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Eighth Doll  作者: セリカ
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朝食は甘い報酬


 いつの間にか眠ってしまいましたが、もう朝になりました。

 シアは目を閉じたままベットの上で座ったままですが、その正面には話疲れて寝落ちでもしたコレットちゃんがシアの膝に頭をのせて気持ち良さそうに眠っています。

 本来でしたら、私の特等席ですが私の恋人になると認めたので良しと致します。

 昨晩は、私を助けてくれたコレットちゃんを抱き締めて眠りたかったのですが……シアとの話に夢中になってしまい私がそれに耐えきれずに先に眠ってしまったのです。

 いつもより早く目が覚めましたが今朝はちょっと豪華な朝食にして私の感謝の気持ちを表したいと思います。

 私がベットから起き上がるとシアも目覚めて私の方を見るとコレットちゃんを払いのけて先にベットから降りて私を待っていてくれます。

 シアに払いのけられたコレットちゃんは余程眠りが深いのか起きる気配がありません。

 起こすのは可哀想なので、私は手早く着替えると朝食の用意に向かいました。

 シアもいつも通りに私と一緒に着いて来てくれます。

 私1人でもできるのですが、シアがいると火と水の手間が省けるので手伝ってくれるのでとても助かっています。

 一応は庭に井戸があるのですが、シアに水を出してもらった方が楽ですからね。

 それから朝食の用意ができるとシアがコレットちゃんを起こしに行きます。

 二階からいつもの騒がしい声が聞こえてきますが、毎日のように起きたくないコレットちゃんが抵抗をしているのです。

 しかし、シアは無情にも無理矢理に着替えさせて私のいる食堂にコレットちゃんを連行してきます。

 この家にいる限りは必ず一緒に食事を取る約束をしましたが時間に不規則なコレットちゃんが守るわけがないので今ではこれが毎朝の日課になっています。

 食堂の扉が開くとシアととても眠そうなコレットちゃんが入ってきました。

 今にも二度寝をしてしまいそうですが、夜更かしをしているからですよ?

 まずは元気な挨拶をして目を覚ましてもらいましょう!


「コレットちゃん、おはようございます!」


「ふぁ……おはようなのじゃ……」


 シアに手を引かれてきましたがこうして見ているとシアの方ができたお姉さんに見えます。

 姉妹の設定でしたら私が長女と言っても誰にも疑われないかもしれませんね。

 年齢では負けていますがここはお姉さんとしてしっかりと注意をしておきましょう。


「本日は特に眠たそうなのですが、いつまでシアと話をしていたのですか? 夜更かしはいけませんよ?」


「お主が眠ってしまうから、質問に苦労したのじゃ……それよりも昨晩は色々と遅かったので、今日ぐらいはもう少し寝かせてくれても良いと思うのじゃが……」


「ダメです! 食事は一緒に取ると約束したはずです! しかも昨日はコレットちゃんが正式に私の恋人と認めたのですから今後はしっかりとお世話を致しますよ?」


 恋人=お世話の優先権を得たと私は思っています。

 なのですから、本日からは今以上にコレットちゃんのお世話をしたいと思っているのです。


「……本気か? 今以上とか……わらわの自由が減ってしまったような……」


「私は束縛なんてしませんよ? ただ規則正しい生活をしてコレットちゃんにはいつまでも可愛い姿で居て欲しいだけですよ?」


「その規則正しいとかいうのが苦痛なのじゃ……なんか王宮に居た頃の生活に戻った気がするのじゃ……」


「王宮に居た頃は規則正しい生活をしていたのですね? それでしたら問題はないと思いますのでコレットちゃんの体調管理は私がしっかりと面倒を見ますので安心をして下さいね!」


「……安心ができる要素がわらわにはまったく見当たらないのじゃが……知りたいことを優先して安易に認めたのは失敗じゃな……」


「コレットちゃんは何も間違っていませんよ? それよりもそろそろ朝食を取りましょうね! 本日はコレットちゃんが好きな蜂蜜をかけたパンケーキにしましたので沢山食べて下さいね!」


「むむ……お主の焼いたパンのケーキは売っている物より美味いので遠慮なく頂くのじゃ! わらわとしてはこれを毎朝食べたいところじゃな」


「そうしたいのですがこればかりにするとシアが糖分が高いと言い出して私が食事制限をされてしまうので毎日は無理です。それにいま使っている蜂蜜は不純物が少ない高い物なので少し値が張るのです」


 私の体調管理はシアに完全に握られています。

 私が甘い物を食べ過ぎると警告をしてきたり、食事が肉類に偏ったりすると野菜関係を食すように提案をしてきます。

 何事も適度な食事をしないとシアの無言の瞳に私はどうしても勝てません。

 果実などは好きでも野菜の類はそんなに好きではないのですが、なるべく偏らないように心掛けています。

 シアとの生活をしている時に肉類に偏ると後ほど不味い野菜というのか草みたいな物を沢山食べるように言われました……私の健康にいいらしいのですが美味しくなかったです。

 食べることができたのはシアに対する想いでなんとか食べていたのです。

 ですが現在も似たような状況ですが……。


「もぐもぐ……ふむ。確かに王宮の物に引けを取らない味と思っていたのじゃが、わらわはてっきりお主が何か細工でもしていると思っていたのじゃ」


「私もそれなりに料理の幅は増えましたし、お菓子などの甘い物は昔から趣味で作っていたのである程度は工夫ができますが蜂蜜の純度を高めたりするのは無理なので、マーガレットさんにこの町でお勧めのお店を色々と教えてもらったのです」


「誰じゃ? わらわの知らん名前なのじゃ」


「私が働いているお店のエリックさんのお嫁さんですよ? 知らないのですか?」


「知らん。第一にわらわはエリックの奴の店になど行ったことはないのじゃ」


 私がこの町に来た時に一緒に夜の食事をしたはずなのですが、忘れてしまっているようです。

 その時も食事よりもシアに話しかけてばかりいましたので、紹介したはずなのに記憶にすら残っていないようです。


「今度一緒にエリックさんのお店で食事をしましょうね? その時にマーガレットさんを改めて紹介を致します」


「わらわは美味い物が食べられるのなら何でも良いぞ」


「大人しくてとても良い方で、私の事も理解をしてくれましたので、きっとコレットちゃんの事を可愛がってくれますよ!」


「結構じゃ。わらわを好きにするのはお主だけで十分じゃ」


「まあ! それは私だけに可愛がられたいという愛の告白ですね!」


「……何でも良いわ。それよりもこのパンケーキというやつをもう一枚欲しいのじゃ」


「もう、照れなくても良いのですがお代わりを持ってきますね!」


「蜂蜜をたっぷりかけたのを頼むのじゃ」


「あんまり掛け過ぎるとコレットちゃんも糖分を取り過ぎになりますので程よくにしますね!」


 きっとおかわりをすると思って余分に焼いておきましたので早く取りに行きましょう!





 ようやく静かになったか。

 昨晩にあのような事があったのに元気な娘じゃ。

 お蔭でわらわの好きな朝食が食べれたのは満足じゃが。


「ところでシアに聞きたいのじゃが蜂蜜を摂取しすぎると何かまずいのか?」


「他の料理に使っている砂糖よりはカロリーが低いので問題はありませんが限度を超えて毎日摂取をし過ぎると不調になる時があります。エルナは摂取し過ぎると腹部の調子が悪くなってしまうので警告をしているのです」


「ふーん。ならばわらわなら問題はなかろう? 王宮では毎日食べておったぞ?」


「エルナの資金が大幅に減ります」


「はぁ? お主がおるのだから分け前は多いじゃろ? わらわ達もそれは理解しておるからエルナの取り分はシアの分も足して多めにしてるのじゃぞ?」


「エルナは自分が手に入れた資金の中で調整をしていますので私の分は貯蓄という形で私が持たされています。どうしても困った時にだけ足りない分を足しているのです」


「うむむ……何やら派手に使っていると思っていたのじゃが、自分の持ち金だけでやりくりしておるのか……この家の食事代をもう少し余分に渡すべきかの……」


「今の所は問題がありません。ですがエルナに贅沢な要望は控えて下さい。エルナは可能な限りは相手の要望に応える傾向があります。あの蜂蜜はエルナが手に入れている資金に対して高額品です」


 戦闘とエルナの体調管理だけかと思ったら、私生活の金の管理までしておるぞ。

 基準がわからんがシアは登録者の安全だけではなく私生活の面でも守る思考をしておるのかもしれんの。

 王宮にいたフィスの奴は公務中は真面目なのだが休憩などを取るとそこいらの町娘のような親しみがあったが主の体調などは気にしているような感じはなかった。

 好きな物を好きなだけ同じように食べたりもしておったしな。

 昨日のライラの奴は能力はすごいと思ったが戦闘に関してはまるで駄目なことを言っておったし……特殊個体にも個性があるのかと思うがシアはどんなタイプなのじゃ?

 わらわが知っておるフィスと比較すると魔法に関してはフィスの方が上と考える。

 シアは魔力消費が大きい魔法は一度使うと待機時間が発生するらしいし、強力な魔法は習得ができないみたいなことを言っておった。

 近接戦闘はフィスの奴は護衛の騎士と同じぐらいの腕前だった気がするが、シアの場合は全身が凶器みたいな格闘家じゃ。

 わらわがシアに本気で殴られたら即死は確実じゃろ。

 大体にして自分よりも遥かに大きい大型の魔物が蹴り飛ばされるのじゃからな……わらわが蹴られたらどこまで飛んで行くのか恐ろしいわ。

 フィスの奴は主の健康管理などはまったくしていなかったが、シアは体調管理までしておる。

 驚いたのは触れた相手の体の情報を知ることができるという能力じゃ。

 あれでエルナの健康状態を把握しているらしいが……以前は能力みたいなものを読み取られたが、この家に来てからはわらわも定期的に触れられて健康状態を知られているので、最初の頃はエルナの健康食攻めで食べたくもない物をしっかりと食べさせられたのじゃ。

 お蔭で毎日の体調が良くなったが……普段から不摂生をしてはいけないと学ぶことになったのじゃ。

 わらわの自堕落な生活と引き換えになのじゃが……。

 ある程度の結論が出た所で食堂の扉が開かれるとエルナの奴が1人分にしては多い量のパンケーキを持ってきたぞ?

 席に着くと一口サイズに切り分けてフォークで刺すと、わらわとシアにそれを食べるように差し出して来たのじゃ!

 シアは当然とばかりに餌付けされておるが……わらわには恥ずかしくてできぬぞ!

 わらわが拒否するとそれを自分の口に運んで食べてしまった!

 エルナ曰く、このお代わりはエルナが直接食べさせるのが条件とか言い出しおったのじゃ!

 断ったのじゃが……わらわの前でゆっくりと美味そうに食べおって……我慢ができなかったわらわはエルナの軍門に下って食べさせてもらうしかなかったのじゃ……恥ずかしい思いをしたがここが自分の家で他に誰もいないので助かったわ。

 しかし、この一件でエルナが差し出した物は食べるようにと大変な約束をさせられてしまったのじゃが……頼むから人前でだけは勘弁して欲しいところじゃ。

 そんな約束など絶対にできぬと言ったのじゃが……拒否をしたらシアと一緒に不貞寝をするなどと言うのじゃ。

 エルナのことじゃから、シアと話をしている最中にシアを連れて行くに違いないのじゃ。

 わらわがどんなにシアを引き留めてもエルナの言葉を最優先するので事実上の脅迫に近い……仕方がないので要求を呑んだのじゃが、時と場所は弁えてくれる約束だけはしてもらえたので多分じゃが自宅だけで済むと思うのじゃが……段々とエルナの笑顔が怖くなってきたのじゃ。

 それにしても、わらわは知らなかったのじゃが、世の妾や愛人関係というのは大変なのじゃなーと理解したのじゃ。


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