魔法金属
ゲイルさんとコレットちゃんが仲良く?話し合っている内にシアが私達が担当していた魔物を解体して、素材と魔核と大きな鎌を持ってきました。
素材と魔核は分かりますが、どうして魔物が使っていた鎌まで持って来たのでしょうか?
それにしても、右手には魔核と大鎌を脇に挟んで、左手には最初に切断された尻尾の先を掴んで引きずっています。
魔核は既に水で洗ってあるのか、血で汚れていません。
あの便利な空間に入れてしまえばいいのに器用に掴んで持ってきました。
小型のサソリの魔核は私とシャーリーさんで2人が話している内にコツコツと回収をしています。
解体用の小型のナイフで取り出しましたが、私も慣れたものです。
今までは、シアが全て回収していたのですが、今回からはみんなと分け合うのですから、どこにあるのかを聞きながら私も解体をして取り出しています。
最初の内は上手く出来なかったので、血がいっぱい付いたりして抵抗がありましたが、肉料理の仕込みと思えばさほど気にならなくなりました。
汚れた手も作業が終わるとシアが水を出してくれるので、直ぐに洗えます。
私もこの短期間で事務的にこなすようになりました。
コレットちゃんの魔法で焼き尽くされた魔物の魔核はそのまま転がっていましたので回収は楽でしたが、今回はいっぱいあります。
いくらになるのか知りませんが、私のお小遣いの為にもちゃんと回収をしたいと思います。
シアがゲイルさんとコレットちゃんの話が終わる頃を見計らって話しかけています。
話し終るのをちゃんと待っているなんて、シアはとても良い子ですね!
「これはそちらの取り分です」
「おっ、悪いな」
「素材に関しては、この尻尾だけ持っていけば十分に価値があると判断します。後は、この武器は使い道があるので、回収して置くのが良いです」
「こんな質のいい魔核を手にいれたのは初めてだ。苦労した甲斐があったな。それで、あのサソリ野郎の素材は尻尾だけで良いのか?」
「本体は損傷が激しいので、買い叩かれてしまうと判断しました。尻尾に関しては魔力が集まっている部分なので、魔力多く浸透した甲殻と判断されます」
「なるほど。初めての相手だから、どこが価値があるのか分らんから、シア嬢ちゃんの判断に任せるとして、この鎌はいるのか?」
「これの材質は『ミスリル合金』です」
「まじか!」
「これを材料にして、ゲイルの剣として作り直すのを提案いたします」
「俺もやっとシャーリーみたいな剣が手に入るぜ! それにこの大きさなら、この剣と同じ物が作れそうだが、混ざっている金属の材質は分るか?」
「分かりません。分かるのはミスリルの比率が6割を占めていると判断します」
「半分以上もあるとはシャーリーの剣より多いな。何にしてもこれで剣を作れば、剣の心配をしなくて済むのは助かるぜ」
ゲイルさんがとても喜んでいます。
ミスリルは貴重な金属と聞いていますが合金とは何なのでしょうか?
比率と言っていますので、他の材質が混ざっているのだと判断しますが、シャーリーさんの剣も同じみたいなのですが、何が良いのでしょうか?
私は、純粋なミスリルのみの方が良いような気がするのです?
いつもなら、質問大好きなコレットちゃんは、古代人に関係する事ではないので、黙っているというか……先程の金額をブツブツと呟いていますので、話に参加していないみたいです。
気になるので、私も質問をしてみましょう。
「あの……少し聞きたいのですが、『ミスリル合金』とは何なのでしょうか?」
ゲイルさんが説明しょうとする前にシャーリーさんが話しかけてきました。
「ミスリルと別の金属を混ぜ合わせた金属よ」
私の予想通りでした。
では、混ぜている理由は何なのでしょうか?
「金属を混ぜると何か良いのですか? 確か、ミスリルは貴重な金属と聞いていますので、混ぜない方が良いと私は思うのです?」
「私の剣も同じなんだけど、ミスリル自体はそれほど強度のある金属ではないの。魔力を通しやすい金属というだけなのよ。だから、一般的には表面をコーティングするかある程度の比率で強度のある材料と混ぜ合わせた方が強い武器が作れるわ」
「魔力を通しやすいと何が良いのですか?」
「通常では刃が通らない相手にも通るようになるわ。私も斬り込むタイミングで少しづつ魔力を剣に流しているから、普通の剣よりは切れ味が良いのです。それに属性付与ができる魔導士がいれば一定の時間だけ属性剣として使えるので、便利なのよ」
「それはすごいことですね!」
「ミスリルだけで、武器を作る場合は魔導士の杖になります。コレットが持っている杖がそうよ」
「あの杖もミスリルだったのですね。そうするとゲイルさんだけが持っていなかったので、今回の件で手に入ることになりますね!」
「そうなるけど、エルナちゃんの剣も作ってもらいましょうね。シアちゃんが材質を知っていて持ってきたのですから、もう一体が持っていた武器は当然回収しているわよね?」
シャーリーさんが話をシアに振ると無言で頷いています。
あの便利な空間から、少しだけ掴んで見せてくれました。
私も良い剣が手に入りそうですが、私には魔力が無いので、宝の持ち腐れになるかも知れません。
ですが、誰かに付与をしてもらえば、私にも魔法が掛かった剣が使えるようになると思うと少しだけ期待いたします!
「後は、もしも欠けてしまっても少量のミスリルがあれば刃こぼれぐらいは直せるのが利点なの。修理費は掛かるけど、改めて同じ剣を買うよりは経済的よ?」
「それは便利ですね。そうなるとシャーリーさんの剣はいくらだったのですか? 話を聞いているととても高価な物だと思うのですが?」
私のお父様も持っていましたが、とても高価な剣としか聞いていません。
実際の所は抜いた所も見たことがないので、本物かも怪しいところです。
うちは名ばかりの貧乏な貴族でしたから、借金をしていないだけましなぐらいです。
浪費家のお母様と姉が無駄遣いをしなければ、お父様も苦労をしなくて済むと執事さんが言っていたのを覚えています。
「うーん……この剣は確か比率が3割ぐらいのはずだから、大事に使えば良い剣の部類ね。それでも結構したんだけど、半分はあいつが出してくれたからね」
ゲイルさんの方を見ながら、少し照れた感じで話してくれました。
酔ってもいないのにシャーリーさんの表情が緩んでいます。
もしかして、お2人は恋人もしくは夫婦だったのですか?
「今更とは思いますが、お2人は恋人だったりするのですか? 雰囲気的にもとても親しい感じもしますので、お似合いだと思います」
「一応はね。昔からの知り合いで、そのままの流れなんだけど……なんだかんだで、私を優先してくれるし相性も悪くないし……私がこんなんでも飲んだ後の後始末は必ずしてくれるからね。この剣だって、私の安全が優先と考えて購入することになったから、大事に使っているの」
シャーリーさんが恋する乙女のような表情でゲイルさんとのことを話してくれました。
意外な所から、お2人の関係が聞けました。
ここが地下迷宮の中でなければ、そのままお聞きしたい所ですが、危険な場所なので長居はできません。
本来でしたら、コレットちゃんの魔力が回復するまでは休みたいところなのですが、ここは必ず魔物が再発生する空間なので、危険とシアが言うのです。
私としても、とても疲れたのでこのままここで休息を取るのが良いかと思っていたのですが、あのサソリさんがいっぱい発生したら、それは脅威です。
しかも、ガーディアンの方の魔物が現れたら、次は逃げるしかありません。
それまでにコレットちゃんの魔力が回復していれば倒せるかも知れませんが、コレットちゃんの魔力は殆ど空っぽに近いみたいなので、一晩は休むのが最善です。
現状のコレットちゃんもゲイルさんとの会話で更に精神的なダメージを負ってしまったので、いつもの元気もありせん。
取り敢えずは、ここから移動をして別の場所で休息を取る案になりました。
来た通路に戻ろうとするとシアが立ち止まって、私達に警戒するように合図をしています。
もしかして、魔物が現れたのでしょうか?
先ほどのように強敵ではなければ、シアだけでも十分に対抗ができます。
ですが、シアが一言「複数の何かが近づいてきます」と警告してくれました。
シアは魔物とは言っていませんので、もしかしたら別の冒険者の方達かもしれません。
私達も警戒をしながら、通路に戻ろうとすると目の前には多くの人がいます。
相手の方達の方を見ると10人以上はいます。
その中で代表と思われる人物が前で出てきました。
ゲイルさんは、嫌な相手に出会ったような表情をしていますが、知り合いなのでしょうか?
知り合いなのでしたら、何も問題はないと思います。
相手の方は、ゲイルさんを確認すると驚いた表情をしていましたが、直ぐに元の表情に戻っています。
私達を見て品定めでもしているような目で見ているので、私としてはあまりお友達になりたいと思えません。
他の方達は、とても色っぽい服装をしている女性と見た感じで戦士系の方が3人と魔導士の方が2人と法衣を着ている方が1人います。
残りの方達は、瞳に意思がないというか……まるでお人形さんのような感じがしますが、あの人達は魔人形さんなのでしょうか?
トリスの町で見かけた魔人形さんは、もう少し人に近い感じがしたのですが、目の前にいる方達は瞳に生気を感じない完全なお人形さんに見えます。
ちゃんと数えると5体もいますので、あれが戦闘用の魔人形だとしたら、どのくらいの強さを誇るのでしょうか?
シアに匹敵する強さだとしたら、恐ろしい戦力とも言えます。
雰囲気的にこのまま見逃してくれなさそうなのですが、私としては何も起こらないと思いたいです。




