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Eighth Doll  作者: セリカ
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剣を購入しましょう


「まさか一回の探索で、この大剣をここまで駄目にするとはな。お前、明日から冒険者なんて辞めちまぇ」


「それはこっちの台詞だ、クソ親父。2階層のガーディアンと戦ったら、刃こぼれだらけになったんだよ」


 本日は、トリスの町に戻ったので、組合で戦果を報告してから、ゲイルさんの知り合いの武器屋さんにきています。

 コレットちゃんは、組合に行くのがめんどくさいと言って先にお家に帰ってしまいましたがカードだけは私が預かっていますので代理を引き受けましたが良いのでしょうか?

 シャーリーさんは取り分を分配した後に「今日は朝まで飲むから、先に失礼するわね!」と言ってエリックさんのお店に行ってしまいました。

 探索中は一滴もアルコールを飲まないのですが、町に戻ったら我慢をしていた反動なのかアリサさんが分配をして分けてくれた自分の分を素早く受け取ると消えてしまいました。

 受付のアリサさんは、深いため息をついて呆れていましたが、今回の成果には感心をしていました。

 ガーディアンの魔核と尻尾だけですがその素材が有ったからです。

 この手の素材は、2階層で遭遇したヴァイスさん達みたいな人達が定期的に持ってくるだけなので、その仲間入りをしたのかと呆れつつも喜んでいるみたいです。

 これで私達のカードの貢献値が少し上がったので喜ばしいことです。

 その後にゲイルさんと武器屋さんに来たのですが、お店の方と口論を始めたのですが……軽くあいさつをした後にゲイルさんのボロボロの剣を見せたら、罵り合いに変わったのです。


「あん? お前達は2階層に降りることができんとか抜かしていたんじゃなかったのか?」


「前回の探索まではな。今回は、行ける伝手ができたから挑戦したんだよ。その為に高い金を払って自慢の大剣とやらを買ってやったのに偉い損害だわ」


「2階層に行けたのはいいとして、よくガーディアンと戦えたな。何人で挑んだのか知らんが仲間が強くて助かったな。お前らの実力だけだったら、確実に死んでいただろうな」


「ムカつくが、その通りだ」


「それで、何人で行ったんだ? まさかヴァイス達と組んで行く訳がない思うが……」


「あいつ等なんかといけるか。いつかのように捨て駒の盾にされたらかなわんからな」


 ゲイルさんがあの人達にあまりいい感情を持っていなかったのは、そういう理由だったのですね。

 経緯は分かりませんが、見捨てるようなことをするのは褒められる行為ではありません。


「まあ、あいつ等と組むとそうなるがな。それじゃ誰と行ったんだ?」


「一緒に居るエルナ嬢ちゃんとシア嬢ちゃんとだ。エリックは引退して家業を継いだから一緒に行っていないぞ」


 質問されて、私とシアをゲイルさんが紹介してくれました。

 武器屋の店主さんは、私達を見てからまったく信用をしていない目でゲイルさんを見ています。


「……おい、ゲイル。お前はいつから冗談なんて言うようになったんだ? 酔っ払いの相方のアルコールが頭にでも回ったのか?」


「悪いが俺はシラフだ。シャーリーと違って飲む量も弁えているから、あんな醜態は晒したことはないな」


「自分の女をそこまで言うのか? 分らんでもないが、あれが無ければ良い女なんだがな……」


 どうもシャーリーさんの酔い癖は武器屋の親父さんも理解をしているみたいです。


「稼ぎの大半を殆ど飲まれたぞ。その中から、やりくりして武器の調達をしている俺は地味に大変なんだぞ」


「だったら、別れちまえばいいのにお前も物好きだな」


「昔からの腐れ縁だし、あの飲む病気以外は相性がいいからな」


 ゲイルさんにも不満が有りそうですが、それも含めてシャーリーさんとは仲良しみたいです。

 これは愛が無ければ成立しないと思いますので、お二人の仲は私とシアの仲に匹敵するのだと判断します。


「あーそうかよ。だったら、早いところ子供でも作ってそっちに専念でもさせれば案外まともになるかもな」


「本人が望んだらな。それよりも新しい剣が欲しいんだ。現在3階層に行っているんだが、魔物というかゴーレムが固すぎて普通の剣だと駄目になるのが目に見えているんだよな」


「そりゃ鉱石の塊を剣で斬ろうなんて、余程の剣の腕がないと無理だろう。お前みたいに我流の剣士は、魔力付与でもできる武器でも使うか鈍器で力押しで壊した方が早いだろ?」


「剣の腕に関しては、達人とまではいかないがそこそこは戦えると思っているぞ」


「まあ、普通の相手なら、お前の腕でも十分に通用するだろう。だから、後は良い武器を手にいれるしかないな。お前が望む物はあるが、代金は前金でしっかりともらうからな?」


「ちゃっかりしているな」


「お前達みたいな冒険者相手にツケなんてしてたら、帰ってこなかったら損するだろ? 特に高額商品だったら、大損だぞ」


「指摘通り過ぎて涙が出るわ」


「それで、今回の予算はいくらなんだ? 3階層に行っている奴らに最も売れている鈍器でも見繕ってやるぞ」


「慣れない武器なんぞいらんわ」


「お前の乏しい魔力で、魔力が流せる剣なんて購入しても修理費がかさむだけだぞ?」


「そう言われるのは予想済みだ。なので、こいつで新しい剣を作って欲しいんだ。出してくれるか、エルナ嬢ちゃん」


 ようやく武器を作ってもらう話になりました。

 早速、ガーディアンとの戦闘で手にいれた大鎌を出しましょう!

 シアの便利な空間から出すのは知られたくないので、コレットちゃんから魔法の指輪を借りたままなのです。

 魔法の指輪に入っていた魔核と素材を組合で全て出してから、改めて入れてきたのです。

 組合の建物の脇の通路で誰にも見られないよう入れ直そうとしたのですが……この大鎌なのですが、私には重すぎて持てなかったのです。

 仕方がないので、そのままシアに入れ直してもらったのです。

 今度は、それを出すわけですが……出した後は持てません。

 私の場合は、引き抜いてその場に落とすだけになってしまいます。


「あの……ここで出しても良いのでしょうか? とても重たいので、その机の上に出すと壊れてしまうと思うのです」


「エルナ嬢ちゃんには、重すぎだったな。持ち手の部分だけ出してくれれば俺が持つから大丈夫だ」


「分かりました。それではどうぞ!」

 

 私が持ち手の部分だけを指輪の周りの空間から取り出すと後はゲイルさんが引き抜いてくれました。

 組合でも見たのですが、指輪の宝石らしき部分の空間が歪むのですが、不思議な光景です。

 そして、取り出した大鎌を店主の方に見せています。

 

「ほぉー、久しぶりに見たがいい物を持ってきたな」


「これの所為で、俺の剣は欠けまくったぞ」


「あいつらが別の所に売り払っているから、わしの所に回って来なくなったが、オブシディアン鉱石が混じったミスリル合金だな」


「鉱石とかよくわからんが、打ち合っていたのにあっちは刃こぼれすらしないから、焦ったぐらいだ」


「元の鉱石の特徴と魔力を通しやすいミスリルが上手い割合で出来ているからな。これで作った武器なら、魔力が少なくても強度と切れ味の両方を維持できるぞ」


「なら、これで俺の剣を作ってくれ。このボロ剣と同じ大剣がいいんだが」


「構わんぞ」


「それで代金の方なんだが、いくらでいいんだ?」


「お前の剣を作るのに余った分をくれるならタダでいいぞ」


「それは助かるが、この子にも扱える剣をもう一本作って欲しいんだ」


「おいおい、いくら何でもそこまでの分は無いぞ。余った分で作れるのは短剣ぐらいになるんだが、そうなると代金を貰わんとな」


「そこはもう一つあるから、これで足りるだろ?」


 ゲイルさんに指示されてもう1つも出してもらいました。

 これで私の剣の分も足りそうですね!


「まだあったのか。それなら十分に足りるが、それだと逆に結構余るが」


「それなら、エルナ嬢ちゃんに護身用の短剣もついでに作ってやってくれ。残りは全部譲るから、どうだ?」


「よかろう。そうなると日数が欲しいので、10日ほどしたら店に来るといい」


「交渉成立だな。もっとも仮に新しい剣を買ったとしても掛かった経費は8000ギルまではコレット持ちだから、今回は俺の出費は少なくて済んだんだよな」


「あのへっぽこエルフか。あいつと組んでいるお前達も変わり者だがな」


「今回は、大いに活躍したから、貴重な戦力になったぞ」


「あの自爆エルフがか?」


「師匠らしき人物が現れたから、まともになったんだよな。自重と配分というものを少しは覚えてくれたので師匠様には感謝だな」


 ここでもコレットちゃんは駄目な子扱いのようです。

 師匠の話をする時にゲイルさんはシアの方を見ていましたから、コレットちゃんの師匠はシアの事のようです。


「あいつに師匠ね……この辺りにあいつよりも高齢で凄腕の魔導士なんていたなんて初耳だな」


「年齢については知らんが優秀な魔導士である事には間違いないな」 


「まあいいが、もう一本の剣は、その長い髪の嬢ちゃんのでいいんだな?」


「ああ、エルナ嬢ちゃんの分だ」


「ちょっと手を見せてくれないか?」


「私の手をですか?」


「そうだ」


「分かりました。ではどうぞ」


 私の手を取ると何かを確かめています?

 そして、私の方をじっと見始めました。

 しばらくすると席を立ったと思ったら、一振りの剣を私に渡してくれました?

 もしかして、同じ材料の剣が既にあるので、これがそうなのでしょうか?

 私が不思議に思っていると店主さんが話しかけてきます。


「ちょっとその剣を抜いて振ってみな」


「は、はい!」


 お店の中で、剣を振るのはどうかと思いましたが、店内の中央は開けているので、もしかしたらその為に物をおいてないのかもしれませんね。

 そう判断すると、言われた通りに剣を抜いて軽く振ってみましたが、私が扱うには丁度いい感じです。

 私が剣を鞘に戻して納得していると再び声を掛けてきました。

 

「ふむ……見た目よりは腕はありそうだな。それで、嬢ちゃんの手の平と体格を見て使いやすそうな物を選んだんだが、どうだ?」


「はい! とっても使い易いと思います! 前に使っていた剣は何となく斬れそうな剣を選んだのですが、こちらの方が良いですね!」

 

「自分の命を預けるんだから、武器の選択は大事だぞ。嬢ちゃんの剣はそいつを見本にして作るか。その剣は元の場所に戻しておいてくれ」


 武器屋のおじさんは、私が使い易そうな剣を見繕ってくれたのですね!

 そう言って私に剣を元の位置に戻すように指で位置を指定しました。

 言われた通りに剣を戻して、10日後に訪れる約束をして、お店を出ました。

 前回の剣は別のお店で購入したのですが、売り払った剣の代金と手持ちのお金で買える一番高いのを選んだのですが、あれは間違っていたようです。

 切れ味の方は良かったのですが、私が振るには少し重たいとは思っていたのです。

 ですが、高い品物なら、その分強い剣と思っていたのです。

 もしかしたら、あのお店でも店員さんと相談をしていれば私に使いやすい剣を教えてくれたかもしれません。

 そう考えると武器の選定はとても大事ですね。


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