第1話『メイドで姫で女騎士でボク子でメンヘラの片鱗をチラつかせるレティシアとの会談』
「――ゴールド様。この度は、なんとお礼をしていいか分からないよ。改めてボクは、深い感謝を尊い恩人である貴方様に捧げるね」
そう笑顔を浮かべながら、女性は感謝を口にする。
「いや。何。旅の途中での人助け。あまり気になさらずに。それに、件の神官達には逃げられてしまたからな」
和やかに二人の男女が会談していた。
場所は、神官陣営に焼き討ちにされていた村。
名前は、イナカダナ村。
その名の通り田舎の村である。
そんな村で回りよりも豪華な村長の屋敷にて、二人の男女。
ゴールドとレティシアは、お茶を飲みながら会談を行っていた。
「しかし、ここピースメーカー王国は、今大変な状況なのですな。まさか北の隣国から竜軍団が、五日前から襲撃してきているとは、旅人故に恥ずかしながら知らなかった」
「はい。正確には、隣国である【竜王国】の跳ね返りのドラゴンの集団らしいんだよね。外交上で問い合わせても、自分たちには、関係ないドラゴン達だと、抗議や交渉も不可能な事態になっているんだ」
そう、無念そうに言いながら、レティシアはお茶を口に含んだ。
少しでも疲弊した心を潤す為だろうか。
「……成程。話が繋がってきたな。レティシアが襲撃されたのは、その竜軍団への対処の為に村々を回っていた時。漁夫の利を得ようとしたもう一つの南側の隣国である【救世神国】が、破壊工作してきた。そして相対したわけか……」
「そうだね。そうかもしれない。でも、もしかしたら初めっからボク狙いだったのかもしれないねぇ……」
そう悲しみながら言葉を紡ぐレティシア。
恐らく村が焼き討ちにあった原因が、自分にある事に思い悩んでいるのだろう。
「ふむ。確かに。レティシアは、ピースメーカー王国の姫君で、国内外でも三騎士の一角として名高い。戦力削減が目的ならあり得るな」
「うん。ボクは、そう感じたよ」
悲しみながらも、そのレティシアの青い瞳は、強い意志を感じさせた。
そんなレティシアを観察しながらゴールドは、少し思案に暮れていた。
お読みいただきありがとうございます。
ヒロインのレティシアとの本格的な出会いでした。
次回はゴールド様がお茶が上手い事に気付く? 回です。
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