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Eighth Doll  作者: セリカ
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疑問


 先ほどの別の冒険者の方達と別れて少し進んでから、複数に枝分かれしている通路がありましたので、その内の1つを進んでから、休憩をしています。

 ちょうど大きな瓦礫が複数あったので、隠れやすいという利点もあります。

 通ってきた隙間はシアが魔法で壁を作り出したので、ちょっとした空間になりました。

 時間的にも、夜になっているとシアが教えてくれたので、そのまま火を起こして食事の用意をしています。

 食材の方は、トリスの町で事前に仕込んでおいた物を出して温めるか焼くだけにしてあります。

 シアと2人だけの時と違って、ただ調味料を振って焼くだけ以外にも他の味も仕込んでありますし、別の食材も持って来ていますから、偏った食事にはならないと思います。

 お肉ばかりを食べているとシアが必ず私に美味しくない野菜か果実を持って来るので、いつもは我慢して食べています。

 あの純粋な瞳で差し出されたら例え不味くてもシアが私の健康の為に用意してくれた物なのですから、食べないという選択肢はありません。

 幸いなことに私は極端な好き嫌いはありませんので、少しぐらいは表情に出てしまうかもしれませんが、美味しそうに食べれているはずです。

 トリスの町に着いてからは、ちゃんとした食生活をしていたので、不味い物を食べなくて済むようになりましたから、2人きりの生活も良いのですが……ある程度の人が住む町で暮らすのは大事ですね。

 物思いに耽るのはいいとして、今は食事を取ってからしっかりと休まないといけません。

 特にコレットちゃんは魔力が尽きかけていましたので、しっかりと休養を取らないと明日の探索にも影響します。

 移動中に本人に聞いたのですが、先ほどの争いも大して魔力が残っていなかったのに虚勢を張っていただけなのです。

 ゲイルさんは呆れていましたが、仮に戦いになっても命までは取られないとは思っていたそうです。

 ただし……死なない程度にボコボコにされるかもしれないと心配していたのです。

 確かシアは魔人形の話が出た時に「量産型は、私の敵ではありません」と、言っていました。

 なので、仮に戦いになってもシアが相手の魔人形を破壊して終わっていたのかもしれません。

 シアが言うには警戒すべきは最後に話したライラさんという女性の方だと言っています。

 あの色っぽい大人の女性の方が強いのかと思ったのですが、シアの見解は自分と同じ存在かもしれないという事です!

 シアには生物を識別ができる能力があるのです。

 お蔭で、2人で森にいた時もどこから魔物が現れるかを教えてくれるので、最初から心構えができました。

 現在も探索をしている地下迷宮でもシアが先頭を進んでいるので、事前にどのくらいの規模の魔物がいるかも知ることができます。

 なので、あの時に人とは別に魔人形も生物とは別に感知していたのですが、ライラさんだけは何か存在しているとしか識別ができなかったそうです。

 この反応を示すのは現時点では自分以外にいなかったので、そう判断したと教えてくれました。

 シアと一緒に食事の用意をしている時に話していたので、疲れて寝転がっていたコレットちゃんは、目が覚めたのかシアに話しかけてきました。

 ここで休むことにすると決めたら、コレットちゃんはその場で魔法の指輪からシートを出すとすぐに倒れて眠っていたのですが、疲れているふりをして食事の支度を1人だけサボろうとしていたのですね?

 今回の功労者なので私は構わないと思いますが、ゲイルさん達はまたもや呆れています。

 ゲイルさんは「年長者なのにサボることだけは優秀だな……」と聞こえるように呟いていましたが、コレットちゃんの関心は、あのライラさんという女性に向いていますので、まったく聞いていません。


「シアよ! 今の話は本当なのか!?」


「今の話というのは、焼き加減のことですか?」


「違うのじゃ! 肉の焼き加減ではなく、ライラがお主と同じ上位個体……じゃなくて、同じ存在だという話じゃ!」


「今はエルナの手伝いをしていますので、後ほど答えます」


「わらわは、いま聞きたいのじゃ!」


「コレットも手伝えば早く終わりますので、手伝うことを推奨します」


「……わらわは、精神的に疲れておるので、食事ができるまでは少しでも休んで魔力の回復に努めるとするのじゃ」


「でしたら、邪魔なのであちらで転がっていて下さい」


「わらわが邪魔……ならば、不貞寝してやるのじゃ!!!」


 ちょうどシアに追加の薪を足してもらっていた所だったので、いま焼いていたお肉のこととシアは思ったみたいです。

 いつもはコレットちゃんの魔法で火を付けてくれていたのですが、疲れて眠ってしまいましたからね。

 コレットちゃんが寝てしまったから、シアが代わりを務めてくれているのですよ?

 起きてきてシアに邪魔者扱いされてしまったので、また眠ってしまいましたが、もうすぐにできるから、あまり寝られないと思うのですけど?

 でもコレットちゃんの魔力の回復は大事なので、少しでも休んでもらった方が良いと思います。

 なので、今回はゲイルさんとシャーリーさんが何か近付いてくるか音と気配で周りの警戒をしてくれている間に私とシアが食事の用意をしていたのです。

 いつもは周りの警戒担当はシアです。

 大人しく座っていても、自分の感知範囲に何かが近づくと教えてくれるので、非常に助かっています。

 今回のように周りを囲っていても魔物が私達に気付いて近寄ってくると、シアが壁を飛び越えて始末してしまうので、食事の前に相応しくない景色を見なくても良いから、とても助かっていたりもします。

 こちらに戻ってくる前に必ず血で汚れた手などは洗ってきますので、シアにとっては殆ど作業のようになっています。

 食事の用意は基本的には私が担当しています。

 以前はエリックさんが担当していたのです。

 ゲイルさんは、最低限の事は一通り出来るのですが、普段から火の番や見張りの役目を引き受けていたそうです。

 シャーリーさんは手間を惜しむので、保存食だけ用意してお終いになってしまうので、誰かの補助に回ることが多いです。

 こんな所ですから、贅沢は言えませんが、事前に仕込んで用意してある分だけは、コレットちゃんの魔法の指輪かシアの便利な空間にいれてくれば数日はそこそこの食事がとれます。

 以前までは、水を多めに入れてきていたので、どうしても保存食が多めになっていたのですが、水に関してはシアがいるので解決済みです。

 なので、事前に仕込んでおいた物を多めに持って来ています。

 私の作る食事は、エリックさんには及ばないのですが、そこそこ好評なので食事係を引き受けさせてもらうことにしたのです。

 仕込んできた物は、エリックさんのお店で教えてもらいながら、色々と用意しています。

 コレットちゃんのお家の掃除が終わってからは、お小遣い稼ぎも兼ねて、エリックさんのお店でシアと一緒に働かせてもらっています。

 新婚さんのエリックさんのお嫁さんに新しく入った私達が接客をしていますので、最近はお客さんが増えたと言っていましたので、お役に立てていると思うと嬉しいです!

 そして、何もしないのがコレットちゃんです。

 自分が何かすると邪魔になるだけと言って、横になって仮眠をしているか持参している書物を読んでいます。

 ゲイルさん達は慣れてしまったのか好きにさせていましたが、私は何もしないのは良くないと思って食事の用意を最初の日に手伝ってもらったのですが……余計な仕事が増えたので、私もコレットちゃんには、魔力回復の為に休んでいて欲しいとお願いしました。

 年長者で知識はあっても生活能力があるとは言えないことが私にも良く分かりました。

 考えて見れば、最初にコレットちゃんのお家の惨状を目の当たりにしているのですから、当然の結果でしたね。

 その後、食事をした後にコレットちゃんがシアに先ほどの質問を改めて聞いています。

 私も気になるのですが、ゲイルさん達も気になるようなので、コレットちゃんとシアに話をしてもらって、私達も聞くことにしました。

 

「落ち着いた所で、さっきの話の続きを聞かせてもらうのじゃ!」


「話の続きですか? あの時は火の勢いが落ちていたので、新たに追加の薪を出して……」


「違う!!! その前に話していたライラの事じゃ! 肉の焼き加減の話はいらんのじゃ!」


「あのライラと呼ばれていた『個体』の詳細で良いのでしょうか?」


「そうじゃ! いつもヴァイスの奴と行動を共にしておった者じゃが、あやつは人ではないのじゃな?」


「恐らく違います。私と同じ識別反応をしていました」


「その識別反応というのはどういうことなのじゃ?」


「私の感知範囲に入ると魔核を持たない生命体と魔核を持っている生命体もしくは疑似生命体を感知ができます。もう1つはコアを中核とした生命を持たない動く無機物を感知します」


「ふむ……要するにシアは、生命を持つ人と魔物の他に魔道人形の3種類の感知ができることで間違いないのじゃな?」


「その認識で正しいです」


「それで、ライラはどのように感知したのじゃ?」


「あの者は私と同じ生命を持った無機物として感知しました」


「すると……あやつも上位個体という事か……いや! これはライラの事を言っていて、決してシアの事ではないからの!?」


 私が2人の話を聞いていたので、コレットちゃんが私の視線に気付いて急いで言い直しています。

 私としては、シアの事を物扱いをしなければ何も言いません。


「コレットちゃん、大丈夫ですよ? シアの悪口でなければ、私は何も言いませんよ?」


「う、うむ……シアはわらわ達の大事な仲間じゃからの! じゃが……その笑っていない目で見るのは止めぬか?」


「コレットちゃんの言っている意味が分らないのですが、どうぞ話を続けて下さい」


「お主のその反応が怖いのじゃ……お主の機嫌が悪くなるとシアにまで影響しているのか、相手にされなくなるのじゃ。で、では話を続けるが、ライラ奴の能力とかは分るのか?」


「分かりません。特徴的な行動をするか、戦ってみなければ判断ができません」


「特徴的のぉ……」


「コレットが知る限りの特徴の情報次第では、属性の特定が可能です」


「あやつとは、普通の会話しかしたことがないからの……一緒に地下迷宮に潜った時も何もしてないのじゃ。常にヴァイスの背後にいるだけなのじゃが、魔人形が必ず前におるし、ヴァイスの剣の腕も中々だからの……」


 あの女性は何もしていないのですか?

 魔物が襲ってくる地下迷宮で、戦えない人を連れてくるのは危険なのかと思いますが、シアと同じ存在なのでしたら、単に実力を見せていないだけなのではないでしょうか?

 シアは肉弾戦で戦いますが、あの女性も同じなのでしょうか?

 でも、あの服装でシアと同じ事をしてしまうと色々と問題があると思うので、きっと強い魔法が使えるのかもしれませんね。


「まあ、分らんことを考えても仕方がないの。もう1つ話が変わるがシアはライラと戦って勝てるのか?」


「わかりません。相性次第では、非戦闘型が戦闘型に勝つ事もあります」


「なに!? 非戦闘型などという存在がいるのか!?」


「私の身体情報が正しければ、私は防御重視型です」


「なんじゃと!!! お主が防御型だと言うのか!? その強さであり得ないのじゃ……それではフィスの奴は……」


 コレットちゃんがとても驚いています。

 シアは、私を守ってくれる頼もしい恋人なのですから、強いのはとても頼もしいかと思いますよ? 

 私と同じように2人の話を聞いていたゲイルさんとシャーリーさんも驚いていましたが、強いのなら頼りになるので気にしないみたいです。

 それから、コレットちゃんは考え事をしだしたので、質問は終わりのようです。

 話が終わったようなので、シアにいつもの包みを出してもらいます。

 中身は、私が作ったクッキーです。

 食後は隣にいるシアに食べさせてあげるのが私の日課です。

 私が一枚づつ差し出すと、それを食べてくれるので餌付けをしているみたいで可愛いのです!

 美味しそうに食べてくれるので、私の心も温かい気持ちになってきます。

 私も毎日眠る前にシアに飲むように言われている錠剤があります。

 以前に栄養が偏らないように摂取するように言われていた不味い果実や野菜の代わりらしいのですが、これは水で飲んでしまうので特に味もしないので、言われた通りに飲んでいます。

 何の薬かいくら聞いても「エルナの体調管理の為です」としか教えてくれません。

 私の為と言われると断るわけにもいけないので、シアを信じて飲んでいます。

 心なしか常に体調が良いと思うので、この薬のお蔭と思っています。

 その後は、片づけをしてから、本日は眠ることにしました。

 私達が眠っている間は、シアが警戒してくれるので、全員がしっかりと休息を取れるのはとても助かります。

 時間的に朝がくればシアが起こしてくれるのですから、今日もシアの膝枕で良い夢が見れる事を祈りつつ休みたいと思います。


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