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Eighth Doll  作者: セリカ
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将来の予定


「一隻だけ大型の魔道船が混じっていますね」


「現在建造ができる主力の大型船です。主に司令官クラスが乗る船ですが、僕たちからすれば逆に狙いやすいのが欠点です」


 都市の広場で上空を見て私が感想を述べるとフィスさんが答えてくれました。


「そうなのですか?」


「だって、高級司令官が乗っているのがバレバレです。基本的に通常の魔道船を護衛の随伴艦としていますが、装甲が固いだけで攻撃能力的には差がありません。もっとも大きな戦いになると総司令官などは、古代の魔道船に乗っているはずですから、船の性能次第になると思います」


 過去にシアがフィスさんの船を操船した時の状況を見ていますので、魔道船の性能の差はハッキリとしています。

 結論から言えば、古代の魔道船に対して同型艦以外は相手になりません。

 私達はそんな船を二隻も所持しているのですから、考えてみると危険な存在が野放しになっていると思われているのかもしれません。


「まあ、現在の艦隊戦に古代の魔道船を出して来ることは滅多にあり得ません。国同士が戦う時でも総力戦の時に投入するぐらいになっています」


「常に戦ってもらった方が有利になるのにですか?」


「昔はそうでしたが、現在は数が少ないからです。そんな貴重な戦力を万が一にも沈められたら大損害です。僕の船が運搬兼補給艦扱いになってしまった結果の大戦で、サリサの巡航空母以外の僕の七隻の護衛艦は全滅。あっちのトウェルヴの母艦であった「トウェルヴ・デーモン」が自爆した所為でお互いに無視できない被害になったのです」


 トウェルヴと言うのはソーニャさんのことです。

 でも、被害だけ聞くとバートランド王国の方が大きいですよね?


「古代の魔道船の数だけで考えると、フィスさんの方は七隻であちらは一隻だけですよね?」


「それがですね……トウェルヴ・デーモンは超大型の要塞艦なのです。あれ一隻で古代の魔道船としては破格の戦力なのです。あれに他の古代の魔道船が戦列にいると圧倒的な戦力なのです。前回の対戦の時はアストリア王国と一時的に手を組んで、二正面作戦を取ることで戦力分散させたのです。こちらも大規模な戦力を投入して有利に進めていたのに自爆するなんて予想外でした。そして、あんな大型の要塞艦クラスが突っ込んできて自爆なんてするから、その爆発の威力で例え古代の魔道船でも量産型のタイプは一緒に消滅しました。僕が助かったのはガーディアンの防御壁と護衛艦が盾になってくれたからです。じゃなかったら、僕もやられて相打ちだったと思います」


「そんな大きな船もあったんですね」


「ミッドウェール王国には、もう一隻要塞艦があります。あっちもヤバい要塞艦なんです。アストリア王国の方はあれが相手だったはずですが、お互いに通常の魔道船の被害だけで終わったようです。僕の情報が正しければ十番から十九番までの個体と対となる母艦は全て要塞艦です。あいつらは母艦の方が脅威なのです」


 話を聞く限りは要塞艦と言うタイプの船はかなり脅威のようです。

 フィスさん達の船だけでも現在の魔道船に対して圧倒的なのにそれ以上の船みたいです。


「まあ、残っている数も少ないので大きな戦いにでもならないと出してこないと思います。落とすのも大変だけど無敵の要塞と言う訳ではありません。かと言って、戦力不足の僕は戦いたくありません」


「そうなのですね」


 そんな恐ろしい船が戦っている時代に生まれなくて良かったと思います。

 現在は、滅多なことが無い限りは戦争などは起こらないと聞いています。

 古代の魔道船の数が限られているので、慎重にならないと戦力低下に繋がるのが主な原因です。

 いくら通常の魔道船を数だけ揃えても性能の差で勝負にならないからです。

 しかし、どうして古代の技術が失われてしまったのでしょうか?

 昔は普通に思っていた暮らしよりも、古代文明を知ったことによって過去の文明の方が便利すぎると感じています。

 研究者の方達が存命なら、その知識は継承されているはずです。

 例えいなかったとしても書物などで保管されていても不思議はありません。

 特に古代の魔道船の記録を読み取っていたシアを見れば、古代の魔道船には過去の記録が全て保存されていることになります。

 シアには明確に質問をすれば答えてくれますが、フィスさん達は船の記録を明かせないようです。

 本来は機密保護の制限があって大事な情報は話せないようです。

 その制限がシアには無いらしく、私が質問することが条件ですがフィスさんの船の情報を知ることができます。

 私がその点の質問をシアにすると「僕のプライバシーの侵害だ!!!」と、フィスさんが叫んでいます。

 お陰で、フィスさんの最初の登録者であるルナティアさんと言う方の詳細も知りました。

 元々は、第五研究所と呼ばれた浮遊島の所長さんと言う立場の方で、バートランド王国を建国した方のお姉さんとのとこです。

 とても頭の良い方だったらしいのですが、私よりも重度の幼女愛好家とのことです。

 シアの口から私との比較を言われた時は、少しショックでした。

 私が落ち込むと「エルナは軽症程度なので、問題はありません」と言われて慰められたのですが……シアに理解されていると解釈しても良いのか非常に悩みました。

 他にも色々と話してくれたので、私も納得をしたのですが、フィスさんは私的なこと以外は勝手に話しても良いと言っていますが、性癖について聞くとご不満です。

 私的な内容の方が面白いのですが、技術面については気にしないので聞けば聞くほど今の文明レベルが低下しているのが謎です。

 そのことをフィスさんに聞くと「ルナティア様もそうだけど、皆さん秘密主義ですからです。そして、文明レベルが低下しているのは技術者たちがことごとく殺されてしまったからです、なので、物は残っていても最重要機密の製造方法が分からないのです。大体の技術は継承されていても肝心な所が抜けているのです。だから、魔道船の技術も半端に継承されている訳です。特に僕達と魔道船のコアの技術は完全に秘匿されていましたし、研究所ごとでアプローチ方法が違うのでより複雑になっているみたいです。コアに全ての制御をさせることで効率的にしたのは正解でしたが、その技術が無ければ殆どの物が使えないと言う欠点が大きいかと思います。それにしてもシアみたいに何でも解析してしまうなんて僕から見たら異例すぎます。シアを作った第八研究所の人達は争いに一切関知していなかったのですが、どんな開発をしていたのか僕も気になる所です。正直に言いますとシアに僕と同じぐらいの経験値があったら勝てる気がしません。僕が優位なのは今だけなので敵に回したくはありません」と教えてくれました。

 過去の技術者の方達は、大事な情報だけは秘匿したまま歴史から退場してしまったようです。

 せめて魔道船のコアの技術だけでも継承されていれば便利だったかもしれませんが、その時は戦火が続いているかもしれません。

 どちらにしても難しいことは私は興味がありませんので、いまの自分の生活が充実していれば特に気にしません。


「話は変わりますが、最近レンちゃんの姿を見ないのですがどうしているのか教えてくれますか?」


 私が目覚めた時の日からずっと避けられているのです。

 部屋を訪ねたのですが、ずっと居留守でも使われているのか返事がありません。

 私の感覚が上がったのか、室内に人がいる気配だけは感じ取れるので絶対にいるはずです。

 男の子だったことには驚きましたが、それ以外はどう見ても可愛い女の子にしか見えません。

 過去に私が感じていた違和感は、本能的に女の子ではないと感じていたからなのかもしれません。

 あれが付いている以外は、誰が見ても美少女にしか絶対に見えません。

 逆に考えると私が唯一結婚ができる相手とすれば最高の相手なのではと思います。

 男の子ですが、私が嫌悪感を感じない存在だからです。


「あー、エルナ様はレンスリット様の正体に気付いてしまいましたよね」


「はい……実は男の子とは思いませんでした。あんな可愛い男の子がいるなんて信じられないぐらいです」


「よりにもよって気付かれた内容がまずかったのです」


「えっと……あれを出してしまったことですよね?」


 乙女の私にはそこまで言うのが限界です。

 それに……私が知っている物よりも大きかった気がします……過去に異性の物を偶然見たモノよりはと言う話ですが……。


「実は、エルナ様の世話をするまでは自分がことは本当の女の子として育てていたのです。なので、異性の体を自分と比べることすらさせていなかったのです。そして、エルナ様の世話をすることで体の造りが違うことに気付きましたので、本当のことを教えてあげたのです」


「ちょっと待ってください!」


「どうしたのですか?」


「今の話を聞くと、私の世話をすることで男女の性別に気付いたことになるのですよね?」


「そうなります」


「すると……男の子のレンちゃんに私の全てを見られてしまったのですよね?」


「あー……最初の頃に僕と一緒に体を綺麗にして差し上げましたので、全部見られていますね!」


「見られていますではありません! レンちゃんが女の子なら気にしませんが男の子に私の全てを見られたことになります!」


 女の子でしたら問題ではなかったのですが、可愛くても男の子です!

 しかも私の全てを見られたことになるのですが……もうお嫁にいけません!

 嫁ぐ気はなかったのですが、レンちゃんには責任を取ってもらわないといけないのですが……どうしたらよいのか悩みます。


「んー、別にエルナ様はレンスリット様と一緒にお風呂に入りたがっていたので、いずれは気付くので問題はないと思います」


「そうなのですが、私だけ見られているのは……」


「大丈夫です。レンスリット様にはエルナ様に対して責任を取るように伝えています。いまはちょっと引き籠って悩んでいますが、その内にエルナ様に告白しに来ると思います」


「レンちゃんが私に告白してくるのですか!?」


 可愛い女の子に告白される場面はいつも夢に見ています。

 見た目は完璧なのですが、実は男の子だったと言うのが悩ましいのです。


「僕としてもエルナ様とレンスリット様が一緒になってくれたら喜ばしいと思います。そして、二人の間に女の子が生まれたら僕はすごく嬉しいです。その子の教育もしたいのですが、いずれその子孫の子に僕好みの可愛い子が現れて登録者になってくれるのが僕の理想です!」


 フィスさんには既に将来の展望が見えているようです。

 いまは答えが出せませんが、レンちゃんとなら添いを遂げても良いと思う自分がいます。


「そうすれば、将来は完璧な英才教育をして僕と相性が完璧な子になれば、馬鹿のツヴァイを敗北に追い込んでやります。あいついまの僕が能力が減少していると思って煩いから、いずれ泣かしたいと思っているのです!」


「フィスさんの将来設計は分かりましたが、レンちゃんの気持ちも大事です。それにレンちゃんは私から見てもとても可愛い子です。フィスさんの能力が落ちる理由がわかりません」


 フィスさんの趣向から考えれはあと数年もすれば、私に近い年頃になるので容姿は完璧と思います。

 性格的な問題でもあるのでしょうか?

 

「レンスリット様には僕の登録者としては重大な欠点があるのです」


「欠点ですか?」


「そうです。性別の問題です。見た目や容姿は僕の趣味で完全に育てました。性格の方は他人との接触を減らした弊害で内向的になってしまいましたが概ね上手くいったのですが、やはり僕は登録者が女性ではないと何故かいまいち能力が上がらないのです。僕の製作者であり登録者であるルナティア様が僕のコアに何か制限でも掛けているのだと思います。なので僕は女性専用の個体ユニットなのです」


 胸を張って堂々と宣言をしましたが、自分は女性ではないと駄目と言っています。

 他の人のことも聞いたのですが、フィスさんだけ性別のこだわりがあるらしく、あとの方達は血筋や相性で選んでいるそうです。

 きっとルナティアさんと言う方はも根っからの同性愛者だったのかと思います。

 そんな所で制限を掛けるのは後々において困る気がするのは私だけなのでしょうか?


「フィスさんが特殊なのは理解が出来ました。ついでに聞きたいのですが、この制服はフィスさんが支給してくれたものなのですが、この日の為に作った物なのですか?」


 現在の私達はお揃いの制服を着ています。

 なんとなく軍服のような服なのです。


「相手は国の使者として来ているのですから、こちらもそれなりの服装で統一した方が一つの集団として見せる方が良いと思ったのです」


 悪くないデザインで、このまま戦いになっても動きやすい服装です。

 

「そうなると私達の名称なども考えてあるのですか?」


「エルナ様が認めてくれるのでしたら、「ブルー・ムーン」と言う名称にしませんか?」


「どこかに記載されているのを見たことがある気がするのですが……思い出せません」


「この名称はルナティア様が考えた本来は国名にする名称だったのですが、弟のバドラスが勝手にバートランド王国と国の名称を決めてしまって廃案になってしまった名前です」


「弟さんの方が発言力が強かったのですか?」


 まさかのバートランド王国の名称になるかもしれなかった名前のようです。


「当時は、僕の属性である水の色とルナティア様の名前から抜粋して国名にする予定だったのです。戦果としては僕の艦隊が一番活躍したのですから、ルナティア様が決めたのに戦いから戻ったらバドラスの奴が国名を宣言して変更するのが難しい状況だったのです。それでそのままお蔵入りになったのですが、僕の艦隊の名称とだけ残っていたから、船のシステムを立ち上げると「青い月」か「ブルー・ムーン」と、どこかに表示されているので、エルナ様にも見覚えがあるのです」


「そうだったのですか。特に私には拘りがありませんのでそれでいいと思います」


「エルナ様は話が分かるから大好きです! きっとルナティア様の転生された存在に違いありません」


 転生と言うのは生まれ変わりと聞いたことがありますが、私と共通の趣味があるだけと思います。

 確かにフィスさんの部屋にあった肖像画は私にとても似ていますが、あちらは発育のレベルも私よりも上です。

 私が眠っているうちに意外と育ちましたが、これはフィスさんの所為なのでこれ以上の発育は難しいので、似ているのは顔だけになると思います。

 提案の許可を出したことで、フィスさんも喜んでいるので良しとしたいと思います。


「お話の方はここまでにして、あいつらの相手でもしましょう」


 そう言って前方に着陸した魔道船から、軍の人達が降りてきます。

 まだ離れているのですが、私の目が良くなったのか准将のおじさまがいることが確認ができます。

 その周りには側近の方や護衛の方と思われる人たちが十人ほどいます。

 こちらはお出迎えとして、私の左右にアリサさんフィスさんがいます。

 背後には私とフィスさんの会話を無言で聞いていたシアとコレットちゃんがいます。

 仮に何かがあってもアリサさん以外は大抵の対応が可能です。

 相手の人達はシアとフィスさんがいることを確認したのか、表情が真剣になっています。

 きっと、空賊の討伐に参加したかもしれません。

 私が観察をしていると最後の1人に見覚えのある人物がいます!?

 どうしてここにいるのですか?

 私が他人のフリでもしようとしたところで、相手も私に気付いたようです。

 改めて距離が近づくと名指しで私の名前を呼んでいます。

 出来れば会いたくなかったのですが……どうしましょうか?


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