表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eighth Doll  作者: セリカ
29/141

戦闘の取り決め


 迷宮の第2階層探索を始めて4日程が経過しています。

 現在の所は、無事に探索を進められていると思います。

 探索と言っても、私達の場合は普通の方達と違ってシアが先導をしてくれますので、付いていっているというのが正解かも知れません。

 進む順番は、シアを先頭にコレットちゃんを中心に私とシャーリーさんが両脇を固めて、ゲイルさんに背後を警戒してもらっています。

 迷宮の通路は一階層よりも広くなっているので、全方位の警戒が必要なのです。

 この2階層で集団の魔物に襲われると気付かない内に囲まれてしまう恐れもあります。

 中には狭い通路もあるのですが、殆どが広く長い通路になっています。

 歩いているとシアが立ち止まりました。

 どうも何かが近づいてくることに気付いたみたいです。


「前方から、中規模の生体反応が接近してきます」


「中規模とは、どのくらいなの?」


 シアの答えにシャーリーさんが質問をしています。

 町の中と違って酔っていないので、冷静な大人のお姉さんに見えます。

 

「正確な反応は、小型が24体、中型が7体、大型が1体になります」


「シアちゃん、それは中規模とは言えないわ」


「だな。普通に遭遇したら、全力で逃げるしかないレベルだ」


 シャーリーさんがシアの意見を訂正するとゲイルさんも同意しています。

 私もそんな数に遭遇したら、絶対に助からないと思います。


「ふん! ならば、今回こそは、わらわの魔法が活躍するのじゃな!」


 この数でしたら、最初にコレットちゃんの威力の上がった魔法が見れそうです。

 ですが、シアがまたしてもコレットちゃんに指示を出しています。


「今回も私が数を減らすので、コレットの魔力は温存をして下さい」


 毎回のように繰り返されている事なのですが、コレットちゃんは魔法を使わせてもらえません。


「……またか! わらわの改良した魔法と新しい魔法がいつまで経っても披露できんでわないか!」


「消費の大きい範囲魔法が使いたいと判断します。私と違って、コレットの魔力は回復が遅いので、通常戦闘では温存しておくのが望ましいと判断します」


「もう、ずっとではないか! 使えたとしても、接近された魔物に単発の魔法だけしか使えないから、わらわは不満なのじゃ! それにわらわはエルフなのだから、魔力の回復力は普通の者よりも速いのじゃ!」


「大きい魔法は、魔力の消費が大きいので、控えるべきです。使うのは回復が追いつく単発の魔法に限定して下さい。私との距離が離れている時に相手の数が多い時にだけにして下さい」


「その状況にならんではないか……第一にシアが殆ど倒してしまうから、わらわ達は自分達に近付いてくる残りを倒しているだけじゃぞ……」


 コレットちゃんが言うように、私達は囲まれない限りは、最初にシアが先制攻撃で殆ど倒してしまうので、私達はその残りを倒しているだけなのです。


「私は、安全で最も効率的な戦い方を推奨しているだけです。この階層は集団が多い為、強力な魔法が使える者は可能な限り魔力の維持が最優先です。私が離れている間にエルナを危険に晒すというのであれば、エルナを守れる範囲でしか私は行動を致しません。その場合は、ゲイル達の体力の消耗が増します。その結果、探索のペースが落ちます」


 シアの言葉にゲイルさんとシャーリーさんも賛成のようです。


「コレットよ。まあ、シア嬢ちゃんのお蔭で、俺達は倒せる範囲の相手だけで済んでいるんだから、ここは従っておこう。本来ならば、倍以上の人数は欲しいところだしな」


「シアちゃんは、何かあった時にコレットがエルナちゃんを守ってくれると信じてくれているのだから、信頼されているのよ?」


「大きな怪我もしてないから、シャーリーの魔力も温存ができているから、理想的に探索しているしな。いつもの俺達だったら、もう逃げるしかないからな……」


「私達の役割はエルナちゃんの護衛が優先と思えばいいのよ」


 私の腕が未熟なので、危なくなったら、3人が助けてくれるのが現状です。

 それなりに私も成長したと思ったのですが、目の前の相手に集中していると、それ以外が疎かになってしまうのです。

 早く私も全体が見渡せるような戦いが出来るようになりたいです。


「分っておるが……仕方ないの……」


 コレットちゃんは渋々承諾してくれたみたいです。

 私が未熟なのがいけないのですが……。


「コレットちゃん、ごめんなさいね。私がもっと強ければ良いのですが……」


「そんなつもりではないのじゃが……単にわらわが欲求不満になっておるだけじゃ。わらわとしては、もっとこう魔法でバンバン魔物を倒したいからの……」


 コレットちゃんは、シアに言われてから、魔法の制御の訓練をずっとしていたので、以前よりも魔法の威力が上がっています。

 単発の魔法でも通常よりも強力な魔法になったと言っていましたが、私が気付かなかった背後の魔物を一撃で倒していました。

 なので、強力な範囲魔法はもっと向上しているので試したいのだと思いますが、大きい魔法は魔力の消費が大きいので、シアに止められています。

 ここの階層は、シアが説明したように集団の魔物が多いのです。

 それがたまに連続で相手をするような時もあったので、魔力の枯渇だけは回避するべきとシアに念を押されています。

 欲を言えば、この階層に来るのでしたら、魔導士が複数人いる事が望ましいそうです。

 コレットちゃんが大人しくなった所で、シアが珍しくコレットちゃんに解決方法を示しています。


「先程の端末で、下の階の情報も得られましたので、第3階層に降りれば、魔力が枯渇しない程度に魔法を使えば良いと思います」


「それは本当か? 端末というのは先ほどの謎の部屋の事だと思うが?」


「この階層の情報も得ましたので、後はこの階層のゲート・ガーディアンの認証キーを得るだけです。そろそろ相手が射程距離に入りましたので、まずは魔物を殲滅します」


 少し前に南側のゲート付近にあった隠し部屋と同じ部屋を見つけたのです。

 その時にシアが壁に向かって何かをしていたのですが、それで色々と情報を得たとの事です。

 シアが情報だけを得ると直ぐにその部屋を後にしたのですが、コレットちゃんは色々と調べたかったのか、しばらく滞在したいと言っていました。

 ですが、先を急ぎたいゲイルさん達に却下されて、残念ですが諦めてもらいました。

 そうこうしている内に前方に何か動く物が現れました。

 まだ遠いのですが、強くなった狼さんの群れみたいです。

 上の階層と違うのは、更に大きな個体とその群れのボスらしき一番大きい個体がいる事です。

 小型の相手は何とかできますが、あんなに大きい相手は私には無理です。

 あちらが私達に気付いて動き出すと同時にシアの後方に八つの風の槍が現れました。

 普段なら、突撃して行くのですが、私達の事を考えて数が多い時だけは最初に範囲魔法を使ってくれます。

 シアが前方に突撃すると同時に圧縮された風の槍が多くの小型の魔物を貫通しながら、中型の魔物に殆ど命中しています。

 残った手負いの中型を殴るか蹴るかで倒しつつ一番大きい狼さんと戦っています。

 生き残っている小型が私達の方に向かってきますが、コレットちゃんの単発の魔法で確実に倒しつつ、その残りをコレットちゃんを中心に倒していく形になっています。

 もっとも、シアの最初の攻撃に巻き込まれて小型の魔物も半数以上は倒されています。

 それだけシアが使ったあの魔法は回転する風圧と貫通力があるみたいです。

 程なくして、こちらの戦闘が終わるとシアがボスらしき大型の魔物を引きずってきます。

 あんな大きな魔物を引きずるなんて、シアは力持ちです。


「戦闘は終了しました。このシルバーファングの素材の一部は回収した方が良いと言っていましたので、持ってきました」


「本当は、毛皮も回収したいんだが、持って帰れないから、牙だけにしとくか。こいつの毛皮って、買い取り価格がいいから持って帰りたいんだが、諦めるしかないな」

 

「では、牙だけ叩き折ります。中型の物もいりますか?」


「ああ、頼むわ。一応聞くが、魔核は無いよな?」


「私が倒したものは回収済みです。魔核が欲しい場合は、自分達が倒したものから、回収して下さい」


「そういう約束だからな。しかし、大型のシルバーファングの魔核とか持ち帰ったら、損傷が激しくても最低でも5000ギルは堅いのに残念だな。まあ小型の奴だけ回収して、コレットに預けておくか」


 魔核については、シアに必要なので、倒した者が所有権を得られるということにしています。

 なので、大きな魔核は全部シアが回収をしています。

 解体すれば、見つける事ができますが、力を失ってただの石ころと化しています。

 この辺りの説明もこの階層に降りてからしたので、皆さんは納得していますが、コレットちゃんだけは疑問に思っています。

 手に入らないから不服という訳ではなくて、コレットちゃんが知っているフィスという子は、魔核の力の吸収などはしないそうです。

 なので、何の為に魔核の力を吸収しているかをシアに問い質していました。

 答えとしては、シアは外部から力を集めて自己能力に変換をするタイプとの事です。

 なので、魔法の使える幅を拡張するのにも必要らしいのですが、魔法の習得に関しては変換率が悪いので、必要最低限に留めたいとと言っています。

 コレットちゃんにお願いされて習得した範囲魔法の『エアリアル・ニードル』も本来なら、現時点では不要と判断していたそうなのですが、この階層での私達のリスクを減らす為に使ってくれているので、結果的に良かったと思います。

 シアは、いざという時の為に変換できる魔核の力を蓄積をしていて、相手に合わせて強化を図っているそうなのです。

 なので、魔核に関しては、可能な限り回収をすることを最優先としているみたいです。

 その話を聞いたコレットちゃんは、とにかく魔核をシアに吸収させた方が、強敵と出会っても安心ができるので、全てをシアに渡すべきとまで言っていました。

 でも、それだと素材の回収をしていかないといけないので、多少は魔核も持ち帰ることにしたのです。

 私としても自分で頑張った成果で、お小遣いが欲しいので、シアに頼ってばかりではいけないと思ったのです。

 後は、部分的に価値のある素材だけを回収する形にして、荷物の方も最小限にしています。

 現時点では、シアのある程度は持てる重量制限のある空間とコレットちゃんの便利な指輪だけです。

 ゲイルさんは、今回の成果である程度貯金が貯まれば、一番安い『ストレージ・リング』を買いたいと言っていましたが、それでも中々手に入らないので、エリックさんに探してもらっているそうです。

 本当は、ゲイルさんとシャーリーさんの資産を合わせれば、前回の収入で一番安い物が買えたらしいのですが、シャーリーさんが全て飲むことに使ってしまったので、買えなかったそうです。

 何とか待ってもらう話をしたのですが、そこは別の方が既に購入してしまったので、次回にと言われてしまったようです。

 私もお金を貯めて一つぐらいは欲しいと思ったのですが、シアから「エルナには私がいるので不要です」と言われています。

 少しだけ拗ねた感じで言われたので、シアにも嫉妬する心があるのかもしれません。

 作業を手伝いながら、私が考え事をしている内に解体作業も終わっています。

 用が済んだので早くここから離れることにします。

 死体が転がっていると他の魔物が現れるので、あまり長居をすると連続で戦うことになってしまいます。

 シアとしては、連続で戦いたいみたいですが、私達はそうはいきませんので、離れたら少し休んでまた探索の再開をしたいと思います。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ