059 北上記五日目
もう一話行きたかった、三話目です。
「フェリックス、起きて、交代」
「もう、か」
「起きたっすか?」
「カイさん、変わりましょうか?」
「いや、今のフェリックスだと、不安定になる恐れがあるっす。それが怖いっすから…」
…そうだ、それよりも夕食を作らねば。
でもなー馬車の中で火気とか凄い怖いからなー…
あ、いつかのレイヴンで買ったあの非常食、でも一人分しかなかったから
…ずっと起きてるカイさんに渡すか。
「カイさん、ずっと起きてる。休んだ方が、いいと思うんだけど」
あ、エステルさん。
「カイさん、これ」
「ありがたいっす」
カイさんが非常食を食べる。馬車の操縦もおろそかにしないように慎重に食べている。
俺の食事はどうしようか?
かなり考えたけど…思いつかない…
あ、生肉でいいじゃん。
でもなぁ
ムシャ
やっぱ文化的な食事に慣れた後だとなぁ
ムシャ
やっぱ生肉って抵抗感がなぁ
ムシャ
「や、野蛮…人」
「え?」
「生肉を…むしゃむしゃと…」
「あ、俺毒耐性があるので」
「そ、そういう事じゃない…」
まあそうだよな
「フェリックスにも伝えておくっす、魔獣はこっちを襲ってくる気配はないっす」
「じゃあ、こちらを襲う意思すらも打ち消すほどに全力で逃げてるって事?」
「そうっす」
本当に何者が来ているんだ…?
リーダーたちが起きて、パーティメンバーが一堂に会した。
「伝えておきたいことがある。ローシェは分かると思うが」
「ん~?あ!あれか」
「エフィシェントに倣って我らビルトも陣形を考えようと思ったんだ」
「そうそう、でもエフィシェントとは違って私たちは誰を主戦力に据えるかで大雑把に陣形を作ったけどね」
「ああ、だからそれを伝えようと思ってな」
「じゃあそれを聞かせてください」
「ああ」
「ローシェは後衛だからカイの護衛に徹してカイが攻撃し続けられるようにする、それで俺は前線の維持をする、目的はカイに最も有利な距離を作り、保つ事だ」
「次はマリアナちゃんの場合だよ」
「ああ、そうだ。マリアナは大剣使いだからな、一撃一撃の間に隙があるその隙間を埋めるという役割を俺が担う。そして、他はマリアナの攻撃範囲外からの攻撃を防ぐために動いてほしい」
「遠距離攻撃持ちの魔獣及び魔物と下の抹殺って事ですね」
「言い方は物騒だがそういう事だ」
「じゃあフェリックス君の場合で~す」
「フェリックスはその攻撃のほとんど…いや、全てを毒に依存している」
改めて言われると傷つくな。
「だから毒の耐性がないなどの要因で毒攻撃が通じるという前提で話す」
「確かにそれは必須ですね」
「まず、フェリックスが確実に毒にできるように俺が動きを止めるために動く」
「ならほかの人は?」
「時間稼ぎだ」
「毒が効果を出すまでの時間を稼げっていう事ですね」
「ああ」
「なるほど、そこまでは分かりました。その先をもう少し詳細に考えてもいいかもしれないですね」
「ああ、そうk!」
馬車が大きく揺れた。
「何っすか!?」
窓の外を見る。魔獣の群れの中の一体がこちらへぶつかってきていた。
それだけではない。
「何だこの魔獣の数」
「少し減らしておいた方が良いかも?」
窓の外を見ると外を埋め尽くすような数の魔獣がいた。
「遠距離攻撃が可能な者で魔獣を間引くぞ」
「このままだと走りにくからね~」
「了解です」
「『泥球』」
ローシェさんから泥で出来た球が飛んでいく。
リーダーからは魔術の刃が飛んでいく。
「『十頭蛇』」
両手の10本の指から一本一匹ずつ毒の蛇を飛ばし、一体一体に食らいつかせる。この前使い始めた麻痺毒で動きを止めるために『十頭蛇』を撃つ。一方甲に進んでいく魔物の波の中で何体も立ち止まっている魔獣がいれば、それのせいで止まり、進行が妨害され、その結果連鎖的に魔獣が躓いて崩れる。
ローシェさんも結果的にその現象が発生しているが、ローシェさんはそれ以外でも泥による範囲攻撃でも魔獣を倒している。
リーダーは崩れるような現象は起きていないが、通行止めのような形になっていて、殲滅力はかなり高い。
そして
「奮闘の甲斐あって大分空きましたね」
「ああ、これで走りやすいだろ」
「ありがたいっす」
「あれは?」
「マリアナさんは何を見ているの?」
「あれ」
「ん?」
馬、じゃないな。なんか魔獣みたいなのに乗って誰かが走ってきてる。
魔獣の流れの中を逆流して走ってくる。
「目的地エインまで走り切ります。繰り返します。今日でエインまで走り切ります」
「まじですか!」
「カイが耐えられるかだな」
「俺は…やるしかないっす」
「ほんとに無理だったら変わりますからね?」
「大丈夫っす、後輩の怪我人には押し付けないっす」
「押し付けられるとかじゃないですけど」
「俺の気分の問題っす、俺が無理するのが一番安全っすから」
「確かに元からそこまで遠い距離じゃない。頑張れば走り切れそう?」
「ローシェさんまで言わないでくださいよ」
「そうそう、それでも一日はかかりそうだから」
「私も、無理、するのは、良くないと…おもう」
「大丈夫っすよ、少しの間動けなくはなるかもしれないが」
「それが良くないです。この後はこの数の魔獣が逃げてくるような強力な何者かが出現すると思われるんですよ!」
「ああ、今は戦力が少しでも貴重だ。温存しておいて損はない」
「……分かったっす、でも、まだいけるっす」
「まあ、どうなってもそういうと思いますから疲れが出るのを見逃さないようずっと観察しておきますね」
「…構わないっすよ」
走り続けた。だんだんと日が傾いてきた頃には、魔獣の群れも散らばっていて、ほとんど本隊と護衛馬車のみの状況になっていた。
そしてそのころには城壁が見え始めた。
何とカイさんは走り抜けた。カイさんのおかげでエインに到着したのだ。
いつの間にかエフィシェントのリーダーが操縦する馬車に乗ってきていた。
「なあ」
「どうした?」
「城壁の周りの影ってなんだと思う?」
「…もしかして、魔獣の群れか?」
「俺もそうだと思う」
「最後の戦闘をするか」
「カイさんは休んでいてください。それでいいですよね?」
「ああ、見たところ普通の魔獣が城壁に群がっているだけだ。だから本命の強力な敵に向けて温存しておくべきだ」
「申し訳ないっす」
「僕らも援護しようか?」
お!弓杖だ!
「今回の依頼でのいつもの班がそろったな」
「うん、正確には遭難組じゃないかな」
「いくよー」
「おい!馬鹿、ニック!かってに行くな!」
弓杖の手数の少ない双剣使いことニックさんが魔獣の方へ突っ込んでいった。
「俺達も急ごう」
「やー切り込むよー」
「ああ、くそ!ソフィ、フレヤ!合わせてくれ」
「仕方ないかー」
「分かりました」
「まだ距離があるから今のうちに大火力をぶっ放すよ」
「リーダーエフィシェントの影響受けてない?」
「僕はそんなことないと思うけどなー」
そんな会話が聞こえるとほぼ同時に馬車で進む先の魔獣の群れに上から魔術や強化された矢が降り注ぐ。
そしてエフィシェントは迷わず魔術による爆炎の中に突っ込んでいく。
「陣形、対多数魔獣」
ニックさんが適当で不規則な動きで近づいたり離れたりするのに合わせて魔術が撃たれて行く。凄い連携だな。
「リーダー!向こう行きましょう!」
「そうだな、連携が取れない味方がいたら邪魔だろう。こちらはこちらで戦おう」
多種多様な魔獣がいずれもあせって城壁の先に行こうとして城壁を攻撃している。『十頭蛇』や、ローシェさんの他属性の魔術、リーダーの剣戟、そしてマリアナさんの神出鬼没の大剣を用いた高機動大剣攻撃。
城壁の上からの援護もあって魔獣はどんどん片付いていく。
エフィシェントも順調そうだ。
シャアアアア!
よそ見していたら!きやがった。まずい!
完全に俺のミスだけど…
アァアッ!
魔獣に矢が刺さっていた。おそらく弓杖の人たちによるものだろう。
もう油断しない。さすがに学んだ。
さあ、引き続き殲滅だ。
「ついにだ!」
俺達は魔獣との戦闘を終わらせ、無事に会陰にはいる事が出来た。
護衛隊は解散されたが、すぐに都市から離れるわけではないので宿は埋まる恐れがある。なので急いで宿を取らなければならない。
と思ったのだが…
「広いな」
「宿が不足しなさそう」
「まあそれでも急ぐは急ごうね~」
「カイさんを休ませたいしね」
宿を見つけ、宿を取る。
そして宿の食堂で夕食を取り、そしてなんと!今回の宿は浴場がついていた。ので結構な長旅で疲れ汚れた体を洗い、気分良く就寝できた。
今日は、まだ来なかった。
けれど明日には来るかもしれない。もしかしたらもっと遠いかもしれないし、近いかもしれない。だからこそ、今は休んでいないといけない。
名前・種・Lv
フェリックス・人・72
攻113/50 防228+45 魔167 精192+25 俊121+2 器121-10
HP281 MP276
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣
装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐40 80 40(35) 重+17
装備スキル 開放 閉鎖 武装




