表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eighth Doll  作者: セリカ
3/141

可愛い子に助けられました


 私は死を覚悟したはずなのですが、ひとまずは助かりました。

 この少女のお蔭でなのですが、このような所にいるのですから冒険者の方なのでしょうか?

 他にお仲間の方は見当たりませんので、少女が1人だけみたいです。

 私が疑問に思っていると、こちらを向いたのですが、とても可愛らしい少女です!

 私を不思議な物を見るように見ていますが、私の印象はまるでお人形のような少女が原寸大で現れたのかと思いました。

 もしかしたら、女神様が私のお願いを聞き届けてこの少女を遣わしてくれたのでしょうか?

 服装の方は……とてもみすぼらしいのですが、体の方は汚れている私よりも清潔そうです。

 こんな状況下ですが、もっときちんとした服装で着飾ればとても愛らしい少女になるのは間違いありせん!

 私の妄想が発動している間も少女は私をずっと見ています。

 私が正気に戻ると少女が質問をしてきました。


「助けが必要ですか?」


 とても可愛い声です!

 ですが私を助けてくれるのは嬉しいのですが、この状況を見てもこの子があの魔物を倒せるとは思えません。

 それ以前に、転がっている魔物はどのように転がしたのでしょうか?

 私が悩んでいると……。


「不要でしたら私はこのまま去ります」


「待って下さい! 私は貴女が欲しいので行かないで下さい!」


「……」


 少女が黙り込んでしまいました……つい私の本音が出てしまいました。

 助けてくれる選択肢よりも自分の欲望を優先をした願望を言ってしまうなんて、私はそれ程にこの子に運命を感じているのかも知れません。

 

「それでどうしますか?」


「助けてもらえるのでしたら助けて下さい。私にはどうすることもできません。それに魔物は何匹もいますが、大丈夫なのでしょうか?」


「わかりました。私は貴女を助けることにします」


 少女が答えると同時に、倒れていた魔物が全て起き上がって一斉に襲ってきます!

 少女は私と向き合ったままなのですが、このままでは私よりも先に少女が殺されてしまいます!

 私が少女を抱き寄せようとしますが、まるで後ろの状況が分っているかのように振り向くと、少女の正面にいくつもの魔法の光球が現れて撃ちだされて魔物を全て弾いてしまいました!

 この少女は魔法が使えたようです。

 私達が苦戦した魔物を一度に相手にするなんてすごいです!

 そのまま倒れている魔物に近付くと、手を付き刺してとどめを刺しています。

 刃物も使わずに突き殺してしまうのですが……私の可愛い子の手が魔物の血で汚れています……。

 全ての魔物に同じ事をすると、目の前に水の塊が現れて、その水で手についた血を洗い流すと私の所に戻って来ます。


「終わりました。それでは私は行きます」


「待って下さい!」


 私にそう告げると去ろうとしたので、言葉を掛けながら足の痛みを堪えて少女に抱き着こうとしたのですが、私が掴んだのは少女の足でした。

 細くて綺麗な足です……このまま掴んでいたい誘惑に負けそうになります。

 少女はそのままの体勢で止まってくれましたが、首だけかしげて無気力そうな目で私を見ています。

 私の勘が、ここでこの子を手放してしまったら一生後悔すると言っています!

 とても強くて可愛いこの子を自分のものにしたいと私の心は望んでいるのです!

 

「待つのはいいのですが、他に何かあるのですか?」


「その前に助けてくれたお礼が言いたいのです。私を助けてくれてありがとうございました! 私はエルナと申しますが、宜しければ貴女のお名前を教えてくれませんか?」


 私のお礼の言葉に対しても表情の変化がみられないのですが。この子は本当にお人形のような子ですね?

 私がじっと言葉を待っていると……。


「魔核が必要でしたので、ついでに助けただけです。なので、お礼は不要です。状況は見ていましたが、戦闘をする素振りを見せないので戦えないのではと判断しました。もしかしたら貴女の獲物かと思ったので一応は聞いてみたのです。私の形式名称は……エ……なんとかと名付けられたはずです」


 私を助けたのは魔核を手に入れるついでだったようです。

 魔核とは魔物の心臓部だったはずです。

 先程の行動は魔物のとどめと魔核の回収だったと思いますが、手に何も持っていませんでしたよね?

 この子の名前はエ……なんとかと言うそうですが、忘れてしまっているようなので自分の名前に関心が無いようです。

 どちらにしても私の命の恩人には違いありませんので、何としても私に関心を持ってもらいます!

 私が立ち上がろうとして足の痛みで倒れると、怪我をしている私の足に手で触れてくれます。

 さすってくれるのでしょうか?

 私としてはその愛らしい手で足以外もさすって欲しいのですが……。


「もしかして怪我をしているので、立てないのですか?」


 私の足の怪我を心配して触れていてくれたようです。

 心配されているのですから、私に関心を持ってくれたのですよね?

 このまま肩を借りて外まで連れて行ってくれれば……その間はこの子を触り放題に……。


「ええ。落ちてしまった時に足を痛めてしまって立つのもつらいのです……ご迷惑かも知れませんが、このまま外まで肩を貸して欲しいのです。町に戻ったら、お礼は致しますので……」


 私が言い終える前に何か呟いていますが、何か確認のような言葉を呟いています?

 どうしたのでしょうか?


「生物の怪我を治すにはどの魔法を解放すれば良いのでしょう? あの魔物が使っていたこれだと思います。現在の蓄積で足りますので習得します。習得が出来ました」


 魔法の解放?

 現在の蓄積とは何なのでしょうか?

 それに習得をしましたとは意味がわかりません?

 私が考えていると、少女が私の腫れている足に手を翳すと温かい光が発生して痛みが引いていきます!

 この子は回復魔法まで使えるのですか!?

 しばらくすると足の痛みも無くなりました。

 ついでに私の擦り傷などの怪我も全て治してくれました!

 肩を借りて密着しまくる予定が無くなってしまいましたが、怪我を治してくれたのですから感謝しかありません!

 この子は私の天使なのですか!?


「これで貴女の治療は完了したはずです」


「ありがとうございます! 貴女は回復魔法まで使えるのですね?」


「使えませんでしたが、いま習得しただけです。記録はされていましたが、解放はしていなかったのです。初歩の回復魔法なので習得コストは少しで済みました」


「いま習得をしたのですか? 魔法は高価な魔導書か販売しているスクロールを使わないと習得が出来ないはずです? 蓄積とは何なのでしょうか?」


「記録があるので習得をしたのです。蓄積は蓄積です」


 回答になってはいません。

 ですが、この子の様子を見ているとそれ以外に答えられないと思います。


「そうですか……ですが治療のお礼がしたいのですが、今はこれしか持っていないので、受け取って下さい」


 私にとって貴重な食料のクッキーです。

 しかし、今の私にはこれしか差し上げる物がありません。

 この子が私を望むのでしたら、この身を進呈しても良いのですが……いきなりは無理かと思いますので、いまは我慢します!

 私が差し出した包みを手に取ると中身が食べ物と分ると食べてくれました。

 一口食べると無表情だったのに少しだけ美味しそうに食べています。

 気が付けば、全てを食べた後に私の方をずっと見ています。

 正確には私の手元なのですが、私としては目と目で見つめ合いたい所です。

 ですが、私に興味を持ってくれたようです。


「美味しかったですか?」


「変換率は大したことはありませんでしたが、もっと食べたいと思いました。まだありますか?」


「変換率とは意味が分りませんのですが、美味しかったのでしたら良かったです! 貴女が望むのでしたら、もっと差し上げたいのですが……今はもう無いのです」


「そうですか……」


 クッキーがもっと欲しいみたいなので、これを理由にしてこの子と一緒に居られるようにしましょう!

 この子と一緒に居れば魔物と遭遇しても助かりますし、それ以上に私の好みの子なのですから、そのまま私のものにしたいのです!

 どうも世間に疎いようなので、私の色に染めてしまえば私のことを慕う可愛い子になってくれるかも知れません。

 そうと決まれば、私の願望と生き残る為にもこの子と仲良くなりましょう!


「今のお菓子は私が作った物ですから材料があれば作ることが可能なのですが……」


「材料があれば作れるのですね? どこに行けば手に入るのですか?」


「町に行けば手に入ります。その為にも今はここから地上に戻りたいのですが、道は分かりますか?」


「町……私はこの地域から出たことは無いのですが、地上に戻る道は知っています」


「では、まずは地上に戻りませんか? 出来れば私を守って欲しいのですが……駄目でしょうか?」


「問題ありません。この階層の魔物はあらかた狩り尽したので、しばらくは用がありませんから戻る所でしたから」


「魔物を狩り尽したと聞こえましたが、この洞窟の規模はどのくらいなのか知っているのですか?」


「この地域の中規模の階層です。この階層はここが最後の部屋です」


「それでしたら私も一緒に連れて行ってください」


「分かりました。ではついてきて下さい」


「はい! お願いしますね!」


 私が返事をすると、少女が進んで行くのでついて行くことにしました。

 これで、私の頼もしい可愛い子が得られました!

 どのくらいの規模の洞窟なのか知りませんが、魔物を全て狩り尽すなんてとても心強い子ですね!

 外に出るまでの時間は分かりませんが、私の今後の為にも外に出るまでに何としても仲良くなりましょう!

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ