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Eighth Doll  作者: セリカ
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似た者同士?


 私の不安な心を察知したのかシアが私の言葉を待たずにフィスさんに向かって行きます!

 相手のフィスさんはとても楽しそうな表情で向かってくるシアを見ていますが、その場から動こうともしません。

 シアの拳がフィスさんに届く前に無数の水の塊が現れるとシアに向かって撃ちだされるとシアは攻撃を中断して回避に専念しています。

 私が見る限りでは小さな水の礫の攻撃に見えるのですがあれにはそんなにも攻撃力があるのでしょうか?

 いつものシアでしたら大して威力の無い攻撃は気にせずに向かって行きます。

 大型の魔物に吹き飛ばされても無傷でしたので、シアはとても丈夫なはずです。


「いまのを回避するなんて運動能力も高いんだねー。ただの水の礫の魔法なんだから君なら防ぎながら突撃して来ると思ったよ」


「……いまの水弾は貫通特化の威力に調整がしてありました。私の防御を辛うじて上回る威力です」


「おっ! 君って観察力も高いねー。さっき、君の腕を斬った時に大体の硬度が分ったからギリギリで威力を調整したんだけど、他の護衛型とはまた違うタイプだね?」


「ナンバー『フィフス』の属性は理解しました。同じ攻撃はもう通しません」


「へぇー、そんな事まで警告してくれるなんて君って優しいねー。僕の能力は露骨すぎるから属性とか隠すだけ無駄なんだけど君は隠していた方がいいのに面白いな」


 シアはフィスさんが言い終えると同時にまた向かって行きます。

 フィスさんはまた同じように無数の水弾を撃ちだすと今度はシアは避けずに水弾を無視して突撃していきますが大丈夫なのでしょうか!?

 先ほどの会話が正しければあの攻撃はシアの防御力を上回っているとのことです。

 シアに直撃すると思われた水弾はシアの着ている衣服に穴を開けていますがシアの方は無傷のようなので安心を致しましたがシアが宣言しているとはいえ見ている私にはとても心臓に悪いです。

 体が無事なのは良かったのですが、シアが着ている衣服が早くも穴だらけになっているのが少し悲しいところです。

 そのままフィスさんに殴りかかるとシアとの拳の間に水の塊のようなものがいくつも現れてそれを貫いて当たると思われた拳をフィスさんが受け止めています!

 大型の魔物を殴り飛ばすシアの攻撃を受け止めるなんてフィスさんはライラさんと違って同じだけの腕力の持ち主なのでしょうか?

 そのまま格闘戦に持ち込んでいますがシアの攻撃は全て受け止められています。


「フィスの奴の方が格闘戦も上じゃったのか」


 コレットちゃんが2人の戦いを見てそう呟きました。

 昔の知り合いなのですから、フィスさんの戦い方を知っていてもおかしくはありません。


「コレットちゃんはフィスさんがどのくらい強いのか分かりますか?」


「奴はいつも本気らしい所を見せぬから、どのくらい強いかと聞かれても分からぬ。ただ魔物に対しては水の遠距離魔法で近づく前に全て倒してしまうし、騎士共の訓練に混じっている時はそこそこ剣が使えるぐらいにしか見えなかったので一流の剣士とは思えなかったのじゃ。ましてや同じ存在との戦闘など見たことが無いので、あれが本来の戦い方かもしれんが……どう見てもフィスの方が余力があると言うのか様子見で楽しんでいる感じじゃな」


 コレットちゃんの判断が正しければこのままではシアが負けてしまうかもしれません。

 

「私は、このような事を聞くのは好きではないのですが、フィスさんは『戦闘型』なのでしょうか?」


「わからぬ。なにせあ奴は何も教えてくれんのじゃ。教えてくれる条件が一応はあるのじゃが……わらわにはその資格がないと言われたのじゃ! 思い出しただけで腹が立つのじゃ!」


 何故かコレットちゃんが怒っています?

 過去の事を思い出したみたいですが、資格とは何なのでしょうか?

 コレットちゃんのような可愛い子にない資格なんて私には思い付きません。

 とても気になるので聞きたいと思いますが、怒っているので教えてくれるでしょうか?


「コレットちゃんがお怒りなのは分かりますが、資格とは何なのでしょうか?」


 するとコレットちゃんは私の全身を上から下まで見てから、溜息をついて答えてくれました。


「お主なら親しくなれば色々と教えてくれるやもしれぬ……」


「私がですか?」


「うむ。先ほどもエルナに何かしょうとしたじゃろ?」


「はい、私の服を破って確認がしたいと仰っていました」


「あ奴はな……お主みたいな少女を自分の物にしたいと考えておるのじゃ。わらわのようなチンチクリンは範囲外とかぬかしおったのじゃ!」


「私はコレットちゃんのような幼女がとても愛おしいと思いますよ?」


「お主の思考も大概じゃ! あ奴の場合はそこそこに育った少女が好みなのじゃ! 身体的にも程よく成長している者を好むのじゃ」


 私と似たような考えなのは分かりました。

 要するに私はその範囲内ということなのですね?


「あ奴に目を付けられるとその内にフィスのことをお姉様と呼ぶようになる娘がわらわが居た頃に何人かおったのじゃ」


「私も学園に居た頃はお姉様と呼ばれることに憧れていました……羨ましいです」


「なんじゃ。やはりお主は学園などに通っていたことがあるのじゃな?」


 つい口が滑ってしまいました!

 私の過去の事は一切話していないのに私の願望を体現しているフィスさんのことを羨ましく思ってしまいましたのでつい……。


「私はただの町娘ですが、ちょっとだけ通わせていただいた経験が少しだけ……」


「嘘つけ。お主だけが気付いておらんだけで、わらわ以外にもシャーリーの奴も気付いておるぞ」


「シャーリーさんがですか!?」


「普段はあんな飲んだくれなのじゃが、過去に有る程度の教養やマナーなども習っていたお嬢様と呼ばれていたこともあるのじゃから、お主の仕草や知識などを学園などで習う範囲に絞って酔っ払い相手に受け答えなどをしておるからシャーリーの奴はお主の事をどこかの元お嬢様と考えておるぞ?」


「酔っているのにそんな事にまで頭が回るなんて改めてシャーリーさんがすごいと思いました」


 シャーリーさんは酔ってはいますが、ちゃんと自制心を保っていることになります。

 完全な酔っ払いのふりをしているだけで、もしかしたら色々と情報を聞き出しているのかもしれませんので、これからは余計な事は喋らないようにしたいと思います。


「それとお主の立ち振る舞いじゃ。わらわは王宮暮らしをしていたのである程度の作法なども知っておる。お主、たまに自宅でドレスを着ている時の立ち振る舞いなどが違うじゃろ?」


「私は普段と変わらないと思いますがどうして私が家でドレスを着ているのを知っているのですか?」


「シアが教えてくれたのじゃ。お主、たまにシアにダンスの稽古などと称してシアと夜遅くにいちゃついておるじゃろ? いちゃつくのに夢中で、わらわが覗いておることにも気づいておらんみたいじゃしな。流石のシアもこの手の事に関しては習得ができなかったらしく、わらわに教えを乞うてきたのじゃ。わらわはこれでも一通りに作法やマナーなども身に付けておるのでシアに伝授してやったのじゃ! あれは気分がよかったのじゃ!」


 犯人はシアでした!

 私がたまにダンスの練習と称して踊りながら密着したいのでシアに教えていたのですが、最初はかなり不慣れでしたのに上達が早かったのはコレットちゃんの所為だったのですね!

 せっかく私がシアに手取り足取り教えていたのに気付けば私と同レベルにまで上達してしまったので短い幸せでした。

 昔から、この手を使って下級生と仲良くしようとしていたので、私もダンスだけは男性のパートもしっかりと覚えたのです。

 それにしてもダンスが踊れるだけでそんなことが分かるのでしょうか?


「夜にシアと踊っていた事は認めます。ですが、女性ならダンスに憧れて覚える方もいるのではないのですか?」


「エルナよ。お主は昔に見たことのある某貴族の振り付けを使っておったな? どこの国とは詮索せぬが得意の曲は控えた方がよいぞ」


「……コレットちゃんは私のことをどこまで調べているのですか?」


「特に調べておらぬ。わらわは伊達に長生きをしておるから色々と覚えておるだけじゃ。気付いていないふりをしておるわらわは優しいじゃろ?」


 気付いていないのは私だけだったのですね……きっと私の事情を察してくれて黙っていてくれたのかと思います。

 それにしても皆さんは普段の行動とは別にしっかりと大人の対応をしてくれているのだと思いました。

 考えて見れば初めから私の素性などもまったく詮索をしませんでした。

 年長者の方は些細なことで色々と気付けるのですね。


「コレットちゃん達の優しさは十分に理解しました。それにしても習慣とは怖い物ですね」


「お主のような若い娘に色々と悟られてしまったら末恐ろしいわ。それよりもシアの旗色が悪そうじゃの」


 コレットちゃんとの話に夢中になっていましたが、あちらの2人の方を見ればシアは服装はボロボロで弾き飛ばされたりしていましたのであちこちが汚れてもいます。

 それに対してフィスさんの方はまったくの無傷です。

 距離を取れば水弾による遠距離攻撃をされて近付いて接近戦に持ち込んでも攻撃が全て受け止められてしまっているのです。

 幸いにしてシアの体が傷付いている様子は見受けられませんが、シアの強力な攻撃が通じない相手がいることに驚きです。

 このままではシアに勝ち目が無いような気がしますので私はここで止めるべきなのでしょうか?

 少しだけ私が我慢をするだけなのですから、この辺りでシアに戦うのを止めてもらうべきかと思います。


「シア! もう十分なので戦いを止めて下さい!」


 私が離れている2人の方に声を掛けると……。


「それは、この子の負けでいいんだよね? どう考えても僕に手が届かないみたいだから僕の勝ちみたいだからねー」


「これ以上シアが傷付くのを見たくないのです」


「じゃ、エルナ様の体を自由にしてもいいってことだよね?」


「私の紋章というのを確認するだけではなかったのですか?」


「この子と戦闘もしたんだから、僕には追加の報酬を求める権利があるよね? さっきからコレット様と何か話していたみたいだから、当然僕の趣味とか話していたと思うから今晩ぐらいはエルナ様を自由にしても良いと思うんだけどねー」


 私の体の自由を欲しているみたいです……コレットちゃんのお話通りでしたら、私はどんな事をされてしまうのでしょうか?

 少し前にも感じましたが再び乙女の貞操の危機です。

 フィスさんは女性型と仰っていたのでそこまではされないと思いますが……仕方がありません。


「分かりました。今晩だけ貴女の好きにして下さい。ですが服を破ったりしたら先ほども言いましたが絶対に弁償をして下さい」


「おっけいー。交渉成立なので、今晩は僕の物だ! 探索は明日からと思っていたけど早くも良い子が見つかって僕は嬉しいよー!」


 フィスさんはとても嬉しそうです。

 その表情を見ると舌なめずりをしていますが少し怖いです!

 いつもは私が主導権を握っていたのですが、学園での下級生の子達は私のことをこのように見ていたのかもしれません。

 これはある意味でとても勉強になりました。


「フィスの奴の病気が発動したな……あれで涎でも垂れていたらエルナと変わらんの」


 コレットちゃんが私の横で失礼な事を呟いていますが、本当の事なので否定ができないのが残念です。

 フィスさんが私の方に向かって歩いてくるとシアが風の槍を発動させてフィスさんに同時に突撃しています!


「君もしつこいなー」


「エルナが受け入れても私が受け入れません。これで倒し切ります」


「風の中級魔法が使えるなんて驚いたけどそれだけじゃ足りないんだよねー」


 フィスさんがそう言うとシアが放った風の槍の数だけ空中で爆発が起こり全て破壊されるとシアの頭上に雨らしきものが降り注ぎます。

 

「君が僕の攻撃を無効化する為に地属性で硬度を強化していたみたいだけど、これは回避できないよ」


 すると次にシアの動きが段々と鈍くなっていきます!?

 よく見ればシアの体の表面が徐々に凍っています!


「あまり見せたくなかったんだけど、水を操るんだから温度調整だって可能なんだよ? 君は僕との戦闘で衣服や体の表面に水分を多く含んだし今の水蒸気爆発のついでに発生させた水を多く浴びたからそのまましばらく凍っているといいよ。僕の計算では夜明けぐらいまでは行動不能の筈だから、君のご主人様をしっかりと僕の物にして君もついでに配下にできると最高だね!」


 雨が降り止むとシアが氷の彫像のようになっています!

 フィスさんの言葉を聞く限りはシアが死んでしまってはいないことは確かなのですが、今まで敵無しと思われたシアが負けてしまいました!

 氷の彫像になったシアを確認するとフィスさんが私の方に歩いてきます。

 思わず背後に後ずさりすると足元に冷たい何かがまとわりついて足止めされています!?

 足元を見れば水がロープのように私の足に絡みついているのです。

 これはもう逃がさないということなのでしょう……どんなことをされるのか分かりませんがフィスさんのいうようにはなりませんからね?


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