幕間三『ブラットムーン姉妹のメンヘラキャットファイト』
「あらお姉さま。今日は口数が多いですわね。何時も死んでいるゾンビみたいに片言しか喋りませんのに」
「……誰がゾンビだ。品のない愚妹だから口が腐って、そんな物言いしかできないのよ」
「はぁ? ゴールド様の前でカマトトぶって小動物キャラ作ってる臭い女に言われたくないですわね。何? 一人称がエリザ? 臭すぎますわ」
「……ふざけんな。エリザは、キャラなんて作ってないわ。自然体よ」
「あ! でた一人称エリザ。本当にコテコテで腐臭がプンプンしますわ」
「……愚妹のお嬢様キャラこそ石器時代の臭さよ。何? そんなキャラメイクしてゴールド様の御寵愛を得られるとでも? 頭チーズで出来てんの?」
ブラットムーン姉妹は、それからも白熱して相手の悪い部分を上げていきマウントを取ろうと接戦を演じていく。
そんな彼女たちを呆れた目線で見ている第十一使徒輝夜・スターシステムは、口を開く。
「うふふ。お父様ぁの娘の私から言わせればぁ、どっちも不適格ねぇ」
甘ったるい声だが、ハッキリとした物言いで、現在も醜いマウント合戦をしているブラットムーン姉妹に評価を下す輝夜。
黒い美しい艶のある髪を揺らしながら少々不機嫌さが滲み出ていた。
「俺も輝夜に同感です」
それに浅く首を振りながら同意するのは、第十二使徒。モルドレッド・ワイルドカード。
そんな呆れている輝夜とモルドレッドの視線の先には、ブラットムーン姉妹の喧騒を制止しようとしている第三使徒ヘラクレスの姿を認めた。
「フタリトモ。ソノヘンデ。ヨサナイカ」
「煩いですわよ!? カブト虫は、樹液でもチュウチュウ吸っていろ!」
「……エリザに指図しないで。そんな事をしていいのは、偉大なゴールド様、唯御一人だけよ」
意外と常識人な昆虫人王ヘラクレス。
しかし非常識な二人の吸血姫を抑えること敵わず、喧騒はこの後も続いていくのであった――。
お読みいただきありがとうございます。
第三章最終回でした。 次話から新章突入です。
新規にブックマーク登録してくれた読者様方ありがとうございます。更新の励みになります。




