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Eighth Doll  作者: セリカ
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名前


「終わりました」


 気が付けば、私の体に感じていた暖かい感じが無くなっています。

 とても熱い光を押し付けられた時は穴でも空いているのかと思えたので、自分の胸元を見ても何も変化はありません。

 ですが……エーさんを見ていると、私の心が彼女をとても愛おしく感じます。

 なんと表現したら良いのか分かりませんが、もっと身近に彼女を感じたい気持ちになっています。

 エーさんが私に何をしたのか分かりません。

 でも、私の思いが強くなるだけでしたら問題はありません。

 しかし、いまのは何だったのでしょうか?


「あの……エーさんに聞きたいのですが、いま私に何をしたのでしょうか?」


「私のコアとエルナの精神体とのパスを繋いだだけです。私の精神体情報を修復してくれると言ったので、エルナの心を参考にさせてもらおうと思ったのです」


「心が繋がるのはとても良いことだと思いますが、体の方には影響は無いのでしょうか?」


「特に問題はありません」


 すると私の彼女に対する思いは心が繋がった?影響もありますが、体の一部が繋がったことで私が身近に感じたからなのでしょうか?

 特に問題は無いとのことですから、深い関係になれたと思えば問題はありません。

 それどころか心が繋がっているのでしたら、エーさんが考えていることが分るのでしょうか?

 試しにエーさんが私に対してどのような考えを持っているかと思いエーさんを見つめながら、一生懸命に知りたいと念じたのですが……変化はありません……。

 それでしたら、逆に私の好意的な思いを念じれば少女の照れた笑顔が見れるのかも知れないと思い一生懸命に「エーさんを愛しています!」と、念じ続けましたが……変化はありません……私の思いなどこの程度だったのですね……。

 私が思いを籠めて唸っているとエーさんが声を掛けて来ました。


「エルナに1つお願いがあるのです」


「私にできることでしたら可能な限りはしますが、何でしょうか? 何でもできるエーさんのお願いを叶えられるとは思えませんよ?」


 戦闘は圧倒的に強くて私の食料や水のお世話までしてれた少女のお願いとは何なのでしょうか?

 今の私はエーさんがいなかったら、何も出来ない小娘に過ぎません。

 町に戻ることができれば一応は貴族の身分があるのですが、私はその貴族の身分が嫌いなので権力の類は極力使いたくありません。

 エーさんは世間に疎そうなので、このまま何も知らないままの友達でいて欲しいのです。


「エルナに改めて私の名称を決めて欲しいのです。元の名称は忘れてしまいましたので、私の最初の友達になったエルナに決めて欲しいのです」


「名称というのは名前で宜しいのですよね? それを私が決めて宜しいのですか? しかし、エーさんには御両親が付けられた本当の名前があると思うのですが……」


「思い出せませんが、私にそのような記憶は無かったはずです。いま思い出せているエ……何とかも略式名として名付けられた気がしますので、重要ではないと判断します」


 いま忘れている名前も略式名と聞きましたが、実はとても長い名前があるのですか?

 御両親の記憶は無いと聞きましたが……やはりこの少女は人ではなく精霊さんなどの類なのかも知れません。

 すると……私が名づけ親になれば、この少女はずっと私の恋人に……もしも精霊さんなのでしたら、この姿でずっと居てくれることになるので、私は永遠の美少女を手に入れることになります。

 直ぐに決めましょう!

 このチャンスを逃して私以外の誰かに名前を付けられたりしたら、私から離れて行ってしまうかもしれれません。

 この子に相応しい名前を付けたいのですが……私の妹らしく「エレン」とか「ルナ」にしましょうか?

 駄目ですね。

 私の名前と被ってしまいます。

 元々のエーさんの名前は何だったのでしょうか?

 エ……「エリシャ」とか「エーリナ」とか……沢山あり過ぎて分るわけがありませんし、どちらにしても私の名前と近くなってしまいます

 呼び易く可愛らしい名前が良いのですが……そうです!

 私が昔に飼っていたいた小鳥さんの名前だった「シア」に致しましょう!

 当時は私にとても懐いてくれていたので大好きだったのですが、いつの間にかいなくなってしまったのです。

 鳥籠が壊されていたので、その時に逃げてしまったのか、もしくは他の大型の鳥に襲われて食べられてしまったのか分らないのです。

 とても悲しい思い出もあるのですが、私が初めて名前を付けてあげて、私がいる時は籠から出しても私の肩に止まっていて逃げたりもしないぐらいに懐いてくれていたのです。

 なんとなくですが、私が飼っていた小鳥さんと同じようにエーさんも私を見ている感じがするので思い付いたのです。

 早速提案をしてみますが、エーさんは気に入ってくれるでしょうか?


「それでは、これからはエーさんのことは「シア」と呼びたいと思いますが、どうでしょうか?」


「分かりました。名称の登録を確認しました。これからは「シア」と名乗ることにします」


 受け入れてくれましたが、反応の変化がありません……何となく事務的に受け入れてくれた感じなのです。

 私としては、笑顔で喜んでくれると嬉しいのですが……今までのやり取りからそこまでは望めないのでしょう。

 今後の私の課題はエーさん改めシアの感情を私の好みの少女に育てることです!

 私が固い決意をしていると、いつの間にかシアは先に上がっています。

 もっと裸のお付き合いをしたかったのに残念です……仕方ないので、シアの体を拭いてあげようと思ったのですがよく考えたら、体を拭く物が何も無いのですが、どう致しましょう?

 これは自然に乾くまで2人で体を寄せ合って……などと考えていると風がシアの周りを吹いたと思ったら水分を弾いています!

 私も上がって近くまで来ていたので、ついでに私の濡れた体の水分を飛ばしてくれましたが……とても便利と思いましたが、私の希望が叶うことはありませんでした。

 仕方ないので脱いであった服を着ようと思いましたら、シアがどこからともなく見たことのある鞄を取り出しましたが……あれは私の荷物です!

 魔物に襲われた時に馬車に置いてきてしまった物なのですが、どうしてシアが持っているのですか!?

 私が驚いていると、シアも気になったのか話しかけてきてくれます。


「良かったら、エルナも新しい服にしますか? ここに来る前に拾った物です。いま着ている物は損傷が激しいので新しい服にしたいと思っていたら良い物を手に入れたのです」


「あの……シアはそれをどこで手に入れたのですか?」


「地上で魔物が集まっている場所に行くと魔物が人の死肉を喰らっていました。ついでに全て倒してから、周りを見ると壊れている乗り物があったのです。一応調べると中にまだ使えそうな物が有ったので目ぼしい物だけ回収をしてきたのです。先ほどエルナに差し上げた食料もそこで手に入れました」


「その鞄は私の物だと思います……シアが見つけた馬車は私が乗っていた物だと思いますので。そこで魔物に襲われて逃げてきたのです……」


「そうでしたか。それではこれはお返しします。他にも回収してありますのでエルナにお返しします」


 荷物が戻って来たのは嬉しいのですが殺された方達は魔物に食べられていたのですか……私も殺されていたら同じ道を歩んでいたと思います。

 そう思うと、裂け目から落ちて運よく助かったことに続いてシアに出会えたことは紛れもない幸運です。

 亡くなった方達には申し訳ないのですが、今はこの幸運に感謝したいと思います。

 私が感傷に浸っているとシアが虚空に手を入れると次々と色んな物を出しているのです!?

 あんな所に仕舞っておけるなんて便利ですね。

 ですが……そんなに出されても私には持つことは出来ないし置いて逃げてきたのですから、これはシアが回収をしたのですから、全てシアの物です。

 貰えるのでしたら、私は自分の鞄だけで十分です。

 食料の入っていた箱も出していますので、先ほどの干し肉はあそこから出したのですね?

 他にも予備の武器や剣もあるので、後はそれを一本だけ貰えれば何も持っていないよりは少しは安心が出来ます。


「私は、この鞄と剣を一本だけ頂ければ十分なので後はシアの物で良いと思います」


「宜しいのですか? 先程エルナの荷物と聞きましたが?」


「そんなに頂いても私には持つことも出来ません。なので着替えたら、この鞄もまた預かって欲しいのですがどうでしょうか?」


「分かりました。食料はまだあるようなので必要になったら教えて下さい」


 そう告げるとまた元の服を着ようとしたので、その服ではなく私の服を着てもらおうとしたのですが……シアは小柄ですから私の服では少し大きいので弟の服を着てもらうことにしました。

 着替え終ると長い黒髪の少年のようにも見えます。

 私は可愛らしい少年愛にも目覚めそうです。

 下着に関しては不要と拒否されましたが、女の子が身に付けないのはいけないことだと説得して何とか穿いてもらいました。

 用意ができたらまた進もうとしたのですが、私が少しだけ眠りたいと提案をしたのでそのまま休むことにしてもらいました。

 この少女には眠るという概念がないらしいのです。

 やはり人ではなく、きっと精霊さんなのだと思います。

 私が目覚めるまで側で待っていてくれると言ってくれましたので、シアに膝枕をお願いして眠らせてもらうことにしました。

 空腹も満たして水浴びもできましたので、心も癒されたのか横になると私は直ぐに眠ってしまいました。

 このような場所ですが、可愛い美少女の膝枕で眠れるなんて良い夢が見れるかも知れません。


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