愛の差?
落ち着いた所で、ゲイルさん達に食事の提案を致しました。
ゲイルさん達も疲れていたので、休息を取れる事には大歓迎のようです。
コレットちゃんは、まだ話の途中だからと騒いでいましたが、お腹から可愛い音が聞こえたので渋々了承してくれました。
いつも通りにシアに一度通路の方に行って交換をする素材を入れた箱と仕込み済みの食材を入れてある箱をシアの便利な空間から、取り出してもらってから持って来てもらおうと思ったのですがコレットちゃんがシアに荷物を入れておける空間があるのではないかを質問をしてきたのです。
こんな便利な能力を人前で見せるのは私も流石に知られない方が良いとは思っていたのです。
私の知る限りでは、コレットちゃんが持っている『ストレージ・リング』と呼ばれるとても貴重な魔法の道具でしか知りません。
稀に古代人の遺跡を調査していると手に入るそうですが、とても高額な物です。
売れば結構な資産になるのですが、大抵の人は売らずに所持しています。
私も詳しくは知らないのですが、指輪に入る量は重量制限があり飾りの宝石でも違いがあるそうです
コレットちゃんの指輪は、浮遊島の探索の時に手に入れたらしいのですが、そこそこ入る物らしいです。
一応は、ある程度の資産があれば買える物らしいのですが、それでもとても貴重品です。
本当はシアの事は隠しておきたいのですが、コレットちゃんはシアの事を知っていそうなのです。
先ほど、シアの事を『上位個体』と予測していましたので、恐らくは先ほどコレットちゃんの話に出てきた王族の方に仕えている強い娘さんが以前に何も無い空間から出し入れをしていたのを見たことがあるのかと思います。
ここで、誤魔化してもコレットちゃんのことだから、ずっと追及をしてきそうなので、シアにはここで出してもらいました。
私は、ゲイルさん達は信用ができると思っていますので、みだりに言いふらしたりはしないと思っています。
どちらにしてもコレットちゃんは以前から、シアの事をとても観察しているかのように見ていましたから、今回の話で確信を得たのかと思います。
ゲイルさんは先ほどの戦闘の時にシアから予備の剣を受け取っていますので、シアが『ストレージ・リング』を所持していると思っていたみたいですが、コレットちゃんは納得のようです。
これは、仕方がありませんね。
取り敢えずはいつも通りに適当に焼ける台みたいな物をその辺の岩をシアに積んで作ってもらってから、森で確保してある木材にシアが火をつけてくれれば、後は適当に塩などを振って焼くだけです。
私は学園にいた頃に眠い授業を抜け出して、野外授業に参加をしていたこともあります。
お母様には禁止をされていましたが、森での狩りにも行っていましたので多少のことは自分でできます。
生徒が倒せる範囲の魔物との戦闘や他の女子が嫌がるような獲物の解体なども特に気にならなかったので、この辺りが後輩の女子生徒に評価されてお姉様と慕ってくれる子もいたのかと思います。
当然なのですが、このような事をしていれば両親に報告されてしまうのですが、そこはお父様が見逃してくれました。
私の将来はお母様に決められていたので、卒業までは好きにしても良いとの事で、教師の方に話を通してくれたぐらいです。
お父様は入り婿なので、お母様には基本的には逆らえない人でしたが、姉弟には分け隔てなく接してくれたのです。
ただ……今回の状況になる学園での出来事だけは、お母様の耳に入ってしまったので、お父様も庇えなくて実家での謹慎になったのです。
今回の件で、犠牲となってしまった護衛の皆さんには申し訳ありませんが、私は自由を手に入れることができましたが……心残りなのは、私を監視する名目で同行をしていた弟の安否です。
まだ、学園に入学する前でしたので、私が寂しくないように同行を願い出てくれた優しい子です。
無事に辿り着いて、私が死んでしまったと知ったら……。
もしも、会うことができればこっそりと安否だけでも知らせたいと思います。
お父様にも無事は知らせたいのですが、お母様に知らられると家に連れ戻されかねないので難しいところです。
姉も基本的には、お母様と似たような性格なので会いたくありません。
そんな事を考えながら、焼いているといい感じに焼けてきましたので、皆さんと食事にしたいと思います。
ゲイルさん達も手伝ってくれましたが、私の事前の準備を素直に褒めてくれました!
ゲイルさんは、「こういう所の下準備ができるのは、やっぱり女の子だな……」と呟いたので、シャーリーさんに足を踏まれたりしていました。
同じく聞いていたコレットちゃんは、我関せずといった感じです。
コレットちゃんは、料理をするぐらいなら、書物を調べている方が良いと言っています。
食事は森の恵みである果実で十分と思っているそうです。
なので、ゲイルさん達は基本的には保存食で、済ましているので、ただちょっと味付けして焼いただけのお肉で十分に私を高評価をしてくれます。
ちなみにシャーリーさんは、料理などは苦手らしいので、このパーティーでまともに食事の用意ができるのは、男性陣の方らしいです。
食事を終えた後に私達が用意していた換金ができる魔物の素材と私が欲している日常品と交換をしました。
今回は、シアにお願いをして魔核もいくつか入れておきました。
倒した魔物の名前は知りませんが、純度の高い物も入れてあります。
今回は、シャーリーさんにお願いして内緒で下着も要望をしていたのです。
流石にこれだけは、現地調達もできないし……そろそろ新しいのが欲しかったのです。
当然ですが、シアの分も必要なので可愛らしい物が必要なのです!
ゲイルさん達は今回は命を救われたので無償で提供すると言ってくれたのですが、それではここまで来てくれたのにゲイルさん達が何も得られないことになってしまいますので、欲しい分だけ貰ってもらいました。
魔核はシアに必要ですが、素材に関しては現時点では、私達には不要な物なので、持っていても拠点としているあの廃墟に貯まるだけなのです。
シアが毎日のように狩り続けていますので、私がゲイルさんから聞いた希望する魔物の価値のある部分だけは持ち帰っているのです。
食用に適したお肉の部分などは沢山持ち帰っても腐ってしまいますので、必要な分だけ手に入れたら森に放置しています。
シアが言うには、魔物の死体を放置しておけば他の魔物が集まるので、誘き寄せる餌代わりにもなるそうです。
なので、前の日に魔物を倒した場所に行けば大抵は別の魔物が食べているか近くに徘徊していますので探す手間が省けます。
そんなに魔物を私達が住んでいる廃墟の近くまで集めても良いのかと疑問に思いました?
シアが言うには、あの廃墟は外敵が侵入ができない壁で囲まれていて、更に外からは分らないように『光学迷彩』と言う幻術の結界があるので、分かりづらいとのことです。
私もシアと一緒に行動をしないと入り口が分らないので、はぐれたりしたら廃墟に入れなくなってしまいます。
しかし、こんなすごい技術を持っていたのにどうして古代人の方達はここを捨ててしまったのでしょう?
殆どの施設は壊れてしまっているので、シアが使えるようにしてくれた建物以外は物置と化しています。
私とシアしかいない廃墟ですが、現在は2人の大事なお家です。
品物の交換中もコレットちゃんがしきりにシアに話しかけていますが、シアの返事は私の時よりも簡易的に答えているだけです。
今はシアに魔法の事を聞いているみたいですが、魔法で水を出していたのに火も起こす為に手の平に炎を出していたので、それを追及しているみたいです。
魔法で、火と水が使えるのは便利だと思うのですが、何かおかしい事でもあったのでしょうか?
シアが細かいことに答えないので、コレットちゃんと同じ事を繰り返し聞いています。
ここは、私が質問を聞いて上げた方が良いのでしょうか?
少なくともシアは私に対しては、私に理解ができない難しい言葉で答えてくれますが、コレットちゃんなら分かるかも知れませんね。
「だ・か・ら! どうして、水や地の魔法以外に火の魔法まで使えるんじゃ!」
「エルナに必要な魔法なので、使えます」
「だぁー! そうじゃないのじゃ! ならば、エルナが必要と言えば、お前は他の魔法も使えるのか?」
「エルナが肉を焼くと美味しく食べられるようになると言ったので、使えるのです」
「それは火の魔法じゃろ! わらわが聞いておるのは、他の魔法も使えるかということじゃ!」
「エルナに必要とする魔法は使えます」
「……話が通じ取らん……おい、エルナ。わらわの代わりにシアに聞いてくれんか?」
シアに直接聞くのは無理と判断をして、コレットちゃんは、代わりに聞くように私にお願いをしてきました。
実際の所は私も見たことが……ありました!
最初に出会った時に私の足を治してくれたので、回復系の魔法は使えると思います。
確かシアは、「使えませんでしたが、いま習得しました」と言っていた気がします。
もしかしたら、私がお願いをすれば他の魔法も使えるようになるのでしょうか?
シアは肉弾戦が強いので特に気にしていませんでしたが、私も少し興味が湧いてきました。
「それでは、私が聞いてみますね?」
「うむ。頼むぞ」
「シアは、他の魔法は使えるのですか? 確か回復系の魔法も使えましたよね?」
「なんと! シアは、回復系の魔法まで使えるのか!?」
シアが答える前にコレットちゃんが驚いていますが、珍しいことなのでしょうか?
私は魔法については詳しくないので、使えるだけでもすごいと思っています。
魔法というのは、何も無いところから、水を出したり、火をつけたりできるので便利ですね。
「現在、使える魔法は火、水、風、地、光、聖の下級魔法のみです」
「下級魔法だが、6属性も使えるのか!? フィスは、水魔法しか扱えなかったが……」
「フィスと言うのはコレットちゃんが知っている人ですか?」
「うむ。人と言うか上位個体の……まあ、それは良いわ。フィスと呼ばれておるシアと同じと思う娘は水魔法が使えるのじゃ。しかも無詠唱でな。シアが無造作に水を出していた時点で怪しいとは思っていたのじゃ」
「その子は他の魔法は使えなかったのですか?」
「水魔法だけじゃ。だが、代わりに強力な水の魔法も使えるので、魔物の群れすら全滅させていたのじゃ」
「それは、すごい子ですね! シアは殴る蹴るの肉弾戦の方が優れていますから、代わりに少しづつ他の魔法が使えるのでしょうか?」
私が疑問を口にするとシアが答えてくれました。
コレットちゃんに対しては、しつこく聞かれないと返事をしませんが、私に対してはすぐに答えてくれるのです。
コレットちゃんには申し訳ないのですが、これが愛の差なのかと思います。
「その個体の基準が水属性だと判断します。私の基準は情報が欠落していますので分かりません。しかし、学習はできます」
シアが判断するには、フィスという子は水が基準らしいです。
そして、シアは不明らしいのですが、学習をすることができるらしいようです。
「むむ……個体によって基準があったのか……。すると学習ができるシアは全てを覚えることができたりするのか?」
「エルナが必要とするのでしたら」
「またか……」
どうもシアは私が基準のようです。
それは、私の色に染まってくれるということなのでしょうか?
すると……私が望めば夜の親密な関係も発展が可能かもしれません!
いまは、添い寝をしてもらうか、シアの膝枕で柔らかい感触を楽しむのが限界でしたが……もう一歩先に進んでもシアは受け入れてくれるに違いありません!
いきなり事を進めてしまうと嫌われてしまうかと思っていたので控えていたのですが、今晩は抱き合って眠る提案を早速お願いしてみましょう!。
このまま全てを受け入れてくれたら、シアの将来がとても楽しみです!
「ならば、どうやって学習をするのじゃ?」
「エルナが必要とするのでしたら」
「……おい、エルナ。もうこの展開は飽きたので、代わりに質問をしてくれないかの?」
私が妄想に耽っていると、コレットちゃんが他の質問をしていたみたいです。
そして、コレットちゃんは、シアへの質問をまた私にお願いをしてきました。
シアは、私とコレットちゃんでは返事に愛の温度差があるみたいなので、仕方がありませんね。




