第五話『黄金の騎士は、竜をザクロに変えた』
――戦局は拮抗状態を保っていた。
ピースメーカー王国と千竜軍団が激突してから、一時間。
ドラゴン相手に相当に健闘している王国。
しかし健闘しても意味は無いのだ。
完全な勝利でしか人間の平穏な生活は約束されない。
だからこそ人間は、抗う。それがこの健闘という結果を齎しているのかもしれない。
そして事態は、当然の如く動く。
動かすのは、千竜軍団の首魁・虹の竜王。
正式名称『虹色の天神竜』
この強大な虹の竜王が動くとき、当然動くだろう。
この戦場は、もう一つの勢力がいるのだから。
虹に惹かれた黄金の殺戮天使が動くだろう。
両雄向かい合うまで後わずか――
「――次だ。A級魔法・炎獄の散弾銃」
炎獄の範囲攻撃。
空中に展開された魔方陣が竜達を照らす。
黄金の騎士から放たれた逃れられない災禍の焔。
回避どころか防御することすらも攻撃対象のドラゴン達には許されなかった。
「「ヒ、ヤ、ヤアメエアgaaaaaaaaaaaaa————」」
人間を容易く虐殺できる力を持つ数多の竜種が、容易く命を落とす。
効果範囲内で無事に済んだドラゴンは皆無。
炎獄の散弾をたっぷりと喰らい鱗を貫通された大量の竜の骸が出来上がる。
この一度の範囲攻撃で『50匹』の竜種達が殲滅された。
「うふふ。お父様ぁ。サンダードラゴン、ファイヤードラゴン、ウォータードラゴン、キングクリムゾンドラゴン、その他ワイバーン、計50匹殲滅確認よぉ」
黒髪和風美人。おとぎ話に出てくるかぐや姫の如き美貌を誇る『NPC輝夜』が戦果報告をするのを聞きながらゴールドはとある方向を眺める。
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次回はレティシアが……




