第九話『アルティメットモンスター』
「ギャああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」
背後からの一撃。
ゴールドの左手に握られた紅き剣が、虹の竜姫の背中を切り付けたのだ。
それを喰らい堪らずに絶叫する!
(コ、コイツまさか!? 二圏域以上に離れた場所から瞬時に追い付いてきた!?)
斬撃によって遠く吹き飛ばされ混乱の極みにある竜姫だが、正確に状況を精査した。
(ソれに何だ今の攻撃力は!? 一気に体力の十五分の一近くを削られただと!? どんなカラクリを使ったのだ!?)
ゴールドの機動力と攻撃力に驚嘆している竜姫であったが、驚いているのはゴールドも一緒であった。
(――なんてHPの高さだ。卑劣切りは、背後から背中を切り裂けば、通常の4倍のダメージを叩き出す、文字通りの一撃必殺の暗殺アビリティ)
そう、ゴールドも敵対者である虹の竜姫のHPの異常な高さに驚愕していたのである。
(しかも、必要悪の天使剣の権能・悪特効剣のバフを加算しても殺しきれないとは……並みのプレイヤーなら一撃でHP全損だ)
眼前の敵、虹の竜姫のHP特化性能には、ジェネシス・トッププレイヤーの一員でもあるゴールドさえも驚いてしまう程であった。
(軽く見積もっても俺よりも十五倍ぐらいHPに差があるな。成程、平均的なカンストプレイヤーじゃ十人がかりでも相手にならんな。レベルカンストしただけのプレイヤーを強いザコ扱いするわけだ。設定どおりの強さだな)
そして、ゴールドは、相手がどのような存在か確信したように答えを出した。
(高機動戦が可能な人型で、この異常なHPの高さ。成程な、正体判明! この竜のお姫様は、異世界ステージの【レイドボス・アルティメットモンスター】か!)
アルティメットモンスターとは、ジェネシスでの最強クラスのモンスターの事である。
レイド戦や、特殊なミッションや隠れダンジョンにて登場する。撃破すると消耗型の究極級アイテムがドロップして手に入ったりする。
そして種類によっては消耗型の究極級アイテムよりも遥かにレア度が高い究極級武装をドロップする個体もいる。
(しかし、アルティメットモンスターか。道理で他のモンスターとは比べ物にならないほど強すぎるわけだ)
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