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Eighth Doll  作者: セリカ
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南方の国の冒険者


 またこのパターンか!

 いい加減に安定した探索にならんのか?

 それにしてもな……。


「これは、やばいな……」


「そんなことよりも早く逃げるのよ!」


「そうじゃ! いくらなんでも数が多すぎるじゃろ!」


「流石に対処不能ですね」


 俺達は、この大陸の南側に位置するバートランド王国を拠点とする冒険者の一団だ。

 普段は『樹海の迷宮』と呼ばれる大陸の中央に存在する巨大な迷宮に挑んでいると言えば聞こえは良いが、その日暮らしの冒険者の方が正解だな。

 一応代表の俺が戦士のゲイル。

 教会に破門された神官戦士だった、シャーリー。

 年齢不詳のエルフの魔導士のコレット……名前に反して口調が婆さんみたいだから、俺達よりも高齢なはずだ。

 いまいち失敗の多いレンジャーのエリックの4人だ。

 大抵は、この4人でつるんでいることが多く今回もお目当ての嬢ちゃん達に会う為に頼まれていた荷物を持って潜っていたのだが……まずい魔物と遭遇してしまった。

 いま俺達を追いかけてきているのは、『ウォーアント』と呼ばれる昆虫型の魔物なんだが、手出しさえしなければ襲ってこない魔物だ。

 逆にこいつは攻撃を受けると仲間を大量に呼ぶので、いつもなら無視をしてやり過ごすのだが……。

 対峙していた魔物を婆さんの魔法で一掃したと思ったら、こいつが混じっていて仲間を呼んで襲ってきたんだ。

 最初の内は仕方がないと判断をして倒していたんだが、キリが無くて逃げることにしたんだが……ここまで執念深いとは思わなかった。

 通常の雑魚の相手は何とか対処ができていたんだが、その内に大型の戦闘型の奴が混じってくると流石に防ぐので精一杯になるし、外殻が固すぎて俺の剣まで折れてしまう始末だ。

 買ったばかりの剣なのに大赤字だ。

 お古の剣を予備として持っていたので武器無しは免れたが、こいつも既に刃がボロボロになりつつあるので、折れるのは時間の問題だな。

 戦闘の続行は不能と判断して、シャーリーの明かりの魔法で目くらましをして逃げたんだが、残念ながら大して効果が無かったので、今に至る。

 いつもなら、数が多いとこの方法で時間を稼いで安全な所まで全力で退却していたんだがな。

 それにしてもまた距離が縮まってきたので、婆さんに頼みたいんだが……。


「おい、コレット。また魔法であいつらの勢いを止めれないか?」


「無理じゃ! もう大きな魔法を使う魔力が足りぬ! あの娘達に会うだけと思っていたから、今日は最初の頃に魔法を使い過ぎてしまったのじゃ! いま使える魔法は単発の魔法ぐらいしかないので、足止めにならん!」


「景気よく魔法を使っているからだ……使えん婆さんだ……」


「誰が婆さんじゃ! こんな可愛い姿をしておるのにお主の目は腐っておるのか!」


「その口調だ。若い娘がそんな言葉遣いをするか。だったら、本当の年齢を言ってみろ」


「わらわは10代の可愛いエルフ娘じゃぞ! それと女性に年齢を聞くとは失礼にもほどがある! まったく最近の若い者は礼儀を知らぬのか!」


 何が10代だ……他の知り合いのエルフの奴らは普通に俺達と同じ見た目で100歳前後の年齢で答えるのにこの婆さんは俺達の俗世に染まったのか見た目で年齢を偽っている。

 姿だけは若い娘の姿をしているがエルフの年齢など見当がつかん。

 大体、31歳の俺を若者扱いしている時点で、年上なのがばればれだろ?

 婆さんの癖に自分を可愛いなどと言っているから始末に負えんな。

 まあ、あの容姿と偉そうな口調の所為で、組合でも中々パーティーを組んでもらえなかったらしい。

 俺達と組んだのも偶然なんだが、魔導士がいると戦闘が楽になるので、お試しで組んだら魔導士としての実力は本物だった訳だ。

 ただ……魔力の配分などを考えないから、今のように肝心な時には魔力切れを起こしてしまうので、その間は本当に何もしないという欠点付きだ。

 こいつがもう少し考えて魔法を使ってくれれば、組んでくれる者達はいるはずだ。

 後になって知ったんだが、誰も組もうとしないのは、これが最大の原因らしい。

 だが、他に魔導士の当てがない俺達には貴重な戦力なんだが……こういう時に魔導士の実力が発揮されるんじゃないかと俺は思うんだが……。

 婆さんと言い合っているとシャーリーの奴が話しかけてきたぞ。


「2人とも元気ね……そんな事よりも私はそろそろ走るのが疲れてきたんだけど、本当に何とかしないとまずいわよ?」


「わかっている。エリック、この道で合っているんだろうな?」


 先頭を進むエリックに話しかけると。


「はい、この先を行けば、いつもの場所に出られるはずです」


「よし、何とかそこまで走るぞ!」


「ちょっと! いつもの場所って、まさかあの子達と会っている場所なの!?」


 シャーリーの予想通りだぜ。


「そうだ。あの嬢ちゃんなら、こいつらを始末できるはずだ」


「いくらなんでも迷惑を掛けてしまうわ!」


「分っているがここまで増えてしまっては、俺達にはどうする事もできん。だが、あの嬢ちゃんなら別だろ?」


「そうなんだけど……今回は、サービスしないといけないわね……」


「命が掛かっているんだから、それで何とかなるんだったらいいだろう? 大体、生活用品とあれだけの物を交換で手に入れている俺達の方が利益が大きいんだからな。エルナ嬢ちゃんは価値を知らないみたいだが、あの無口の嬢ちゃんは何となく知っていそうなんだよな」


「はぁ……今回の取り分が良かったら、またしばらくは上物のワインが飲めると思ったのに……」


「そんなの知るか!」


 こいつは酒癖の悪さで、教会から破門されたんだよな。

 教会の神官戦士となれば、一応はエリート様だし、ある程度の権限まで与えられるのにこいつと来たら、自分が配属された教会の資金にまで手を着けて飲みまくっていたらしい。

 飲まないで黙っていれば、そこそこいい女で剣の腕も立つのにアルコールで人生を間違えたんだ。

 おまけに回復魔法も少しなら使えるので、大怪我をしない限りは大抵は治せる。

 ついでにエリックの奴は堅実なんだが、罠の解除などを任せると高確率で失敗をするのでピンチになる時が多い。

 本人は自信満々なんだが、実力が伴っていない。

 だが、ダンジョンの中での方向感覚は優れているし、ショートソードと弓の扱いはそれなりにできるので戦闘では役に立つ。


「ゲイル、着きましたが……あの子達はいないみたいですね」


「いないのか……この先は行き止まりなんだよな……」


 向こうに通路があるんだが、あの先は行き止まりだ。

 あの子達は、いつもあの通路から現れるんだが……別れた後に気になって行って見たんだが、途中で行き止まりになっているんだ。

 なら、あの子達はどこから来たのか不思議なんだが、どこかに隠し通路でもあるのかと調べてみたんだがまったく分らなかった。

 ただ……婆さんだけは、僅かな魔力の反応が行き止まりから感じると言っていたが、婆さんにも分らなかった。

 居ないと分かれば、別のルートに向かおうと思ったんだが、残念ながら奴らが来るのが早くて、この行き止まりの場所の岩陰に隠れるしかないが、やり過ごせるかだ……。

 この場所は割と広い場所なので、奴らが奥に行ってくれれば隙を見て今来た道を戻る選択肢もある。

 岩陰から様子を見ていると……雑魚の兵隊が15匹ぐらいと大型が4体もいる。

 通路からは、それ以上は出てこないので、追ってきたのはあれで打ち止めのようだ。

 俺達を見失ったのか、周りをうろうろしているので、少しづづ距離を取りながら入り口に向かおうと提案をして行動することにした。

 奴らは少しづつ奥に向かっているので、このままなら何とか入り口に辿り着けるかと思ったら、入り口に1体だけ大型が残っていやがる!

 こいつら、ここの地形でも分っているのか出入りが出来る通路がここしかないと判断して見張りなんか残していやがる……虫の癖に頭がいいな。

 感心をしている場合ではないんだが、逆に考えればこいつ1体を出し抜けば逃走可能だ。

 あの集団の相手をするよりは遥かにましだ。

 だが、こいつの攻撃を喰らったらただでは済まないから、最悪は俺が囮になることも考えておくしかないな。


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