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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
38/110

038 花溢れる町

忘れていましたが、36話で第1章第2篇は完結です。37話から第3篇です

フェリックスが旅している中央大陸で二番目に大きく、大陸の南に位置する国はシューラッドという。シューラッド王国について語るにあたって絶対に必要な国が、シューラッドの北に位置し、南を除いた全方位を途轍もなく急で、高く、危険な山々に囲われた天然の要塞国。

その名をジェリュール王国という。

ジェリュール王国は中央大陸で最も巨大な国土を有し、最も攻めるに難い立地である。

しかしジェリュールの山の壁にも開けた方向がある。それが南方だ。

ジェリュールを外界と隔てる断崖絶壁は南は守らない。

故に、ジェリュールの歴代王朝は何度も南からの侵略を受けて滅んできた。

そして現在の王朝は南との同盟を結んだ。

この同盟により今のジェリュールの王朝は長く続いている。

これによりシューラッドは大国ジェリュールとの貿易を一挙に独占することに成功した。


シューラッドの内部に話を戻そう。

シューラッド王国は南部ではスーアからカーチにかけてのスービーチ地域沖合での漁業が盛んである。

スービーチ地域には北から流れてくる川が一つにまとまって流れ出る三角州も存在しており、海洋、河川両方の漁業の拠点となっている。

そこから東部へと移っていくと、大地はとても緩やかな下り坂となり、東部は低地の平野となっている。

そこはあまり川が流れておらず、少ない水量での農業が行われている。この平野は南東七国の西部の平野ともつながっており街道も幾つもつながっているため、東部との交易が盛んである。

北部へと視点を移すと少しずつシューラッドの台地が山がちになっていく、そのためシューラッド北部にはいくつかの山が点在し、その中でも群を抜いて危険な地域を含むのがサーター山だ。

西部では西方の大陸沿岸に近い中央大陸西の地域と接している川の多い地域だ。そこでは豊富な水を利用した水運の発展した地域だ。

その発展度は世界一番とはいかずともかなり高い水準である。



「なーに読んでるのさ」

「はい?」

「人の話を聞かずに面白くもなさそうな本をずっと読みふけって…」

「いえとても興味深いですよ。ところで誰の話ですか?」

「この依頼人君の話だよ」

「…あの…、もしかして依頼に関する重要な話をしていました…?」

「その通りだよ。まったく!」

「にしては依頼人さん本人が困惑していますけど」

「安心して、フェリックス。ローシェさんと依頼人さんの雑談だったから」

じーーー。

「名前を聞いていなかったな、君の名前は何だ?」

「はい、僕の名前はペールです。この度は依頼を受けて頂き有難う御座います」

帽子を取って座ったまま丁寧にお辞儀をした。

礼儀正しい人だなぁ。

「そういえば依頼って何の花を取ってくるもので何のための物ですか?」

「これだから…」

ゴスッ!!

「痛っっっった」

「えぇ…」

「ローシェ得意の強化打撃か」

「うわぁ出たっす」

「何ですかそれ」

「ローシェがよく打撃使用する時に使う昏睡やダメージ増加の術を付与した杖攻撃の事です」

「あ、クラースさん杖の一撃で眠らせたあれってローシェさんが筋肉というか<攻撃>馬鹿高かったんじゃないんですね」

ゴンッ!!

「痛っっっった」

「いちいち失礼だねぇ君はぁ」

「あはは」

「実際どういう依頼なんですか」

「特殊な薬剤を作るための花を取りに行きたいそうだね」

「成る程」

「まあ、後は訪れてからのお楽しみって感じじゃないかな」

「へー」

「聞くところによるとレイヴン町は花畑が多くて、とても色鮮やかなそうだよ」

「おお~、それは楽しみだなぁ」

今まで見てきた町はかなり舗装されていたりして街自体に花畑が多いところは見たことがないからな。

「ふふっ」

「マリアナちゃん今度は笑うようにまでなった」

「だいぶ明るくなってきたな」

リーダーもローシェさんも心から嬉しそうだ。

御者席のカイさんの表情は窺えないけど。

馬車は進む。

少しだけ明るくなったビルトと一人の依頼主を乗せて。



さて、馬車はレイヴンに到着した。

まず先に感想を言ってしまおう。

とてもきれいな街だ。

今まで見てきた町は整った人工的な美しさがあったが、今度の町は自然の美しさがある。

自然の美しさを他と比べて際立たせているのは恐らく街を取り囲む柵だろう。ほかの町では壁としてしっかりと外と内を隔てていたが、レイヴンでは周りが見えるため、より町が自然と一体化している感じがあるのだ。

癒やされる。

花畑といっても町民が育てている部分は一部の様で、他は野生の花だ。

「凄い綺麗」

「…凄いな…」

「綺麗っす」

「おお~」

「あ、一度止めてください」

ペールさんが馬車を一度降りて、街を囲む柵を押し開けている。馬車は進み、中へ入る。

ペールさんは柵を閉じてからまた戻ってきた。

ペールさんを乗せて馬車はまた走る。

「そういえばペールさんは千車旅団から離脱してよかったんでしょうか?」

確かに

「どういう道でこの後行くかを聞いているので大丈夫ですよ」

「普段千車旅団では何をしているんですか」

「食器とかを作っていますよ」

「!たくさんの車が刻まれている奴ですか!」

「そう。粘土を焼いて作ったものだよ」

「昔お父さんと露店に行った時に見ました!あれ?でも売っている人は違う人だったような」

「はい、僕はあくまで作る側ですから」

「売るのは別の人なんですね」

「その通りです」


町は狭く、すぐに宿までたどり着いた。

いつも通り宿の部屋を取り、山へ登るための支度をする。

そういえば俺個人用の非常食が付きかけていたはずだから買っておこう。千車旅団では見学に夢中で忘れていたからな。

今度こそは忘れないようにしないと。

「個人用非常食を買ってきます」

「ちなみに本当の目的は?」

あれローシェさんにばれてる?

「何のことですか?」

とぼけてみる。

「町の見学?」

マリアナさんにも?

「…ばれてます?」

「あたりまえじゃないか」

「どっちにしろ買っては来るので、行ってきます」

「行ってらっしゃい」

「はーい」


食料は何処に置いているんだろう。

街中にも花が溢れている。町民が自身の家のそばにある花に水やりをしていた。

しばらく見回ってみて…

「見つけた」

食べ物を売っている。

「いらっしゃい」

「保存のきく食べ物をください」

「どんなのが良いかな?」

「う~ん、出来ればこの地域特有のものが良いです」

「じゃあ、これとかどうかな?」

大きな花の花びらで包まれた…煎餅?クッキー?クラッカー?

いまいち判断がつかないけど堅そうだ。そして何よりも匂いが良い。

試しに一口くらい割って食べよう。

「おいしいですね!もう幾つかください!」

「ふふ、喜んでもらえて何よりだよ」

「はい、とてもおいしいです」


宿に戻った。

「これ美味しいですよ。買っておくことをお勧めします」

「ほんと?」

「ほんとですよ」

実際に食べてもらうのが一番だろう。

例の食べ物をパキッと割ってみんなにひとかけらずつ配る。

前世の世界にあった割って食べるチョコレートを思い出す。

美味しかったなぁあれ。

「美味いっすね」

「美味い」

「おいし~」

「あんまり?」

「買ってみませんか?」

「いいかもね」

「よし、買って来るっす」

「即断だな」

「じゃあ私の分もよろしく~」

「了解っす」

収納袋に非常食をしまった。

夜まで適当に時間を潰すか。

明日出発だから今は英気を養おう。

英気を養うのも兼ねて周辺の地理についての情報を見るか。



成る程、面白い物を見つけた。

成果を得た俺は少しだけ町を見回って宿に戻り、夕食をパーティメンバーで食べる。

「そわそわしてるね」

「はい、いよいよだって考えると」

「安心すると良い、俺達が依頼を達成する」

「頼もしいです、ありがとうございます」

「明日は頑張りましょう」

「はい、よろしくお願いします」

「登山経路などを聞いておきたいんだがいいか?」

「はい、基本的に道が整備されているので道沿いに行けば大丈夫なようになっています」

「樹は多くないのか?」

「樹は全くありません」

「!」

樹の無い山は初めてじゃないか?

とはいってもまだ山二つ目だった。

明日の経路を打ち合わせた後、各々の部屋に戻り寝た。



名前・種・Lv

フェリックス・人・60

攻97/50 防192+45 魔143 精160+25 俊105+2 器105-10

HP237 MP236

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 装備装着 十頭蛇

装備 黒覆布 聖銀長籠手 黒亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐40 80 40(35) 重+17

装備スキル 開放 閉鎖 武装

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