裸のお付き合い
私が少女をお持ち帰りがしたいなどという妄想をしていると、エーさんから声が掛かりました。
もしかしたら私の心情を察してくれて、お願いを叶えてくれるかも……。
ですが、現実は私の想像とは違う答えでした。
「空腹は治まったようですが、かなり疲労をしているようなのでここで休息を取る方が良いと判断しました」
私の体調を心配してくれたようです。
とても嬉しいのですが、私としては可愛い少女との禁断の関係の方を期待していました。
こんな状況なのですが……とても残念です。
ですが、どうして衣服を脱いだのでしょうか?
目の前に美少女が裸になっているのですから、誘っているとしか思い付きませんよね?
「御厚意はとても嬉しいのですが、どうして衣服を脱いだのですか?」
「貴女が汚れているので、ついでに水浴びでもしようと思ったのです」
エーさんがそう言いながら前方を指さすと、気が付かなかったのですが、目の前に湖とは呼べませんが小規模な地下水の池があります。
もしかしたらエーさんはここで体を洗っていたのでしょうか?
それ以前に私が汚れているので提案をしてきたのかと思いますが……もしかしたら私の体からも何か匂うのでしょうか?
自分の衣服を顔を近づけて匂いを嗅ぐと確かに汗臭いです……最後に立ち寄った湖で体を洗ったのは3日ほど前でしたので……。
しかし、私も水浴びはしたかったのでとても嬉しい申し出です!
旅の間は入浴などはできないのですから、濡れた布で体を拭くぐらいでしたのでとても入りたいです!
ですが……ここは魔物が徘徊している場所なのですから、もしも襲われたら……それに万が一にも誰かが来たら私の裸を見られてしまうことにもなります。
はしたない真似をするとお母様にいつも厳しく叱られていますが……水浴びが大好きな美少女が裸で私を誘っているのに断るなんて私にはできません!
入り口は少女が塞いでいるので、そのような事態は起こらないと思いますが、私の言い訳として聞いておきたいと思います。
「確かにその通りなのですが……こんな所で衣服を全て脱ぐなんて……それに魔物が現れたりしたら危険なのではないのでしょうか?」
「この階層の現在の範囲の魔物はあらかた狩りましたので、しばらくは発生しません。どこかに狩り損ねた魔物がいるぐらいです。それに現れてもここの魔物は私の相手になりません。服を脱がなくてもいいのですが、ついでに着たまま服を洗うのですか?」
少女の言質も取りましたので、私も脱いで地底湖に浸かりたいと思います……もしも誰かに見られてもこの少女が誘ったのですから、私はそれに応じただけです。
汚れた衣服も洗いたいのですが、着たまま洗うなんてことはしたことがありません。
後で洗ってしまっても私はその間は着る物が無いのですが……乾くまでは少女と裸で抱き合いながら温め合うしかありませんよね?
そう考えれば、水浴びで親睦を深めた後は一緒に温め合って眠ることでさらに親密な関係になれるはずです!
私が妄想に浸っている間に少女は既に地底湖に入っていましたので、私も急いで着ている物を脱いで入ると隣に移動をして密着するように隣に座っています……久しぶりに体を洗えますが水が冷たいので、少しでもエーさんの温もりを感じたいのです。
このまま自分の本能に従って抱きしめたいのですが……いきなりはいけないと思いますので、まずはもっとお話をして仲良くなりましょう。
歩いている時はエーさんがさっさと行ってしまうので私は着いて行くのが精一杯でしたから、あまり話す余裕が無かったのです。
「久しぶりに水に浸かれました! エーさんも綺麗好きだったのですね!」
「液体に浸かっていると落ち着くからです。貴女も大分汚れていたので入るかと思って誘いました」
要するに記憶は失ったのですが、お風呂などにに入る習慣だけは覚えていたのですね?
とても良いことを覚えていたと思います。
どおりで着ている衣服に反して体は綺麗だったのですね。
髪も毎日洗っているかのように綺麗でしたからね。
それで、清潔な少女から見た私は汚れていると思われていた訳ですが……女性として、不潔だと思われたくはないのですが……。
私が落ち込んでいると少女が私の髪に触れてから、体を触ってきます!?
とても嬉しいのですが、先ほどの考えが頭をよぎっているのでいるのです……私に触れている手が温かい光を発すると、とても爽やかな感じになりました?
まるで全身を清められたような感じがします。
「エーさん、いま何をしたのでしょうか? とても爽やかな感じがするのです?」
「体に付着していた汚れを全て分解して除去しました。これで気持ちよく水に浸かれるはずです」
言われてみれば水に浸かっただけで、体も洗っていないのに私の汚れていた場所が綺麗になっています!
髪も濡れていますが指で梳くことができます!
少女は私の金髪と自分の黒髪を見比べていますが、この少女といれば、この先もずっと身嗜みを気にしなくても済みます!
欲しいです……この少女が……エーさんが欲しいです!
記憶が無いのですから、このまま地上に出られた時は私の妹になってもらう提案をしましょう!
そして、姉妹の禁断の愛に目覚めてもらって私と一生過ごしてもらえたら……。
その前に私のことをちゃんと名前で呼んでもらいましょう!
いつまでも貴女と呼ばれているのは少し悲しいのです。
「ありがとうございます! いまのはエーさんの魔法なのですか? それとお願いがあるのですが聞いてもらえますか?」
「体に付着した異物を取り除く魔法です。汚れを落とすのに便利なのです。それで、お願いとは何でしょうか?」
「私のことを貴女ではなく最初に伝えた名前で呼んで欲しいのです。そして、私と姉妹……いえ、友達になって欲しいのですが、駄目でしょうか?」
「貴女の名前……確か【個体名:エルナ】でしたね? ご希望でしたら、次からはエルナと呼ばせてもらいます。それと友達とはなんでしょうか? 知っている気がするのですが、私の記憶から抜け落ちてしまっているようなのです」
個体名とは意味が分りませんが、次からは名前で呼んでもらえるみたいです!
しかも、呼び捨てにされるなんて……まるで恋人になれた気分です!
いつもは貴族の身分が邪魔をするので、上の階級の方々や両親以外からは身分の高い者としか扱われなかったのです。
このような可愛い子に呼ばれると、とても胸が高まります!
記憶が欠落しているようなので、このまま恋人になる提案をすれば、もしかしたら受け入れてくれるかも知れません。
私の話をそのまま受け止めてくれますし、とても素直そうなのですから、ここは一気に恋人になるように話を持っていこうと思います!
お互いに裸で全てを晒している状態なのですから、私の熱意が伝わると信じます!
「その前に私の名前を呼んで下さい!」
「エルナ」
「改めて呼ばれると恋しい人に呼ばれた気分です!」
私が身悶えていると別の指摘をされてしまいました。
「エルナ、どうしたのですか? それと口から唾液が垂れていますが、お腹が空いたのですか?」
「いえ、これは違うのです! 私は心から嬉しいことがあるとついこうなってしまうので、気にしないで下さいね?」
「そうですか」
「それで友達というのは、お互いに心を許し合って信頼をしている方を指すのです。さらにお互いの想いを強めた関係を恋人と呼ぶのですが……私としてはエーさんと恋人になりたいのですが……駄目ですか?」
「心を許し合う……私は精神体情報が欠落か壊れてしまっているらしいのですが、それでも良いのですか?」
良いに決まっています!
精神体と言うのは心のことかと思います。
心が壊れているのでしたら、私が塗り替えてしまえば良いのですから好都合です!
「でしたら、私がエーさんの壊れてしまっている心を必ず埋めて差し上げますので、もう恋人になってしまいましょう!」
「私の精神体の情報を修復してくれるのですか?」
「勿論です! 私がエーさんの心を癒しますので仲良くしましょうね!」
私がそう返事をすると何か独り言を言い始めました。
しばらくすると私の胸に手を当てて来ました。
人並みには育っていると思いますので好きなだけ触って下さい!
エーさんが、いきなりそのような関係まで求めてくるなんて大胆ですね……勿論ですが、私は拒否などしませんので、このまま身を委ねたいと思います。
そのまま目を閉じてじっとしていたのですが、何も変化がありません?
私がそっと目を開けるとエーさんが私の胸に手を当てたままの状態で何か呟いていますが……何かのおまじないでしょうか?
呟きを終えると、エーさんの手のひらと私の胸の間に何かが集まってきて、輝くと何かの紋章のような小さな魔法陣が作り出されました。
そのままエーさんの手が魔法陣を私の胸に押し付けると、そのまま胸を揉むのかと思ったのですが、押し付けられた部分がとても熱いです!?
私が驚くともう片方の手が私の肩を掴むのです。私は体を動かすことも出来ないくらいの力強さです!
私が動揺していると、一言だけ「動かないで下さい」と言われましたが、私はどうなってしまうのですか?
とても熱いと思っていたのですが、集まっていた光が私の体に押し込まれていくと胸の中がとても暖かい気持ちになってきます。
私は一体何をされてしまったのでしょうか?
美少女との裸のお付きいをするつもりが、何かの儀式になってしまいました。
エーさんは私に何をしたのでしょうか?
何かしらの儀式なのでしたら、私としては最初にキスがしたかったです……。