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あのね、聖女様っているんだよ

作者: 2138善

この教会に集うのは大抵が悲しい子どもだ。捨てられたり、殴られたり、色んな理由で行き場を無くし、人に言えない過去を抱えた孤児が辿り着く場所。けれど悲しい子供はいつの日か笑顔になれる。だって私達にはシスターがいるから。私達の面倒を見てくれるシスターは慈愛に満ちていて、まるで聖女さまだ。何処かで声を殺して泣いている悲しい子供を見つけ出し、地獄のような日々から救い出してくれる。他の大人は信じられない。シスターだけが心の拠り所だ。


「また殺人だとよ」

「これで18人目か」

「殺人鬼が彷徨いてちゃ、おちおち外も出歩けねぇ」

買い出しの途中、大人達の立ち話を小耳に挟んだ。夫婦が滅多刺しにされたとかで、街はその話で持ち切りだった。おっかないなぁ。フードを目深く被り直して急いで帰路につく。


「あら、お帰りなさい」

教会に戻るとシスターが笑顔で出迎えてくれた。朝から姿が見えなかったけれど、出先から戻っていたようだ。シスターは木桶に張った水で手を洗っている。木桶のなかでは汚れた赤が揺蕩っていた。

「シスター、その子は?」

彼女の傍らに怯えた目をした子供が立っていた。殴られた顔は腫れ上がり、襤褸のような服から覗く手足の至る所に痣が目立つ。日常的に暴力をふるわれていたことが一目で分かった。

「この子はジャック。新しい家族よ、仲良くしてあげてね」

「はい」

シスターはいつものように優しく微笑む。足元には見慣れた包丁が転がっている。


小さな手を引いて廊下を歩く。ジャックはまだ怯えた様子で、ずっと俯いたままだ。

「私も、キミと同じだったの」

私の言葉にジャックが顔を上げた。

「毎日酒浸りの両親に殴られて、潰れた右目からは涙も出なくなって………だけどシスターが助けてくれた。あの両親あくまどもが二度と私に酷いこと出来ないようにしてくれた。救ってくれた。誰もが見てみぬフリをするなかで、シスターだけが手を差し伸べてくれた。あのね、聖女様っているんだよ。私達みたいな子供を愛してくれる優しい人もいるの。シスターと一緒にいれば大丈夫。今は無理でも、いつかジャックも笑顔になれるよ」

「…………うん」

笑い掛けると、ジャックは涙を流しながら何度も頷いた。


「随分辛い思いをしたのね………でも教会ここならもう安全よ。大丈夫、怖いもの全部から守ってあげる」

そう言ってシスターは、いつも優しく微笑んだ。

自分を助けてくれる人が必ずしも善人だとは限らないけど、自分の味方をしてくれる人は自分にとって善い人に違わない


っていう話を書きたかったけど、難しいです



読んで下さってありがとうございました!

少しでも面白いと思って頂けたら☆☆☆☆☆にて評価して貰えると嬉しいです(^^)よろしくお願いします!

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