またもや危機です!
「さてさて、これでやっと僕の時間がやってきましたねー」
フィスさんが私に聞こえるように言葉を掛けながら近づいてきます。
気になったのはフィスさんの両手が何かを揉むような動きをしているのですが、これは確認だけでは済まないのは確実かと思います。
見た目は少し年上のお姉さんに見えますが中身は別物のようです。
危険を感じて背後に下がりたいのですが私の足元に絡みついている水の拘束がそれを許してはくれません。
私の正面にフィスさんが立つとそれを見かねたコレットちゃんが手に持っていた杖をフィスさんの鼻先に突き出しました。
「これフィスよ。お主はナンバーの確認だけをするのではなかったのか?」
「勿論そうですよ? ただついでにエルナ様に女性の喜びも教えてあげようかなーと思ったのです」
「何が喜びじゃ……お主に弄ばれた娘は皆お主の言いなりになってしまうではないか。お主には何か洗脳でもできる能力でもあるのではないのか?」
「弄ぶなんてコレット様も酷い事を言いますね。みんな僕を純粋に慕ってくれたし尽くしてくれたお礼に僕はちゃんと結婚適齢期を見計らって、とても優良物件の相手だって紹介して最後には嫁がせているのですよ? あと僕は洗脳なんて無粋なことはしません。純粋に僕が今までに磨いてきたテクニックなのですから、その辺の若造などには負けませんよ?」
「すると純粋にお主に骨抜きにされてしまったということなのじゃな? 王宮に居た頃のお主の配下の侍女達の謎の忠誠心は本物だったとはな……わらわは異常な集団と思っておったわ」
「僕をお姉様と慕う可愛い子達ですよ? コレット様が居た頃の子達は、今はみんな幸せに暮らしているはずです」
「それでエルナもお主の言いなりにでもするつもりか?」
「コレット様、言いなりという言い方は良くないと思います。自ら進んで僕を慕うようになってもらいたいだけです」
「どうせいまも何人か手籠めにしているのに被害者を増やすつもりなのか?」
「残念ですが、今は1人もいないのです。レンスリット様が生まれてからは専属の護衛を頼まれたので、それ以降は僕の好みの侍女が遠ざけられてしまったんですよ。王女の教育に良くないとか言われて増やしていません。少し前に1人だけ残っていた子がいたんだけど嫁がせてしまったからいまの僕は恋人が一人もいなくなってしまったのです。王宮では僕の周りに若い子を配置してくれないからコレット様を訪ねると理由を付けて新しい子を物色しに来たのが本当の目的です」
「そんな下らない理由でよく王女を連れ出せれたの……」
「僕はレンスリット様から離れる訳にはいけませんからね。まあ、護衛なんて僕が1人いれば十分です。他国の強力なユニットが相手ならともかく、その辺の者達が相手ならまず負けません。僕が本気なら近づく前にちょっとした部隊も相手にならないし僕の船を見れば大きさだけで威嚇もできるので余程の事がない限りは危険なんてありませんよ」
「ちょっと待つのじゃ! 王女を連れ出しているのにお主1人だけなのか? あの船には他に誰も乗せておらぬのか?」
「オーウェル様に置手紙だけ残して来たけど出航の時にちょっと邪魔されたけど僕の船のステルス機能を使えば追跡は不可能だからねー」
「現国王に置手紙とは、あ奴は未だにお主に頭が上がらんみたいじゃの……ん? お主は現在国王のオーウェルが主というか登録者ではないのか? それとステルス機能とはなんじゃ?」
「オーウェル様が僕の登録者だったら、生きている間は別の者を選べませんよ? 僕の前の登録者は先代王のウォーゼル様です。ウォーゼル様の遺言で生まれたばかりのレンスリット様を自分の次の登録者に選んで欲しいと頼まれたので、僕はレンスリット様を選んだのです。教育に関しては全て僕に任せるという条件付きですけどね。オーウェル様の付き人兼侍女兼護衛をしていたのもウォーゼル様に頼まれてしていただけです。あと、本当は重要機密なんだけどコレット様にはエルナ様と引き合わせてくれたお礼に特別に教えてあげます! 僕の船には光学迷彩を使った特殊な機能があるのです。これを使えばあの大きな船体も景色に溶け込んで黙視が不可能になります。更に他の船のレーダーにも反応しない特殊な機能なので探知も不可能になります。1つだけ欠点があるとすればこちらからも相手が探知できなくなる欠点があるんだけどねー」
「先代の王がお主の以前の主じゃったのか。現国王が崩御したなどと聞いておらぬので話がおかしいとは思っていたのじゃ。それにしてもそんな能力がある船など存在するのじゃな」
「他にも何隻かあったけど、現在は僕の母艦の『フィフス・エンジェル』のみのはずです。このタイプの船は厄介なので真っ先に沈めておいたからこの分野は僕の独占状態です」
「まるでお主が沈めたような言い方じゃの?」
「僕の最初の登録者が同系統の船の情報を持っていたから、作られていた浮遊島の港に停泊している内に片っ端から沈めました。その船の個体が敵に回りそうだったから先制攻撃というやつです。お蔭でこの手の戦法は僕の船が一番有利に戦えました」
「疑わしいだけで始末するとはな……しかし、お互いに察知されないのにどの辺りが有利なのじゃ?」
「それ以上は内緒です。コレット様が時間稼ぎの為に僕に話しかけているのは分かりますが、そろそろ僕の方も本題に入りたいのでどいてくれますか? それとも僕を力づくで止めるつもりなのですか?」
「この距離でお主に勝てる気など起こらぬな。たとえ離れていてもシアの魔法が阻止されたのじゃから、わらわの魔法も通じるとは思えぬ。エルナよ、済まぬのじゃ」
コレットちゃんはそう言うと王女様の方に歩いて行きました。
恋人の私が襲われるのですからもう少し頑張って欲しいです!
ですが、少しの時間でもフィスさんに話しかけてくれたのですから私を助けるつもりはあったと思います。
それにシアを行動不能にしたフィスさんに戦えというのも無理な話ですし……。
「さて、邪魔する者はいなくなったので、まずはあの子のナンバーを調べましょう。エルナ様は優しいのと激しいのではどちらがお好みですか?」
「確認をするだけなのに意味がわかりませんが、優しい方向でお願い致します」
「了解しました! エルナ様は激しい方が好みと認識しましたので、このまま襲ってしまいますね!」
フィスさんがそう宣言するといきなり飛びかかって来て私をそのまま押し倒してしまいました!
草むらとはいえ地面に背中が叩きつけられれば痛いと思っていたのですが、冷たい柔らかい物が私の背中にいつの間にか敷かれています?
横に顔を背けると水の塊がまるでベッドのように地面に広がっているのです。
少し冷たいのですが、暑い季節にこの水のベッドで眠ることができれば快適なのでは? と、つい思ってしまいました。
「急に飛び付いてくるので背中が打ち付けられると思ったのですが、この水の塊のお蔭で助かりました。少し冷たいのですが不思議な感触ですね」
「僕は気に入った子にそんなことをしませんよ? それよりも僕がどんなに素晴らしいのかを教えてあげないとね。少し冷たい方がいいと思ったんだけど、だったらこのぐらいの温度が良いのかな?」
フィスさんがそう言うと水の温度が上昇して少し暖かいシーツに包まれる感じになりました!
ちょっとだけフィスさんが便利なので欲しいと思わず思ってしまいました。
「ちょうどいい感じの暖かさになりました……フィスさんの能力はとても便利なのですね」
「うんうん、僕の素晴らしさが実感ができた所で確認タイムですー」
私が少しだけ褒めて安心した所で突然衣服の胸元に両手を入れると一気に左右に引き裂いたのです!
「なにをするのですか!」
「なにって、最初に言った通りにエルナ様の紋章を確認する為ですよ? 僕が指摘した時に胸を押さえていたからここにあるのですよね? 僕は破くと宣言をしていましたので実行をしただけです」
「大人しく従うと言ったのですから、ここは破かなくても上に捲るだけで良かったはずです!」
「それだと僕が楽しめないしエルナ様みたいな動じない子にはこのぐらいの方が良いと思ったのです」
「……もういいです。それよりも必ず弁償して下さいね?」
「エルナ様が納得する代わりの服を弁償しますので安心をして下さい。それにしてもそこそこ育っている熟成前の可愛い胸がいいですねー。ちょっと味見をしてもいいですか?」
「止めて下さい。なにの味見か知りませんが胸元だけなら見えていますので早くして下さい」
「んー、つれないなー。ちょっと可愛い下着が邪魔だから取りますね」
「ちょっと止めて下さい!」
手で阻止をしょうとしたのですが、背後の水の塊から紐状の水が伸びてきて私の両腕に絡みつくと、そのまま背後の水のベッドに固定されてしまいました!
足の方もいつの間にか拘束範囲が伸びてきて、気が付けば私は身動きができない状態になっているのです。
フィスさんは手に掛けた下着を引きちぎろうとしましたが私が本気で嫌がっている目で睨みつけると上にずらすだけに留まりました。
相手が本気で嫌がることだけはしないのかもしれません。
「そんな目で見られたらちょっと諦めるしかないけど、代わりに感触でも堪能しておくね」
私が少しだけ見直したら次の行動は私の胸を揉んでいます!
私も人の事は言えませんが、この人は変態さんです!
そして、私が黙っていることをいいことに行動を継続しています……手の自由があればその頬を引っぱ叩いて上げたいところです!
「ねぇねぇ、気持ちよくないの?」
「……」
「おかしいな……魔力を神経に微量に流して感度を上げているはずなのに……これが通用しないなんて、もしかしてエルナ様は不感症ですか?」
「……しりません」
本当はとても感じています!
先程はテクニックなどと言っていましたが、実は魔力を使ってインチキをしていたことが判明したしました!
私はそんなインチキなテクニックなどには屈しません!
「まあ、いいや。目は潤んでいるし顔も上気しているから我慢しているのは明白だしね。それよりも感度優先で魔力を少しづつ流していたけどそろそろ出てくるかな?」
段々と胸の辺りが熱くなってくると、シアが私の胸に何かをした時の感覚が再現されて、私の胸にいつかみた魔法陣のようなものが浮かび上がってきました。
「護衛型だから、後期のナンバーと思ったら、この子は一桁台じゃん!」
「そ、それがどうかしたのですか?」
「一桁のナンバー持ちはコスト無視で作られているから、その性能は他に比べて強力なんだよ。そして、必ず対となる母艦を持っているはず」
対となる母艦?
するとシアにも個人所有の魔道船があるということなのでしょうか?
いまの話が本当でしたら、シアの魔道船を見つけることができれば私達にも魔道船が手に入る可能性が出てきました。
それが実現すれば空の旅も夢ではありません。
「ナンバー8のエイスか。このナンバーの浮遊島は研究中に突然消えてしまったから島ごと落とされたと思われていたはずだし、どんな分野の研究をしているのかも秘匿されていたはずなんだけど、まさか護衛型を作っていたとはね。この子が眠っていた場所を突き止めればもしかしたら無傷の母艦がまだ残っているかもしれないね」
話がよく分かりませんが、シアが特別な存在であることだけは理解しました。
しかもシアが眠っていた場所にもしかしたら魔道船があるかもしれないとフィスさんが言うのですから、ぜひとも手に入れたいと思います!
そう言えば、出会った頃にシアは自分のことをエーなんとかと言っていました。
あれは自分のナンバーであるエイスの意味だったのですね。
「これはあの子を手に入れる為にも登録者であるエルナ様がますます欲しくきました。エルナ様にお聞きしますが経験はおありですか?」
「経験とはなんのですか?」
「男性経験です」
「そんなものはありません! 私は男性とそのような関係になる予定もありません!」
「エルナ様は未経験なのですね? よかったー。じゃ、僕がエルナ様の初めてを貰ってあげますので深い仲になりましょう!」
「貴女は何を言っているのですか! それにフィスさんは女性型と仰っていたのですから、そのようなことはできませんよね?」
「んー、僕は水を操ることができるんだから、こんなこともできるんだよ?」
するとフィスさんがスカートをたくし上げると女性にあってはならないものがあります!
よく見ると透明感のある水でできた物なのですが……昔に弟と一緒にお風呂に入っていた時に見たものよりも大きさが……。
「それでどうするつもりなのですか?」
「子供は作れないけど、取り敢えず僕の物にしてしまおうかなーと思ってね。エルナ様って、なんとなく惚れさせてしまえば尽してくれる気がするんだけど、まずは既成事実に近い事をすれば僕に心を許してしまう気がするのです」
「それは間違っていると思います」
「間違っているかは実践してみてから検証してみるよ。さあ、僕と水姉妹になりましょうねー」
水姉妹とはなんなのでしょうか?
そんな事よりも再び私の貞操の危機です!
今度は助けに来てくれる人は誰もいません。
私の最大の味方のシアは氷漬けになってしまい、コレットちゃんは少しだけこちらを見て申し訳ない表情をすると王女様と何か話をしています。
恋人の危機なのにコレットちゃんが私を見捨てました……明日からしばらくはコレットちゃんの苦手な食材を当分混ぜておくことに決めました!
そして、残されたのは拘束されて身動きの出来ない私、とても楽しそうというよりも欲情したお姉さんです。
今回ばかりは私も覚悟を決めないといけないようです……。




