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Eighth Doll  作者: セリカ
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シアの講習


 コレットちゃんにお願いされましたが、私も気になるのでシアに聞いてみましょう。


「シアは、どうやって魔法を学習しているのですか? 私は魔法については詳しくないのですが、適性のある人が書物や魔法のスクロールを使うことで覚えられると聞いたことがありますが、シアはどうなのですか?」


「魔法は観察対象が使用をしている所を見ることで学習ができます。解放をするには蓄積された力を消費することで使用可能になります」


 要するに誰かが使う所を見て覚えることはできるのですが、使えるようになるには力を解放すると……もしかして貯めているのは魔核の輝きなのでしょうか?

 シアが貯め込んでいると考えられるのはそれしかありません。

 本来でしたら、魔核は何かの魔法の道具などの材料として使われるのですが、倒した魔物の強さで籠められている力が違うと聞いています。

 魔核はシアが触れてしまうと輝きを失った状態になってしまうので、価値が無くなってしまいます。

 あの便利な倉庫の容量を増やすのに必要だと言っていましたが、それで魔法も習得ができるのかと思います。


「見ただけで、学習してしまうとは……ならば、わらわが使っていた魔法も使えるのかの?」


「『個体名』コレットが使用していた風の魔法は学習済みです。特に必要ではないので使えません」


「風の魔法というと、最初に出会った時に使っていたあの魔法かの? あと、名前の前にその個体名と最初につけるのを止めるのじゃ!」


 それに関しては、私も同意見です。

 私の場合はたまに確認の独り言を言っている時しか言いませんが、もう言わないようにお願いをしておきましょう。


「シア、もう一度お願いをします。その個体名という呼び方は、もうしないようにお願いできますか?」


「わかりました。次からは、名称のみを呼びます。コレットの質問ですが、以前に使用していた風魔法の名称は『エアリアル・ニードル』と判断します。学習はしましたが、使用は不可能です」


「それをいま使えるようになるのか?」


「エルナが必要とするのでしたら、習得します」


「またか……」


「コレットちゃんを最初に見つけた時に使っていた魔法ですよね? 確か複数の魔物に手傷を負わせていた魔法だと思いますが?」


「魔法名『エアリアル・ニードル』は術者の実力次第で数と貫通力を増大させることができる前面に対する範囲魔法です。コレットの場合は数を作り出す代わりに威力が低めなので、驚異的な魔法になっていません」


 シアが私に説明するように教えてくれたのですが、コレットちゃんは不服そうです。


「おい! シア! わらわの魔法が威力がないと言うのか!」


「作り出す数を大幅に減らした方が効率良く敵にダメージを与えられると進言します」


「ぐぬぬ……しかし、この魔法は範囲魔法として、あれだけの数を出すのが基本と魔導書には書いてあるのじゃが……」


「では、その魔導書を書いた者が間違って記載していると進言します。魔法は基本的には術者のイメージが重要なので、下位の魔法でも十分に強力な武器になります」


「そんなことを言ったら、強力な上位魔法はどうなるのじゃ?」


「一度に放出できる魔力のリミッターの上限が大きいのです。生物が魔法を扱うには、その上限を決めておかないと場合によっては脳に致命的な障害が発生します」


「ならば、同じ魔法を使って、お主が手本を見せるのじゃ!」


「エルナが必要とするのでしたら、習得します」


「……おい、エルナ。お主から頼んで習得してから、手本を見せてくれるように頼めぬか?」


 今度は、魔法の習得とお手本の依頼がきましたが、どう致しましょう?

 その魔法を習得するのにどのくらいの力を使うのか知りませんが、シアは賛成をしてくれるのでしょうか?

 実際に私はシアがどのくらい貯めていることや目標すら知りません。

 私がお願いをしたのは、あの便利な荷物を持てる容量だけです。

 シアが攻撃に使っている魔法と言えば……ごくたまに火の塊みたいな魔法ですが、あれは参考になるのでしょうか?

 魔物の数が多い時に何かを複数射出する魔法を使っていたのをたまに見ましたが、滅多に使いません。

 シアは基本的には直接攻撃の殴る蹴るが基本ですからね。

 一応は、シアにお願いをしてみてそれほど蓄えている物が減らないのでしたら、お願いをしてみましょう。

 実際の所は、シアが何の目的で魔核の力を貯めているのかも知りませんが、大事な事でしたら無理は言えません。


「シアに聞きますが、コレットちゃんの言う魔法を習得するのに沢山の力がいるのですか?」


「現在の蓄積に対しての消耗は許容範囲内です」


 大丈夫みたいです。

 それなら、お願いをしてシアの実力を皆さんに披露をしましょう!


「でしたら、その魔法を習得してコレットちゃんとの差を見せて下さい!」


「おい、エルナ……その言い方だと、わらわが駄目みたいではないか!」


「わかりました。魔法名『エアリアル・ニードル』を習得します。それでは、私が使用した場合を見せます」


 コレットちゃんは、何故か怒っています?

 シアの言っていることが本当でしたら、学ぶことになるのですから、間違っていないと思うのですが?

 何はともあれシアは習得をしてくれましたので、お披露目の時間です!

 幸いにもここは広い場所で岩がいくつも突き出ているので的はいっぱいあります。

 シアが岩場の方を向くとシアの後方に風がいくつか凝縮された物が見えると槍のような形状になりました!

 そのままシアが標的とした岩の方を指を差すと撃ちだされました。

 岩にぶつかると、そのまま風の槍の大きさで貫通して大きな穴が空いています!

 確かコレットちゃんの時は魔物に傷を負わせていましたが貫通まではしていなかったと思います。

 コレットちゃんは呆然として眺めていますが、その差は確実になってしまいましたね。


「馬鹿な……この魔法にここまでの威力があるなんて初めて知ったぞ! しかも、わらわと違って、8本しか作り出しておらぬ!」 


「この魔法の正式な使い方をする為に私の場合は8本に圧縮しただけです」


「正式な使い方じゃと!?」


「この魔法の正規の使い方は、風を圧縮させた物を回転を利用して物体を貫通させる魔法です。応用として術者が威力を落として複数作り出すことによって威嚇や牽制にも用意られますが、正規の使い方をした方が効率的です」


「では……わらわ達に伝わっているのは、後者の威嚇用なのか……」


「正規の使い方をしなければ、船の装甲が貫けません」


「まるで、魔道船での戦闘用に作られた魔法のような言い方だな?」


「言っていることが分かりません。魔法とは生身の生物が強大な敵に対して対抗する手段として考えられたと記録されています」


「むむ……シアの言っていることが正しいのであれば魔法は元々は古代人が編み出した事になるが……」


「基礎の魔法は、元々存在していたものをイシュトゥール人が発展させたと記録されています」


「ところで、これはわらわにもできるのか?」


「私は即時に演算をしているだけです。生物は術者のイメージ次第です」


「なるほど……いましがたシアが見せてくれたように本数を減らして1つのイメージを強固な物にすればよいのじゃな?」


「凝り固まった考えが無ければ可能です」


「そう考えればフィスの奴が使っていた水魔法も同じ原理なのであろう。何の魔法かは言わなかったが、上空のワイパーンを仕留めていたのは高位の魔法では無く前方範囲魔法の水魔法『ウォーター・ニードル』だったんじゃな。普通は牽制の為に水滴を前方に飛ばすだけの魔法だが、今のように使えば圧縮した強力な水弾となる……わらわの知らない強力な魔法と思っていたのじゃが、騙されたわ」


 コレットちゃんは納得したようです。

 これで、悩みが1つ解決したのですから、今晩はぐっすりと眠れるかと思います。


「コレットちゃんの悩みは解決は致しましたか?」


「今から実行をするので見ているのじゃ! わわらわは頭の固い長老達とは違うのじゃから、できる筈じゃ!」


 コレットちゃんも実戦してみるつもりです。

 食事もして十分に休息も取ったので、魔力も回復していると思います。

 ゲイルさん達もコレットちゃんが強くなるのでしたら歓迎なので応援をしています。

 先ほどのシアのように岩をも貫通ができるのでしたら、先ほど戦った虫さんの硬い体も貫通ができると思います。

 特に大型の虫さんが倒せるようになれば、次回からはコレットちゃんの活躍が期待されます。

 コレットちゃんもシアのように岩に向かって集中をして言葉を紡ぎました。


「生み出すのは数を少なく密度を厚くする……よし! 風よ! 岩を貫け! 『エアリアル・ニードル!』」


 コレットちゃんの魔法は、数が15本程に減っています。

 以前に見た時は細長い風の矢のような形状の物を沢山作り出して、複数の魔物に傷を負わせていました。

 そして、的となっている岩を貫くのに成功をしています!

 空いた穴はシアより小さいのですが、威力は上がったようです。

 撃った後にコレットちゃんは疲れてしまったのか座り込んでいます。


「コレット、すげぇじゃねぇか。これなら、次にウォーアントの大型に遭遇してもあの固い外殻を貫通して倒せそうだな」


 ゲイルさんは素直に褒めています。

 シャーリーさんとエリックさんも感心して、頷いています。


「シアに言われた通りに数を減らすようにかなり集中したのじゃが……これは自分の固定概念の改革が必要じゃな。できたのはいいが通常よりも魔力を余分に持っていかれたし、少しだけ目眩がするのじゃ」


「私に言われただけで、実行ができるとはコレットの思考は柔軟のようです。通常はいままでの固定概念があるので、いきなりはできません」


 シアが珍しく驚いている感じがします!?

 いつもは私のこと以外は無関心だったのにコレットちゃんを褒めてもいます。

 私は魔法が使えないので、この方法で褒めてもらうのが無理なので羨ましいです!


「できないと思っていて、わらわに話していたのか……だが、シアが認めているということは、わらわには魔法の才能があるということじゃな!」


「300年近く生きているので、頭が固いと判断をしていました」


「だぁ――――! わらわの歳で出来ないと思っていたのか! エルフとしては、わらわは若い方じゃ!」


「コレットはエルフの上位個体なので長寿でした。私の記録によると長い年月を生きたエルフは無気力な存在になると言われています」


「それが嫌だから、人里に降りてきたのじゃ! 年寄り共は何もせん癖に煩いだけだからの」


 要するに私と同じで自由が欲しかったのですよね?

 しかし、ゲイルさんの次の一言は……。


「そうか。だが、コレットは好きなように魔法を使って肝心な時に魔力切れを起こして俺達に戦闘を任せる傾向にあるからな。魔力切れの時は座り込んでまったく何もしないのは、その所為だな」


 私の知っている知識では、魔導士の存在は大きいと思います。

 なのに大事な場面で戦えないのは皆さんが困ると思いますよ?


「コレットちゃんは、この中で年配者なのに無計画なのですね? 私は魔法は使えませんが、魔導士の方はパーティーの重要な火力になるので、ここ一番で頼りになると聞いていましたが、コレットちゃんは逆なのですね?」


「それはだな……待機ばかりしていたら、詰まらんじゃろ? なので、わらわの実力を見せる為にも戦闘に積極的に参加するべきと思ってだな……」


「最初から、大きな魔法を使うのが間違っているんだ。雑魚とか俺達で対処が出来る時は、なるべく魔力は温存して欲しい。じゃないと本当に困った時に逃げるしかないんだよ。エルナ嬢ちゃんもそう思わないか?」


 ゲイルさんが同意を求めてきましたが、私が学園で習っていた戦い方でも魔導士の方は後方から、相手を見定めてから攻撃していました。

 森での実習の時でも直接戦うと被害が出る時は魔法で一網打尽にしていたりもしていたので、もっと状況判断をして欲しいというところですよね?


「コレットちゃんは才能のある魔法使いなのですから、これからは相手を見て攻撃してくれますよね?」


「むむむ……善処するが……雑魚の魔物を魔法で一掃するのは気分が良いのじゃが……」


「シアに聞きたいのですが、コレットちゃんがゲイルさんのパーティーの魔導士としてきちんと役割を果たし方が良いと思いますよね?」


「以前の戦闘の様子と身体能力を解析した情報から判断しますとコレットの魔導士としての能力は高い方と判断します。ゲイル達のパーティーの組み合わせも標準的なので、状況判断能力が備われば効率的な戦闘が可能と判断します」


「と、シアは言っていますよ?」


 戦闘に関しては、とても強いシアのお言葉です。

 無造作に力で押しまくっているように見えるシアの戦い方ですが、ちゃんと倒す順番と私が気付かない相手を寸での所で倒してくれるというサポートも完璧です。

 一度戦った相手とはちゃんと弱点を狙っていくので、とても効率的な戦いをします。

 なので、戦闘時間で足を引っ張っているのは私の方なのです。

 私が強くなりたいとお願いをしたので、全て倒さずに私が倒せる範囲を残してくれているのです。


「シア嬢ちゃん、もっと言ってやってくれ」


「私も概ね賛成ね。現時点では、回復魔法は私しか使えないけどあくまでも緊急用にしているし魔力に関してもそれほどある方とは言えないのよね」


「コレットさんが後ろで、見守ってくれていると私達も安心して戦えるのは良いことだと思います」


 皆さんも賛成のようです。


「わかったのじゃ……これからは、もうちっと我慢する事にするが……もうちょっと練習をして目眩がしなくなったら……」


「固い奴だけにしてくれよな。それならば、俺の剣の消耗率が少なくなるので助かるからな」


「うむ。固い奴なら良いということでよいな? そうなればイメージを練る練習でもするのじゃ!」


 コレットちゃんはブツブツ言いながら岩の方に向けて、また魔法を撃ち始めました。

 せっかく食事をして休憩をしたのに練習で魔力がなくなってしまうと思うのですが、今の所は入り口も塞いでいるので魔物が入ってくる事はないと思います。

 この部屋に湧いてもシアがいるので難なく倒してしまうので問題はありません。

 私は、シャーリーさんに頼んでいた物をゲイルさん達に見えないように物色でもしていましょう!


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