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Eighth Doll  作者: セリカ
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勝利の代償


「穿つは大気の意思 集約せし力よ我が敵を撃て エアリアル・ニードル!」


 コレットちゃんが片方の魔物に集中して、風で作り出した槍を撃ち出しました!

 以前に見た時よりも数が減って12本になっています。

 ですが、集約された風の密度が濃くなっているのは、私にも分ります。

 撃ちだされた魔法は、身動きが取れない1体の魔物に全て当たると思われたのですが、何本かは防がれてしまいました。

 手に持っていた大きな鎌で受け止めたのも驚きましたが、尻尾が光ると前面に数枚の光る盾のような物が出現したのです!

 もう片方の魔物も同じ魔法を使ってコレットちゃんの魔法を防いだのですが、盾の間をすり抜けた魔法が何本かは命中しています。

 そこにシアが単発の風の槍を作り出して、標的にしていた尻尾に命中させました!

 シアは、単発の魔法と言っていましたが、その威力はコレットちゃんの魔法よりも強力な一撃です。

 尻尾の前方はあちらが作り出した盾が完全に防御していたのですが、それを突き破って尻尾の付け根に命中させて切断してしまいました。

 尻尾が無くなったことで、片方の魔物は作り出していた魔法の盾が消えてしまいました。

 これによって、魔法が使えなくなった状態になりました。

 そして、コレットちゃんの魔法が命中したいくつかの場所は、体に大きな穴が空いていたり魔物の下半身は足も何本か失っています。

 大きさの割には素早い動きで、シアを苦戦させていた機動力も失われてしまったようです。

 まともに動けるのは上半身だけになってしまったので、あの大きな鎌に注意をすれば私達でも何とかなる様な気がしてきました。

 シアは、そのまま無傷に近い魔物に対して戦いを挑んでいます。

 大振りの鎌の攻撃を回避しながら、殴ったり蹴ったりしています。

 相方のフォローがなくなった事で、シアに戦う余裕ができたみたいなので、少しづつ相手を押しています。

 動きを鈍くする為に足を何本か引きちぎったりすると魔法が使えないようにあちらさんの尻尾も切断しています。

 こうなってしまえば、切れ味の良さそうな大きな大鎌だけです。

 あの鎌はシアが打撃を与えてもへこむなどの変化も無いので、とても硬い材質なのだと思います。

 大振りの攻撃ですが、シアは必ず躱していますので、斬られたりしたらシアも無傷では済まないのかと思います。

 私はシアが傷ついた所を見たことがないのですが、あれで斬られたら、もしかすると……と、思うと心配で仕方がありません。

 ですが、状況的に見てもシアがこのまま倒してしまうのは間違いがないので、問題はないと思います。

 そして、こちらの状況なのですが、ゲイルさんが正面から相手をしています。

 脅威を感じるのは両手で振るっている大鎌だけなので、力のあるゲイルさんが受けている間に私とシャーリーさんが少しづつ斬りつけている状況です。

 下半身は硬い甲殻で覆われていますが、上半身は人の姿をしていますので、私の剣でも斬ることができます。

 ただし、甲殻よりはましなだけで、筋肉の鎧に深く剣が通らないので、なるべく同じ所斬りつけているので、例えるのでしたら、大樹を斧で倒そうとしているみたいです。

 私やシャーリーさんはゲイルさんのように腕力はありませんので、硬い相手にはコツコツと攻撃するしかありません。

 そんな事をしていたら、当然のように私も狙われてしまいますが、そこはゲイルさんが休みなく攻撃を仕掛けているので、相手もこちらに攻撃する余裕は無いみたいです。

 残っている足がたまに振り払おうとしますが、その時はコレットちゃんが傷付けた部分に剣を刺したりすると動きが少し鈍るので、距離を取りつつ別の場所を斬りつけています。

 少しづつ相手の動きが鈍った所に先ほどの魔法の使用で倒れていたコレットちゃんがシアに対抗して、単発の魔法攻撃を頭部に命中させて倒してしまいました。

 ゲイルさんはちょっと唖然としていましたがどうしたのでしょうか?

 シアの方も戦闘は終了しているので、私達の勝利です!

 今回は手負いでしたが、シアにしか倒せない強敵を倒せたので、とても嬉しいです!


「見たか! わらわの華麗なる魔法で、倒したのじゃ!」


 コレットちゃんが嬉しそうに勝利宣言をしています。

 私も少しは役に立てたと思いますので、嬉しく思います。

 いつの間にか私の隣にシアがいますが、シアが担当をした魔物は既に解体されたのか体の一部が見当たりません。

 ゲイルさんに頼まれて、大して重量を圧迫しない価値のある部分は回収して欲しいと頼まれていたので、多分ですが回収をしたのだと思います。

 私達の戦闘は先ほど終わったばかりなのに仕事が早いです。

 戦いが終わって一息つけると思ったら、ゲイルさんがコレットちゃんに近付いて行きます。

 珍しく褒めてあげるのでしょうか?

 いつもは好き放題に魔法を使っているので、迷惑を掛けていると言っていましたが、今回はしっかりと貢献をしていると思います。


「おい、コレット。最後のあれはなんだ?」


「ん? わらわの残っている魔力を高めて、あやつの頭を撃ち抜いてやったのじゃ! シアで、あの威力なら、わらわにも貫通ができるぐらいの威力はあると思って使ったのじゃ。お主達が相手をしておったお蔭で、簡単に狙えて楽だったのじゃ!」


「戦いを早く終わらせるという点については判断は間違っていない……だがな、俺がもう少しでとどめを刺せたんだよな。時間を掛けて、あのクソ重い鎌の攻撃に耐えてもう少しで俺が倒せる所だったのに美味しいところを持っていきやがって……。」


「そうなのか? まあ、男が細かいことを気にしてはいかん! はっははは!」


「こいつは……たまには、その男を立てろよ。特に今回は、俺の新しい剣がこいつの所為で刃が欠けまくってボロボロだ。とどめぐらいは刺せないと、この剣が哀れだわ」


「確か、今回の探索の為に買った剣じゃったな? そういう事なら仕方がないので、町に戻ったら、わらわが同じ剣ぐらいは買ってやるのじゃ」


「その言葉を忘れるなよ? 言っておくが、この剣は約8000ギルもした強化付与付きの剣だからな」


 とても高い剣です。

 シアの服よりも高価な品物なのですか……私があの時にそれだけのお金を持っていましたら、シアとお揃いになるように私の服も新調していたに違いありません。

 そして金額を聞いて、コレットちゃんも驚いています。


「そのボロになった剣が8000ギルだと!!! 一回の戦闘でそんなにボロボロになるなんて、硬いだけの安物の間違いじゃ!」


「通常の剣よりも強度の強化付与がしてあったんだが……あのサソリ野郎の鎌を受けていたら、少しづつ欠けていきやがったんだよ。倒したのはいいが俺は大損だ。まあ、コレットが新しい剣を買ってくれると約束してくれたから、助かるが」


「強化付与がしてある剣がそんな簡単にボロ剣になるか! きっと武器屋に騙されたのじゃ!」


「いや、あの野郎の鎌以外は、殆ど刃こぼれしなかったから、いつもの剣よりは良かったぜ? そうなると……あの鎌の強度がおかしいのかも知れんが公言したからには買ってくれよ。なんたって、コレットは人生の大先輩なんだから、嘘なんて付かんよな?」


「ぐっぬぬぬ……たかが剣ごときにそんな大金を払わなければいかんのか……8000ギルもあったら、古代人に関する書物が何冊買えると思っているのじゃ……」


 ゲイルさんは、新しい剣を買ってもらうとコレットちゃんから言質を取ったので満足そうです。

 一方のコレットちゃんは、余計な事を言ってしまったと呟いています。

 あのままゲイルさんが倒していれば、何も言われなかったと思いますが、私から見ても魔物の動きが鈍くなっていましたので、ゲイルさんの実力なら、あそこまで弱らせているのですから、倒せたはずです。

 私とシャーリーさんもお互いに誰かに必ず注意が向くように交互に攻撃していましたので、相手も1人に集中ができていませんでした。

 最初にコレットちゃんがかなりのダメージを与えたのですから、私としては動きがとても鈍くなっていたので、とても助かったと思います。

 小型の魔物の大半を倒したのもコレットちゃんなのですから、一番の貢献したのはコレットちゃんです。

 でも、ゲイルさんの言い分も理解ができますので、ここは年長者のコレットちゃんが広い心で最後の功績ぐらいは譲っても良かったと思うのですが……コレットちゃんは魔法に関しては目立ちたいというか自分はすごいと自慢する傾向がありますので、子供みたいな所があるのです。

 特に今回の探索は、シアに使う魔法を制限されていたので、殆どの戦闘で魔力の消費を抑えるように厳命されていました。

 シアが言うにはいざという時の為に魔力は温存しておかないと予期せぬ相手と遭遇した時に強力な魔法が使えるのと使えないのでは危険度が抑えられると言われています。

 私としては、コレットちゃんの好きにさせてあげたいと思っているのですが、戦闘に関してはシアの意見に従うと決めていますし、魔物と遭遇をしても殆どシアが倒してしまうのですから、今回のようなことがなければ、強力な魔法を使う必要もないのも事実です。

 何はともあれ、鍵を持っている魔物を無事に倒せたのですから、良かったと思います!


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