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Eighth Doll  作者: セリカ
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シアの調査報告


「コレットちゃん! ただいま戻りました!」


 お家に戻ると直ぐにコレットちゃんがいる書斎に向かいました。

 予想通りに扉の隙間から明かりが漏れています。

 まずは、無事に戻ってきましたので、私の元気な姿を見せたいと思ったのです。


「戻ったのか……すまぬがわらわの食事を頼みたいのじゃ。わらわはお主のお陰で、健全な生活習慣になってしもうたのじゃ」


「はい! 直ぐに用意しますのでもう少しだけ待っていてくださいね!」


「わらわだけの分だけなのだから、適当で良いぞ」


 よくわかりませんが、コレットちゃんの元気がありません?

 やはり自分だけ除け者にされたのでいじけているのですね?

 ですが、まずは私も食事をしていませんので、説明をしておきましょう。


「私も食事をしていませんので、みんなの分を作りますよ?」


「時間に正確なシアがいるのじゃ。わらわだけ除け者にして楽しんでおったのじゃろ?」


「そんなことはあり得ません! コレットちゃんは、大切な第二恋人なのですから、私が責任をもって面倒を見ます! 言い訳と言う訳ではありませんが、フィスさんとのお話とお風呂に少々長く入っていた為です。遅くなってごめんなさいね」


「そうかそうか……エルナの風呂好きは仕方がないとして……エルナに対してだけは説明をするとはな。わらわの時と大違いじゃ!」


 遅くなった事情を説明するとコレットちゃんが怒り出してしまいました。

 

「でも、私には分からない説明でしたので、難しいことばかりでした。私に理解ができたのは、この国の情勢だけですよ?」


 コレットちゃんは勘違いをしているのかと思いますが、フィスさんのお話は主に自慢話がメインでした。

 その内容も過去の恋人の話が占めています。

 参考になったのは、この国の状態だけです。


「あの船の話はしておらぬのか?」


「船内にある色々な部屋は見せてもらいました。お風呂やムードの良い室内などです。他に言っていた事といえば、あの船の別名を聞いただけです」


「別名じゃと?」


「確か……きょ……なんとかと言っていました」


「流石にそれだけではわからんのー。シアなら分かるのではないのか?」


 私にはなんのことか分かりませんでしたが、シアなら知っていそうですね?


「フィスの船は『強襲空母』です」


「なんじゃそれは?」


「私が調べた情報では、ステルス機能を有した空母です」


「すまぬが、どちらの意味も説明してくれると助かるのじゃ」


「空母とは艦載機型のガーディアンを搭載する船の名称です。あの船には対空攻撃型と対艦爆撃型と旗艦防御型の三種類が搭載されていたはずです。ステルス機能とは相手のレーダーに感知されない能力です。それに加えて光学迷彩機能で景色に溶け込んで姿が消せる能力を有しています。戦闘時は姿を消して相手の懐に入り込んで搭載しているガーディアンを一斉開放をして相手を仕留めるタイプです」


 早くも私には意味が分からない言葉がいっぱいです。

 私の数少ない歴史の知識にガーディアンと言う単語だけは聞き覚えがあります。

 遺跡を守っている恐ろしい存在とだけ覚えています。

 遭遇をしたら死を覚悟するしかないと言っていたような気がします。


「ふむ……姿を消して相手の内側から攻撃すると言う考えで良いのじゃな?」


「少なくともあの船に残されていた記録はそうなっています。最後の記録では、ミッドウェール王国の艦隊を壊滅させています」


「それはいつの記録なのじゃ?」


「八十七年前になります」


「確か、ミッドウェール王国が手酷い敗北をして領土を削られた時じゃな。しかも、大事なユニットまで失ってしまったはずじゃ」


「フィスに倒されたユニットはナンバー・トウェルヴです。同時にフィスも損害を出しています」


「損害とは?」


「途中でフィスに気付かれたので、それ以上の情報を引き出せませんでした」


「なるほどの。ところで、どうやって情報を引き出したのじゃ?」


「私は触れた物の情報を知る事ができます。あの船は常にフィスの管理下に置かれていたのですが、少しの間だけその監視が緩んだので可能なだけ情報を吸い上げました」


「常に管理下に置かれておるのにどうして監視が緩んだのじゃ?」


「私とエルナが浴室にいた少しの時間だけ監視が緩んだのです。理由は分かりません」


「ふーむ……フィスの奴が考え事でもしていたとか?」


 コレットちゃんが考え込んでいますが、シアは質問をされていないので答えません。

 それよりもこのまま話し込んでいては、時間だけが過ぎていきます。

 仕方がありませんので、今日は温めるだけで済む食事にしたいと思います。


「お話はその辺りにして、食事の用意をしますよ?」


「うむ。頼むのじゃ」


「では、手早く用意ができるものにしますので、少ししたら食堂に来てくださいね?」


「わかったのじゃ」


 コレットちゃんが返事をした所で私が部屋を出ようとするとコレットちゃんが待ったをかけてきました?


「これ、シアは話の続きをわらわとするのじゃ!」


 コレットちゃんは、話の続きがしたいようですが……。


「お断りします」


「なぜじゃ!」


 あっさりとお断りをされています。


「私は、エルナの食事の用意の補佐をしなければいけません」


 シアは当然のように私のお手伝いがしたいと言ってくれます。

 常に共同作業をしてくれるので、もう実質は夫婦と思っているぐらいです。


「簡単な物の用意なら、エルナ1人でも良いじゃろう!」


「そんなことは認めません。私から情報を聞き出したいのであれば、コレットも積極的に手伝うべきです。そうすればその間も答えても良いと判断します」


「ならば、わらわも一緒に手伝うので、質問に答えるのじゃ!」


「行動で示してください」


 そう告げると黙ってしまい私の背後に居ます。

 もうこうなれば私がお願いをしないとシアは決して他の行動をしません。


「仕方がないので、わらわも手伝うのじゃ」


「温めるだけのものにしますので、少しだけ待っていれば良いのですよ?」


「フィスが知られるのを嫌がっておったあの特殊な魔道船のことが速く知りたいのじゃ。このことをフィスが知ったら即座に口止めをしようとするに決まっておる。なので、今晩中に聞けるだけ聞いておきたいのじゃ」


 例えそうでもフィスさんに気付かれなければ大丈夫だと思います。

 そう言えば、先ほどシアはフィスさんに気付かれた言っていました。

 明日にまた会いに来るようなことも言っていましたので、シアに何か言ってくるかもしれません。

 私には大した問題には思えませんが、そろそろお腹もすいてきましたので、まずは食事を優先したいと思います。


「取り敢えずは食事にしましょう。後のことはそれからにしたいと思います」


 そう言って食堂の隣の厨房に向かうことにしました。

 長話をしてしまいましたので、私が次の探索用に用意している食事から出す方が速いです。

 シアの便利な空間に少しづづ保存しているのですが、あの空間は時間が止まっているのか食料の鮮度などが落ちないのでとても便利なのです。

 私が疑問に思ってシアに聞いたことがありますが、難しい単語ばかりの説明でしたので、私の頭にはまったく入っていません。

 私にわかるのは古代人の技術力はとても凄いと言うことだけです。

 途中でコレットちゃんに私とシアがドレスを着ているので、そんな恰好で料理なんてできるのかと言われましたので、完成品の食事を出して食事を済ませました。

 こんな姿で食事をするなんて、とても久しぶりでした。

 違う点があるとすれば、私の家に居た時よりも質の高いドレスでしたので、汚さないように食べることぐらいでした。

 フィスさんの豪華な食事は逃してしまいましたが、気分だけでも感じたいと思います。

 食事中にコレットちゃんから「ところで、そんなドレスなど貰ってどこに行くつもりなのじゃ?」と質問をされました。

 よくよく考えれば今の私には着ていくところなどありません。

 つい久しぶりに着飾れるので何も考えずに選んでしまいました。

 そうなると私の普段着が減っただけになります。

 フィスさんに破かれた服は最近気に入って買ったばかりの動きやすい服だったのに同じような服にすればよかったです。

 破かれた服は仕方ないとして、他に着ていた物はどうなったのでしょうか?

 お風呂場から出るとシアの衣服はそのままで、私が着ていた物は全て無くなっていました。

 代わりに薄いバスローブと言う物をフィスさんに着るように勧められて、そのまま衣裳部屋に向かったのです。

 脱衣所に戻った時にフィスさんが待ち構えていましたが、タオルの代わりに舐めて拭いてあげますと言われた時は、流石に辞退いたしました。

 フィスさんはとても残念そうでしたが、とても特殊な行動もする方です。

 シアが私の前に出て遮らなければ、本当に実行されたかもしれません。

 ですが……代わりに私が体を拭いた布を渡すように言われて渡すと、その場で顔を埋めているのです!?

 私が驚いて止めようとしたのですが、一緒に入れなかった代わりに気分だけでも堪能がしたいなどと言い出す始末です。

 こんなフィスさんの姿を見るぐらいでしたら、一緒にお風呂に入った方が良かった気がします。

 一応は、同性なのですから問題は無いのですが……フィスさんは水を操る事でどちらにもなれる特殊な方です。

 それを考えると傍にいるのはとても危険との判断もできます。

 しかし……とても言いにくいのですが、フィスさんの性癖は特殊過ぎます。

 正直、かなりの変態さんと思ってしまいました。

 シアに意見を求めると「最初の登録者の影響が強く出ているだけです」と答えてくれました。

 最初にフィスさんを目覚めさせた人物は、良く言えば個性あふれる方ですが、悪く言えば完全な変態さんです。

 すると……シアもその内に私と同じ考えをするようになるのでしょうか?

 もしもそうでしたら、一番身近にいるコレットちゃんだけは特別扱いをするようになるかもしれません。

 いまはそんな素振りを一切見せんませんがどうなるのでしょうね?

 

 

 それから食事を済ませた後はコレットちゃんによるシアへの質問タイムになってしまいました。

 続きで最初に聞いたのは……。


「ところで、フィスの船の情報を収集したのはなぜなのじゃ? 主が魔道船に興味があるとはのー」


「あの者はエルナを狙っています。もしも連れ去って船で逃亡をしようとした時に性能を知っておけば撃沈ができる可能性が上がります」


 主に私の貞操を狙っているのだと思います。

 それ以外にもとても身の危険を感じる方です。

 フィスさんに攫われたりした時は、シアの助けを待つしかありません。

 手遅れになる前に間に合うことを祈るばかりです。


「まさか、そこまではしないじゃろ……」


「確実とは言えませんが油断はできません」


「それで、撃沈は可能なのか?」


「現状のスペックを見る限りは不可能です。フィスの相手をしながらガーディアンの対処は不可能です」


「流石のシアでも無理か。ガーディアンとは遺跡を守る化け物と伝わっておるが、それがフィスの船にいるのじゃな?」


「記録上は搭載しているはずです。現時点の搭載数までは読み取れていませんが、最大搭載数は全機合わせて三百機が収納可能と表示されていました」


「フィスに加えて、遺跡の化け物と呼ばれる物が三百もいるのでは何ともならんのー」


 ガーディアンと遭遇をしてしまったら、確実な死が待っていると聞いています。

 そんな存在がフィスさんの船にはいっぱいいるのですね?

 そうだとしたら、フィスさんが本気でしたら私達に対処法などあるのでしょうか?


「同型艦でなければ対処は無理と判断します」


「同じと言うのなら、シアの船なら戦えるのではないのか?」


「私の船は存在はしているとしか分かりません」


「では、シアの船はどんな船なのじゃ?」


「情報が欠損していますので、わかりません」

 

「ならば、どこにあるのじゃ?」


「私に記録されている情報では、『ミラージュ・フォートレス』と名付けられた浮遊島の施設に格納されているようです」


 シアにもフィスさんのような魔道船があるようです!

 もしも見つけることができれば、私達にも魔道船が手に入ります!


「すると、シアは浮遊島から来たのか!?」


「わかりません。私が目覚めた場所は防衛都市『アズラエルガード』です」


「それは、いつぞやに言っていたお前達の家じゃな?」


「私とエルナが拠点としていた場所です」


「決まりじゃな。次は古代都市アズラエルガードに行くのじゃ!」


 コレットちゃんが行く気満々になりました。

 私もシアの魔道船が手に入るのでしたら、改めて探索がしたいと思います!

 ですが……。


「ん? エルナは賛同してくれぬのか?」


 コレットちゃんが私の表情を見て質問をしてきました。

 私としては行くことには賛成なのでが、1つだけ問題があるのです。


「私も賛成をしたいのですが、フィスさんはどうするのですか? もしも王家の方に知られてしまうと……」


 以前に聞いたコレットちゃんのお話では、特殊な魔道船はどこの王家も欲しがっていると聞きました。

 仮に手に入れられたとしても、フィスさんにこのお話を聞かれてしまうと全てを取られてしまうのではないかと思います。


「むむむ……奴に知られてしまうとまずいことになるの。しかもバートランド王国は国を二つに割るかもしれぬ状況じゃ」


「フィスさんは、明日の朝にここに来ると言っていました」


「今のうちにゲイルたちの所に隠れるか?」


 コレットちゃんの提案にシアが答えました。


「エルナはフィスにマーキングをされています。例え逃げても追跡されます」


「私に何か目印でもしてあるのですか!?」


 私が驚いているとまたしても私の下腹部を指さしています。


「エルナの下腹部にまだ僅かにフィスの魔力反応があります。注意しなければ分からない程なので、私も気付くのが遅れました」


 私の体にはまだフィスさんの魔力が残されているようです。

 これは、私を絶対に諦めないと言う意味なのでしょうか?


「厄介なものが残っているの……シアには解除ができないのか?」


「本人しか解除はできません。これは本来『登録者』を見失わない為の処置です」


「シアもエルナにしておるのか?」


 コレットちゃんの質問に対して、シアが私の胸の真ん中を指さしています。


「私はエルナの心臓に宿しています」


 シアの魔力が私の心臓に宿っているのですか?

 そう言えば、シアの魔力が私に流れる仕組みだったはずです。

 その恩恵で、私はシアの傍にいれば大きな魔力が放出できるのでした。

 それにしてもシアの魔力が私の胸の奥に眠っていると思うと改めてシアの私に対する想いが強いと感じてしまいそうです。

 今夜は胸の高鳴りを押さえて眠れるのか難しいかもしれません。


「仕方がないの。逃げ切れるのなら試したいのじゃが確実に追跡されるのでは無理じゃな。フィスの運動能力もシアと変わらぬはずじゃから、逃げ切れる自信など無いからの」


 残念ですが、フィスさんが居る間は古代都市に行くのは諦めた方が良いみたいです。

 コレットちゃんもしばらくは無理だと判断したみたいです。

 もしかしたら、少しすれば別の所に行くかもしれませんので、それからにするしかありませんね。


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