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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第六章 おかえりなさい
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episode93 情纏

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文書ストーリー評価等いただけると幸いです。

 この世界には、各地の情報を纏めた雑誌のようなものが毎日希望者に配布される制度がある。ヒカルの住んでた世界では『新聞』や『瓦版』と呼ばれるこれは、この世界では、情報を纏めたものということで『情纏(セイテン)』と呼ばれている。

 『情纏』は、王国が出来る前から存在し、誰がこれを作っているのか、誰が配布しているのかは公開されておらず、朝になるといつの間にか机や、目に止まる場所に置かれており、それも、昔からの事なので誰も疑問には思うことなく、それが当たり前になっている。

 一説では、『百一物語』と呼ばれる都市伝説を集めたような小説の中に出てくる、世界各地の情報を集める伝説の一族、『コンシリウム』が作っていると囁かれているが、定かではない。


「ふむ…。」


 そんな『情纏』を、シムルの作った朝食を食べながら興味深そうに読むレオ。

 数十ページの薄い雑誌だが、どれもこれも目新しい情報ばかりで、本好きのレオとしては、一日の楽しみでもある。


 『またもやお騒がせ!?ウサンサイーノ博士が数十億年前のチェス盤を発見か!!?』

 『急増する植民地。募る不満に、王国の対応は?』

 『教皇様、三人目の子供、ハマル様の可愛さにメロメロ!教国中も虜に!』


 などといった、世界各地の情報が見出し見出しで載っており、かなり際どい事も書いてある。


「むっ…。」

「何か気になるものでもありましか?」

「リベリオンの事と、俺のことが少々載っていてな。」


 ふと、レオの目が、一つの見出しを捉える。


 『リベリオンのトップ、レオ総督への懸賞金が十倍以上に。先日の戦が原因か…?』


 王国を裏切り、対王国を宣言したリベリオン。

 当然ながら、伝説の勇者ヒカルや、最強の吸血鬼のヴィデレを味方に付けているリベリオンは、王国から脅威として見られている。

 そして、その脅威を率いているのが、元伯爵家当主のレイオス=フィエルダー。レイオスは、死亡扱いになり、レオとして生きているが、王国も、国民もその事には気づいている。

 貴族が王国に反旗を翻すとは、言語道断だ!ということで、懸賞金がかけられていた。

 レオにかけられた懸賞金は、金貨三万枚。普通の成人男性が生涯で獲得する金額が、金貨一万枚とされているため、一生遊んで暮らせるだけはある。

 だが、今回の戦の影響もあり、レオへの懸賞金は、金貨五十万枚。他にも、ベッルスや、ミラといった主要メンバーにも金貨一万枚ほどの懸賞金がかけられた。


「私が今、レオ様を捕らえて差し出せば凄いことになりますね」

「その発想が、凄まじいがな。」

(これは、リベリオンの防衛を強化しないとな…。)


 王国『軍』が手を出してこないのは確かだが、賞金稼ぎや、山賊の類がいつ来ても可笑しくない。

 今までならば、レオよりも賞金が高い賞金首など星の数ほどいたが、金貨五十万枚となると話が変わってくる。

 リベリオンの戦力を把握していない輩が乗り込んで、下手に死傷者を出すのはレオとしても避けたい。

 【兵科】の連中も、かなりの練度に仕上がったので、交代制で見回りと周囲の監視にあたらせるために、後でレックスの元へ行こうと考えるレオ。


「それにしても、いよいよって感じですね」

「ああ。ここからは、かなりのハードスケジュールで動く。休めるのは今しか無いらな。貴…シムルも、今のうちに休んでおけ。」

「はい!あ、今日は修行ですか?」

「ああ。今日は、久しぶりにヴィデレとのマンツーマンだ。」


 『デクストラ』が出来てから、レオの修行には、様々なメンバーが参加するようになり、ヴィデレと二人で修行というのは、かなり久しぶりなレオ。


「嬉しそうですね」

「…そう見えるか?」

「はい、とても」

「……まぁ、俺の本気を受け止めてくれるのは、今じゃアイツくらいだしな。何も考えずに全力を出せるのは、個人的にもかなりストレスの発散になる。」

「それを相手に伝えられたら、小僧も大人な男になれるのだがなぁ…お邪魔するぞシムル」

「今、コーヒーをご用意しますね」

「ありがとう」


 我が物顔で、レオの部屋に入り、当然のように椅子に座るヴィデレ。

 レオが少し本音を見せた時に限って、入り込んでくるのがヒカルとヴィデレの二人。レオにとって天敵と呼べる存在だろう。


「貴様、何をしている?死にたいのか?死にたいんだな?」

「わざわざ出迎えに来た師匠に向かってそれは無いんじゃないか小僧?」

「師弟関係も、今ここで終わりだ。」

「上等だ、小僧に最強の強さというものを見せてやる。表にでろ」

「何を言っている?最強は俺だ。そのことをいい加減自覚させてやる。」

「「美味かった(ぞ)。」」


 読んでいた『情纏』を置き、食器を律儀に台所まで運んだレオと、シムるが持ってきたコーヒーを一気に飲むと、容器をレオと同じように置くヴィデレ。最後に、シムルにお礼を述べてから睨み合って出ていく二人。


「仲良しだなぁ…」


 食器を水で濡らしながら、出ていく二人を見て呆れ果てたように呟くシムル。

 ヴィデレも、久しぶりにレオと二人きりになれて嬉しくて、テンションが空回りしていることをちゃんと察しているシムル。


「いいな…ああいうの…」

現在、タキリベを一話から書き直し中。六章が終わり次第、作品投稿する場所を変え、一話から投稿し直す予定です。

把握お願いします。

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