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Eighth Doll  作者: セリカ
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生きていたのですよね?


「コレットちゃんからはシャリーさんは亡くなってしまったと聞いたのですが、どういうことなのですか?」


 私の質問に対して、シャーリーさんが直ぐに答えてくれました。


「確かに私は死んだみたいよ」


「でも、こうして私と会話をしていますよね?」


 いまも私の背後から抱き着いたまま話をしています。

 増々意味が分かりません。


「正確に言うと死んだけど別の形で生き返ったと言うよりも復活したと言えばいいのかしらね」


 そう言いながら私の正面に立ったのですが、なんとなく違和感を感じます?

 何というか……言い方が失礼なのかもしれませんが、大人の女性から私に近くなった気がします。

 死んで復活すると若返る事が可能なのでしょうか?

 余計に謎が深まった気がします。

 シャーリーさんは、私が悩んでいる姿を見て面白がっているようなのでゲイルさんが話しかけようとしたのですが、口を手で押さえられています。

 

「どういうことなのか分からないのですが、もしかすると私と同じ理由なのでしょうか?」


 今の私が思いつく方法はこれしかありません。

 シアが何らかの処置をシャーリーさんに施したとしか考えられないのです。


「半分は正解ね。その前にあれを処理するから見れば気付くと思うわよ」


 森からウォーアントが数体現れました。

 周りに転がっている魔物の死体に寄ってきたのだと思います。

 大型も混じっていますので、普通ならシャーリーさんだけでは対処は不可能です。

 そのシャーリーさんは、一人で魔物の群れの前に立つと両手を翳して言葉を紡ぎます。


「グラビィティ・キャノン!」


 シャーリーさんが言葉を発すると同時に黒い円錐型の形をした物が複数発生すると目の前のウォーアントの群れを一撃で全滅させました!?

 全ての魔物は大きな穴が空いてその場に倒れています。

 あれは、ソーニャさんが使っていた魔法と思われますが、どうしてシャーリーさんが使えるのですか?

 私が疑問に思っているとシャーリーさんがこちらを向いて私に話しかけてきます。


「エルナちゃん、どう? 私は強くなったと思わない?」


「とても強くなったと思いますが、それはソーニャさんが使っていた魔法ですよね?」


「ソーニャと言う子は知らないけど、シアちゃんが言うには「トウェルヴ」と言う子の能力みたいよ。いまは私の力になったから、あの程度の魔物なら私の敵ではなくなったわ」


 以前まではシアがいなければ逃げるしかなかった魔物が相手になっていません。


「お陰で俺はシャーリーに更に頭が上がらなくなったな」


 腕を組んでゲイルさんが呟いています。


「私の恩恵があるから、ゲイルだってあのぐらいなら相手にできるようになったでしょ?」


「そうなんだが、俺は完全に納得できてないだけだ。お前を死なせたのに結果として強くなってもな……」


「細かいことを気にしていると禿げるわよ?」


「悪いが俺の身内にハゲはいない。だから俺も禿げる予定はない」


「先祖に感謝しないといけないわね。それに若くなった私とずっと居られるのだからもっと喜んでもいいのよ」


「その姿を見ていると俺の過去の過ちが思い出されるわ。あの日から、俺はお前の飲み代の為に稼いでる気がするんだがな」


 2人が過去の会話を始めてしまいました。

 シャーリーさんの恩恵で、ゲイルさんも強くなったと聞いたのですがどういうことなのでしょうか?

 私の頭には疑問だけが追加されていきます。


「あの……私にも分かるように説明をしてもらえると嬉しいのですが……」


「もしかして、コレットから詳しいことを聞いていないのかしら?」


「はい、シャーリーさんは亡くなってしまったとしか聞いていません」


「間違ってはいないのだけど、説明をするわね。私がシアちゃんの話を聞いたことをまとめると……」


 あの時にシャーリーさんは亡くなってしまったのは本当でした。

 しかし、辛うじて生きていた程度で生命体としては絶対に助からなかったそうです。

 シアがシャーリーさんを助ける方法として、ゲイルさんにシャーリーさんの記憶だけをソーニャさんのコアに移すことを提案したそうです。

 本人は意識が無かったのですが、ゲイルさんが助かるなら何でも良いと答えて了承したそうです。

 その方法として、意識の無いシャーリーさんの体にコアを埋め込んで少しづつ体を流体金属に置き換えて再構成したのです。

 結果として、シャーリーさんの体は、頭の中以外はシア達と同じ状態になっています。

 体が若返っているのは、シャーリーさんが一番望んでいた姿になったからです。

 私とは違いほぼ元の体を失ってしまったのですが、シャーリーさんはコア以外に頭は弱点になっているそうです。

 頭を破壊されるとシャーリーさんの人格が崩壊してしまうそうです。

 普通に考えれば、そんなことをされてしまったら誰だって死んでしまうので、シア達の弱点の定義が私達と違うだけです。

 そして、シア達と違って魔法名を唱えているのは、演算処理と言う物が完璧ではないからいうことです。

 シャーリーさんの場合は使いたい魔法名を口にすることで、残りの処理はコアがしてくれるそうです。

 ちなみに私の場合は体の防御に全てを傾けている為に魔法は使えないそうです。

 使えるようにもできるらしいのですが、それをすると余計な魔力消費が増えてしまうのでしない方が良いとの事です。

 私も魔法を使ってみたいと思ったのですが、それで体が動かせなくなってしまうとシアに余計な心配事を増やすだけなので断念しました。

 ただ、魔道銃に関しては以前と同じことができるので、銃の能力次第では大きな攻撃も可能らしいです。

 そんな銃が有ればの話です。

 過去には存在したらしいのですが、現在はどこかの未発見の遺跡か浮遊島に使える物が保存されていればとの事です。

 更に身体能力に関しては、ソーニャさんよりも上になっているそうです。

 ソーニャさんの人格を消してシャーリーさんの人格を移したことで、登録者が初期化されたそうです。

 そして、ゲイルさんを登録者にしたことで、相性が最大になったことで現在この都市でフィスさんと戦える強さになっているそうです。

 フィスさんは「いまの僕は本気じゃないからねー」と負け惜しみみたいな事をいっているみたいです。

 実際は事実らしいのですが、本来のフィスさんの真価が見られるのは現在の世代では無理かと思います。

 しかし、ゲイルさんはイシュトール人の血族ではないので登録はできなかったはずです?

 その規制はシャーリーさんの人格を優先することで誤魔化しているそうです。

 フィスさんは「生体パーツを使うことでそんなことができるとはね。だけど、現在までの僕たちの人格が消えてしまうから僕としてはお断りかな」と言っていたそうです。

 次にゲイルさんの言う恩恵とは、「トウェルヴ」には登録者の身体に重力制御の力を振り分けれることです。

 私がシアの魔力の恩恵を受けれるように一定の範囲内にいる事が条件ですが、直接攻撃の軽減と打撃武器による物理攻撃の重さを変化させることが可能との事です。

 以前に空賊のブラッドさんがシアの攻撃を受けてもあの程度で済んだのは、ダメージを軽減していたのです。

 武器の重さを変化させると言うのがどのくらい有利に働くのかを考えていると、またしても別の魔物が現れたのですが、ゲイルさんが固い甲殻類の魔物を一撃で斬り裂いています。

 ゲイルさんの大剣はソーニャさんに破壊されたのですが、いま使っている大剣は真っ黒な物々しい大剣です。

 あの剣自体も切れ味が良いのか、硬い相手でも切断が可能なのかもしれません。


「エルナちゃんも強くなったのよね?」


 シャーリーさんが私に問いかけてきましたが、どのくらいの変化があるのかまだ実感していないのでわかりません。


「シアからは説明を受けましたが、まだ目覚めたばかりなのでわかりません」


 ここに来るまでに体の動きは、以前と何ら変わらない状態になったと思います。

 右手に関してもこれが別の物で作られているなんて思えない程です。


「試しにあれを倒して見たら?」


 そう言って指を指す方向には、大型犬のような魔物が数匹もいます。


「今の私は武器を持っていないので、無理かと思います」


 どのくらい強くなれたのか分かりませんが、数もいますので自信がありません。

 私が不安そうな表情を見せると、シャーリーさんはシアに話しかけています。


「シアちゃんなら、いまのエルナちゃんに対処ができるか分かるわよね?」


 するとシアは私に一振りの剣を差し出してきました。


「いまのエルナの敵ではありません。落ち着いて相手の動きを見れば無傷で倒せると判断します」


「シアちゃんからお墨付きが出たけどどうする?」


 シアから許可がでるとシャーリーさんから再度催促が来ました。

 その様子を見ていたゲイルさんが、まだ体調に不安があるなら、代わりに片付けると申し出ています。

 シアからも危ないようなら、即座に援護に入るとも言われました。

 そこまで言われたのですから、戦ってみる事にします。

 シアから剣を受け取ると銀色に輝く美しい刀身の剣です。

 正面に構えると刀身に魔力を帯びて輝きが増しています。

 以前に使っていた剣の時は魔力を纏っていて強くなった感じでしたが、この剣は昔に読んだおとぎ話に出てくるような光の剣みたいです。

 受け取り構えてみると自分の体の一部のような感じがするのか、とてもしっくりとします。

 私が前に出て進むと魔物も私を敵と認識したのか、襲い掛かってきます。

 シアに言われた通り相手の動きに注意をするつもりでしたが、なんとなく魔物の動きが分かる気がします。

 最初に飛びかかってきた魔物を躱しながら剣を振り降ろすと紙でも切るように胴体を切断してしまいました。

 斬り込んでダメージを与えられれば良いと思っていたのですが、剣の切れ味が良すぎて一撃で仕留めてしまったのです。

 続いて他の魔物も取り囲んで襲ってくるのですが、その全てを躱しながら屠っていくのです。

 私にこんな動きが出来たのかと感心をしている間に全ての魔物を私1人で倒してしまいました。

 昔の私なら、誰かのサポートが無ければ対処は難しかった筈です。


「まるで舞っているような戦い方だったわよ」


 シャーリーさんが近づきながら声を掛けてきました。


「そんなつもりはなかったのですが、体が自然と動いたのです。観察していると魔物の動きが分かると言うかどう動けば躱せるのかがなんとなくわかったのです」


 正直、自分でも驚いています。

 自分で言うのもなんですが、動きに無駄が無くなった感じがするのです。

 以前の私なら、これほど完璧な動きはできませんでした。

 頭で考えるよりも先に体が自然に動いたと言うのが私の感想です。

 

「やっぱりエルナちゃんもそう感じられるのね」

 

「シャーリーさんもそうなのですか?」


「この体になった時にシアちゃんに説明を受けたんだけど、この体は基本的には回避行動を優先するみたいよ」


「そうなのですか?」


「エルナちゃんがどこまでの説明を受けたのか分からないけど、基本的に体にダメージを受けると防御優先で魔力が消費されるの。だから、シアちゃん達も基本的には攻撃を躱しているでしょ?」


 確かに相手の攻撃を全て躱しています。

 受けた事があるとすれば、フィスさんに腕を切断された時しか思いつきません。

 

「私も相手の動きがよく分かるようになったわ。シアちゃん達にはこんな風に見えているんだから、余程の実力者にでもならない限り普通の人間が勝てる気がしないわ」


 実際に死にかけているのですから、とても理解ができます。


「さて、今度は武器は無しで私と相手でもしてみない?」


「それは素手でシャーリーさんとですか?」


「そうそう。シアちゃん、いいわよね」


 シャーリーさんがシアに許可を求めています。

 その前に強くなれたとはいえ相手が務まる気がしません。

 それにシアが許可を出すとは思えません。

 

「エルナの魔力の消耗率が50%を越えたら中断してください」


 シアの口からは、許可が出ました。

 その前に私には体術などの心得はありません。

 基本的には、剣を使って戦うスタイルしか学んでいないのです。

 シアが私の手から剣を離させるとシャーリーさんが正面に立ちます。


「シアちゃんの許可も出たので、少しだけ相手をしてあげるわね!」


 そう言って私の肩を掴むといとも簡単に上空に投げ飛ばされてしまいました!?

 こんなに高く投げ飛ばされたのは初めての経験なのですが、この後はどうすれば良いのですか!?

 

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