ティータイムは甘い時間を
いまは午後のティータイムの時間です。
目の前には美味しそうなお菓子に隣には可愛いメイドさんが私の様子を覗っています。
本日は精神的に疲れていたので、ベッドに寝転がっていたのです。
最初は椅子に座るように声を掛けられたのですが、私が動きたくないと我儘を言うと別のテーブルを横付けしてくれたのです。
そのまま横になっていたかったのですが、すぐそこに並んでいるお菓子がとても魅力的です。
その様子を覗うメイドさんの姿を眺めているのも良かったのですが、起きることにしたのです。
それに恋人が用意してくれた甘い物はいつでも歓迎です。
「エルナさん、本日のお菓子は美味しかったですか?」
「はい、とても美味しかったです」
私が感想を述べると不安そうな表情からホッとした表情をしています。
その仕草を見ていると、そのまま押し倒してこの可愛いメイドさんも食べてしまいたい気分です。
「良かったです……新しく考案した物なのですが、エルナさんが気に入ってくれるのか心配だったのです……」
「レンちゃんが私の為に作ってくれたものなのですから、美味しいに決まっています!」
私が力説すると頬を赤らめて照れています。
そんなレンちゃんの口にお菓子を咥えさせると小動物のように少しづつ食し始めました。
半分ほど消費したところで残りの半分を私が食べてしまいそのまま口づけを交わします。
驚いて抵抗しようとしたのですが、フリをしただけで私を受け入れてくれます。
レンちゃんの口の中のお菓子が無くなったことを確認すると口を離して潤んだ眼をしたレンちゃんを見つめます。
「いきなりすると驚いてしまいます……エルナさんが望むのなら僕は何でもしたいと思いますが……まだ明るい内は……」
恥ずかしながらも私を拒否しないで受け入れようとする姿に私の行動力は増すばかりです。
ベッドに二人で座りながらだったので、そのまま押し倒してしまいました。
そして、恥ずかしがっているレンちゃんの衣服をはだけさせると可愛らしい下着が見えます。
「初めて見る物ですが、可愛らしくてレンちゃんに似合っていると思います」
「フィスに……エルナさんはこういった感じの下着が好みだと言われたので……」
「そうですか。では、私に見られることを前提として身に着けているのですよね?」
私の質問に対して、両手で顔を隠して頷いています。
フィスさんは私とレンちゃんを二人っきりにしたら、私がレンちゃんを襲うことを十分に理解しています。
そして、私の気分が高揚するように好みの下着を選んでいるようです。
恥ずかしがりながらも抵抗をしないレンちゃんを剥いてしまうとある一点を除いてはまごうことなきとても可愛らしい美少女です。
しかもその一点は可愛らしいレンちゃんとはかけ離れた勇ましいものです。
「私にキスされて脱がされただけなのにレンちゃんのここはとても立派になってしまいましたね?」
「ごめんなさい……エルナさんに触れられて色々とされてしまうと僕の意志ではどうすることもできないのです……」
私以外には反応しないと言うのはとてもポイントが高いと思います。
実際に試したことは無いのですが、基本的には私とフィスさん以外には表情の反応が薄いからです。
言い方が悪いのですが、普段は影がとても薄いのです。
私は気付いているのですが、他の人は近くまで来ないと気付けないこともあります。
目立たないようにしてきたからなのか、フィスさんがそう教育してきたかになると思います。
「仕方がありませんね。ティータイムの途中ですが、このままレンちゃんの味見をしたいと思います」
「でも……まだ夜になっていま」
僅かな抵抗をしようとしたので、言葉を言い切らないうちにその口を塞いで続きをすることにしたいと思います。
本日はマナーの勉強をしていたので、私は精神的にとても疲れてしまいました。
やっと解放されて、レンちゃんとの甘い一時を楽しんでいたのですが、お菓子と一緒にレンちゃんを食べたいと思うのは当然の流れかと思います。
あれから、もう少しだけ滞在してコレットちゃんが夜更かしのし過ぎで眠ってしまっている間に戻ってしまったのです。
次にコレットちゃんが目覚めた時には魔道船の中でした。
しかも一室に閉じ込めておいたので起きた途端に騒いでいました。
シアが目覚めたことを教えてくれたので部屋に向かってからコレットちゃんを説得するのに苦労しました。
まだ調べてない部屋がいくつもあったと文句を言っていましたが、シアが「エルナに迷惑をかけるのなら、あの施設を破壊する」と宣言をしたので大人しくしてくれました。
帰りに使った魔道船は、施設内の港に有ったものです。
何隻か有ったのですが、現状ではこの船が少し整備をすれば動かせたのです。
なので、帰りは谷底から浮上してワグナー家のお屋敷に向かうだけでした。
私が帰りの日数を気にしていたのを察してくれたシアは魔道船を見つけて整備をしていたのです。
入り口が地中に埋まっているので、派手に破壊して出発したのですが……あの施設は大丈夫なのでしょうか?
シアに聞くと最低限の稼働をさせているので、いくつもある施設の入り口の半分は閉鎖させたので大丈夫だと言っています。
どちらにしてもシアの権限を超える者が現れない限りは手が出せない状態にしてあるそうです。
なので、あそこは私達の別荘?扱いになりました。
森を超えそうな所で、私達の船に気付いたフィスさんがワグナー家の魔道船を従えて取り囲まれた時は焦りました。
なにせ直前まで他の船に取り囲まれていることにシアですら気付けなかったからです。
フィスさんの船にはフィフス・エンジェルを旗艦として随伴艦登録することで、登録可能数までの船の存在を消すことが可能です。
余程の探査能力が高い船以外は索敵不能な特殊能力艦です。
代わりに直接戦闘は搭載しているガーディアンと護衛艦に頼らないと火力を持たない欠点があるだけです。
その船が艦隊を伴って現れたのです。
私達が艦橋から前方にフィスさんの船であるフィフス・エンジェルを黙視した時には左右に複数の魔道船が展開していたからなのです。
しかも前方のフィスさんの船の正面には複数のガーディアンによる防御シールドまで展開している状態でした。
そして、シールドの一角を開けたところの線上にはワグナー家に提供した古代の魔道船の長距離砲がこちらを捉えていたのです。
次にフィスさんの船からこちらに通信が来ると、そこにはおじさまとやる気のなさそうなフィスさんが映し出されていました。
こちらは映像を出していないので、不審艦に対する口上が述べられましたが……途中で私がシアに頼んでこちらの映像を送ったので事なきを得たのです。
シアには何か自信があるのか無視をしていたのですが、発せられた内容が武装を解除して大人しく停船をしないと同型艦による砲撃をすると言われたからです。
あの長距離砲を搭載している船は、シアが改修をした魔道船です。
以前に私が死にかける事件で、トランさんの船の装甲を貫いて動力部を破壊した主砲です。
あの長距離砲は、量産型の古代の魔道船程度の装甲なら簡単に貫通ができるそうです。
魔力消費を考えなければ防御重視の船にも通じるそうです。
過去に数が揃っていた時代には高火力の遠距離砲撃艦として重宝されていたとフィスさんに聞きました。
欠点としては、他の艦の護衛が無いと近距離では大した防衛が出来ないのと機動性が劣るので狙い撃ちをされる簡単に撃ち落されてしまうそうです。
しかし、目の前にいるあの船はシアが改修したことで、巡航空母の性能に火力だけを追加した船になっています。
空母としての機能を無くした代わりに強力な砲撃を可能としたことで、かなり上位の古代の魔道船に化けています。
それが、フィスさんの船の随伴艦として防御されながらこちらを狙っているのです。
この距離で、艦橋を狙われたら私達はお終いです。
映像で私の姿を確認したことで、フィスさんが即座に反応してすぐに武装とガーディアンを戻してこちらに近づいてきました。
後は、事情を話しながら帰路に就いたのです。
戻ってからは、現地の状況を説明した後におじ様たちとフィスさんはシアを伴って再び渓谷に向かいました。
移動にはフィスさんの母艦を使っています。
シアが言うにはその方が都合が良いそうです。
本当はヴェルナーさんが残るのでシアが反対をしていたのですが、常にトランさんとシャーリーさんが警護することで納得をしてくれたのです。
トランさんは面倒そうでしたが、今回手に入れた古代の魔道船をあげたらあっさりと乗り気になりました。
当分は魔道船が手に入らないと考えていたトランさんはとても喜んでいます。
しかも、今回手に入れた魔道船は一度も戦闘をしたことがない無傷の船です。
そのうちに略奪でもした船を直してから手に入ると予想していたのに新品が貰えたと言っています。
私は思ったのですが、新品と言いましたが……作られたのはかなり昔なのですが新品と呼べるのでしょうか?
完成してから放置されていた時間が長いだけで、戦いに使用しなければ船と言うもの新品と呼ぶのだと解釈しました。
それにしてもシアは、前回に引き続き今回もあっさりと魔道船を手放しています。
シアには魔道船に対する拘りがないのでしょうか?
それとなく聞いたのですが「量産型に興味はありません」と言っていました。
それを聞いてフィスさんに対となる母艦があるのですから、シアにもあるはずです。
どこにあるのか分かりませんが、シアの対となる母艦なのですから、きっと強力な船だと予想をしています。
フィスさんの空母と呼ばれる船はガーディアンを使った戦いと艦隊の存在を消せる隠蔽能力を持っています。
そのフィスさんを敵視しているツヴァイと言う方の高火力を持った戦艦と呼ばれる船もあります。
あの時は、シアが操船することで防げましたが本来は正面に対して広範囲に艦隊を貫く一撃とのことです。
量産型の魔道船があの攻撃をまともに受ければ消滅は免れないとフィスさんは言っていました。
そんな船が存在しているのですから、シアの船も特殊な能力を備えたすごい船と予測しているのですが、現時点ではシアの記憶も完全ではないので詳細不明です。
私が存命中に見つかるといいですね。
そして、ヴェルナーさんなのですが、意外なことにフィスさんとは知り合いでした。
ヴェルナーさんは継承された記憶しかないのですが、フィスさんのことは見逃したユニット扱いでした。
フィスさんも思い出したくないのか、話しかけるのを避けています。
普段からシアが始末をするべきと私に警告してくるので、フィスさんもそれに同意しています。
むしろシアの意見に賛同しているので、倒す時は積極的に手伝うと宣言をしています。
それにしても過去にフィスさんが負けるなんて想像が出来なかったのですが、どういう状況だったのかを聞こうとしたのですが絶対に話してくれません。
ヴェルナーさんにも聞こうとしたのですが……フィスさんが「あの時の話をしたら僕は今後一切の協力はしません! そして、どんなことをしてでも毎晩に必ずエルナ様を襲って僕以外に考えられないようにしますからね!」と言い出したのです。
私を襲うのはシアがいるので難しいと思いますが、フィスさんの協力が得られないのはとても困ります。
おじさまからもフィスさんは味方でいる方向で頼むと言われています。
今回の私達の船に気付かれずに完全な包囲網を展開できたことでフィスさんの船の優位性を改めて実感したからです。
過去にあれで母国の戦力が奇襲を受けて多大な被害を受けたことを理解したようです。
いくらなんでもあそこまで近づいて、完全に索敵されない艦隊の存在など有り得ないからです。
このフィスさんの船の能力ははミッドウェール王国は身をもって体感しています。
それがこちらにあるのですから、近いうちに本国からの招集があり数年後にはバートランド王国との開戦に踏み切るかもしれないとおじさまは考えているそうです。
もっともフィスさんは完全にミッドウェール王国に付いた訳ではありません。
私がいるから味方をしてくれているだけなのです。
その辺りの細かい事情を説明しないで、おじさまが適当にお茶を濁しているみたいです。
ワグナー家はミッドウェール王国に於ける強い権力を持った古参の一族ですが、ある時期に力を失ったことで軽視されてきた一族です。
それを今更と言った感じで、おじさまは本気で取り合っていないのです。
まあ、私には関係ないと言いたいのですがどうなるのか分かりません。
話が逸れてしまいましたが、そのヴェルナーさんはコレットちゃんの相手をしてくれています。
書物や資料だけは回収をしてきたので、二人で話し合っているそうです。
コレットちゃんは自身の探究で、ヴェルナーさんは継承している記憶の確認をしているそうです。
その様子を見ているとヴェルナーさんが質問攻めをされているのですが、本人は気にもしないで普通に受け応えをしています。
私でしたら、耐えきれずに居眠りは確実です。
それよりも……いまは私の下で可愛い反応をしているレンちゃんを楽しみたいと思います!
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「始まったみたいね」
「なにがだ?」
エルナの隣の部屋で待機しているとシャーリーが話しかけてきたんだが、なんのことだ?
「若い恋人の男女が同じ部屋にいたら仕方ないことよ」
「……確か隣の寝室はフィスが完全防音にしたと言っていたよな?」
シャーリーが言いたいことは理解した。
俺も若い頃は……こんな事を考えるとか歳は取りたくないな。
それにしても同性にしか興味が無いと思っていたエルナが異性に目を向けるとはな。
しかも相手は性別を偽った王女様だ。
俺はそれよりも知らずに自己紹介をされた時に聞いた名前で呼び続けていたんだが……不敬罪で処刑されるんじゃないかと焦ったぞ。
本人は今までと同じように接して欲しいと言っているので、それに従っているが……いいんだろうか?
それもあるが、レンの正体を王女様と知らされた時も驚いたが、実は男の子だったと知らされた時はもっと驚いた。
どこからどう見ても女の子にしか見えないんだが……確認はしていないが確かに男らしい。
シャーリーが言うには見た目とは裏腹に立派な物を持っているらしい……誰と比較しているのか知らんがシャーリーの言い方からして俺は負けた気分だ。
それよりも今はどうしてそんなことが分かるのかの方が気になるな。
「私は、シアちゃんとは支配個体の繋がりもあるのよね。だから、近くに居ればエルナちゃんの監視目的も兼ねているから集中すればエルナちゃんの身体情報も少しだけ分かるのよ」
シャーリーを復活させたのはシアだ。
エルナを庇って死んでしまったとシャーリーを復活させてくれたことには感謝している。
ただ、それまでの記憶を移しただけで本当は死んでしまったのだがな。
それでも酔えなくなった以外は、以前と全く変わらない。
少しだけ若い頃の姿になったのは古代の遺産であるシア達の体を構成している流体金属の質量の関係らしい。
増やすことで同じ姿にすることは出来るらしいんだが、シャーリーのコアの制御容量を超えてしまうと能力が落ちてしまうらしい。
現時点でも人格を移したことで、本来の能力が発揮できないらしい。
それでも単純な戦闘なら、通常個体であるトランよりは動けるので今の姿がちょうどいいらしい。
おまけにシャーリーのコアは登録者のサポートを重視しているらしく多くの魔力を回してもらっている俺は助かっている。
説明をされただけで完全に理解をしている訳ではないが、俺が手に入れたこの大剣も含めて古代人のすごさを実体験している訳だ。
お陰様で人の身で古代の個体であるトランとまともに戦えるようになれた。
そのトランだが、あいつもエルナの警護をシアに頼まれている。
昼間は俺達で、夜間はトランの担当だ。
今は自分の物になった魔道船の試運転と調整をしている。
砲撃をシアに禁止させられているので、早く他の船と戦いたいとか言っていたな。
「それにしても……流れてくるエルナちゃんの身体情報なんだけど心拍数の変動が激しいわね。どんなことをしているのか気になるから、ちょっと覗きたくなってきたわ」
「流石にそれはやめろ。本人たちにそう言った性癖があるなら別だが……」
エルナは多分だが恥ずかしがるか怒るのは予想ができる。
しかし、気の弱いレンの場合はこんな所を人に見られたら泣きそうな気がするんだよな。
以前にちょっと落ち込んでいた時に励ましたことがあるんだが泣き止まないから本当に困った。
通りかかったフィスの奴に見れらた時は殺されるかと思ったしな。
レンが説明をしてくれなかったら、あの時に死んでいたか半殺しにでもされていたと思う。
それにしても俺にはわからないが、エルナから伝わってくる情報だけでシャーリーが観察に夢中になっていると廊下側の扉がノックされた。
立ち上がって扉を開くと懲りない人物が立っていた。
エルナとの面会を希望してきたが、いまは疲れて眠っているので後ほどにして欲しいと伝えた。
そう伝えるとエルナが講師の授業を受けていた事でも思い出したのか納得して去って行った。
流石に今は面会など無理だ。
言い訳として眠っていると伝えたが意味は違うが間違ってはいないはずだ。
再び席に戻るとシャーリーに「正直に伝えた方がいいんじゃないの?」と言われたが、そんなことが言えるか。
それにしても警護とはいえ俺は何をやっているんだろうな。
公爵家の娘となったエルナの専属護衛騎士になったことはその日暮らしの冒険者からしたらかなりの出世だ。
この先どうなるのか分からんが安定をした生活を送れるのも悪くないかもな。




