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Eighth Doll  作者: セリカ
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眠っていた間のできごと


「エルナさん! 早くシーツを戻してください!」


 私がシアの様子を見ていると両手で顔を隠したレンスリット様が慌てています?

 確かに私は何も着ていない状態ですが、女の子同士なのですから、そこまで気にする必要は無いと思います。

 それどころか私の夢と勘違いをして、強引にキスをしてしまった事で、一気に関係が深まったと考えています。

 このままなし崩し的に恋人関係に発展すれば、先ほどは早まりましたが、次の段階としてはようやく一緒にお風呂に入れるはずです。

 そうなれば、お互いに見せ合うことになりお互いの体を洗い合う関係になるのですから、見られても問題にはなりません。

 大人の女性のように育ち切っていませんが、同世代の中では育っている方だと思います。

 シアには無理と考えていましたが、レンスリット様にならお姉様と呼ばれる関係に発展できると考えています。

 同性の裸を見ただけで、こんなに慌てるなんてとても可愛らしいと思います。

 恥ずかしそうにしているレンスリット様を堪能していると違和感を感じます?

 顔を真っ赤にしているレンスリット様のスカートが膨らんでいるのです。

 まさかとは思ったのですが、どうしても気になった私は動かせる左手をスカートの中に忍ばせてそれを掴みました。

 

「ダメです、エルナさん! ああ……」


 少しだけ感触を確かめていると……手の中に温かい液体が付着しました……これは?

 私が驚いたのと同時にレンスリット様が私の手を引き離して立ち上がると部屋を飛び出して行ってしまいました。

 後に残った私は謎の液体が付いた手を入り口に伸ばした状態で呆然としています。

 これはあれですよね?

 昔に弟と一緒にお風呂に入っていた時に悪戯をして見たことがあります。

 弟は、それ以来は私とお風呂に入らなくなってしまいました。

 当時は可愛らしい弟が私を避けるようになったので、とてもショックだった事件です。

 それがあると言う事は……レンスリット様は男の子だったのですか!?


「エルナよ。目覚めて次に起こした行動が、それか。お主は可愛ければ見境がない娘じゃったんじゃな」


 またしてもコレットちゃんが私の行動を見て呆れた顔で感想を言っています。


「一つ聞いても良いでしょうか?」


「なんじゃ?」


「コレットちゃんは、レンちゃんが男の子と言う事を知っていたのですか?」


「知っておったぞと言いたいのじゃが、レンがお主の世話をしている時に相談された内容をきっかけに知ったのじゃ。理由は聞くでないぞ」


 コレットちゃんは知っていたようです。

 だから、一緒にお風呂に入ろうとしなかったのですね。

 一緒に入浴してくれない秘密が解き明かされました。


「では、どうして王女様と偽って女の子の恰好をしていたのですか?」


「遅くに産まれた子じゃったそうだが、既に2人の王子が後継者争いをしておったのでフィスの提案で女の子として育てることにしたそうじゃ」


 要するに後継者争いに巻き込まれないようにするための処置だったわけですね。

 それにしては、どこからどう見ても女の子にしか見えない容姿です。

 不思議な感覚を感じていましたが、私も完全に気付けませんでした。

 そこにフィスさんが女の子としての教育を施したのですから、体は男の子でも心は女の子なのかと思います。


「しかし、結局は政略結婚に利用されようとしていましたよね?」


「まあ、当然じゃな。下手に祭り上げられて第三勢力になるよりはマシと判断したのじゃろ。しかし、いまなら第三勢力に近い力を持てるやもしれんな」


「それはどういうことですか?」


「知りたければ、後でフィスにでも聞くのじゃ。我はお主が選んだ方針に従うつもりじゃ」


「私の方針ですか?」


「そうじゃ。フィスもそのつもりじゃからの」


 よく意味が分からないのですが、方針などの事はともかくレンスリット様が男の子だったことが大問題です。

 知らなかったとはいえ、私は男の子とキスをしてしまったことになります。

 男の子とキスをしたのは初めてなのですから、これが私のファーストキスになるのでしょうか?

 しかもとても濃厚なキスをしてしまいました。

 そして……手に付いたままのこの液体をどうすれば良いのでしょうか?

 今の私は左腕以外は自由に動かせません。

 失った筈の右腕はちゃんと付いているのですが、動きません。

 体の方は、シアが潜り込んでお腹に何かをしているので跳ねのける訳にもいかないのです。

 

「コレットちゃん。これをどうすれば良いと思いますか?」


 左手をコレットちゃんの方に向けて話しかけました。


「どうもなにも拭けばよいじゃろ。それとも舐めとるのか?」


 拭くと言っても左腕以外に動かせずに身近に掴める布は私に掛けられていたシーツしかありません。

 これで拭くわけにもいかないと思いコレットちゃんが舐めると言う提案をしたので、近づけて匂いを嗅いだのですが……美味しそうな感じがしません。

 これを口にするのは、先ほどまで飲まされていた不味いスープより勇気が必要と思います。

 調理もしくは、味付けをしないと無理な気がします。

 しかし、コレットちゃんが舐めると言う提案したのですから、これは食することが可能なのだと思います。

 意を決して舐めてみようとすると私の左手をコレットちゃんが掴みました。


「まさか本当に舐めようとするとは……余程腹が減っておるのじゃな」


 そう言って、私の手を別の布で拭きとってくれました。

 液体は無くなりましたが、匂いは残ったままです。

 拭き取った布を端に置いてある箱に投げ捨てると、溜息をついたコレットちゃんが私のシーツを掛け直して元の場所の椅子に座りました。


「そう言うことは、もっと深い間柄になったらしてやるといいのじゃ。我は知らんが男は喜ぶらしいのじゃ」

 

 そのままコレットちゃんは黙ってしまいました。

 すると一応は食せるようです。

 味の方が気になりますが、私が先ほどまで飲まされていたすごく不味い飲み物よりも不味くなければ耐えられると思います。

 コレットちゃんは、私が我慢をして飲んでいるあの不味い飲み物を一口飲んだだけで吐きそうになっていました。

 そして、それを飲んでいる私の味覚がおかしいとまで言われています。

 確かにとても不味いのですが、シアの愛に応える為でしたら、私はなんだって飲むつもりです。

 それは良いとして、目覚めたからには現状が知りたいのです。

 そもそもここはどこなのでしょうか?

 コレットちゃんがいるのですから、古代都市とは思いますが……確信が持てません。

 あれからどうやって助かったのかも気になります。

 ゲイルさん達の安否も気になります。

 特にシャーリーさんはとても助かるとは思えないのですが、私が生きているのでしたら、助かっている可能性はあると思います。

 シーツの中のシアの方を見ると私のお腹に手を同化させたまま目を閉じています。

 この場で、話が出来るのはコレットちゃんだけです。

 そのコレットちゃんは、私が寝ているベッドの横で本を開いて読んでいます。

 読書中のコレットちゃんから、本を取り上げて聞くことにしたいと思います。


「読者中で済みませんが、ここはどこで、私はどのくらい眠っていたのですか?」


 読んでいる本を取ったのに特に反応が無かったのですが、私の方を見て教えてくれました。


「ここは古代都市アズラエル・ガードじゃ。お主が目覚めたのは一年ぶりになるの」


「私は、そんなに眠っていたのですか!?」


 現在地はなんとなく予想通りですが、まさか一年も眠っていたとは予想外です。

 あれから何があったのでしょうか?

 一年も眠っていて、私の体は大丈夫なのでしょうか?


「本当じゃ。このまま目覚めぬかと心配をしておったんじゃが、目覚めて何よりじゃ」


「あれからどうなってしまったのかを教えてもらえますか?」


「よかろう。お主達が空賊に襲われてから……」


 コレットちゃんの話では、シアが空賊を全て倒した後に私を助ける為にシアが最善を尽くしてくれたそうです。

 普通なら助からないのですが、どうやって助けたのかはシアが目覚めてから聞くと良いと教えてくれました。

 シアが細かい詳細を話さないので、誰も知らないそうです。

 ただ、アリサさんだけは私の現状を見ていたので、助かるとは思わなかったと言っていたそうです。

 私を助ける為に施設が必要だった為に常に私達を遠方から監視していた軍の部隊と交渉して、古代都市まで運んでもらったそうです。

 そこでいくつかの取引をしたそうです。

 なので、現在の古代都市には准将のおじさまの直轄の部隊が駐留しているそうです。

 次にシャーリーさんの安否を聞いたのですが……残念ながら亡くなってしまったと聞かされました。

 私を庇ったばかりに申し訳ないです……ゲイルさんは生きているので、安心をしましたが……どんな顔で会えばいいのでしょうか……。

 お二人は恋人同士だったのですから、原因となった私には合わせる顔がありません。

 コレットちゃんは、済んだことは仕方がないと言って励ましてくれたのですが、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

 まずは動けるようになったら、最初に謝罪したいと考えていると部屋の扉が開いてフィスさんが現れました。


「今日もエルナ様の体を綺麗にしに来ましたよ! って……目が覚めたのですか!?」


 元気よく何かを言いながら入ってきましたが、私と目が合うと驚いています。

 直ぐにシーツを引き寄せて体を隠しました。

 しかし、先ほど私の体を綺麗にしに来たと言っていました。

 まさかとは思いますが、眠っている私の体に毎日何かをしていたのですか?


「おはようございます、フィスさん。それよりもとても気になる事を聞いたのですが、どういうことなのですか?」


「それは……その……綺麗好きのエルナ様の体を僕が清潔に保っていたのです」


「コレットちゃんから、私が眠っていたのは一年程と聞きました。その間の期間の全てなのですか?」


「動かせないエルナ様を綺麗にするには僕の力が適任なので、それは丁寧に扱っていました」


「状況が状況なのでありがたいと思いますが、どこまでなのですか?」


 私の体を清潔に保ってくれたことには感謝したいと思います。

 それがどこまでされたのかがとても気になるのです。


「えっと……可能な限りの体の全てかな?」


「……それは私の大事な所も含まれるのですか?」


 私が怒り気味で問いかけると目を逸らしながら答えてくれました。


「今の僕にエルナ様の知らない所はないぐらいかな……」


「フィスさんは、最低です」


「あぅ……ごめんなさい……」


 眠っている間に私の体の全てを蹂躙したも同然です。

 これ以上どこまでされたのか聞くのが怖いのですが、私の体の全てをフィスさんに堪能されたようなものです。

 部屋に入ってきた時の雰囲気で、なんとなく想像ができます。


「あの……本日のお勤めをしても良いでしょうか?」


 私が覚めた目で見ていると、フィスさんがお願いをしてきました。

 

「お勤めとは何でしょうか?」


「本日も動けないエルナ様の体を綺麗にしましょうかと……」


「結構です。目が覚めましたので、本日からは自分でしたいと思います」


「でも動けないのですから、僕が……」


「シアに聞きたいのですが、私の体は動くのは無理なのでしょうか」


 いつの間にかに調整と言う物が済んだのか、シーツの中で私の体に普通に寄り添っていたのです。

 シーツの中に潜り込んでいるシアに尋ねると返事が来ました。


「再調整をしたので動かせると思います。右腕も意識すれば動くはずです」


 シアに言われてから右腕に意識を向けると少しぎこちないのですが動かせます。

 私の右腕は肩から無くなっていたはずなのですが、どうやって元に戻したのでしょうか?

 シアがシーツの中から出てきたので、胸元を隠しながらゆっくりと起き上がりました。

 体が重いわけではありませんが、動きが少し鈍く感じます。


「神経接続は完璧な筈なので、少し体を動かせば元の動きが出来ると思います」


 シアが説明をしてくれましたが、気になるのは失った筈の右腕とお腹に空いた大きな穴をどうやって治したかです。

 シーツの間からお腹の辺りを見ても怪我をする前の無傷な状態に見えます。

 あんな大怪我をしてこんなに綺麗に治るなんて考えられないのです。

 仮に治っても大きな傷跡が残ると思います。


「エルナ様の体はまだ本調子ではないので、僕の手厚い介護があると助かると思うのですが……」


 私の体に触れられないと思ったら、介護の申し出をしてきました。

 フィスさんの私に対する執着がとても強いみたいです。

 

「結構です。でも、久しぶりにお風呂に入りたいと思いますので、手配をしてくれると助かります」


「分かりました! エルナ様の好きな温度は把握していますので、用意して待っていますので来てくださいね!」


 お風呂の催促をするとフィスさんは部屋を出て行ってしまいました。

 その様子を見ていたコレットちゃんが「変態の日課が終わったのー」などと言っています。

 後ほど、どんなことをしていたのかを聞きたいと思います。

 コレットちゃんは、この手の事に関心が無いので赤裸々に教えてくれると思うのですが、やはり知らないよりは知っておきたいからです。

 まずは、シアに自分の体の事を聞いてから、古代都市での現状を把握したいと思います。

 それにしても一年も眠っていたなんて、食事などもどうしていたのかも気になりますが……レンスリット様が飲ませてくれていた不味いスープだけとは思いたくはありません。

 他にも気になる事がいっぱいなので、順番に聞くことにしたいと思います。


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