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Eighth Doll  作者: セリカ
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お目覚めの出来事


「エルナ様、そろそろ起きる時間ですよ」


 聞きなれない声が私に起きる時間を告げています。

 いつもはシアが声を掛けてくれるのですが……眠りが浅くなって起きかけている所為なのでしょうか?

 確か昨日は遅くまでコレットちゃんがシアに質問をしていたので、私も少しだけ気になって起きていたのです。

 内容は殆ど頭に入っていませんが、一生懸命にシアに質問をしているコレットちゃんが可愛かったので満足しています。

 なので、寝る前にシアには明日の朝は遅めの時間で起こしてくださいとお願いをしておいたのです。

 まだとても眠っていたい気分なのです。

 私としてはもう少し眠りたいのです。


「済みませんがもう少しだけ寝かせて欲しいのです……」


 瞼を開けずに独り言のように呟くと私の体に密着している誰かが動き始めました?

 よくわからないのですが、まるで肌と肌が直接触れているような感覚です?

 ふと思ったのですが、何も着ないでシーツの上にいるような感じです?

 私は必ずいつも通っているお店で購入をした可愛らしくて気に入った寝巻を身に着けています。

 少し高かったのですが、肌触りも良くてお店で一目惚れをしてつい購入をしてしまったのです。

 替えのことも考えて二着も購入してしまったので、私のお財布は早くもピンチになりましたが、仕方がないことなのです。

 なので、いま感じている感覚は何なのでしょうか?

 ただ言えることは、触れている体がとてもスベスベしていて、なんとなくシアの肌に似ているのです。

 もしかしてシアの体が直接私に触れているのではないかと思い寝ぼけながら触れている体をついまさぐってしまいました。

 やっとシアが私の心に共感をして、次の階段を上ってくれているのかと思ったのですが……お尻の辺りに触れた私の手の感覚がこれはシアのお尻ではないと判断しました!


「エルナ様がその気になってくれたのでしたら、これは合意していると判断しても良いのですよね? でしたら、僕もそうさせていただきますー」


 私が異変に気付いて目を覚ますと何故か抱き合っているフィスさんが私の胸を揉んでいます!?


「どうして、フィスさんがここにいるのですか!? それよりも私の胸を揉むのは止めてください!」


 私が急いでフィスさんを払いのけようとすると素早い行動で、私の両手首を掴んで跨るように私の体の上に覆いかぶさっています!

 抵抗はしたのですが、私の両手を片手で頭上に押さえつけていますが、固定されてしまったかのように動かせません。

 体の方もフィスさんのスラリとした体は重たいわけではないのですが、動かすことができません。


「先に僕のお尻を撫でまわしたのはエルナ様なのですから、僕もエルナ様の胸に触れただけですよ?」


 確かに私の行動の方が先かもしれませんが、それはシアと思ったからです。

 相手がフィスさんと知っていればそのようなことは致しません。

 それよりも……。


「では、もうお止めになってください。そして、どうして私とフィスさんは何も着ていないのでしょうか? それよりもどうしてフィスさんがここにいるのですか?」


「朝からいきなりの質問がですが、お答えします。服を着ていないのは、僕が脱がしてしまったからです。僕はベットでは服を着ない主義なのです。どうしてここにいるのかの答えは、昨日の約束通りに日が昇ったのでお伺いをしたのです」


 朝の感覚が私とフィスさんで違っています。

 日が昇ったばかりでは私はまだ夢の中です。

 そして、フィスさんが裸族なのは分かりましたが、私が着ていたお気に入りの寝巻はどこに行ったのですか?

 もしかして、また破かれてしまったのですか?

 高い買い物でしたのに昨日に引き続きお気に入りの服をまた破いたのですか?

 

「いくらなんでも早く着き過ぎと思います。それよりも私の着ていた物はどうしたのですか? まさかとは思いますがまた破ったのですか?」


「エルナ様が寝坊助さんなだけですよ? それと着ていた物は破いていませんよ? 脱がせたものはベッドの周りに落ちていると思います。エルナ様の目を覚まさずに慎重に脱がせたのですが、相手に気付かれずに脱がせるのは僕の得意技の一つなのです。眠っている相手と裸で朝を迎えれば既成事実が完了したと思わせられるのです」


 なんて無駄な得意技なのでしょうか。

 ですが、フィスさんの言葉をお借りすれば有益な得意技です。

 学園に居た頃にこのような技を習得していれば、あの子達と既成事実を作れたはずです。

 少しですが、私もその技を覚えたいと思ってしまいました。

 取り敢えずは服が破かれていなくて、安心をしました。


「事情は分かりました。それよりもシアはどうしたのですか? シアが私の傍を離れる訳がありません」


「シアにはレンスリット様の相手をしてもらっています。今頃は下の食堂で監視でもしているんじゃないかな? ついでにコレット様も既に下にいます。ここにいるのはいつまでも起きないエルナ様と僕だけです」


「レンスリット様の監視ですか?」


「そそ、僕がエルナ様と添い寝をする代わりにレンスリット様を人質に差し出したのです」


「それで、シアが納得をしたのですか?」


「するわけがありません。なので更に僕の船の行動権限にアクセスする許可も与えています。あいつ昨日は、一時的とはいえ僕の船にアクセスをしましたので、その手の能力も有しているのは驚きました」


 やはりフィスさんには、シアの行動がバレています。

 ですが、それほど気にしているようには見えませんので知られても問題が無いと思っているのでしょう。


「あの魔道船の権利をシアにもあげたのですか?」


「僕の船は他の船とは違います。言わば僕の半身とも言えます。エルナ様の傍にいる条件として僕の半身も差し出している状態なのです。諜報系に特化している奴以外にはこんなことはできないので取引材料にはなりましたが、僕が言うのもなんだけどあいつは万能すぎるね」


 するとフィスさんの船をシアにも使う権利ができたのですね?

 それは素晴らしいことだと思いますが、私としてはシアがその為に私の傍にフィスさんを近づけるなんて少しショックです。

 私が浮かない顔をしているのを気にしたのかフィスさんが補足をしてくれました。


「エルナ様が何を考えたのかなんとなく察しましたが、シアにその条件を提示して納得させたのは僕です。エルナ様が船でどこかに行きたい願いを叶えるのなら仕方のない条件とシアが判断したのです。あいつはエルナ様の願いを可能な限り叶えようとします。護衛型は必ず登録者の願いを叶えようとするのですが、これは美点でもありますが欠点でもあります」


「そうだったのですか。確かに寝る前に私も船があると良いと口にしていた気がします。ですが、それがシアの欠点と言うのはなぜなのですか?」


「護衛型は登録者を守るのと同時に登録者の願いを叶えようとするので多少の無理でも登録者の為なら実行します。今のようにそれが可能のであれば独自に判断をして動くこともあるのです。なのでこれは警告なのですが、シアに対してあまり要望を言わないことをお勧めいたします。今回は僕が提示した条件がシアやエルナ様にとって好条件だっただけで、そうでない時もあります。その僅かな判断ミスで、護衛型は登録者を失ってしまう事例もあります」


 確かにシアは私のお願いを優先してくれます。

 持ち物が沢山持ちたいとお願いした時は、自身の荷物の持てる容量も増やしてくれました。

 魔法に関してもお願いした時に習得もしてくれています。

 ですが、シアは最初に私に言ったことがあります。

 能力拡張には限界があると告げています。

 本来は強くなれる要素を私の為に削ってしまっていることです。

 そして、現時点で、船が有ったら良いと言う私の願いを叶える為にシアはフィスさんの提案を呑んだのだと思います。

 そう考えるとシアが私の為にした行動なのですから、シアの想いを疑うなんて私は恋人失格です。

 シアの行動は私を優先的に考えているのですから、改めてシアを大事にしたいと思います。

 

「お話は分かりました。それでなのですが、そろそろ私を解放してください」


 真面目な顔をしていてもフィスさんの手は別の生き物のように行動をしています。

 左腕は私の両手首を拘束したままなのですが、右手は私の胸を揉んだままなのです。

 とても手慣れているのか、優しい感覚で、このままでも良いと錯覚してしまう程です。

 流石は熟練者とも言えるようなテクニックなのかと私は感心をしてしまうところです。

 さり気ない攻撃で、拘束している左手にも自由を与えてしまったら、私はもっと気持ちよくなれるのかと錯覚してしまいそうです。

 もしも監禁でもされてずっとこんなことをされていたら、私はフィスさんに篭絡されてしまうかもしれません。

 ですが、私の心にはシアがいます。

 もう1人コレットちゃんもいますので、私の愛は2人に向けられています。


「おかしいな……僕の抱擁でその気にならなかった子はいません。いまも体の方は正直なのにエルナ様の精神力はすごいですね」


「何を言っているのか分かりませんが、私はシアに夢中なのですから、どんなことにも屈しませんよ?」


「うーん。仕方がありませんね。このままエルナ様の発育途上の胸を堪能したかったのですが、これ以上はエルナ様に嫌われてしまっては意味がありませんので、長期戦でエルナ様をその気にさせてみます!」


 私の母と姉はそれほど胸は大きくありません。

 姉は私に負けているので、それを理由に私を非難する始末です。

 自分よりも発育が良いので、適性が無かったのだと言われたことがあります。

 素質が胸に行ってしまった残念な子と言われた記憶があります。


「ご理解ができたのでしたら、私の手を離して私から離れてください」


「分かりました。最後にお願いなのですが、僕の抱擁で発汗した物を拭きとっても良いですか?」


 清々しい朝なのですが、私は寝汗をとてもかいています。

 原因はフィスさんの所為なのです。

 そして、いつの間にか私の胸を離す代わりに一枚の布を所持しています。


「謹んでお断りを致します」


 また、拭いた布で奇抜な行動をされても困ります。

 流石に私でもあんな行動はとったことはありません。


「これも駄目ですか……では、今度はこれにします!」


 なにか別の提案を思いついたようですが、指先に水の塊を作り出すと私の了承を得ずにそれを私に近づけてきます!?


「何をするのか知りませんが、止めてください!」


「大丈夫です。きっと気持ちよくなれますので、エルナ様も気に入りますよ!」


 そう告げて私に水が触れると薄く広がりながら移動して私の体を移動しています。

 確かに水が通りすがると寝汗の感覚が無くなって爽やか感じになります。

 少しだけ便利な水だと思いましたが、水を操るフィスさんはとても嬉しそうな表情をしています。

 もしかしたら、水が体を移動する感覚でも共有しているのかと思うと全身をフィスさんに舐められているような気分になってきます。

 ことが終わると指先に水の塊が戻ってきました。


「終わりました。体の方はスッキリしたと思いますがどうですか?」


 拘束している私の手を離してくれましたので、シーツを引き寄せて体を隠させてもらいました。

 一枚しかないシーツを引き寄せたので、フィスさんの体がしっかりと見れました。

 私よりも少し身長が高いのですが、胸の大きさは私より小ぶりの控えめなぐらいです。

 髪も短いので、男性の騎士様のような身なりをすれば美形の男性と間違われそうです。

 昨日は、メイド服を着ていたので気付きませんでしたが、男装をすれば大抵の女性はフィスさんの御誘いに乗るかもしれません。


「確かに良くなりました。そのことには感謝をしますが、今後はこのようなことは止めて欲しいのです」


「うーん。やっぱり最初の出会いがまずかったかな……でも、エルナ様は僕の好みだし、ここまでなびいてくれないのは初めてなので、必ず僕の方に振り向かせてみます!」


 私の警告には返事をせずにより一層の熱意を語られました。

 仕方がありませんので、フィスさんを無視して落ちている下着を身に着けると寝巻きを片付けて、本日の服に着替えました。

 昨日破られてしまった服の次にお気に入りの服にしましたが……私が着替えている姿をフィスさんはずっと眺めていました。

 同性とはいえ、フィスさんに見られていると身の危険を感じる視線です。

 私が着替え終わってもフィスさんは片手の指先に水の塊を維持したまま、ベッドの上にいるままです。


「あの……フィスさんは着替えないのですか?」


「良い物が見れたし僕も着替えますね。その前にこれを……」


 そう返事をすると指先の水の塊を口元に運ぶと飲んでしまいました!?

 それは、私の汗を吸い取ったものですよね!?


「うん。朝から良いものを取り込めました! なんとなく魔力の変換率が高い気がします。もしかして、エルナ様って魔力容量が高いのですか?」


 そう言いながら、ベッドの周りに落ちている自分の衣服に着替えています。

 昨日のメイド服とは違って私と同じような軽装です。

 着替え終わると美形の好青年にも見えます。

 今の行動さえななければですが……。


「私自身の魔力は大したことはありません。シアと繋がっているのでそう感じているのだと思いますが……それよりも先ほどのような行動は止めて欲しいのです……」


「あいつは、そんな能力まで持っているのですか? 登録者の魔力を上げるのは支援強化型だけと思っていたのにシアの奴は護衛型というよりも万能型なのでは?」


 シアは、自分のことを防御重視と言っていました。

 私には分からないのですが、フィスさんの言うとおりでしたら、本来は個別に色々な特徴があるのですが、シアだけはそれがいっぱいあると言うことですよね?

 それはとても良いことだと思います。

 そして、シアも食べた物を魔力に変換ができると言っていましたが、フィスさんの場合は人体の汗を取り込んで魔力変換するなんて異常と言うか完全な変態さんです。


「もう一度言いますが、そのようなことはもうしないでください」


「そのような事といいますと?」


「その……私の汗を吸い取った水を飲んでしまったことです……」


 あの水は頭部以外の私の全身を移動していました。

 言い難いのですが……これ以上考えるのはとても恥ずかしいので考えたくありません。


「分かりました。次からは分からないようにしますので、安心をしてください」


 どこにも安心ができる要素がありません。

 水を感じたら、フィスさんに舐め回せられている気分になりそうです。

 私はとんでもない方に気に入られてしまったようです。

 私が呆れているとフィスさんが話しかけてきました。


「それでは、身支度もできましたので下に降りましょう。下に皆さんが待っているはずなので、時間的にもお昼に近いので昼食にしませんか?」


 今日は、買い物をする予定でしたので、エリックさんのお店を休むことにしていましたので、遅めに起きても良かったのです。

 私もお腹が空いていたので、フィスさんに言われて食堂に行くことにしました。

 それにしてもフィスさんは油断のならない方です。

 私も後輩の子に同じようなことをしようとしていたので、非難はし難いのですが、自分がされると少しですが理解ができました。

 教訓としては、確実な信頼度を得てから同意のもとで行動をすることです。

 実際の私の成果は、殆ど未遂に終わっています。

 最後に手を出してしまった子には結局は先生に相談をされて今に至りますので、心が通じ合えなかった教訓もあります。

 ですが、今はシアとより親密な関係を持つことが私の目標なのですから、私の未来は明るいはずです!


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