幕間2『世界情勢・救世神国のゴールド様の評価』
「――それでは、偉大なる七大救世神に祈りを下げましょう」
そこは、厳かな雰囲気を圧縮したような神を敬う教会の趣をした広い部屋。
その部屋には大きい円卓の机があり、その円卓に7人の男女の老人たちが座し祈りを捧げていた。
「……では、目下問題になっている議題……竜軍団の侵攻を利用したピースメーカー王国への破壊工作。その作戦時に遭遇した黄金の騎士の議論を始めましょう」
「ふぅ。黄金の騎士ではなく、黄金の神ではないか? 救世騎士団統括殿?」
「……最終兵器団統括殿。それは、些か早計に過ぎます」
「そうだろうか? どう考えてもあの黄金の大天使は、神。プレイヤー様だろう?」
「プレイヤーの子孫、天上人の可能性もあります。それは最終兵器団を統括するあなたなら一番ご存知でしょうに……」
「確かに。我が最終兵器団に所属する隊員は、全員プレイヤーの血を引く【天上人】だ。かくいう私もその一人だ。……だからこそ分かる。アレは黄金の神だと」
確信を述べて言う老人の男に、遂に二の句を告げられず黙り込む救世騎士団統括の老人。
「……」
「おいおい。二人で盛り上がりなさんな。実際に監視していたのは、私の管轄だよ」
「ああ、その事には感謝していますよ。機密情報団統括殿」
そう言われた老婆は、自分の言いたいことを捲し立てた。
「……一応言っとくが、情けない限りだが、こちらの監視はあの黄金の騎士にバレとるよ。というか現在はどこにいるのやらだ」
「やはりそうですか……私の部下の安否は分からず仕舞いですか」
機密情報団統括である老婆の話に反応したのは、戦術天使団の統括である老人だった。
「そうだよ。すまないね戦術天使団統括殿」
「いえ。危険な任務は承知の上だと彼らたちも覚悟していたハズですから」
彼は、ゴールドに圧倒的な力量差で捕縛された神官達の直属の上司であった。
「それで、逆に黄金の騎士から、こちらに対して情報系魔法で逆侵攻を受けてないだろうか?」
次に発言したのはまた違う老人であった。
「いえ。戦術獣兵団統括殿。今のところは、情報漏洩等外部からアクセスは来ていませんわね」
「そうか、ありがとう。戦略結界団統括殿。安心した」
「……とりあえず、あの黄金の騎士は保留でいいだろう。正直虎の尾を踏みかねない危険性を感じる。我々にはピースメーカー王国と神聖竜国との戦いがあるのだからな」
そう発言したのは、魔導兵装団統括の老人だった。
「そうだな異議なしだ」
彼ら7人は、救世神国の武力を司る長達である。
七大救世神軍――そう呼ばれる軍集団の内の七つの組織。
『戦術天使団』『最終兵器団』『魔導兵装団』
『機密情報団』『戦術獣兵団』
『戦略結界団』『救世騎士団』
それぞれ専門性に特化した軍団である。
今日も彼らは、神々から与えられた使命である人類救済の為に、真面目に精力的に働くのであった――。
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世界情勢回でした。次回は、第二章最終話になります。
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