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Eighth Doll  作者: セリカ
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滞在生活

 

 あれから、しばらくは動かない方が良いと判断して古代都市に滞在しています。

 寝泊まりする部屋に関しては、フィスさんの船の船内を使うことにしました。

 私とシアが住んでいた建物は天井に穴が空いていますし、殆どの建物がとても住めるような状況ではないからです。

 ですが、地下に降りた船と地上までは結構な距離があります。

 徒歩で地上まで行こうとすると無事な階段を見つけて上がらないといけませんので、とても大変なことになります。

 最初にシアに説明された時は、当分の間はここで生活をすると思ったのですが、フィスさんの船をここと繋げたことで、都市の一部の機能を回復させたそうです。

 地上に出る為の方法は、地下迷宮と同じ方法でした。

 私達が組合で貰った生体認証カードを何かの装置に翳すとカードに何か文字が増えたのです。

 これは防衛都市アズラエルガードの地下施設エリアへの移動権限が許可されたとのことです。

 逆に現在カードを使って移動する場所は、このカードを所持していないと移動が不可能になるので無くさないように言われました。

 私達と違ってフィスさんは自分の手を翳して登録をしていました。

 続いてレンスリット様もカードの登録をするのか思ったのですが、そもそも所持していませんでした。

 それに1人で行動させるのは危険だとフィスさんが言うので、行動する時はフィスさんが一緒に行動するので不要とのことです。

 コレットちゃんは登録が済むと一人でどこかに探索に行ってしまいました。

 都市の内部には私達以外は居ませんので大丈夫だと思いますが、壊れかけの施設には近づかないようにとだけはシアに警告されています。

 食料に関しては船に備蓄がありますので、当分は問題はありません。

 もしも無くなったら、外の森に果実を探しに行くか食材にできそうな動物系の魔物を狩りに行くことになります。

 その他には、シアが地下施設を復活させたことで、フィスさんがとても喜んでいます。

 完全ではありませんが、フィスさんの船の補修が可能だったことです。

 ここには元々大型の船が隠されていたようなのです。

 それもフィスさんの船と近いタイプとのことです。

 なので、失われた船の一部が最初から無かった形で修復することにしたようです。

 船の形が変わってしまいますが、内部装甲が剥き出しよりはマシと納得したようです。

 後は、誰が見てもカッコいい外観にすると言って全力で取り組んでいます。

 でも私達しかいないのにそんな作業が可能なのか疑問に思ったのですが、施設内に目覚めさせていない魔人形が複数体いたのです。

 それをフィスさんの船の管理下に置くことで労働力を得られたのです。

 この魔道人形は、施設の補佐の為に作られたそうなので、私達にも持てないような重い物を軽々と持ち上げる事はできますが、戦闘は不可能とのことです。

 お陰で作業効率が上がるので、フィスさんは喜んだのですが、シアから条件を付けられたのです。

 その条件とは前回の探索の時に私がフィスさんに進呈した物です。

 シアに内緒にしていたのですが、気付かれていたようです。

 私がシアの為になると言うことで了承している事だったので、何も言わなかったみたいです。

 ところが今回の事で、私の私物が多く失われたとシアに少しだけ話すと「現時点で取り戻せるものだけフィスから返してもらいます」と言い出したのです。

 そして、シアがフィスさんに私から貰った物を返すように言ったのですが、当然反対されます。

 反対されるとシアの次の行動は、船の操作の為の宝玉のような物に触れると魔道人形に停止命令を出したのです。

 フィスさんが改めて指示を出しても魔道人形はまったく動きません。

 船の管理下で動かしているのにフィスさんの指示に従わないので、いつものようにシアの両肩を掴んで質問をしていました。

 シアが言うには魔道人形に対する最高アクセス権はシアが持っているからとのことです。

 だけど、フィスさんの船の魔力を使って動かしているのですから、フィスさんの命令の方が優先されるはずだと抗議をしていました。

 するとシアは「フィスが船の全権譲渡の時にこの船の最高アクセス権を書き換えたからです」と言いました。

 それはいわゆるフィスさんの船を自分の船にしてしまったことなのでしょうか?

 私が疑問に思っている間もフィスさんが更に激しく抗議をしていましたが、シアは一言「既に手遅れです。仮にフィスが私を行動不能に追い込んだ場合は、この船を永久に停止します」と脅迫までしています。

 それを聞いてフィスさんが愕然としていました。

 まさかシアがフィスさんの船を奪うなんて思っても見なかったし、そんな事が可能なんでしょうか?

 フィスさんもシアにそのことを抗議していましたが、能力の違いとだけ答えています。

 よくわからないのですが、シアは戦闘特化ではない分だけ掌握能力が優れているそうです。

 普段でも一度見た魔法を覚えてしまい貯め込んでいる魔核の力を消費することで新たな魔法が使用できるようになります。

 それと同じように船の行動権限を与えられれば、それも模倣が可能なのだと思います。

 しかも今回は、フィスさんから最大の権限を時間制限付きですが得ています。

 シアが言うにはその時にフィスさんと同じレベルの権限を得たので、ついでに自分の方を上位に設定して置いたとのことです。

 当然ですが、フィスさんに対になっている母艦に干渉して、そんなことは不可能だと言っていますが、現実はシアが命じなければ船が停止したままです。

 フィスさんが必死に起動させようとしていますが、まったくの無反応です。

 落ち込んでいるフィスさんにシアが手を差し伸べたかと思ったら……「エルナの衣類を返してください」とだけ告げました。

 ここで喧嘩にでもなるのではと思ったのですが、シアに手を出して例え自分が勝ったとしても自分の船を失ってしまいます。

 私が思うにこれは手詰まりと言う状況なのではないのでしょうか?

 それを悟ったフィスさんは膝をついてその場に俯いてしまうと泣き出してしまいました!?

 あの強いフィスさんが泣いてしまうなんて……と思いましたが、こんなことは思いたくはないのですが、人ではないフィスさん達も泣くことができたのですね。

 流石に気の毒に思った私がフィスさんを慰めてあげようとするとシアが私を止めたのです?

 そして、「前回と同じことをしているだけで、これは演技をしているだけです。私達に涙を流す概念はありません。私がいる時にこんなことでエルナの同情心を買おうとしても無駄です」と言い放つと泣くのを止めて顔を上げるとつまらなそうな顔をしています。

 その後は仕方なくシアの要求を呑んで、無事に船を動かすことができています。

 ですが、いつでもシアに権限が奪われるようです。

 要求を呑んだフィスさんも「返すけど、僕が洗濯をしてからだからな! 労働の対価なんだから、これだけは絶対に譲りません!」と、宣言をしました。

 この状況なのですが、フィスさんのブレない姿勢はすごいと思いました。

 シアからそれで良いのかと聞かれましたが、そのぐらいなら良いことにしました。

 私が洗濯の内容を気にしなければ良いだけです。

 そんなことがありましたが暫くは滞在していましたが……町での生活に慣れてきた私は人里が恋しいです!

 エリックさんのお店のウェイトレス生活も楽しかったし、町の散策や買い物もできません。

 地下施設以外は、ここの探索は殆どしていますので、充実しているのはコレットちゃんだけです。

 シャーリーさんは暇さえあれば飲んでいるので、頼まれればおつまみ程度の食事を作ったりもしています。

 身の周りの事と食事の用意以外はすることのない私は鍛錬も兼ねてシアとゲイルさんと一緒に森に出て都市の周りにいる魔物と戦うことにしたのです。

 その前に都市の周りにはシアが倒した魔物の死体が巻き餌として放置されたままのはずです。

 遠出をして倒した魔物でも大型の物はシアが引きずって放置していたのです。

 大型の死体は処理に時間が掛かるので、放置する餌に有用と言っていました。

 ですが、あれから結構な時間が経っていますので、もういないのと思っていました。

 シアの後を付いて行って通行可能な扉を開いてもらうと……意外なことにそこそこの魔物が徘徊をしていたのです。

 私とゲイルさんは数がいるので、少し戸惑ったのですが、シアは無言で行動を開始すると近くにいる魔物から片っ端から倒していきます。

 シアに気付いた魔物がシアを取り囲んで襲っていますが、まるで相手になっていません。

 以前は殴る蹴るが主体だったシアの攻撃スタイルにフィスさんと同じように手刀で切り裂く攻撃もしています。

 私がフィスさんの舞うような戦い方を褒めたのが原因なのかもしれませんが、シアも近い戦い方を追加させています。

 華麗に舞うように戦うフィスさんと比べると地味な感じがしますが、それは無駄な動きを全て省いているのかと思います。

 しかも殆どの魔物を一撃で仕留めていきますので、一段と強くなった気がします。

 そして、シアが背後に通す魔物は私とゲイルさんが戦える相手をちゃんと選別もしています。

 小型の魔物は私とゲイルさんが対処できる範囲にとどめて、大型の魔物でも二人で連携すれば倒せる魔物に限定しています。

 強力な魔物はシアが以前のように倒して、私とゲイルさんで倒せる範囲で戦う方式です。

 たまにシャーリーさんも参加していますが、その時は私達3人で対処ができるように配慮をしてくれます。

 この配慮には私達はとても助かっています。

 私も少しは強くなれたと思いますが、二人に比べると足りないところは沢山あります。

 ゲイルさんの指導と実戦のお陰で少しは上達したと思っているのですが……最近思うことは、やっぱり町に行きたいのです。

 私が町に行く提案をしてはシアに却下されてしまいました。

 現状で、町に行っても怪しまれなさそうなのは相手と面識の無いゲイルさんとシャーリーさんだけです。

 ですが、組合経由で調べられれば私との繋がりが知られてしまうかもしれないので事情聴取の対象になるかもしれません。

 コレットちゃんは絶対に取り調べの対象かと思いますが、古代都市の探索の方が大事とのことで、どうでも良いと言っています。

 どうせ自宅にある書物よりもここの地下施設にあった書物や資料の方が良いからです。

 殆どが読めないのに頑張って解読しているので、コレットちゃんは絶対に動かないと思います。

 フィスさんやレンスリット様は捜索対象なのでどこにも行けません。

 それに例え探索対象になっていなくてもゲイルさんとシャーリーさんだけで、地下迷宮の一階層とはいえ、トリスの町まで行くのには無理があります。

 単体ならまだしも数が居たら対処がほぼ不可能です。

 少し前に私とシアを含めた4人でゲイルさん達とトリスの町の方角に向けて地下迷宮に行ったことがあります。

 バートランド王国の範囲に入るとシアが自分と同じ反応があると教えてくれました。

 これは、地下迷宮を使ってフィスさんが移動するかもしれないと思って待ち構えている可能性があるのかと思います。

 仮にフィスさんが知らずに地下迷宮に入ったとなれば、あちらには探索範囲の広い方がいますので、フィスさんに気付かれずに接近もしくは取り囲むことも可能だと思います。

 幸いにもシアの方が探知範囲が広いそうなので、バートランド王国の範囲内にさえ入らなければ察知はされないとシアは判断しています。

 シアは私と同調することで目をくらませることができますが、私と常に肉体的な接触をしていなければいけません。

 そうなるとシアの戦闘による行動範囲が狭まってしまいます。

 何かあった時には強行突破で逃げることになると思うのですが、その時はゲイルさんとシャーリーさんを置き去りにしてしてでもシアは私を守る事を優先してしまいそうなので、無理は言えません。

 逆に私とシアだけで、町に戻ることも考えましたが、私はフィスさんと一緒にいる所をサリサさんに見られてもいますし会話もしています。

 遭遇して、どんな言い訳をしても通じるとは思えないので連行されればシアの存在に気付く筈です。

 色々と考えましたが、私がトリスの町に戻るのは現時点では危険である可能性がとても高いと思います。

 そうなると他の三ヶ国の方が安全とも言えます。

 しかし、ここから地下迷宮を使って移動できる国はミッドウェール王国しかありません。

 森を頑張って移動すれば他の二ヶ国にも行けます。

 北上すれば『アストリア王国』に行けます。

 かなり距離はありますが西に行けば『ガリア共和国』にも行けます。

 どちらにも行ったことは無いのですが、行くのなら民主制を取っている『ガリア共和国』の方が良いと言うのがコレットちゃんの意見です。

 コレットちゃんは四つの国を旅をして、最終的にバートランド王国に住み着いた経緯があるのです。

 あそこには王族はいますが貴族制度はないそうです。

 国を運営しているのは国民に選ばれた者達で、王族は象徴になっているそうです。

 ただ、軍事的な力は殆どが王族の息が掛かっているらしいのですが、それは単に古代人の末裔が殆どを占めているからとのことです。

 なので戦争に関しての主導権だけは王族が握っているそうです。

 代わりに国の運営については国民に選ばれた代表たちで取り仕切っているとのことです。

 私には国の方針などはよく分からないのですが、国民性は自由度が高いことは間違いがないそうです。

 その点を踏まえて、次にどこの国に行くのかを現在思案中です。

 ですが、その前に一度だけトリスの町に行きたいのですが難しそうなので悩みます。



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