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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
57/110

057 北上記四日目朝

昨日が山場だったような気がする。

つまるところ今日は大きな波乱もなく平和に過ごせると思うのだ。

まあ、小さい戦闘程度なら起こるのは当然なのでそのくらいは覚悟しているとも。

「だいぶ遅かったね」

地平線を見渡して太陽を探す。

…やっべ

「…めっちゃ遅いじゃないですか」

「そうだよ、朝ごはん待ち。速くしなさい」

「ごめんなさい」

速く料理しなければ。

「あれ?そういえばマリアナさんしかいないですね」

「皆用事があるからね」

「へぇー」



「ハープを弾いてるんすか?」

「!な、なんで、です、か?」

「音は聞こえるんすよ」

昔から、耳は良かった。その耳に助けられたことはあまりなかったが。

「え、でも、頑張って…集中して…なんで?」

集中して張った現魔術のことを言っているのだろう、現魔術は音もごまかせるようだ。

「耳の良さと魔術耐性で、かろうじて聞こえたんす」

魔術耐性があるとこういうからめ手のような魔術に対する耐性も多少は着く。それによって微かに音が聞こえた。それでも微かにしか聞こえなかったことから彼女の魔術の精度が分かる。

「す、凄いなぁ」

「そのせいでスキルとかを使わないと威力が全然でないのが問題っす」

「でも、凄、いなぁ」

「どうして、これをやってるんすか」

「心を、落ち着けるため」

「でも現魔術を展開してると緊張状態になるんじゃないんすか?」

「ハープを弾いてると、少し、大丈夫」

「ハープを弾くことは秘しているんすか?」

「うん、そう!まだ、聞かせられるような上手さじゃないから」

「恥ずかしくて、隠さなくちゃ」

「そんなことないと思うっすけど」

「でも、自信がないから…だと、思うけどまだ、言えない」

「昨日の魔獣との戦いは大丈夫だったんすか」

「前、よりは」

「それの方がすごいっすよ、苦手なことを…乗り越えられる方が」

「ありがとうございます」



フェリックスが寝坊しているので朝の散歩がてら周囲を散策してみよう。

誰かが起こさないといけないが…まあマリアナが起こすだろう。

朝食が出来たら戻ろうか。

早朝の森の草葉には露が付き、空気も湿っていて涼しく気持ちの良い環境だ。軽く戦闘でも行おうと思ったが、案外とこの周辺は平和なようだ。

少し南の方へと歩いていく。来た道を戻るような形だ。

ふと見た横の木の幹を小さな蜥蜴が登っていく。よく見れば辺りにはほかにも多くの小さな虫や小動物がいる。彼等の事を眺めながら歩く。日が少しずつ上がってきている。考えてみればいつもと比べてもかなり早く起きたかもしれない。昨日は連戦で疲れていたというのに体に疲労は溜まっていないだろうか?ほとんど何もしていないフェリックスが寝坊しているのはどうかと思うが…

だいぶ歩いた気がする。太陽もだんだんと高くなってきているのだ、もうそろそろ戻ろう。

ああ、そう考えると急に疲れが押し寄せてきた。眠い。

今日の旅路の途中は少し眠ることにするか。

「おっ」

足元がふらつき、転びそうになって足を強く踏ん張ると下草の一部がかき分けられ、下から花がのぞいた。

しかし眠気によってうまく判断が出来ず、その意味までは思い至らなかった。

…草の隙間から見えた青緑色の意味までは。



朝起きた。

フェリックス君が寝坊している様だ。起こすのは…マリアナちゃんに任せればいいか。

何をしようかと考えてみる。

「そうだ、もう武器が少なくなってた」

新しいのを作らなくちゃ。

『界身雷弾』はかなり強力な武装なのでも打ち度使えるようになるまで花かなり長い。もうしばらく使えないだろうな。

『海流扇子』は使ってる属性も少ないしもうそろそろ使えるようになりそうだけど。

『岩盾壁砦』も使ってる属性自体は少ないけど、規模の大きさなどからまだまだ使えない。

他の武器や道具もまだもう少し使えない期間がありそうなのだ。

考案したまま溜めておいているものもあるにはあるが、やはりすべての状況に対応できるとは言えない。もう少し手札を増やしておきたい。

でも、

「眠い~」

木の木陰に腰掛ける。

よし、新しい道具を考案しながらにしよう。

さて、目を閉じて…

何が必要だろうか?

そうだ、パーティメンバーそれぞれから一つずつ考えよう。

まず、リーダー。

そうだな~、あの両手に盾を持って押し出す奴。あれは凄かったな。

じゃあ敵を押し出す用の盾みたいなのを作るか。

次にカイ。

遠距離武器でも作るか、投槍みたいなのを作るのが良いかもしれない。

よし、それでいこう。

そしてフェリックス君。

つい昨日始めた調合から…瓶みたいなのにするかな?いやあんまり実用性がなさそう。なら、瓶、入れ物、捕獲…網か!

最後にマリアナちゃん。

そうだ、あの敵を引き寄せるあのスキルを元にして、吸引するような物でも作ってみるか~。



「朝食が出来たみたいっすね」

「そうなの?」

「じゃあ朝食を食べるために戻るっすけど、エステルさんはどうするっすか?」

「私は、もう少しだけ練習してから行こうかな」

「そうっすか、頑張れっす」

「あの、誰にも言わないで、くださいね」

「もちろんっすよ」

ああでも、そうだ。これだけは言っておかないと。

「ハープ、なかなか上手かった」

「え?」

「っすよ」

「ふふ、ありがとうございます」



「急げ急げ急がないと」

「手は抜かないでね」

「もちろんじゃないか、何を言ってるんですか!」

「ごめんごめん、なんか効率重視で質を軽視しそうだと思ったから」

「風評被害がひどいんじゃないですか!?」

「あれ?手が止まっているような」

「すいませんねえ!」

何でかマリアナさんが口げんか強くなってるような気がするんだよなぁ…

おかしいな、マジでマリアナさんに何も勝てないかもしれない。

どうにかしてマリアナさんに勝てる何かを見つけないと!そうなると前世得た知識とか経験を活用するしかないのか?

これからもマリアナさんに勝てる方法を模索していこう。

取り敢えず、さりげなく質問しておこう。

「マリアナさんって計算できます?」

「馬鹿にしてるのかな?」

「いやそういうわけではないですけど」

「出来るは出来るけど商人の人たち程得意じゃないよ」

「なるほど」

勝てそうだ。候補が一つできた。

いやでもこの世界の学習水準が高い可能性もあるからな。

そうだとすると俺じゃかなわない可能性も…

いや、きっと大丈夫だ。

まあそれは今は置いといて、料理の手が止まってしまっているので、マリアナさんに何か言われる前に再開しておくか。

「また手が止まってる…」

「ああ!今やろうとしてたのに!」



料理が完成して、リーダーたちも戻ってきて、食事をして。

さあやっと出発だ。他のところも色々とあったようで今日の出発はかなり遅かったようだ。それが逆に良かった。なぜか俺は今日寝坊してしまったから。

「おう、昨日の!」

せっかちパーティのリーダーだ。

「今日もよろしく頼む」

「おうさ」

「昨日の共闘組で集まってるのかい?じゃあ僕も混ぜて欲しいな」

「とはいってもそこまで話すこともないだろう?」

「そうかもしれないが、お前たちと協力した方が効率がよさそうなんでな」

「今日も共に戦うという事かな?」

「ああ、それがこちらの提案だ」

「こちらからも頼むが…今日俺は多分戦えない」

「ほんとですか!リーダー?」

「ああ、今日は寝不足の様でな」

「そうなのか」

「じゃあ私も寝ようかな~」

「何でローシェさん便乗してるんですか…」

「いや~私も眠くて」

「マリアナさんとカイさんは大丈夫ですか?」

「できれば休ませてほしいっすけど…馬車を操縦するだけっすから大丈夫っすよ」

「私は結構寝てるから大丈夫、エステルも寝たければ寝てていいよ」

「私は何もしてないし大丈夫だよ」

「今日こそは働きますとも」

「こいつが今日の俺たちの主戦力になってくれるようだ」

「よろしくな!」

「よろしく」

「よろしくお願いします。フェリックスといいます、毒攻撃をメインに使うので巻き込まないように気を付けます」

「そうだ、自己紹介がまだだったね。改めてよろしく、僕らは後衛4人のパーティ、ボウアンドロッドだ」

「ずいぶんと偏っているな」

「でも離脱用のスキルも結構そろっているから戦力自体は申し分ないと思うよ」

「それは頼もしいな」

「では次は俺達か、特に特徴のない普通のパーティだがよろしく。あ、そうだ。パーティ名はエフィシェントだ。」

なんか優雅な名前だな。



名前・種・Lv

フェリックス・人・70

攻110/50 防222+45 魔163 精186+25 俊118+2 器118-10

HP273 MP269

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 調合

装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣

装備 黒覆布 聖銀長籠手 国亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装


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