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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
62/110

062 嵐を食む精霊

無理矢理2話目です。眠いです。

一瞬だ。その両手が前方に扇がれただけだ。

それだけで、嵐が襲ってきた。

その暴風が集中して城壁の上にいる冒険者の集団へと襲い掛かり、城壁は崩壊し、城壁に近い建物は倒壊し、体勢を立て直せているものはまばらだ。一撃で戦線が崩壊したのだ。

その破壊力は恐ろしすぎる。桁違いだ。たとえ攻撃が通じたとしても、そもそも近づける気がしない。でも何かギミックがあるのだろう。

嵐の力と言っていた。きっとその嵐の力を打ち破る何かがある。それはこれから探していかなきゃいけないのだが…

取り敢えずがれきの山に埋まっていては何もできない。起き上がり、体の上のがれきをどかす。

精霊を見つめる。当然のように空中を浮遊し、舞う青緑の花びらはやがてそれのもとへと集まり、それに触れては落ちていく。

「起き上がる者もいる、か。壁が一瞬で壊れている。この時代の物は脆いな、とても神々の攻撃を受け止められるとは思えぬ」

「長く平和な時代が続いているようだ、平和ボケしているのか?こんな薄い防衛機構で町を守っているつもりだとは、時代の変化とは予想できぬ」


「なんで、だよ。おかしくないかい?だって媒介が埋め込まれている様子も、杖を使っている様子もなかった。それであれほどの威力の魔術を放つのか?それに口ぶりからしてあれが生きていた時代はもっと昔、神々が平気で地上にいる時代?それなら媒介はまだない、確かにあり得る。しかしそれなら…まさか魔王?そうでなくともあの威力ならそれにも劣らない」

「魔王?なんですか、それ」

「媒介を埋め込んだ魔術師が魔法使いと呼ばれ、軽蔑されていた更に昔の時代、媒介すらもなかった時代では魔術で戦っていくには相当な強さの魔術の力が必要だった。それがないと魔術なんてものは弱すぎた」

魔術が弱すぎるって、媒介がないと魔術はそんなに使いづらかったのか。

「そしてその人々の事を今では【魔王】と呼ぶ、まだ残っている魔王なんて見たことも聞いたこともない、大体第2大戦頃の存在だよ?なんで精霊とはいえ今まで生きているの?信じられない」

強そうな名前だなぁ

「多分その【魔王】と同じくらい」

「それだけじゃない、あの尋常じゃない魔力量。魔王と同格並みに強力な存在に無制限と言えるほどの魔力を与えたら勝てないに決まってる」

ローシェさんがそこまで言うのか…

でも、話を聞く限り、今魔術師が普及しているのも杖が発明され、誰でも一定レベルの魔術程度なら放てるようになったからだろう。逆に言うと杖、さらに言えば媒介すら存在しない時代、魔術だけで戦うというのはとても難しいのだろう。俺も何も使わずに魔術は撃てるが、俺は魔腺の位置に恵まれただけだ。魔王と呼ばれた人々はそれだけでなく、魔術への適性など様々な才能を持ち、さらにそれを開花させるような努力の果てに実現している。そもそも戦っていた戦場が違う。ローシェさんと精霊の話から考えるに精霊の戦っていた時代は神と呼ばれている者たちがいるという事だ。そして恐らくそれはコケ脅しの名前じゃない。精霊にとってあの火力で壊れる壁は「脆い」、第2大戦時というのはよく分からないが、その時代ではその威力はありふれているという事なのだ。

そんな時代を道具なしの魔術で生き残ったそれと戦って俺は勝てるのか?


「我の体が何かに反応している様だ。何だ?これに反応して目覚めた様だが」

「これを調べるのが目的なのだろうか?目覚めた理由を探すことを我の目的に使用にするか」

「ここにいる者たちは邪魔になり得ぬ、しかし魔力は必要だ」

「崩壊して陣営は、どこまで保つかな?」

再びそれの手に魔力が集まっていく。

それに合わせて嵐が収束していく。この規模の魔術を軽く何度も使って、本当に無尽蔵みたいじゃないか。

これ、防御張れる人何人いるだろうか?ビルトはそこまでばらけてない。

それの使う暴風による破壊は特殊な効果を持つ魔術じゃなくて、純粋な暴風をぶつける物だ。だから、物理的な障壁で防ぐこともできる。

俺の魔力じゃこれだけで魔力がなくなる恐れもあるし、風圧に負ける可能性もある、しかも本来の使い方じゃない。

でも、パーティメンバーを守れるなら、魔力をたくさん使う価値はあるよね。

「砕けろ」

「『発光石』!」

ビルト全体を守る傘のように『発光石』を展開する。

意思の傘に打撃の様な暴風がぶつかり、ひびが入る。

ひびが入ると同時に魔力で意思を作り、補強する。

ほんの短い時間なのだろうが、俺にはとても長く感じた。相手が諦めたのか風による圧力が止まり、それに安堵して力を抜いた瞬間に『発光石』が砕け散った。

「耐えた、か」

「長かったな」

「ふむ、この時代の物は弱いと踏んで手を抜いたのが良くなかったか。まさか子供に耐えられるとは」

俺も耐えられるとは思っていなかった。

「凄い、と称賛し…」

「!!」

「お、前…は!」

反応されてる?知り合い?

「別のところに行くのはやめだ、戦う理由が出来た」

「面倒な!」

「どうしてお前が今いる」

「どちらさまですか?」

「…そうか、よく見れば…どうしてその違いが出来ている?」

「さっきから話が全く分かりません!」

「お前がそう言い張るのなら…もしかすると本当に忘れているのか?それとも単なる別人か?」

「別人だと思ってほしいんですけど、敵意と害意が無いなら戦いたくはない」

負けるからね

「いや、我は一度でもお前に勝ちたい。どうやら弱体化している様だから、勝ちを貰うぞ」

「くそ、過去の俺への執念を俺まで持ってくるな!」

本当に身に覚えがない!

再び手に暴風が集まる。

その危機の中で人影がそれとの間に立ちふさがった。

「フェリックス、よく頑張ったな」

「リーダー、ありがとうございます」

「こちらも、起き上がれたよ」

ローシェさん復活。

「ふう」

後ろを向くとマリアナさんが黒い息を吐いていた。何をしているんだ?

カイさんが無言で立ち上がり、矢を取る。

ビルト全員無事という事か。

守った甲斐があったって事だ。

そして、もう一人誰かが起き上がり、

もう一人には届かなかった。

「わ、私は何をすればいいのだ。ええいなんだこの理不尽は!さっさとどうにかせんか!私の町がどんどん壊されて行くではないか!」

「黙っていてください!」

あの大音楽家さんが叫んでる。それほどに切羽詰まった状況だ。

「あなたはあなたのやるべきことをやりなさい!」

「領民を守るのはあなたの役目でしょう!」

「具、具体的に何をしろというのだね!口に出すだけならだれでもできるわい!」

「避難させるだけだろう!それくらい誰でもできるでしょう!」

無能ここに極まれり、かな?

「くぅ、分かった!やってやるわい!」

でもやる気は出したようだ。逃げるようにして領主様が走り出す。

大声を出して、避難するように声をかける。

しかしそれはほとんど意味をなさなかった。危機感を覚えた民衆はすでに多くの物が避難を完了しており、逃げ遅れたわずかなものたちを取りまとめる程度の事しかできてはいなかった。まあでも、最初に領主としての働きをしようと思ったらそんなもんだろう。

こちらは戦闘に集中しよう。

「立ち向かうために力を合わせる、見たことある光景だ」

「いや、ありふれた光景だ」

「我の戦いに巻き込む形になるが、お前がお前なら、乗り越えて見せろ」


俺はそれを知らない。彼の目的も分からない。

聞いておかないと

「君の目的は何ですか?」

「我の目的か?」

「そうだ」

「我の目覚めた理由を探す事、そして魔力を補充することだ」

「その二つの具体的な方法は」

「魔力の補充はお前たちを倒して奪うだろう、大した量にはならないだろうがな」

「目覚めた理由は、その魔力で探す。多少の見当はついている」

「見つけたらどうするんだ?」

「その時に決める。その理由は簡単にひとくくりにすることは出来ない」

「よく分からないが、殺そうとしてきているのは分かった。俺も殺されたくはない」

「ならば?」

「返り討ちにする」

「そこまで言うなら手伝おう」

「リーダー」

「行くぞ」



名前・種・Lv

フェリックス・人・72

攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10

HP281 MP276

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣

装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装



我はこいつに恨みがあるわけではない。恨みはないが我はこいつに勝ったことがない。それに、変わらず魔力は欲しい。でも魔力が欲しいだけでは理由が弱い。だがこいつがいるなら理由がある。

なら今戦おう。このままでは単なる蹂躙にしかならないが、少しでも平等になるように、我も全力を尽くそう。

そのうえで我は勝利する。

ああ忘れていた。

我は自分の目覚めた目的も探さねばならない。それがもし災厄ならば、我はそれに対抗するのだろうか?それとも協力するのだろうか?

そもそもその災厄はどちら側の物だろうか?

これは我にとっての前哨戦であり、

こいつにとっても、きっと前哨戦だ。


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