052 北上記二日目朝
今日も朝起きたのだが、なんかすごい長い間眠っていたような気がする。気のせいか?少なくとも俺に関係のあることではなさそうなので気にしないでいいか。
今日も今日とて暇だなぁ。
さて何しようかと考えたときに思いつくものとしては新技の開発とかしかないんだけど…
そういえば、とても大事なことを忘れていることに気付いた。
それが、鎖骨の下のあの外道蜂に刺された傷口の事だ。
そこは未だ毒が治っていないのだ。貰った解毒剤や自身の『解毒』によって毒が広がるのは防げたのだが逆に言えばそこまでしかできなかった。
元と比べることは難しいが、若干動きが鈍っているような気もするし、無害になっているとはいえなんかたまに引っかかるし鬱陶しい。
いい加減けりをつけたいと思う。
何故ここまで後を引いているのか考えてみると、理由は恐らく二つあると思う。ひとつはこの左腕の損傷より正確には欠損に再生能力の大半が割かれていること。俺の再生能力は平時では魔腺から漏れ出ている魔力が再生という形になっているゆえに起こるのだ、それが今や魔力の自然回復量の一部も割いて行っている。だからほとんど使っていないので分かりにくいが魔力の自然回復も遅くなっている。
そしてもう一つの理由があの外道蜂の毒の質だ。あの戦闘時から分かっていたことだが、おそらく俺はあの外道蜂に毒の質という点では『病毒』以外すべてが負けている。だから必然的に俺の耐性ではこの毒は防ぎきれないのだ。浄属性によってある程度中和できるので俺の毒の無効化できる範囲は耐性の強さよりも若干多いのだが、それも一つ目の理由で消えかけている。
さて、ここまで思考を進めてみたのだが、けりをつけるの無理じゃね?
でも諦めるのは嫌だ。なので左腕が速く治るように祈ろう。
それが俺にできる最善。
最善策が判明し、お祈りも済ませたところで新技考案を目指そうと思う。
ついこの前の籠手ロケットも失敗した。なんだかんだで自分の力で作ったスキルって『毒小蛇』及びその上位から派生スキルあたりだけだしな。
若干怪しいのが発光石と浄風破裂だが、なんとなくどっちも既存スキルの様な気がするんだよなぁ。思えば発光石の件の謎も解けない、個人的には俺が宝石に包まれていたというのと関係がありそうだ。どちらも宝石つながりで。話が逸れた。
新技考案の件だが、案が浮かばない。回復系を増やしたいので浄風破裂の再生版を作ろうかとは思うのだがそれしか今のところない。いっそのこと攻撃手段増やすために存在するのかすら分からない短剣とか籠手のスキル覚えにかかるか?
「リーダー」
「どうした?」
「ずっと黙ってたと思ったら急に喋り出した…」
「短剣とか籠手のスキルってありますか?」
「ああ、あるぞ」
「教えてください、攻撃手段が欲しいんです」
「確かにお前はほとんど毒で戦っているようなところはあるな」
「はい、だから違う攻撃手段が欲しいんです」
「だがそれらのスキルは適性がないと獲得できるかは<器用>依存だぞ」
「あ、そうなんですか」
それはちょっとキャラクタービルドできるような能力が欲しいな。伸ばすステータスを選択したい、無理だけど。
「それはちょっと心もとないですね…<攻撃>の次に低いステータスなので」
「<攻撃>も低いのか…それだとどちらにせよそこまでの威力にならないから獲得する意味はないんじゃないか」
言われてみればそうだ。じゃあ魔力攻撃の類のスキルを習得するしかないのか?
スキル大全みたいなの無いかな?
会ったらそれで検索して獲得したいスキルを定めようかと思ったんだけど
「じゃあ、短剣とか籠手を使った魔力攻撃スキルみたいなの無いですか?」
「お、いいね~フェリックス君の隠れてる適性魔術属性があったらそれが出そう」
「人の事見せ物か何かだと勘違いしてませんか?」
「そんなことないない、では私が一つ教えてあげましょ~」
「怪しいなー」
「まずは、結剣!短剣の柄と手を結ぶ魔力の糸を出す魔術だよ、簡単に言うと中距離戦が出来る」
それなら無限に短剣を投げて引き戻しのループが出来るじゃん。それに加えて糸をつなぐのは何処でもいいらしい。ただし、そこまで強度が高いわけではないのでターザンのような使い方は出来ないだろう。
でも
「それってどういう風に隠れた適性が出るんですか?」
「ん?出ないよ?」
「は?」
ローシェさんが怖い。
「え、ローシェさん頭かどっか打ちました?」
「あのねえ、私だって自分の興味以外でもちゃんと考えて教えるからね?」
「そうだったんですね…」
自分の興味のみで好きなようにやるタイプかと思ってた。
「じゃ、期待に応えて自分の興味でもう一つ紹介させてもらうよ~」
「お願いします」
「もう一つは『魔力剣』魔力を県に纏わせて攻撃するよ、魔力によって剣の形状も若干変えられるよ、そのおかげで攻撃範囲とか攻撃距離とか少しだけ増やせる」
「それ、本人の属性がもろに出る奴じゃないっすか?」
「…さあね?」
「カイさんの言葉が本当ならどうせ毒になるだけなんですけど…」
「カイと魔術の専門家の私のどっちを信用するんだい?」
「カイさん」
「即答なんだ」
なんか騙されてそうな気がするんだよなぁ。
「習得方法はどうやるんですか?」
「簡単簡単、少なくとも『魔力剣』の方は魔力を県に纏わせる感じで使えるからそれを繰り返せば習得できるね」
「意外と強そうな『結剣』は?」
「そっちは魔力で糸を作るようにした後に、武器と自分の体の結ぶところを思い浮かべて繋ぐ。結構難しいけど強いから覚えてみるといいかもね~」
スキルを使った後も結構複雑な作業が必要そうだな。でもできる限り覚えてみよう。貴重な物理中距離攻撃手段獲得チャンスだ。
「ああそうだ、意図は人によっては凄い長く出来たり凄い短かったりするから期待しすぎはしないようにね」
「いやそれ短かったらかなり嫌なんですけど」
「頑張れ~」
まずは『魔力剣』の方だ。魔力を手に集中する感覚は覚えてる。
相変わらず体内の魔力を感覚でつかむことは出来ないが…
短剣を抜いて毒針を撃つ時を参考に手の先に魔力を集める。多分集まってるよな?
集まってると仮定して、この後…
「どうやるんでしたっけ?」
「え?」
「魔力を手に集めた後どうやるんでしたっけ?」
「剣に移すだけだよ、簡単簡単!」
それは…どういうイメージでやればいいんだろう?
「あれ?戸惑ってる?う~ん杖を使う時の感覚が参考になるんだけど使わないっていうしな~」
「困った」
「魔法使いとか魔女がいれば参考になる話を聞けたんだけど、そうそう居ないしいたとしても人の事は嫌いだろうしね~」
「魔法使い…確か両手に媒介を埋め込んだ人々の蔑称ですよね?」
「そんな感じだね、彼ら彼女らは魔術に杖を使わないから君の先輩として教える事が出来ただろうけど」
「まあ何とかやってみます」
「頑張れ~」
さて、イメージをしないといけないわけだが、何が参考にできるだろうか?毒針とかかな?
でもあれは魔力を結晶化させてるっていう感じが近いから違いそうだし、
『毒蛇』シリーズ?あれの指の延長と捉えるってやつ、意外とやってるんだよ。使ってみようかな?
短剣を指の延長の様に認識して、指の先に集めるのと同じような感じで短剣に魔力を送り込もうと試みる。
すると壁の様な物に詰まったような感覚があった。
その壁を突き抜けるように強く押し出す感覚で集める。
う~んなかなかつっかえが取れないというか…
しばらく苦戦しそうだ。やり方は合ってるだろうから何とかごり押してみよう。
全員でフェリックスの一行に実りそうにない努力を眺める中彼女に話しかける。
「そういえば、あのハープを何で隠してるんすか?」
「!、え、あ、あの、いえ…えーと…なんで、ですか?」
「最初に会ったとき隠し忘れてたっすから」
「なら、もしかして…この、護衛依頼を、受けたのも…あなたの気遣いなんですか…?」
「そうっすけど余計だったっすか?」
「い、いえ、…ありがとうございます」
「で、ですが!このことは秘密に」
「分かってるっすよ、なんでかは知らないっすけど」
「何度も気遣いありがとうございます」
彼が気の利く人で助かった。もしほかの人たちにも知られてしまったら私はもしかしたら心に負担がかかっていたかもしれない彼には感謝しなければ…
それにしてもこのビルトというパーティはマリアナちゃんといいカイさんといい優しい人が多くていいところだな
やった!
俺はついに獲得したぞ!
長きにわたる悪戦苦闘の末に俺は『魔力剣』を獲得した。でもだいぶ疲れたので『結剣』はまた別の機会に。
せっかく獲得した『魔力剣』だが、結局毒の属性に染まってしまったので何とかして他の属性を出さなければ!
ローシェさんいわく毒を抑える感覚という事だが、それもまだ難しそうなのでそちらもまた別の機会にしよう。
名前・種・Lv
フェリックス・人・70
攻110/50 防222+45 魔163 精186+25 俊118+2 器118-10
HP273 MP269
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 装備装着 十頭蛇 病原十蛇 魔力剣
装備 黒覆布 聖銀長籠手 黒亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐40 80 40(35) 重+17
装備スキル 開放 閉鎖 武装




