023 共同戦線 後編1
文字数失敗して後編を二つに分けることになりました。
「まだ気づかれてない」
ひとまず安心。
現在俺はウツボもどきの群れと海魔との戦いを文字通り高みの見物しているわけだが、
「やっぱ海魔の方が強いよな」
海魔の姿は簡単に言うと光るクラゲだ、光るクラゲとか目立つのになぜ接近するまでウツボもどきや俺が発見できなかったかというと、光を消すことが出来るからだ、でも攻撃する時は光を消せないようだ。
攻略の手がかりを作るあたりゲームみたいな生態してんな。
今も海魔は点滅したり光を収束させたりしてウツボもどきを混乱させながら一方的に蹂躙し続けている。
と、そうだ。
見物ばっかしてる場合じゃない、信号を出さなきゃ。
ローシェさんから配布された石を取り出す。
この石に魔力を流し込んで…
よし、光った、これで応援が来るはずだ。
定期的に周りを見渡して応援を求める光を確認する、これは全員にするように言われていた義務だ、ただし、いくら周りを見ても見えなかったのでは応援に行き様がない、だから、深い海からの光を見つけたのは偶然だ。
これで何匹目だろう、疲れたから少し周りを見まわそうか。
周囲360度の確認、光は見えない、海面上まで一度浮上し、収納袋の空気を補充、そこまで減っていなかったが、たくさんあって困ることはないだろう、再び海を泳ぐ。
見る見るとウツボが減っていく中で俺はジレンマを抱えている、つまり、逃げるべきか戦うべきか、なんとなく勝てない気がするから逃げた方が良いのかもしれないし、逃げずにこの機会を逃さないべきなのか。悩む、とても難しい。
てかだれか早く来てくれ!そうすればもう何も問題はないんだ!
海魔がゆっくり浮上してくる、え、なんで?気付かれた?
考えたくないけどもしかしてずっと気付かれていて後回しにされていた?
まさかまさか、そんなわけ……ははは
逃げろー逃げろー逃げろー
顔だけで振り返ってみると、海魔の動きがとてもゆっくりとしていることがわかる、これは余裕に起因するものなのか、その速度でしか動けないのか果たして、
どちらでもいい、とにかく今は逃げるだけだ!
急げー
ビット湾のある地点で・・・
「あ、そういえば海底域には近づくなってあいつらに教えてなかったな」
などとのんきに考えているとあるパーティのリーダーが一人。
バカンス気分で波に揺られながら範囲魔法と探知魔法で優雅に海を楽しむ魔術師も一人。
口調とは裏腹に割と真面目に魚を狩る狩人が一人。
誰もフェリックスの悲鳴には気付かない、気付くわけがないこの距離では
「あれ、もう入らない」
仕方ない、一度陸地の方に戻って戦果を収納袋から出すか。
体力的にきついわけではないが、帰り道は海の中をのんびり隅々まで見渡したいのでゆっくり帰る。
空を見たいと思い至り、上に向かって泳ぐ、上に上がっていくにつれて明るくなっていっているが、これはきっと空に近づいているからはないと分かる、私はそこまで深く潜っていない、
海が明るくなっていっているのは、とても奇跡的な事ではあるが、
私が上がるのに合わせて、
太陽が雲の後ろから出てきたから。
光を反射して波間は泳ぐ魚のように、水と空気の境を超える瞬間目を閉じて、再び開けるとそこは明るく照らされて、海は宝石のようにきらめいていた。
「綺麗」
暗い海水の揺らぎはまるで陽炎の様に、実態を持った陽炎こと単なる巨大クラゲが俺に覆いかぶさる瞬間、思わず目を閉じて、再び開けるとそこはクラゲの中ではなく、そこは赤く濁っていて、海は血によって局所的に淀んでいた。
「ウツボもどき!まだ生きていたのか!」
まるで仲間の敵とでもいうかのように、ウツボもどきがクラゲに食らいつき、クラゲはその体を突き刺すことで返す。
「ありがとう!ウツボもどき」
このまま俺は逃げる!
ただし、海魔がターゲットである以上見失うわけにはいかないので、岩場に隠れながら、海魔の方の動向をうかがおう。
巨大クラゲが岩の転がる海底を見下ろすように泳ぐ、それこそはこの海底域の王者の風格のようだった。
ただし「王者」は気付かない、岩場の影にくぼみを作って、陰に隠れながらこちらをうかがう、上からの来訪者に
「ふぅ~、何とかばれなかった、後は見失わないように追跡だな」
もう一度信号を上げておくか、でもそれで居場所を察知されたら困るから使用してら素早くその場を離れよう。
3、2、1、はい!
つけた、素早く移動してもう一度岩場の影に!
岩場から海魔の方を覗くと何もいない、
え!?
直ぐに一つの可能性に思い当たり、光をつけた方を見る、海魔はそこにいた、一安心。
海魔は気ままに漂っている、俺はその後をつける。海魔の近くだからか逆に強力な魔獣(魚だから魔魚?)に会わなかったのが大きい。
早く誰か来てくれ~みんな~
一方その「みんな」はというと、前述のとおりである、彼ら彼女らに、海底からの光を見つけろなどと無茶ぶりもいいところだ、見つけられたとすれば、それはもはや奇跡のような偶然以外の何物でもない、だから、それは偶然だった。
深い海からの光を見つけられたのは偶然だった。
なんてことはない、目を凝らせばいいだけだ、でも…
あれ、海魔を見つけた信号かな?
海の底で何かがチロチロと光っている、でもそれが応援信号かは分からない、光の色は似ていて、とてもではないが自然界で発生するようには思えない。
でも、もし違ったとしてもそこにはきっと何かあるから行ってみて損はないか。結構深いところにありそうだけど、う~ん
まあ、深いところは行ってなかったし少し行ってみるか。
そうして結論は出された、後はまっすぐに深く潜っていくだけだ。
やべえやべえやべえ!
ばれた~----ー!
そういえばクラゲって全方位に目があるんでしたね!常に間に遮蔽物ないとばれるよね、そりゃあ。
でも俺クラゲは光の量程度しか判別できない目しか持っていないって聞いたんですけどその真偽やいかに!
シュン
鋭い海魔の触手(今回の場合は先端がとても補足針の様になっているため正確には触刺か)が通り過ぎる。
障害物に隠れたり、砂を起こしたりしながらなんとか逃げ回る、一応目はあまり良くないようで、逃げ切ること自体は簡単なのだが、執念深く諦めずに触刺でこちらを探そうとしているので結局見つかる。
そして今回も流れ通りちゃんと見つかる、けれど俺も学習している、どうせ見つかるのだから、隠れている間は無理に移動したりして体力を使わない!
完全にチキンだがしょうがない、誰か来たらまた別の戦術も使えるのだろうが、今は助けを待つしかない。
新しい攻撃スキルが欲しい!
俺の持ってる攻撃手段はすべて環境への影響が心配だから使えないし、そもそも接近しないと使えないスキルは相手の手数に阻まれて使えない。
改めて考えるとこうして逃げているのが正解だったんだって分かるな。早く来てくれ!
暗い、海の底はこんなにも暗い、とても暗くて周りがほとんど見えない、けれど海底からの光は見失っていない、もうそろそろ海底に着く、けれど近くにはだれもいない、少なくとも気配はない。
光を掴む、手を開き、中を見る、これはローシェさんが作っていた魔術道具だ、やはり誰かがここで信号を出したことは間違いない、けど、本人は何処に?
見失わないように、光をより見やすい場所に置き、光の周りを一定距離を保ちながら円状に探索する、少しずつ円の大きさを大きくしているが、誰も見つからない。
ただ、所々に戦闘をした形跡というか土が掘り起こされたり、岩が刺し砕かれたりした痕跡が見つかった。
これを辿るべきだと考える。
辿っていくにつれて痕跡は増えている、もしかしなくとも戦闘は激化している様だ、そしてついに…
血!
岩に血がついている、その岩に上り辺りを見回すと、ある方向で遠くに砂が巻き起こるのが見えた、あそこである可能性は高い、そこへと急行する。
鱗鉄短剣は防御になら使える、迫る触刺一本でも多く切り飛ばして攻撃を防ぐ、ただ、当然のように相手は再生してくるためキリが無い。
消耗戦、俺は体力を、海魔は魔力を削って戦闘は継続する。
このままだと俺が先に疲労で動けなくなりそうだ、
斬り落とす攻撃も厳選していこう、出来る限り長期戦の構えで、そしてこの手数を避けきるのはどちらにせよ無理だから上下の鎧を装備したい、けれどそんな時間はない、さすがに我慢するか。
同時に四本が迫ってくる、奥から迫るのは何本か見る余裕はない、
海魔の触刺は柔らかい、よって『武装』状態の籠手の爪だけでも切り落とせる。つまり二本は落とせる、ならば残った二本のうち1本を回避してもう一本は致命傷は避けて受ける。
来てる!
最も近い二本を処理、迫る二本のその奥を見る、次に来るのは六本
近い二本は回避と何とか振りかぶった手が戻ってくるのが間に合った、籠手の攻撃で対応しきる。
よし、食らってない、これは大きい。
その次の六本は三本と二本と一本の三方向に分かれる、三本はまとめて短剣で切り裂き、一本回避して、二本は籠手の爪で何とかしたい。
切り裂き、躱して、残りの二本は籠手が間に合わず食らう。
でも代わりに次の攻撃に対しては短剣と爪が両方そろっている。
どっからでも来い!
左方から二本、右方から二本の合計四本、短剣と籠手で簡単にさばききれる、行け…
背中、え、何が
後ろを見る、背中に触刺が刺さっていた、
「ぐぅ」
体勢が崩れ、倒れそうになる、そこに残りの触刺も殺到し……
名前・種・Lv
フェリックス・人・58
攻94/50 防186+45 魔139 精154+25 俊102+2 器102-10
HP229 MP229
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体
装備 戦闘用水着 水中呼吸器 水かき 聖銀長籠手 黒亜竜鞘+鱗鉄短剣
耐70 40 60 80 40(35) 重+35
装備スキル 開放 閉鎖 武装 呼気排出 吸気吸入




