013 主人公が絶対勝つ系のイベント・前編~噛ませ犬~
時は馬車に揺られてライベに戻る過程まで遡る。
「そういえば、ガルドの奴が自分のスキルの一つについて、「ユニーク」だ、と発言していたんですけど、ユニークって…」
「ああ、それね、種族単位やどの生き物も取得できる一般的なスキルとは異なって、各個人しか持てない固有のスキルの事だよ」
「確かローシェもユ…もごもごもご」
「どうしたんですか、てか何してるんです」
ローシェさんが、えー、リーダーっぽい人の口を抑えている、絶対何か言いかけてたよな、そして話の流れからするときっとローシェさんがユニークスキルを持っているとかいう話かな?
俺が感づいてしまったことを察したのかため息をつき、話題をそらす。
「それにしても、杖がいらないって便利だね、武器の出費がないんだもん」
「でもそれとは別に剣とかは欲しいですけどね、現状攻撃手段が殺すか環境を汚染するかしかないので」
「なるほど~」
その一方でカイと呼ばれていた人物はなんかずっと作業している、汚れないように気を付けて魔物や魔獣の解体を行っている様だ。
「そういえばこの馬車誰も乗ってないですね」
「私たちが乗っているではないか」
口調変わりましたねローシェさん。
「つまらないっす」
直球!
「俺たちのパーティの私有の馬車だからな、御者を雇って動かしている」
「もともとは御者もいたパーティだったんだけどね…」
悲しそうな顔をしている、あまり聞かない方が良い話題なのかもしれない。
「そうだ、けど俺たちは移動が頻繁っすから…」
そっか…移動中に…
「凄い腕を上げてしまってここにいるのはもったいないって感じでみんなからの後押しも受けて独立した」
おい、いい話じゃないか、さては騙そうとしてたんですか!?
「ちょ、シャークノリ悪っ!」
「そうっすよ、ながれ読んでくださいよリーダー」
「お前たちのだけで十分だったろ」
という感じの会話があった。
因みにこの回想はこの後に起こることと何の関係もない、ただの補足だ。
というわけでやってまいりましたついに到着ライベのギルド、
まだ素材は売ってないので荷物はそんなに軽くなってないけど銅貨10枚だけ増えた財布とクエスト達成の証明書をしまってさっきまでいたクエスト達成報告用の受付を離れて、今度は賞金を受け取るための受付に並ぶ。
前にはちょっとした列ができていて、その全員が布で包まれた首であろう物を持っている人によってはだいぶごつごつした形に物を持っているので確証はないが、多分賞金を払う時は首が証明になるのだろう。
「おっ、坊主お前さんも何か狩れたのかい」
「はい、偶然にも」
「ははは、見たところ駆け出しの様だしよかったじゃねーか上手く使えよ」
その男が手に持っているのは異形だが蜥蜴などの頭の形に似ているので危険なモンスターの討伐報告だろうかしばらく待ったところその男の番になった。
「ほい、雷風竜【ストームリーダー】討伐報告だ」
「流石ですね、毎度毎度」
ささやき声が幾つも聞こえる、断片的に得た情報から判断すると、
【竜斬り】様だ。
になるだろうか。
「竜斬り、凄い異名だ」
「お、知らなかったのか、俺はこの大陸において四大竜殺しと呼ばれるうちの一人、【竜斬り】だ」
「他にはどんな人がいるんですか」
「そうだなあ、顔を合わせたことはねえが、確か【竜狩り】と【竜喰い】、【竜砕き】だったかな。」
「強そう…!」
「だろ!」
そう言って去っていった、めっちゃかっこいい。
あ、そうだ俺も報告しなきゃ。
「はい」
受付の上にのせて包みを開く。
「おお、遂に、遂に倒したんですね、家、倒されたが正しいのですが」
泣きそうになってる、
しかしその顔もすぐに元に戻した、さすが受付さん
「ありがとうございます、こちらが賞金です」
「どうもです」
「ふう、何とか無事、ひと段落かな」
にしても随分と報酬が多いな、この後は報酬の装備を作ってもらいに行こうか、そして余った素材は売って…
ゴン
「あ、ごめんなさい」
「あぁ?まあ別にいいさ、けどその袋、金だろ、お前みたいなガキが何でこんな大金をここで受け取ってんだ?」
「ああ、これですか、これは偶然にもガルドという人が倒せたから貰ったものです」
「んなわけ」
なんていったんだろう、聞き取れなかった。
「ンな訳ねえよなあ」
!
「どうしやした兄貴ぃ」
子分らしき男トリオが後ろからきている。
「お前らか」
そこで男は邪悪に笑って
「この金をあるべき場所に戻そうと思ってな」
「これ、ガルドを倒して得た金らしいんだよ」
「そういうことでしたか」
「納得でごぜあす」
(にちゃあ)
一人は兄貴と呼んで慕っているようで、一人は語尾がかなり崩れていて、一人は無言で笑った。
さて、変なのに絡まれた訳だけど、たいていこういうのが最初の方に起こった時って主人公勝つよな、うらやましい、多分こいつと戦って俺は勝てないのではないか?
「気分を害してしまったようならごめんなさい、でもこの後用事があるので」
「逃げる気でありやすかぁ」
「そもそも戦っているつもりはありません」
そそくさと逃げられ……
無かった。
肩を掴まれて俺はそれ以上先に進めなかった。
「おいおい、無視するとかないよなぁ」
「無視していませんよ、全ての質問に対して答えて立ち去ろうとしていただけです」
内心滅茶苦茶怖い、けど決して外に出してはいけない。あのガタイのいいのに絡まれたときに学んだんだ。
「どうしたんだい」
「はいはい、何をしているのかね」
「うわあ、あいつらじゃないすかやだなあ」
この声!
「皆さん」
「あー、そういえば名前聞いていなかったな、まあ後にしようか。」
「それでぇ、君たちは今何をしているかな?」
「この賞金の元の持ち主を探しているんだよ」
「この人たちって弱い者いじめばっかしてたっすけど目が悪いんすかね、目の前にいるのに」
「ンな訳あるか、こんな雑魚に倒せるような殺人鬼ならとっくにこの世にはいないぜ」
「まあ、彼多分ほんとに勝てない相手には挑んでないだろうしね、多少格上なら襲ってたって証言あるけど」
「とにかく、貴様らには関係ねぇだろ、どっか行け」
わあいいつのまにかギャラリーたくさーん、
声でかいんだよこのゴリラ。じゃなくて口調は噛ませ犬。肩を掴む手が強すぎて逃げられない。
「俺はこいつと戦ってこいつの強さを確かめる、それで!こいつが弱かったら俺はこいつの金を本当に持っているべき人に返しに行くぜ」
「それが俺ですよ」
「ガルド殺しましたし」
「適当な事言うんじゃねです」
「だったら俺も倒せるよな?俺はあいつより弱いぞ?」
滅茶苦茶理論だ!
て思ったけど冷静に考えて理屈通ってるわ、てか普通に考えたらおかしいの俺の方だ。偶然相手のすべての能力に対してメタ張れてたとか奇跡の部類だよな。
「だから!俺からの決闘の申し出を受けろ、お前の強さを確かめてやる」
「お断りいたします」
「兄貴に口答えする気でやすか」
「だって勝てないし」
あ、敬語崩れた、どうしよう、
もう取り繕わなくていいか。
「勝てないし自身の危機でもない戦いする意味ないし」
「受けてデメリットしかないし」
俺は、あいつとの戦いは逃げられなかったから戦った、戦わないと死んでいたしな。
その後も戦ったのは、彼等を見てしまったからだ。
「まあまあ、そんなこと言わずに」
ローシェさん!?
「私もあなたの戦いに興味があってみたいのです」
「嫌ですよ」
その続きを言おうとしたら
「…………」
ある方法を囁かれた。
確かにそれすればデメリットなくなるけど、勝っても良いことないじゃん。
「ん~、じゃあ、ほら馬車に乗せてあげたお礼として!」
う、それ言われると断れない
「…分かりました、仕方ないですね」
「で、決闘であなたに実力を示せればいいんですよね」
「ああ、その通りだ」
「ではその約束で、後、殺すのは無しにしてください、死にたくはないので」
「は、いいぜ、やってやる」
何とかデメリットの排除完了だね。
いつのまにか側にギルドの役員が立っており、
「では、その取り決めで決闘を始めます」
「ついてきてください」
そして案内されたのは広い場所だ、白い線で囲われており、その中で戦うのだろう
「白い線はあくまで目安ですが、出来れば出ないでください、被害が出る恐れがありますので」
その周りは少し間を開けて壁で囲われている、
万が一吹き飛ばされてもそこで止まるだろう。
「はっ!ぶっ潰してやんよ」
「うるせー、噛ませ犬みたいな言動しやがって!」
「噛ませ犬?」
「あれじゃないすか兄貴、あの闘技場で戦う人たちの訓練に使われる、最初の方に自信をつけさせるための雑魚魔獣」
「あれ悪口なんでやしてか」
「はぁっ!なめ腐った口ききやがって!その余裕をへし折ってやるぜ!」
わあ、凄い怒らせちゃった、こっちでは噛ませ犬自体はいるけどこういう使い方はしないんだね
あと、余裕なんてないんですけど。
どっちかって言うと諦めの部類…
名前・種・Lv
フェリックス・人・57
攻93 防183 魔137 精152 俊101 器101
HP226 MP226
スキル 鑑定 解析 毒魔術 浄魔術 毒耐性 発光石 浄風破裂
頑張れ主人公。
果たして勝てるのか




