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毒と浄は輝玉に宿る  作者: 狐池
旅の始まり
22/110

022 共同戦線 前編

昨日一話しか投稿していなかったため連続で投稿です。


ビット滞在二日目

今日も海に潜り、幾つもの依頼をこなそうと考えたのだが、

今日はそれ以外にも何かがある、というよりも起きた様だ。

「海は俺たちの領域だ、どうかこちらに任せてもらえないか」

「しかし…」

「人手は多い方が良いと思うけどな~」

「どうしたんですか」

ビルトの4人が集まり、別のパーティも一組いる。

「依頼の中断をお願いされたんすよ」

「どうして…」

「君たちを巻き込みかねないのだ、分かってくれないか」

「自分たちの事は自分たちで守れます、こちらは大丈夫です」

「そうは言われても…」

なんとなく聞いた限りでは向こうの人たちは海での活動がとても得意で、水の中での技能もたくさん持っている様だ。

ただし、彼等が本領を発揮するには周りを気にせずにスキルや魔術を使える環境が必要の様だ。おそらくは範囲殲滅魔法でも持っているのだろう。

「探索区域分ければいいじゃないですか、そうすればそこにはこちらがいないことが保証されますよ」

全員がこちらを向く、横やり不味かったかな。

「まあ、それでもいいが」

「問題は海域をどうやって見分けるかだ、我等は長くここで活動しているから問題ないがそちらは…」

「目印となる物があればいいのだけれど」

「ふむ、ではそちらはこの湾の中というのはどうだ、我等はその外を探そう」

ビット沿岸の地形の確認だ。

ビット沿岸の海域は、二つに分かれる、大陸最南端の岬の先端が囲む湾とその外側と、そのうちの湾の方を探索してくれという事だ。

「ではそうさせて頂く、湾内は穏やかであるため不慣れな私達でも泳ぎやすい、心遣い感謝する」

「そういえば君たちのパーティなんて言うの、こちらはビルト」

四つの背びれ(フォー・ドルソフィン)だ」

「なるほど、じゃあよろしくね四人の()()()()()()

「な…」

「どうしてそれを」

因みに爆弾投下した模様である本人は後ろ姿からでも伝わるレベルのドヤ顔で去っていきました。

「へぇ~人魚、珍しい」

マリアナさんが話すくらいには珍しい存在である様だ。

「驚いたな、彼ら人魚だったのか」

「でも足普通の人間でしたよ」

「人魚は陸上では単なる人間と見分け付かないっすから」

「へえ」

人魚はどうやら変身する生命体の様だ。


海に着いたのでさっそく2度目の…あれ昨日2回入ったっけ?だとしたら3度目の潜行!

早々出逢うものでもないと思うけれど探すか。



「はあーー」

「何なんだあの女」

「種族一瞬で見抜かれたぞ」

「パーティ名なのか?」

「さすがにそれはないだろ」

「そうだ、見たことが無い限りパーティ名からでは見抜けないはず」

「見たこと…あるのか?」

「かもしれないな…」

「それよりも我等も海魔の探索に行こう」

「「「おう」」」



目の前に泡が立ち上る、無数の泡はそれぞれが互いに争うように上に向けて駆けていく、その様はとても健気で微笑ましく感じてしまう。

浅いところを辺りを見回しながら泳ぐ、目撃情報では半透明のゼリー状の魔物だった、もともと内陸にいた私には縁がなかったが、クラゲというものの大型であったはずだ。

底は暗く、天からは水面を突き破って波を映した日の光が明るく海を照らしている。

その中を一層勢いをつけて泳ぐ。

たとえ見つからずとも。



目の前に泡が立ち上る、幾つもの泡が上へと昇っていく様は、空が海へと落とした光を反射させて泡がきらめく様と合わせてとても美しかった。

今度はさらに深く潜って以降、深く、深く、もしかしたら例の大クラゲはもっと深い海にいるかもしれない、でも、俺水圧に耐えられるかな?

まあ、何とかなるか、さあ潜ろう。

深く、深く

底は暗く、地の底へ吹き抜ける大穴の様で、それでも進んでいく。

たとえ光届かずとも。



中央大陸最南端の湾、その中心、そして奥深く、ビット湾の海底域とも呼ばれている場所だ。

そこは、魔境だ。

魔境とは強力な魔物や魔獣が多く住み、冒険者ギルドによってランク分けがされた出来れば入らない方が良い地域である、しかし、冒険者ギルドは一人前の冒険者に対しては自己責任の考えを通しており、規制がされているわけでもないが。

ランク分けは冒険者のランクと同様に行われており、

最低ランクのB級魔境、Bランク冒険者程度が適正実力である魔境、魔境と呼ばれる中で最も危険度は低い。

その上がAランク魔境、Aランク冒険者程度の実力が適正実力であり、サーター山の一部地域はここに分類される。

さらに上がSランク魔境、Sランク冒険者、即ち()()()()を満たしたもの以外は生き残ることが不可能とされている危険域

その先、SSランク魔境、Sランク冒険者の統率が獲れた集団がかろうじて生還を果たした地域、世界にSSランク魔境は一か所しかない。

ただし、あくまでSSランク魔境は、だ。

SSSランク魔境と呼ばれる地域がある、そこはいかなる存在であろうとは言ったら最後、出ることは出来ないといわれている、そもそも数の少ない世界最高峰のそんざいであるSランク冒険者の、さらに生存能力に特化した存在が死体となって、その外部で発見されたことがあり、その際に名付けられた。魔境のランク付けは後から付け足されて行くのだ。そして事実上この地域から生還した者はいない。


ビット湾海底域、ここはBランク魔境だ。



だいぶ深くまでやってきた、もう光はほとんど届かない、上を見上げても光は見えない、けれど水圧は感じない、何の装備の効果だろうか。調べてみると恐らく戦闘用水着の効果だと判明した。

まあどうでもいい事だけどね、

「輝く石を結べ『発光石』」

よし、明るくなった。

という事で回りを照らす、服にひもで巻きつけながら泳ごう、これで灯りには困らない。

そして俺は泳ぎ出そうとしたのだが…

「何かやな感じだな」

悪寒がするというか…気のせいだといいんだけど。

一応、海魔を発見した時や、ピンチの時の発光弾がある、それを信号代わりに活用するらしい。


俺は未だに迷っている、どうするべきか、進むか進まないか、多分この先は危険だと思う、俺はそう感じる。

「でもそっか、俺よりも弱い生き物しかいない場所の方が少ない以上危険は常に付きまとうんだ」

だったら、どっちにしろ危険なのだったら、

「行くしかないのか」

半ばあきらめの様な思考でそう結論付けた。


じゃあ改めて、先に進もう。

より深いところへ一直線に、多分第三者が見たら海の中を流れ星が落ちていくように見えるだろう。

ぜひ見たかったな。


寒く、苦しく、ほとんど感じないが、ゼロから5ぐらいまでは増えたであろう体温の低下と水圧を受け始めた頃

俺の横を何かが高速で横切った、

「ん?」

痛みを感じて左肩に触る、傷が出来ていた。

今度は見えた。

幾つもの影が次々に俺を横切って上へと抜けていく見上げると細長い影が暗い海の中で泳いでいるのが見えた、さらに下から何匹も同様の影が来る、俺の頭上に漂うそれらの影を光で照らすと、

「ウツボもどき!」

一匹でも苦戦した強敵が何匹も、

この海域にはいてはいけない、この海域に居たら死ぬ、急いで離れねば!

上に行くと死が待っているのは確実、よって横へ、陸に近い方向へ全力で!

下から飛び出してくるウツボもどきを何度も躱しながら泳ぐ、上にとどまっているウツボもどきは追ってきていないのかと後ろを振り返ると…いなかった。

「下に潜った?」

下に目をやって気付く、数十匹のウツボもどきの群れにさらに何匹化が合流していく、上に抜けたウツボもどきはまた下に潜って上がってを繰り返し、何度も奇襲を繰り返す。

そういう狩りがここでは行われているんだ。

でも、上が開いているならば上へも逃げる、陸に向けて!

ただ、その狙いはあっけなく察知される。

「上に留まってる」

下から抜けていったウツボもどきの何匹かが上に留まりだしたのだ、

仕方ない、深度はキープ、そして陸地に向かって泳ぐ、そしたらもしかしたら助けがあるかもしれない。

その希望は困惑に変わる、何匹かのウツボもどきが逃げ出し、何匹かのウツボもどきが海底で動きを止める。

つまり、

「攻撃が、止んだ」

一体何が…

浮いてくる、浮いてくる、見えないけれどわかる、同類だからか?

光を底に薙げるとその姿が見えた、それは限りなく透明に近く、揺らぐように不定形で、

今回のメインターゲット、海魔がそこにいる。



名前・種・Lv

フェリックス・人・58

攻94/50 防186+45 魔139 精154+25 俊102+2 器102-10

HP229 MP229

スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂 調理 解体

装備 戦闘用水着 水中呼吸器 水かき 聖銀長籠手 黒亜竜鞘+鱗鉄短剣

耐70 40 60 80 40(35) 重+35

装備スキル 開放 閉鎖 武装 呼気排出 吸気吸入






警戒する灰の雛に対して男は会話を成立させない、

「あなたも感じるでしょう、怒りを」

「ナニヲイッテイル、イカリナドナイ」

「おやおやほんとに見つからない、さっきはちゃんと発見できたんだけどどうしてだい」

「イカリナドカトウセイブツドモガイダイテオレバイイ、ジョウイヘトシンカスルサイニソノヨウナモノハステタ」

「ふーん、そうですか、では過去のものを利用しましょう」

「ハ?」

「焼けつくような怒りをぉぉぉぉ!焦げるような憤りをぉぉぉぉ!」

「ウウウウウウウウウァァァァァァァァァ!!!」

その悲鳴は山中に響いた。



かくして会合は終了した。

背びれというわけではないけれどこの作品での人魚の背中にはひれが3~4つあります。

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