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Eighth Doll  作者: セリカ
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襲撃と初めて


 私に迫っていたフィスさんは、突然のことなのに即座に反応してベッドの枕元付近に触れると外の景色の映像が映し出されました。

 その映像には沢山の魔道船が映し出されています!?

 中には独特の形をした船やフィスさんと同じ形をした船もいます。

 特に気になるのは、その他の船より大きな魔道船です。


「左舷の飛行甲板が滅茶苦茶になっているじゃん!!! くそー、背後にツヴァイの『セカンド・エンジェル』がいるじゃないか! いまの攻撃はあの馬鹿か!!!」


 フィスさんの視線の先は一番大きな魔道船を見ています。

 あれは、地下迷宮に居た赤毛の方の魔道船かと思います。

 フィスさんの船の名前は『フィフス・エンジェル』でした。

 そのまま番号名が船の名前になるとしたら、フィスさんの船が五番なのですから、あの赤毛の方の数字は二番と言うことかと思います。

 フィスさんは一桁の数字持ちは中でも強力な力を持っていると言っていましたので、あの方の実力もそうですが、あの船はこの船と同等の魔道船と言うことで良いのですよね?


「あの船は地下迷宮にいた赤毛の方の船なのですか?」


「そうです。あれはツヴァイの母艦『セカンド・エンジェル』です。攻撃力重視の戦艦なので、正面から戦うにはヤバい船なのです」


 フィスさんが危険と言うのですから、あの船の戦闘力はかなり高いのだと思います。


「ですが、フィスさんの船も同じぐらい強いのではないのですか?」


「僕の船の攻撃力はガーディアンによる数で攻めるタイプなのです。なので、戦艦とまともに正面から戦うのは不利なのです。そして、最悪なことに今の僕には旗艦を守る護衛艦がいません」


 私には分からないのですが、あの船とは相性が悪いのかと思います。

 それに数の上でもあちらの方が多いのでフィスさんが不利なのは確実です。

 画面を見ているとフィスさんの船と近い形の船から何かが出てきました?

 こちらの船を囲むように展開すると同時にフィスさんも指示を出したのか同じような物がこちら側から出てくるのが見えます。

 あれは何なのでしょうか?


「サリサの巡航空母までいるのかよ……そうか! サリサの船がまだ僕の船の随伴艦扱いだったから、正確に僕の船の位置が捕捉されたんだな」


 フィスさんの船は光学迷彩と言う機能で姿を消しています。

 正直、地上から見ても空の景色にしか見えないのですが、そこに確かに存在しているのです。

 古代人の船がすごいのだと実感したぐらいです。

 そして、フィスさんが見ている画面の一部が点滅したと思うと昨日遭遇した方の声が聞こえてきました。


「フィス様の船は完全に包囲しています。大人しく出撃させたガーディアンを撤収させて付いてきてください」


 いま周りに映し出されている船の周りに浮かんでいる物がガーディアンなのでしょうか?

 確かシアが、この船には三種類の飛行型のガーディアンが搭載されていると言っていたと思います。


「嫌だね。それよりも僕の船に攻撃するなんて気でも狂ったのか?」


「フィス様の目を覚まさせる為です。抵抗するのであれば、次は確実に当ててもらいます」


「既に当てているじゃないか! お陰で左舷の飛行甲板が滅茶苦茶だ! もう直せないのになんてことをしてくれたんだ! こっちも仕返しをしないと僕の気が収まらないよ!」


「お言葉ですが、現在のフィス様の船に攻撃能力はありません。戦うと言うのでしたら、こちらもそれなりの処置を取らせさて頂きます。10分間だけ考える時間を差し上げますので良い返事をお聞かせください」


 その言葉を聞いてフィスさんが黙ってしまいました。

 不利なことは分かっていますが、フィスさんの船に攻撃能力が無いと言うのはどういうことなのでしょうか?

 シアが手に入れた情報では、過去に数字持ちの同様の船を沈めていると言う話を聞いています。

 私が悩んでいると扉が開かれるとシアが立っています。

 そのままフィスさんの近くまで来ると話しかけました。


「フィスに質問をします。このまま戦闘を開始をするのか、相手の要求に従うのか教えてください。後者の場合は、エルナだけを連れて私は全力で撤退をします」


 シアがフィスさんにどのような行動を取るのかを聞いています。

 降伏する場合は私だけを連れて逃げるとシアは言っていますが、コレットちゃん達はどうなるのですか?

 フィスさんはシアの質問に対して判断を迷っています。

 戦うにしても、フィスさんにとっては同じ陣営の方たちなのですから、簡単には戦えるとは思えません。


「シアに聞きたいのですが、逃げることを選択した場合ですと、コレットちゃんやゲイルさんやシャーリーさんはどうするのですか?」


「この状況では、エルナを守る事が最優先になります。このまま抵抗せずにフィスの船に居合わせただけならコレットもいるので、解放されると予想します。エルナが残った場合は私の存在が知られる為にエルナの自由が失われます。私はエルナの意思を尊重することを最優先と考えています」


 私が自由に暮らしたいと言う要望を叶える為にシアは、私だけを逃がそうとしているようです。

 ですが、この状況下でシアが私を連れて絶対に逃げ切れるかの保証はありません。

 最悪の場合は、逃げたことで二人揃って殺されてしまう可能性もあります。

 その可能性を考えるとこのまま逃げずに投降した方が良いのかもしれません。

 その時は、私にも軍に入る事でも要求されるのでしょうか?

 そうなった場合のこの国の軍属の自由度が知りたいところです。

 私が通っていた学園以上に厳しい所でしたら、しばらくは従っているフリでもして耐えて逃げるしかありません。

 そんなことを考えているとフィスさんが私たちに話しかけました。


「ちょっと悩みましたが、どちらも選びません。こうなったら、僕も一緒に逃げることにします。幸いなことに船にいるので足は確保できています」


 フィスさんの答えは、私達と一緒に逃げることを選んだようです。

 ですが、囲まれているこの状態でどうやって逃げるのですか?


「この船が逃げ切るには搭載しているガーディアンを捨て駒にして時間を稼ぐしかありません。その前にナンバー・シックスティーフィフスの船の友軍登録を解除してください。このままでは逃げきれても探知範囲に入れば発見されてしまいます」


「それはもうやった。だけど、この船に残っているガーディアンは旗艦防御型しか残っていないんだよね」


「私が得た情報では、対空攻撃型と対艦爆撃型の二種類も搭載されていたはずです」


「そんな情報まで吸い出していたのかよ。だけど残念でした。前回のミッドウェール王国との戦いで、あの国の切り札とも言えるナンバー・トウェルヴの重力攻撃で全滅してしまったんだよね。あいつ船を沈めれると思ったら、最後にまさかの自爆攻撃で敵味方関係なく広範囲で全滅したんだよ。その時に僕の護衛艦も全て全滅しました。生き残ったのは遠方から砲撃していた船だけです。前に出過ぎていた僕の艦隊は僕の護衛艦とガーディアンが盾になってくれたから母艦の被害を最小限に抑えることにできたんだけど、お陰で僕の船の戦力は激減して更に残っているガーディアンが旗艦防御型だけになってしまったのです」


「状況は分かりました。専用の護衛艦は無理と想定しますが、なぜガーディアンの補充をしていないのかが疑問です」


「その答えは、護衛艦と同様に作れないからです。僕の船の本拠地の浮遊島は既に落とさています。この船に搭載ができるガーディアンは特殊なのでそこでしか作れないのです。なのでサリサは、今の僕の船が戦えないことは十分に知っています。お陰で悲しいことに僕の船は輸送艦扱いになっています。ちなみにサリサの巡航空母はシックスティーシリーズは量産型の母艦なので、他の島でもガーディアンの補充が可能です」


「空母に艦載機がいないのでは輸送艦扱いは当然です」


「こんな時だけど、正直に言われると僕は傷つくよ!」


「方針が決まりましたので、全力で逃げることにします。最悪の場合は、この船を捨てる覚悟をしてください」


「そんなのは絶対に嫌だと言いたいのですが、その時は諦めます。だけど、お前の船を手に入れたら、僕にも行動アクセス権を貰うからな!」


「私の船が存在しているのかも不明な状況ですが、その時は現在の私と同じ程度のアクセス権進呈することを約束します。しかし、エルナが無事なのが前提です」


「約束だからな! それとエルナ様は絶対に守るからそんな心配は無用だ。そうと決まれば、船の操作は任せるからあいつらを撒くのを頼むよ」


「分かりました。では、可能な限りの行動をする為にこの船の全行動権を移譲してください」


「本当はそこまで渡したくないんだけど、仕方がありません」


 そう言うとフィスさんが左手の手の平をシアに向けると以前にシアが私の胸に押し付けた魔法陣のような物を作り出しています。

 朧げな記憶ですが、シアの魔法陣とは模様が違います。

 シアがその作り出した魔法陣に左手の手の平を合わせると吸い込まれるように消えてしまいました。

 するとシアの手の平に魔法陣の模様が浮き出ています。

 いまのは何の儀式だったのでしょうか?


「その紋章の効果時間は24時間だ。その間だけ僕の船の全権を使えるようになります」


「十分です。可能な限りは被害を抑えつつ逃げに徹することにします。フィスには航路確保の為に正面の船だけでも処理をしてください」


「船の操作を頼めるなら、僕が攻撃するだけだからな。背後のナンバーズの船は無理でも正面に展開している数だけの雑魚の魔道船は叩き落してやります!」


 シアとの役割分担を決めたフィスさんは勢いよく部屋から出て行ってしまいました。

 私は、2人の会話を聞いているだけでしたが何とかしてくれるみたいです。

 それにしてもフィスさんは何も着ないで出て行ってしまいましたが……まさかあのまま戦うつもりなのでしょうか?

 私がそんなことを考えているとシアが私に衣服を進めてきました。


「エルナも直ぐに着替えて私に付いてきてください。なぜ何も着ていないのかが不思議なのですが、私と別れた時は眠る時の服を着ていたはずです」


 そう言われて差し出された服の上に下着まで添えられています。

 正直にフィスさんに襲われたと教えてしまうとシアがフィスさんを見捨ててしまうかもしれないので、今回は黙っておきます。

 後ほど、逃げ切れた時にフィスさんに文句を言うことにするとして、着替えてベッドから立ち上がろうとするとアルコールがまだ残っているのか、足元がふらつきます。

 こんなことでしたら、一杯ぐらいにしておくべきでした。

 私の様子を見ていたシアが私の両肩を掴んで倒れるのを支えてくれたと思ったら、いきなり口づけをされました!?

 まさかシアの方からキスをしてくれるなんて予想外です!

 いつもどうやってシアとの関係を進展させられるのか悩んでいたのにとても嬉しいです!

 しかも初めてのキスなのにシアの舌が私の口内に絡みついてきます!?

 いきなりこんな濃厚な口づけをしてくれるなんて……もしかすると私の煩悩がシアに流れてしまっているのかもしれません。

 私も応えるようにしようとしたのですが、突然幸せの時間が終了してしまいました!?

 私も積極的に応えようとしていたのに……シアって意外と意地悪なのですね。

 これは次に期待しなさいとの流れなのでしょうか?

 それでしたら、次回は私も積極的に行動したいと思います。

 私とシアの口が離れて、シアがいつもの表情で私に話しかけました。

 こんなことをしても表情を崩さないなんて……ですが、その瞳に見つめられると真剣な目で口説かれている気分になりますので嫌いではありません。

 

「エルナの体内のアルコールの成分を吸収しました。これで普通に歩けるはずです」


「私の体内のアルコールですか?」


 そう言われると足がふらつきません。

 あのワインを飲む前に戻ったようです。

 では、あの行為は……。


「シアに聞きたいのですが、先ほどのキスはその為だったのですか?」


「そうです。私はエルナの体調管理をしています。あの程度の成分でしたら直に干渉すれば私が取り込んで魔力に変換すれば良いのです」


「そうだったのですか……シアにはそんな能力も有ったのですね……良いことなのですが、とても残念です……」


 やっとシアが積極的になってくれたと思ったのに、単なる医療行為の延長に近い行為だったのです!

 聞かなければ幸せな気分でいられたのですが、知ってしまった為にとてもショックです……。

 私の煩悩がシアにまだ届いていないことが分かりました。


「どうかしましたか?」


 無垢な瞳で私の目を見ながら声を掛けてくれました。

 はぁ……シアは不純な気持ちではないのですから、私の心が汚れているのかもしれません。

 そんなことを考えていると私にフィスさんを非難する資格など無いような気がしてきました。

 シアになんでもないと伝えると自分の後に付いてきて欲しいと言われたので、付いていくことにします。

 こんな時でもなければ、シアと改めてキスがしたいと考えてしまいます。


「こんな状況ですが、エルナに警告をします。エルナの体はアルコールによる耐性は高くありません。更に摂取し過ぎると最初に脚部に影響が出てしまうので非常時には行動の妨げになりますのでなるべくアルコールの摂取は控えてください」


 更に走りながら付いて来る私にお説教がされてしまいました。

 私の為を考えてシアが警告してくれるのですから、今後は本当に嗜む程度にしたいと思います。

 ですが、キスをすることで私が酔っている状態を元に戻せるのですから、これは逆にチャンスなのではないでしょうか?

 私が飲み過ぎた場合にシアに体調を戻して欲しいと言えば、先ほどの濃厚な攻めを受けることが可能です。

 警告はされましたが、これを口実にシアとのキスを楽しみたいと思います。

 こんな時ですが、次はどうやってシアのキスに応えるのかを考えるのが私の課題になりました!


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