第十六話『黄金魔王』
――結果から言えば、レティシアの思惑は成功した。
「うゥ。ゥあぁ」
しかし、その代償は高くついてしまった。
12体もの上位戦天使団の強烈なアタックに対して、防御を成功したレティシアではあったが、その攻撃の余波によって吹き飛ばされ、意識を朦朧とさせ地に付していた。
「……見事だなレティシア・メドナイト・ピースメーカー。だからこそ惜しい。異教徒の堕落した国ではなく我が救世神国に生まれていれば、人類救済の大きな力に成りえたものを……」
天使団を従える男が、その心情を思わず吐露してしまったが、頭を振って最後の指示を出そうとした。
「それでは、終幕だ。とどめ――」
「――いやそれは、駄目だ――」
「っう!!!」
隊長がレティシアに止めを刺そうとした時。
その言葉を被らせる存在が、いきなり目の前に現れる。
その事に驚いた。
そして次に驚いたのは、現れた存在を視認し認識した時である。
『黄金』
それが、隊長。
否、神官陣営40人の認識した存在の第一印象であった。
そのゴールドが、装備する、煌めく輝きを放つ黄金のロボット騎士甲冑。
名を暁の天使王の鎧と言う。
ランクは、最上位の究極級武装である。
どれぐらいレアかと言えば、究極級アイテムは、一種類につき限定数が三つしか無い。
つまり世界で三つあるうちの一つをゴールドが所持しているのである。
究極級アイテムは、現在ジェネシスでは、151種類ある。
その内サタンパーティが所持しているのは、30種類。
先程ギルドを卒業したエンドとの会話で、リアルマネートレードすれば三千万以上という言葉は、真実であることが分かるだろう。
――そして、そんな戦略兵器みたいな装備を装着した黄金の騎士。
ソレが突如何もない所から現れたのだ。その驚愕は相当な物だろう。
「な! な、なんだ貴様! 一体どこから!」
その為こんな、ありきたりな言葉しか生み出せない。
先程までの余裕は既になく。
未知の敵対者に対して恐怖心と驚愕、警戒心がない交ぜになりながら叫ぶしかなかった。
お読みいただきありがとうございます。
圧倒的な黄金魔王の登場回でした。
次回は主人公無双回です。
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