第九話『吸血姫エリザベートは女として、メイド姫騎士レティシアに確かな殺意を抱いた。そして……』
「――ゴールド様、流石だね。凄い、凄いとは思ってだけど神の領域と呼ばれるA級魔法を修得しているなんて、ボクは伝説が生まれるのを見ているのかな」
若干興奮しながら自分の心境を述べていくレティシア。
「この地ではそういう事になっているらしいな。だがレティシア、君もやるじゃないか」
「ありがとうゴールド様、この正式装備ならボクもあなたと一緒に戦えるよ」
先の竜達とのある種のリベンジマッチを果たせて気分が上がったのもあるのだろう。
レティシアは喜色に染めた顔を見せて明るく答えた。
「ああ、そうなっているな。頼む」
大らかな空気に包まれるゴールドとレティシア。
だが背後に控えていたエリザベートから不穏な気配が滲み出た。
美少女吸血鬼は、レティシアのある言葉に反応を示したのだ。
悪い意味で。
「……っ」
(……い、いま。この人間種なんていった? いっしょに戦えるだと? 劣等生物の分際で? 唯一存在であるゴールド様といっしょに戦えるだと?)
ギリギリと、歯が鋭さをみせる。
吸血鬼本来の殺戮性が貌を見せ始める。
――その理由は殺意に他ならない。
(……撫でれば肉の塊に容易く変わる下等生物が! あの御方の力に成れるだと! ありえない! ありえない! あの御方の力になれるのは、エリザ達使徒だけ! それが私たちの存在意義! エリザこそが、ゴールド様を! それをこの下等種が!)
指の爪も鋭さを持ち始める。
体内で魔力が暴れ狂い、今か今かと開放の時を待つ。
――爆発寸前。
(……ハンバーグにしてやる。ぐちゃぐちゃの肉の塊。お前の末路はソレしかない!)
背を向けているレティシア。
そんな彼女目がけて腕を振るい、肉塊に変えようと吸血鬼エリザベートは、足に力を入れた。
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次回はエリザベートとレティシアが……
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