地下迷宮
それから、しばらくして、調味料の方が切れかかってきたので、迷宮に潜って、南のゲートの方に行くことにしました。
あの人達は主にダンジョンの探索をメインとしているので、迷宮の南側に向かえば遭遇することができます。
実際は、シアがあの人達の生体識別というのが出来るらしいので、シアの探索に引っかかれば場所がわかります。
私は最初は洞窟と呼んでましたが、冒険者の方達に聞くとここは『樹海の迷宮』と呼ばれる大陸の中央にある巨大ダンジョンとのことです。
この大陸には4つの国の中心部に大きな樹海と呼ばれる森が存在しています。
奥深くに足を踏み入れると恐ろしい強さの魔物がいると言われています。
名を上げようと高名な冒険者が挑んだりもしていましたが、殆どの方が戻って来ません。
最深部まで行くと方向感覚が無くなるのか、迷って出られなくなるそうです。
この樹海の上空を魔道船で通過する時も、いくつかの浮遊島が存在しているのと同時に恐ろしい魔物が飛んでいるらしく、樹海の中央部は避けて航行しているのです。
唯一この地下迷宮を使えば行けるのではないかと言われていますが、偶然に別の国に着くぐらいの迷宮となっているので、大人数で移動は無理と聞いています。
きっと、その偶然に移動ができたのは使用可能のままの転移のゲートを通過したのかと思います。
シアに教えてもらわなければ、私も知りませんでした。
なので、基本的には他国に行くには迂回する道を通るか魔道船で、強力な魔物が少ない空域を航行しているそうです。
シアに樹海の中心部に行くことが可能なのかと聞いたことがありますが、その時の答えは「私だけなら、可能です」と、言われました。
私が思うに、シアぐらいの実力がないと生き残れないと推察します。
特に行きたい訳ではありませんが、シアが私の実力でも可能と判断をしてくれたら、いつかは行ってみたいと思います。
迷宮に入ってからは、シアが道案内をしてくれますので、私は着いて行くだけです。
この辺り道はシアが全て記憶しているので、迷うことはまずありません。
出会う魔物は殆どシアが倒してしまいますが、私も自分が対応できる範囲は戦っています。
いつも守ってもらってばかりですが、私も恋人としてシアの役に立つところを見せたいので頑張っています!
ですが、結局のところはシアが私のこともしっかりと気に掛けてくれるので、危ない時はしっかりと守られています。
いずれは、シアの援護無しで戦えるように努力したいです。
五日ほど迷宮を進むと南に通じるゲートがある地点に来ました。
最初の頃は、私には分らなかったのですが、地形をよく見ると何となく門のような感じがするのです。
かなり劣化しているのか、崩れてしまっているので分かりにくいのですが、全盛期の時はちゃんとした通路だったのでしょう。
このダンジョンは壁が僅かに発光をしているので、完全に暗闇という訳ではありません。
シアが言うには、最下層のどこかにある制御室という所にいけば、この迷宮の明かりが完全に灯せるらしいのです。
現在は最低限の魔力しか供給がされていないので、照度が落ちているそうなのですが……シアが言うことは私の知らない専門用語が多いので理解が難しいのです。
なので、お恥ずかしいのですが……私にはいまいちわかっていません。
シアから、説明を受ける度に歴史の授業をサボっていたのが、とても悔やまれます。
次に知る機会がありましたら、しっかりと勉強をしたいと思います。
そうじゃないと、せっかくシアが答えてくれているのに理解ができていないなんて恋人失格です。
少しだけ進むとゲートの近くに部屋のような空間があるので、そこで本日は休息を取ることにしました。
普段は通路のようにしか見えないのですが、シアが壁に触れると道が開けるのです。
中には見たことのない物が沢山あるのですが、無機質な感じのする部屋と言えます。
この小部屋だけは、シアが使えるようにしてくれたので、室内の温度も快適にすることができるのです!
なので、このダンジョン内での休憩所として活用しています。
シアが仮眠をする場所と教えてくれた所には固いベットだった物があるので、シアが拾って来た物の中にあった大きな布などを持ち込んだので、一応はベットとして使えます。
食べ物などの食料品の保管も可能だったらしいのですが、壊れているので使えないのです。
私にはシアがいるので、荷物に関しては制限がありますが、問題はありません。
そして、ここには私がとても気に入っている物があるのです!
人が1人だけ立って入れる小さな小部屋で、頭上から水浴びができるのです!
しかも、シアが温度調整をしてくれると、お湯になるのです。
本来でしたら、私はここに住みたいと思う程です!
入り口の上に私が読めない文字が書いてあるのですが、シアに聞くと「シャワールーム」と書いてあるそうなのです。
ここを作った古代人の方達はすごい人達だと思いました!
地上の拠点にしている廃墟の古代都市アズラエルガードにも同じような小部屋があったのですが、あちらは完全に壊れているので、使用ができないのです。
残念なのは、入り口の横にある小さなプレートのような物にシアが手で触れていないと使えないので、一緒に水浴びができないことです。
小さな個室で2人で肌を寄せ合いながら、お互いの体を洗いあえれば、私は素敵な事だと思ったのですけど……とても残念です。
仕方ないので、お湯だけを入れ物に貯めておいて、シアの体を私が洗ってあげるのが唯一の楽しみです。
シアは私に対しては従順というのか、何でも言うこと聞いてくれるので、私のすることには疑問すら思いません。
学園の後輩の子にしようとした時は、私にそんな事はさせられないとか、いけないことだと言われたり抵抗されたりもしましたが、シアはとても素直な良い子です!
綺麗になった後は、2人でベットで眠るだけです……ですが、きっとシアは眠ってはいないと思います。
シアは、必ず時間的に朝になると起こしてくれますので、とても助かります。
本人は私の体調管理をしているだけとしか言ってくれませんが、私の体を常に管理してくれているなんて、これは私を愛している証拠ですよね?
愛に関しては、シアに追及しても私のことを『登録者』としか答えてくれないのが切ないところですが、その内に理解してもらえば良いので、今は我慢です!
入り口に関してはシアが扉に触れないと開かないので、迷宮内で安心をして休める場所なのです。
いくらシアがずっと守っていてくれるとはいえ、迷宮内では、いつ魔物に襲われるか分かりませんからね。
いつも通りシアを抱き枕にして眠っていましたが、時間的にシアに起こされて身支度をしてから、南へのゲートを潜ることにします。
迷宮内にあの人達がいると良いのですが、いない時はしばらくはここを拠点として、あちら側の魔物を狩りながら待機することになります。
最近は、あの人達も私達と会えることを気にしてくれますので、調味料などを多めに持って来てくれるのです。
代わりに私達は魔物の素材などを提供しています。
私には何が使えるのか分らないのですが、こちらの魔物の欲しい素材については聞きましたので、シアが覚えていてくれています。
私は分かったフリをしていましたが、いまいち理解ができなかったのです。
ですが、シアはちゃんと聞いていたので、魔物を倒す時もその部分だけは、綺麗に残るように倒してくれるようになったのです。
相手の人達を無視しているのに、会話だけはしっかりと聞いているのです。
しかも私と違って、一度聞いたことはしっかりと覚えているので、とてもお利口さんです。
魔核も希望していましたが、魔核に関してはシアが触れると輝きを無くして価値が無くなってしまうので、私達も集めていると言って誤魔化していたのですが……。
最近になって魔物の死体が放置されていて近くに魔核が転がっていたりするのですが、魔核の力が失われているという事件が勃発していると聞きましたので、犯人はわかっています。
シアの行動範囲は、私のいた東側部分と南側の部分だけですから、廃墟の古代都市アズラエルガードから適度に移動できる範囲では同じ事件が起こっていると思われます。
つい最近と聞いたので、私はシアにいつごろから迷宮の中で魔物を狩り始めたのかを聞きました。
すると、実は目覚めたのは私と遭遇する10日前だったそうです。
シアは「何かの衝撃でシステムが起動した」と、言っていましたが……しすてむとは何なのでしょう?
私が居眠りをしていた授業をちゃんと聞いていれば良かったのですが、更に質問をすると更に知らない単語が出てくるので聞いていません。
目覚めた時に取り敢えずは力を蓄えることが最優先と判断したそうなのですが、その蓄える力は魔核から吸収しなければいけないとのことです。
これに関しては増やすことによって、シアの能力が拡張されるらしいので、私も大賛成です。
現在は、あの空間にしまえる重量も増やしてもらったので、いくらかの余裕があります。
なので、魔物の素材集めも楽になりました。
一応は魔核も回収ができます。
シアが力を吸収しなければ、力を失う前の状態での回収も可能なのです。
魔物の素材の良いところだけ回収していましたが、魔核の方がかさ張らないし純度によっては値打ちが高いので、今回は別に集めて持っています。
持って来てくれた物が私の希望通りでしたら、今回は魔核の方を進呈しょうかと思っているのです。
今回は、他にも頼んである物があるので、早く会えるといいですね!




