振り上げ、縛った猿に向かって跳ぶ。

猿に向けて右手を振り下ろし、猿を毒攻撃によって

「あぐぅあわ…?」

横から大量の動物による突進を食らった。例の影だった。こっちに来ることまで想定していなかった。ここは相手のホームグラウンドなのに…!

そして、突進の勢いによって飛ばされた俺の視界には遠ざかる陸地が映る。つまり俺は今崖の先にいる。

という事は…

「崖からの落下!」

またかよ、しかもこの前立てたフラグをちゃんと回収して!

眼下に救いを求める。

救いはあった。

それも二つ。

一つは結剣のおかげで猿の本体ごと一緒に落下できたこと。

もう一つは

「あの川に!落ちる!」

大分でかい川だ。子の高所からでも崖の下を流れる川が全然見える。

あの川にうまく着水できれば地面に落ちるよりは生き残れる可能性は高くなる。でも、

「お前は入らせない!」

空中で体当たりをして相手を退かす。短剣を足で引き抜いて結剣を結いなおす。結剣のいいところは短剣との結合を解除しても紐の部分が消えないことだ。これはこの先も重宝しそうだ。


落ちていく。落ちていく。

縛られて身動きできないボス猿を眺めながら落下する。空中まで跳んでこれる影の動物を作ればいいんじゃないかとも思うが、無理なのだろう。

もしくはまた別の要因があるか。

そして川が近づいてくる。ギリギリだけど猿は川の外に落ちそうだ。

それなら骨折するんじゃないか?

でも俺ダイビングの心得とかないから。水面にぶつかる時の衝撃とか緩和が難しい。俺は<防御>偏重型だから耐えられる可能性もあるが…衝撃緩和の努力ぐらいはしなきゃ

「『浄風破裂』『浄風破裂』『浄風破裂』」

三連浄風破裂を下に向かって撃ち出し勢いを減衰させる。


ザバン

いった!結構威力減衰させたと思うんだけど…

しかもこれ浮かべない!呼吸が!何か…何か…!

そうだ、呼吸器。水中戦で使ったあれを!

とっさに腰に手を当てて捜し、探し当てて装備する。川の激流に流され、石が体にぶつかりながら、緊張状態が解けて急にまたもや眠気が襲ってきた。そうだよ俺は寝ようとしてただけなのに。

でも、これで寝れる。



飛んでいくフェリックスが見えた。

軌道から推測される落下地点は崖の下だ。

何をやってるんだろう?

数秒して、フェリックスが敵の攻撃によって飛ばされて崖の下に落下しているという事が理解できた。やっぱり無謀なことをしていたようだった。

どうにかして助けたいとは思うものの、どうしようもない。

それに高所からの落下には慣れていると言っていたし、まあ大丈夫か。

「リーダー、フェリックスが落ちました」

馬車の上から逆さまに御者席を覗いてリーダーに呼び掛ける。

「どういう事だ」

「分かりませんけど飛んでいくのが見えました」

「…崖から落ちて生きているのか?」

「高所からの落下には慣れていると言っていたので大丈夫でしょう」

「だが、助けに行きたいな」

「はい」

「この場を切り抜けたら助けに行こう」

「はい」

フェリックスの言っていた通り、敵の統制と秩序は失われた。それに加えて影は少しずつ消滅していく。残された猿も司令塔の存在と魔術や影の援護がない状態では大した脅威にはなり得ない。

どんどんと猿が倒されて行き、やがて猿は全滅する。

「リーダー、下へ!下へ!」

「焦るな、直接下に降りたら俺たちの方が死にかねない。下へ降りる道が遠くにある。そこから下に降りて捜そう」

「…はい」

「フェリックスも遠くに歩こうとはしないだろうしな」

「でもどういう状況かは分かりません」

「分からないからこそ慎重に降りよるんすよ」

「下に別の魔獣がいたりするかもしれないしね~」

「…はい」



馬車は変わらず走り続ける。邪魔するものがなくなり、速度は上がったが

目指す物が出来た故に、その速度は遅くなったようにも感じられた。

川に流されて下流へと向かう片方と、がけ下に降りる道へ向かって上流へ向かうもう片方。会うために双方は遠ざかる。



名前・種・Lv

フェリックス・人・72

攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10

HP281 MP276

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣 結剣

装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装



熟睡とまではいかない。

現実と夢の間でうつらうつらしながら川に流されていくのは分かる。それと若干光が届いていることも。

それが、さっきからどうもおかしい。

だんだん体が沈んでいるのだ。それに届く光も少なくなっていくように感じる。

結構内陸だからもう海に出たってことはないだろうけど…

どういう事だろう?

気付けば真っ暗だ。

流されて行く揺れも相まって眠気を強く誘われる。

考え事はやめて今は寝るか。

お休みなさい。


結剣、本来は攻撃に使えないスキルだけど、フェリックスが使うときは毒属性を帯びるからスリップダメージ的に攻撃できる。炎属性とかでも同じことが出来るっちゃできる。

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