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Eighth Doll  作者: セリカ
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性癖


 室内に光が入ってくると私は目覚めたようなのですが……私はいつの間に眠ってしまったのでしょうか?

 気が付けば私にはシーツが掛けられていましたが、何故か私は何も身に付けていません!?

 一体いつ脱いだのでしょうか?

 昨夜のことを思いだしてみたのですが……食事をしながら水の代わりにワインを飲んだはずです。

 周りを見渡せばワインの空瓶が何本も転がっています……もしかして私はこんなに飲んでしまったのでしょうか!?

 体調の方は悪くありませんので、私はお母様と同じくアルコールには強いみたいです。

 お父様は飲み過ぎると翌朝の公務に支障を来すので、嗜む程度しかお飲みになりません。

 たまにお母様に付き合って飲み過ぎると、次の日は頭痛に悩まされていましたので、今回のように飲み過ぎて同じような症状にならなかったのは幸いです。

 ですが……私には記憶が無いのですが、何も衣服を身に着けていなということは……もしかしたら衣服を脱ぎ棄ててしまう癖があるのかもしれません。

 その証拠に私が着ていた物があちらこちらに落ちています……このような恥ずかしい性癖が私にあるのでしたら、今後は飲み過ぎないようしなければいけません。

 これが後々に学園などの卒業パーティーなどでワインなどが振舞われた場合に、私は学生最後の時にきっと大恥をかいて卒業後は自宅か実家の領地に幽閉されていたかもしれません。

 そんなことをしでかした私に婚約話もあるわけがありませんから、我が家の恥として処理されていたと思います。

 そう思えば今回の件は納得ができますが、まずは衣服を身に着けたいと思います。

 ふとシアが眠っている入れ物の方に振り向くとシアがいません!?

 私が眠っているうちに目覚めてどこかに行ってしまったのかと思われますが……私のはしたない姿を見て呆れてしまったのではないのでしょうか?

 せっかく仲良くなれたのにいきなり嫌われてしまったらと思うと、私はどうしたらよいのでしょうか……。

 私が落ち込んでいると扉が開きました!?

 誰が入ってきたのかと思いましたら、シアです。

 私は安堵をしましたが、もしも誰か知らない人だったら……それが男性の方でしたら、私のいまの姿を見られていたと思うと……。

 シアが扉を閉めて私の近くに来ると、見たことがない果実を差し出しています。

 

「エルナ、お目覚めですね。この果実は成分的に食すことが可能ですから、食べて下さい」


「ありがとうございます……そして、おはようございます。シアが居なかったのは、この果実を取りに行っていたのですか?」


「はい。保存食だけでは身体的に良くないと判断しました。体調を保つ為にもこのような物を摂取した方が良いと判断しました」


「そうなのですね。ありがとうございます! シアの心遣いはとても嬉しく思います!」


 シアは私の健康の為に体を気遣ってくれたようです!

 見捨てられたのかと思いましたが、私はとても嬉しい気持ちです!

 ですが……私のこのような姿を見たことに対してはどう思っているのでしょうか?

 このシーツを掛けてくれたのもシアだと思いますが、これからも仲良くしていきたいので恥を忍んで聞いてみたいと思います。


「あのね……シアに聞きたいのです……私はどうも酔ってしまうと衣服を脱いでしまう癖があるようなのです……私のことをどう思っていますか?」


「エルナは私の『登録者』です。着ている物を脱がせたのは私です」


 私のことは『登録者』のままですが、私を脱がしたのはシアが犯人だったようです!

 良かった……私にはそのような性癖がないと分かってとても安堵しています。

 ですがどうして私の衣服を脱がしたのでしょうか?

 私は下着すら身に着けていないのですが……もしかしたら、私が酔って眠っている間にシアに色々とされてしまったのでしょうか!?

 それはそれで嬉しいのですが、私にはその記憶がありません……とても残念です。

 もしも私が思っていることが正解でしたら、この果実を食べた後にもう一度何をしたのか再現して欲しいです。

 大事な初めての経験の記憶が無いと、シアとの甘い記憶を思い出すこともできませんから……。


「それでは質問を変えます。どうして私を脱がしたのですか? もしかしてシアにそちらの趣味があるのでしたら、私は大いに賛同を致します。もしも、そうなのでしたら……私はやり直しを希望したいのですが……」


 私は恥を忍んで恥ずかしながら、お願いをしました!

 シアの表情は無表情です。

 私のことをおかしな娘と思ったのかも知れません。

 ですが、シアの答えは私の予想とは違っていました。


「私に趣味という概念はありません。私が目覚めた時にかなりの泥酔状態だったのです。私が声を掛けると暑いと言っていましたので、着ている物を脱がしたのです。ですが、そのままでは目覚める頃には体が冷えてしまうといけないと判断したので、置いてある荷物の中にその布があったので掛けておきました。その後は私にしがみ付いて来たので、完全に眠るまでそのままでした。時間が経つにつれ拘束が緩んだので、果実を取りに行きました」


「そうだったのですか……シアに迷惑を掛けてしまって申し訳ありません。ですが……はぁ……私の予想と違って残念です……」


 私は、あの後にワインを次から次ぎに飲み続けた結果、そのまま眠ってしまったようです。

 途中で目覚めたシアに迷惑をかけたばかりか、酔って体が火照っていたので脱がして欲しいとお願いをしたようです……。

 さらにシアに抱き着いていたのは私の方ですから、シアに何かをしていたのは私の方になります。

 私はシアに色々とされて深い仲になったと思っていたのですが……とても残念です。

 気になっていた昨夜の出来事は分かりましたので、気を取り直してシアが取ってきてくれた果実を頂きたいと思います。

 初めて見る果実なのですが、これは何と言う果実なのでしょうか?

 見た目は薄い緑色なのですが……私としてはナイフなどで切り分けて欲しいのですが、シアは私が食べるのをじっと見ています。

 シアが食べられると言って取って来てくれた物なのですから、ここで食べない訳にはいきませんが……このままかじり付くのは……。

 迷っていても仕方がありませんし、ここには私を注意する者もいないのですから、お淑やかに食べる必要などありません。

 私は死んだことになっているはずなのですから、これからは淑女の礼儀作法など無縁になると思えば良いのです!

 そう思えば、私が今までに躊躇っていたことが馬鹿々々しくなってきました。

 私が果実にかぶりつくと、意外にも柔らかい実です。

 甘みもそこそこあるので、意外と美味しくいただけます。

 朝食代わりに二つ程食べてから、衣服を着直して、まずはここがどこなのかシアに聞きたいと思います。

 その間もシアが、私をずっと見ています。

 あの真っ直ぐな瞳に見られながら、着替えるのは何だか癖になりそうと思ったのは秘密です。


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