表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
39/110

039 華やかなる山

パカラッパカラッパカラッ

馬のひづめの音が聞こえる。

昨日読んだ物語に思いを馳せる。




レイヴンの町にはある伝承がある。

この伝承は【シューラッドの花園】であるこの地域の成り立ちに密接に関わっている。

この伝承は精霊と契約したある少女についての伝承だ。

この地域はもともと花はおろか草の一本も生えない荒れ地だ。

しかしその少女は花を愛していた。

少女は花を植えた。どこまでも遠くへと旅し、花の種を持ってきた。

しかし、

その花が芽生えることは無かった。

嵐が来た。

家という家をなぎ倒し、土を抉り、花の種は風に吹きとぶ。

嵐の中で少女はただ一人たたずみ、その涙は雨に紛れた。

そんな暗い昼に、少女は精霊と出会った。

その精霊は嵐を連れてきた。

少女は精霊と話した。この嵐を起こした目的を聞いた。

その精霊の目的は嵐で土地を破壊し、嵐が取り込んだ物質を魔力に変換し、自身の存在を維持することだった。

少女は嵐の中で、雨に打たれ、風に吹かれながら祈った。

目の前の脅威に、嵐を止めてくれるよう、ずっと祈った。

精霊は彼女の中の魔力に目を付けた。

そして精霊はある計画を立て、それを少女に持ちかけた。

彼女はその計画を受け入れた。

彼女の願いは、広大な荒野が美しい花で包まれている景色に臨むことだけだった。そのために彼女は契約をした。

そして彼女には精霊が宿った。

レイヴン地域には花園が出来た。

精霊の計画も実現された。精霊と少女は一種類の花を生んだ。

【嵐の花】と呼ばれるその花は、そよ風に反応して魔力を発生し、嵐の中に種を飛ばす。ため込んだ魔力は精霊へと流れ、精霊は自身の存在を維持する。

こうしてレイヴンには嵐の花園が生まれ、少女の願いはかなったのだ。

その後彼女の姿を見た者はいなかったが、今も彼女は自分の生み出した花園をどこかからか見守っているという。


さて、この伝承(‥)はここで終わりだ。

だけれど、この()には続きがある。

少女は人間として死んだ。その身に精霊を宿したままに、そして嵐の精霊は彼女の魂と同一化し、彼女自身もまた精霊のようになった。

つまり、彼女は今も生きているというのだ。

まあ、正確には生きているのかどうか怪しいところだが。

彼女が何を思って今も生きているのかは分からない。そもそもこの話が本当なのかも…

結論は出ているけど、あえて僕は口を噤もう。

だって、すぐに答えを出してしまったら面白くないし、この世界にはなーんにも無くなってつまらなくなってしまうじゃないか。




「まーたこいつは…ま、いいや続けて」

「はい、実は難しいかもしれないのですが、もう一つ依頼したいことがあって」

「ほう」

「答えが、欲しいんです」

「何の」

「僕の、ユニークの」

「…なるほどね」

「あの…」

「君のユニークがどんなものか聞いてもいいかい?」

「それが、まだはっきりとしたことは言えなくて」

「それはどういうことだい」

「僕のユニークは完成していないというか、まだ形が決まっていないんです」

「それはおかしい、ユニークはその独自性を以てユニークとして確立される」

「僕の場合これからの進化、が独自性なのかもしれませんけど」

「何か方向性とかはないんですか」

「あ、それなら。僕はユニークによって全属性が使えます」

ぴくっ

「どうしました」

「その依頼、受けようじゃないか」

「良いんですか!」

「おうとも、任せたまえ」

「ありがとうございます」






さて、俺が聞いていない間に相当重要な話がなされていたらしいという事が分かった。まあそれはいいんだ。俺が聞く気なかったのが悪いし、でも聞いても応えてくれないのはほんとにどうかと思う。

本題に戻ろう。

もうそろそろ山に着きそうだ。


山のふもとに馬車を止めて、徒歩で登山を開始する。

道は整備されているというよりは踏み固められているという表現が近そうだ。道には草も生えておらず、花は道の外側に生えている。

山は木が少なく花が満開に咲き、その多くは青みがかった緑色のうっすらと光っている花だが、その隙間を埋めるようにして様々な色の花が咲き乱れている。

恐らく青っぽい緑色の花が【嵐の花】で間違いないだろう。

記念に一輪摘んでいこうかな。

昨日幾つかの本を読んだところ禁止されてはいなさそうだったからこれでいいだろう。

俺は一輪の花を手に取った。



名前・種・Lv

フェリックス・人・60

攻97/50 防192+45 魔143 精160+25 俊105+2 器105-10

HP237 MP236

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 装備装着 十頭蛇

装備 黒覆布 聖銀長籠手 黒亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装



「お~い、早く来ーい」

向こうでみんなが呼んでいる。

俺は顔を上げて走り出す。




緑は深く、隙間は少なく、木漏れ日のみが日月の光

幾つもの集落は点在し、侵略は決して受け付けない。

そんな未開の大地をおそうは鋼鉄の魔手。

その魔手はすでに地下から未開の大地を食い破らんとせり上がる。


「つまんないつまんない、けれど今は楽しいんだから」

「邪魔するなよ?」

青年が言葉を紡ぐ。言葉の行き先は何処にも見えない。




城が山であり山が城である。

山で採掘をし、山で加工する。

この地には海はない。

この地には石がある。この地には玉がある。

この地には子が祀られている。

誰が意思か、誰が策謀か。

その地には永き魔が迫る。


「もう一度、目覚めか」

「は、いいぜ今度のご主人様の顔も拝んでやりに行くとするかよ」

一人の男が目覚め、羽ばたき、飛び立つ。




少年は記憶と向き合う。

深い地の底で彼は彼と道筋をたどる旅をする。

その果てに、答えと真なる身を手に入れて、きっとまた戦うのだろう。


「またいつかここで、「我が所有者(マイマスター)」」

「お帰りなさい、「我が所有者(マイマスター)」」

「これからもよろしくな」




その洞穴は高く深く、高く深く。

その地にて星は地に落ち天に返らず。

その地にて日月は地を照らすこと叶わず。

滑らかな石に包まれたそれこそが、

天を覆い隠すそれこそが。

林立するは摩天楼。

最果ての大地にて栄華をうたう最先端。

その地にて笑いが響く。


「さあ、支配者さん」

「ここは何者も照らせない、そんな中であなたはどうやって見つけるのかしら?ああ、楽しみね」




山に囲まれた広大な砦の中でそれは起こる。

彼女はそこで自身を創ったものに問う。

灰が積もり、跡形もなくなったその施設の中で

彼は彼女は彼女は彼女は彼は彼は彼女は彼女は彼は彼は彼と、

名前も呼べないあの人たちと私は

一体何のためだったと、そう問う。

問いに答えるその姿は、とてもおぞましく、醜かった。

焼け焦げた匂いだけが少年と少女の鼻を衝く。


「さあ、答えて彼等と私の意味を!この花が咲く意味を!」




最も寒く、最も白く、前人未到の大地脳に立って、白い息を吐いて、「ただいま」

その一言だけでここに来た意味はあるのです。

さあ、次へ進みましょう。




争いは絶えず、耐えぬ争いの中で誰かを探す人が一人、

竜すらも大量に跋扈するその地で

一人歩く。

その先を塞ぐ竜は、跡形もなく消え去る未来が約束された。


「あの人は何処か、あなたは知らない?」


「もっと、もっと、もっと、やっと来た、ん、だか、らぁ、アアアaaaaaa-------------!!!」


「我はまだ貴様らには劣っておらん」

「さあ、もう一度戦を始めよう」

「この地の竜は、貴様らの想像を超えるぞ」




決着の時は来た。

三度目の邂逅にして、最後の戦い。

これにて、始まりから続いた因縁は断ち切られ、新たなる縁が始まる。


「仕方あるまい、力を貸そう」




この地にはすべての旅の結果が集う、幾つもの星が散り、幾つもの星が駆け抜ける。

対峙するは冠と角

対するは冠と玉座。

ここに、ある一人に糸を引かれた4度目の大戦は終幕を迎える。


結局最後の方はかなりネタバレのようなことも多く書いてしまいました。

伏線的なものという事にしておいてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ