第12話『くらえゴールド! キングクリムゾン――』
「ふ、ふ、ふざけるなああああああ! 人間種風情が! 俺の部下たちを皆殺しにしただと! 絶対に殺してやるうう!」
抗議の声の主は、最後に残っていたキングクリムゾンドラゴンである。
威圧感ある竜の体躯を怒らせながら、ゴールドに対して遠距離からのブレス攻撃を行おうとした。
「くらえ! 金色! キングクリムゾン――」
自身の名を冠した自慢の攻撃。
そんな攻撃を行おうとした竜だったが、その言葉は途切れることになった。
その原因は、最優先攻撃目標のゴールドが、竜の視界から突然消えたからだ!
「な!? 奴はどこに!? あんなに目立つ金色は!?」
当然。キングクリムゾンドラゴンは、右往左往することになる。
地上にいる騎士団など無視してゴールドだけを探そうと躍起になっていた。
それも仕方ないことなのかもしれない。
彼にとってゴールド以外は、虫けらである。
例えどの様な攻撃をされても無傷だろう。
その為、ゴールドさえ注意していればいいのだから。
「ふむ。お利口さんの爬虫類でも、彼我の戦力差は計算できんか。危機察知能力は、先だって戦った神官達の方が上だな」
そんな、自分というドラゴンを批評する声が直ぐ近くから聞こえた。
「っうう!?」
どっと冷や汗が噴き出る。
咄嗟に後ろを振り向きたい衝動に駆られるが,、それが安易な事だと判断し、体は硬直したままだ。
「っうあ! う、うしろ!?」
そう。
ドラゴンの背後から聞こえるのだ。
直ぐ後ろから声をかける存在がいるという確かな証拠を提示して見せる存在が。
そのため安易に振り向けない。
感じるのだ。
振り向いたら殺されると。
(だが! 振り向かなければ! 結局!)
内心の葛藤を振り落とし、竜が素早く体を後ろに振り向いた!
お読みいただきありがとうございます。
キングクリムゾンドラゴンの活躍? 回でした。
次回はそんなお利口なトカゲさんともお別れです。




