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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
35/110

035 クラーケン3 鋼の頭

私には理解できた。

三人が与えてくれたヒントと、

後は自分の経験から。

そして、だからこそこの戦いは本当に怖くなる。

余りにも状況が似通っているから、今まで震えることのなかった手が震える。

震える手を押さえつけて剣を強く握る。




俺の役目は穴を開けるという一つだけだ。

マリアナさんはイカを相手に攻めあぐねている様だ。

しかし、そこで少し気になるのがマリアナさんに対する攻撃が異常に少ない点だ。マリアナさんが攻撃した瞬間のみマリアナさんに向けて攻撃するようなそぶりを見せるが、マリアナさんが逃げると簡単に攻撃をやめる。

けど俺の場合はずっと追ってくる。

その追いかけてくるのもしつこい時とあっさりしている時があるのだが、その基準が分からない。

何かもうちょっとで分かりそうな気はするのだが何だろう。

手がかりが少ないから分からないんだけど…

いや、ほんとに手掛かりが無いか?

俺の行動からだけだとあまりわからないだけかもしれない、例えばカイさんの最後の攻撃、あの三本の矢は防がれることなく命中した。

他にも…そうだ、よくよく考えてみるとローシェさんが俺に回復魔法を使ってからローシェさんへの攻勢が強まった。

魔力の盾の時も同様だ。

ここまでくれば確定だな。

あのイカは魔力を通して周りを認識している。

そしてだとするとマリアナさんが狙われないのは恐らく魔術をはじめとする魔力を使う行動を行わないから。


謎が解けたところで俺の役割は変わらない、即ちイカの頭に穴を開ける事だ。

なので近づきたいのだが、俺の体からは魔力が検出されるようで、しっかり捉えられている。

なのでそこをどうにかしないといけないのだが、

それは俺に丁度浮かんだ案がある。

ぶっつけ本番で上手くいくかどうかや、そもそも成功率が低いらしいのだが…

やるしかないかな。



「ローシェさん、この前魔術を使って攻撃していた時に謎の爆発が起きたんですけど、何か原因に心当たりはありますか?」

霧の中でのあの中ボス的死霊との戦いで気になったことだ。

そこまで重要なことではないけどずっと心の中に引っかかっているのですっきりさせたい。

「ふむ…、その時毒魔術と浄魔術を同時に使ったりしたかな?」

「はい」

「その相手は魔術を弾いたりしたかな?」

「あ~言われてみればしていたかもしれないです」

「やっぱりね」

「フェリックス君、それはね、無属性魔力が作られたからなのさ」

「は?じゃなくてどういうことですか?」

「魔力には属性があることは知ってる?」

「はい、なんとなく」

「属性以外にも指向性とかいろいろあるけどとりあえず今は無視。そしてこの属性は中和して打ち消されることがあるんだ」

「酸性とアルカリ性みたいなものですね」

「何言ってるか分からない」

「何でもないです」

「例えば、火水風土を全て等量混ぜたら中和して無属性魔力になる、同じように光と闇、あまり使う機会はないけど回復魔術と死霊魔術も魔力の状態なら中和するっけな。で、君はもう察しているだろうけど」

「毒と浄でも中和する、ですよね?」

「その通り、まああくまで理論上の話だけどね」

「どうしてですか?」

「無属性魔力は染まりやすいんだ。染まって周りの魔力と同じ属性になってしまう、それに君が実際なったようにランダムな指向性を持って爆発してしまう事もある。でもこのことから多くの生物の心臓にある無属性の魔力を生産する魔腺がすごいと分かるんじゃない?」

「はい。ところで、無属性魔力を保つことは出来ないのですか?」

「出来るよ、魔力を通さないもので包めばいい。ほかにもやり方はあるし、それでも難しい事なんだけどね。結局暴発する可能性は完全には消えないから」




という一連の会話の流れがあったのだ。

時間がたっているため正確には覚えていないかもしれないが、流れは同じなので問題はない。

そして、ここからが俺の仮説だ。

相手の魔力を見る能力についてだが、俺は恐らく属性も見分けられるのではないかと思う。それは人間の視界でいうところの色彩に当たる物が魔力の属性だからだ。ここに関しては結構賭けの要素が強いけど…

攻撃対象の決定は量の過多で行っていると思われる、実際に思い返してみると魔力を大量に使ったローシェさんが一番早くに脱落した。

それに加えて俺は魔力の属性もその優先順位決定に利用されてるのでは、とも考える。

何故なら多くの生物が心臓の魔腺で無属性魔力を生産しているため大量の無属性魔力は即ち強力な魔法系技能の準備をしている恐れがあるからだ。

長くなったが結論は。

無属性魔力をばら撒いて囮に使う!


条件は整っている。

魔力を閉じ込める物としては籠手がある。

あれは俺の『腐食』が漏れ出るのを防いでいるため恐らく魔力を遮断する効果を持つ。

後は籠手の中に『腐食』と『浄化』を注ぎ込むだけだ。


目論見は成功した。

結果的に注いだ魔力の3分の一ぐらいしか作れなかったが…

約70相当の無属性魔力が作れたので俺は構わない。

魔力がかなりすっからかんだが。

触手が何本か飛んでくる。

さっきまでも何回もあったことだ、これによって何回か失敗している。

しかしもう失敗はしない。落ち着いて躱す。

作った無属性魔力の一部を取り出し、その場に置く。

俺自身はその場を離れ、イカの方へと出せうる最高速で向かう。

俺の狙い通り、以下の触手は一気に無属性魔力へと殺到する、それによって無属性魔力が小さな爆発を起こす。

向かった職種の本数は…1、2、3、4、5、6、7…、8

あと2本、体を守るために待機している。

無属性魔力を攻撃した触手が体の方へと引き戻される。

もう一度無属性魔力の囮を出し、俺自身は急角度で曲がって更に接近する。

今度も何本かは待機している。

何度も同じことを繰り返す。

時々曲がる向きを変える。

そうしてやっとたどり着くイカの体。

イカの体に手を置く。

もう無属性魔力はない。

残った魔力全てを『腐食』に指定化に使う、魔力攻撃に弱いイカはきっとこの鋼の体に風穴を開けるに違いない。

そうして俺はゆっくりと崩れていくイカの体を眺めていた。



直感がささやいた。

今が使い時だと。

本能が感じ取った。

あそこは危険だと。

助けに行こうと、だから思った。

彼の背後から触手が迫る。

彼は気づいていない、間に合わない。

やはり今が使い時の様だ。


「『白閃の神速』」

私の体は加速する。



視界の端で白い光が閃いた。

ぐんぐんとその光は迫ってきて…

「ぐおぅ」

変な声が出た。

突っ込んできた白い光の衝突エネルギーで内臓にダメージを負ったような気がする。

その白い光は俺の腹辺りにつかまって速度エネルギーに乗って俺を運んで行く。とっさのことに頭が追い付かず、その場に残ろうと伸ばした左手は結果として俺の背後から接近していた触手に吹き飛ばされる。

あの場に体が残っていたら絶対致命傷だった。

お礼を言おうと白い光の方(下)を見ると、ちょうど止まって姿を現したマリアナさんと目が合った。

「ありがとうございます」

「どういたしまして」

イカの方を見れば『腐食』によって空いた穴の広がりが止まっていた。残った魔力全てを使ったもので十分か心配だったが杞憂だった様だ。

でも全ての魔力を使い切った俺は今や置物な訳で…

つまるところ後俺にできるのは…

「頑張れー、マリアナさん!」

マリアナさんが何ともいえない表情でこちらを見ている。

呆れているか失望しているかどっちだろう?

「ハァ…」

マリアナさんがため息をついて気持ちを切り替えた。

「フェリックスに触手が行かないように間断なく攻撃しながら倒せばいいんでしょ?」

「そうだよ、あそこにむき出しの心臓があるし、それを砕くだけだからマリアナさんなら大丈夫だと思う」

「はいはい」

「俺はここで待ってるから」

又も何ともいえない顔でこちらを見る。

あ、そうだこういう目をジト目っていうんだよね。

「分かった、待ってて」

今度はため息つかれなかった。

進歩したって考えていいのだろうか?

「『白閃の神速』」

白い光に見えるほどの速度でマリアナさんは走っていった。

俺はここで待つだけだ。

何かした結果足手まといになるのは嫌だからね。



私があのイカに見られることはない。

これは良い事だと捉えるべきなのかもしれないが、私にはそうは思えない。

なぜならそれは必ず私以外が攻撃されるという事だからだ。

それはやはり嬉しくない。

だから、討伐は一瞬で!

心臓を捉えた。

斬り込む

「『凝固』」

大剣を振りかぶり落下の加速も利用しての一撃をイカにお見舞いする。その一撃が直撃した直後、跳ね返ってくるように心臓が強く脈動した。

それによって体が弾き飛ばされる。

「まだ」

全然!

始まった。

けれど仕方ない。このまま倒し切ろう。

体勢を立て直し、再び突進する。今度は突進の勢いも利用できる突きだ。しかしその突きに対しても同じように鋭い振動による反撃が返ってくる。



何度も

何度も

撃ちかかっては跳ね返されて。

少しずつ心臓から青黒い血が流れだしてはいるものの、勝負がつくのは先になりそうだ。

そんな中で、青黒の中に鮮やかな赤を見つけた。


「あれは、マリアナさんの足首から流れているのは、血?」

見ている限りマリアナさんは攻撃を食らってはいない、その多くを躱せている。それもあの『白閃の神速』というスキルによる速度バフのおかげだろうけど。

むしろそれのせいで足首から血が流れているのか?

だとすると強力だけど自身の肉体に多大な負荷をかけてしまう系統の諸刃の剣なスキルなのか?

代償の種類によるけど呪いとか単なる傷とかならばきっと俺の『再生」で時間はかかるけど治療できる。でもそうなると困るのは治らないパターンとか治りにくい傷のパターン、それだと俺の魔術ではどうにもできない。

心臓の鼓動が強くてどうも痛い。

何もできないことがどうにも苦しい。

何かしようとしてやっと左手の喪失を再認識する。

とたんに左手のあった所の痛みが再来する。


ドン


マリアナさんの大剣がイカの心臓を打つ音が響く。



名前・種・Lv

フェリックス・人・60

攻97/50 防192+45 魔143 精160+25 俊105+2 器105-10

HP237 MP236

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体 騎乗 装備装着 十頭蛇

装備 戦闘用水着 水中呼吸器 水かき 聖銀長籠手 黒亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐70 40 60 80 40(35) 重+35

装備スキル 開放 閉鎖 武装 呼気排出 吸気吸入


シルエットはこのシーンをイメージして描いてました。

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