episode92 孤児院
誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。
昼下がりの元学園街。最近、元学園街改め、『タキオンストリート』へと名前を変更した。
レオが大反発をしたものの、リベリオン内で行った多数決で二位と圧倒的な票数を付けて決定。レオもなくなく折れた様子だった。
その『タキオンストリート』の中に半年ほど前にできた孤児院に、レオとロゼは訪れていた。
カーリのように話を聞かない猪突猛進タイプを始め、個性の強すぎるメンバーが揃っているリベリオン。それは、『デクストラ』だけで無く、全ての人間に言えることで、大変手を焼いているレオ。
頭を悩ませ続けるこの問題の解決策としてレオが出したのは、「孤児院を作り、幼い頃から自分が手塩にかけて育てれば、楽になるのでは?」という現実逃避丸出しの突飛な発想だった。
だが、その発想を実際にしてしまうのがレオ。
ヒカルから金を搾取し、大きすぎるのでは?と思うほどの立派な孤児院を建て、帝国や教国、近くの村々から親のいない子供たちを三十人ほど、本人の意思を確認してリベリオンに連れてきたレオ。
「みんな、お姉さんに迷惑かけないの!」
そして、子供たちの面倒を見る者を募集していたところ、食堂で働いていたミラの姉のミカが名乗りを上げてくれ、今は全面的に任せている状態だ。
ミカは、ニーツと同じ二十代前半で、妹のミラと同じ水色の長髪を軽く一本で結んでいる。低身長で幼児体型なミラとは違い、そこそこ身長もあり、スタイル抜群。だが、それを晒すようなことは無く、着飾らな美人といったイメージだ。妹のミラがポンコツなこともあり、しっかりした性格で、レオも安心して任せている。
「全員分あるから、慌てなくても大丈夫だよ」
レオの開設した孤児院に、自分も両親を小さい頃に無くしたことで親近感があるのか、ロゼはよく足を運んでいる。
今日は、朝からクッキーを焼いたので届けたい。というロゼの要望で、二人で孤児院に足を運んでいたわけだ。
子供たちに囲まれ、きちんとしゃがんで目線を合わせて子供たちにクッキーを渡すロゼ。
普段張り詰めているリベリオンで、ロゼが無邪気に笑顔を見せることは珍しく、レオもそれを近くの椅子に座り眺め、少し微笑む。
「綺麗ですね」
「ああ。」
「子供は何人欲しいんですか?」
「三…って、何故貴様がここにいる。」
いつの間にかレオの背後に立ち、耳元で囁いていたヒカル。
レオの無意識な答を聞き、満足そうにニヤニヤと悪い大人の笑みを浮かべると…
「昨日のお返しですよー!ばーか、ばーか!!」
「クソ野郎…!!」
あっかんべーをしながら、全速力で孤児院から走り去るヒカル。
レオは、拳をわなわなと震わせ、やり場のない怒りを自分の太ももにぶつける。
「父様、怒ってるー?」
「親父ー!!」
「こら、父様でしょ!」
「みてみて!くっきーもらったのー!あのね、うれしいー!」
ロゼから貰ったクッキーをレオにみせようと、クッキー片手にレオのところに集まる子供達。
孤児院の開設者のレオ。孤児院の子供たちは、三歳から七歳くらいの子供たちで、その子達に『総督』と呼ばせるのもしっくり来ないということで、呼び方を変えようと考えたところ、親近感が湧くからと、結局『父様』に決定した。
十五歳で親になれる王国で生まれたレオ。父親のレクサスも十六の時に、レオが生まれているので子供がいても可笑しくはないのだが、流石に大きすぎると最初は思ったが、半年も経てばレオも慣れたようだが、未だに大事な会議でヒカルに『パパ』と呼ばれるのだけは許し難いレオ。
「そうか、良かったな。味って食べるんだぞ?」
軽く微笑み、近くの子の頭を撫でるレオ。
ヒカルやロゼ、カーリも、最初は大変驚いたのだが、意外にも意外。レオは、かなり子供好きだったようで、年長の子供たちは、弟や妹のように。まだ幼い子供たちには、本当の子供のように接していた。
周りが異常者ばかりのため、純粋無垢な子供たちに癒しを感じているのだろう。特に、ロゼに貰ったクッキーを両手で大事に持ち、レオに見せてきた孤児院最年少の三歳のマーヤにはデレデレで、本人は気づいていないようだが、頬が緩みまくっている。
「子供好きの男の人っていいですよね」
「はい。最初は驚きましたが、今では普通にお父さんに見えます」
「ロゼさんも、いい加減なあなあな関係じゃなく、付き合ったらどうですか?」
「い、いや…その…反乱が成功するまでは…」
「はぁ…」
レオとロゼが両思いなのは、リベリオン全体が知っていることで、二人の関係性を楽しむ大人が多いが、中々進まない二人の関係に、イライラする者も多い。
ミカもその一人なのだが、流石の進展のなさにため息がこぼれる。
「前に一度話したんです…学園長先生にそそのかされて…」
「ほほう?」
「学園長先生が、レオ様に「リベリオンが成功したらって、もし死んだらどうするんです?いつ死ぬか分からないこの世界で、少しでも長く思い出を作るのが、最良ではないのですか?」って」
「うんうん、確かにその通りだね」
「でもレオ様が、「何をくだらない事を言っている?俺は、王国を変えるまで死なない。そして、絶対にロゼは死なせない。俺が守るからな。」と…」
「あちゃー…それは、何も言えなくなるわ…」
頬を真っ赤に染めて語るロゼと、その話を聞き、頭を抑えて悔しがるような表情を浮かべるミカ。
「そういえば、総督は将来的には国王様でしょ?側室も増えるんじゃない?そこのところは、ロゼさんどうなの?」
「それに関しては、私は言うことはないです。そこら辺には理解はあるつもりですし…でも、一番は私がいいなぁ…とは思います」
「もう結婚しなよ…」
口の中が甘すぎて微妙な顔しかできないような惚気を聞いて、呆れ果てるミカ。
「まあでも、側室には妹のミラは絶対入れてもらわないと…姉としても、妹には幸せになってほしいところだしね」
「ミラさん、凄い積極的で…羨ましいです」
「あはは、確かにミラはそうだね」
レオの正妻は諦めているが、側室を狙っている者は多い。もしかしたら、レオの心が移ってしまう可能性もある。なので、あまりうかうかはしていられないロゼは、自分にも、ミラのような積極性があれば…と何度も思った。
「口下手なところはあるけど、格好いいし、優しいし、時折見せる涙とか、弱い部分が母性を無性にくすぐるというか…将来的に国王様だし、超優良物件だよね、総督って…」
「既成事実って、どうしたらできますかね…」
ミカの焦りを感じさせる言葉に、目の色が消え、虚ろな目で呟くロゼ。
二人の関係が進展するのは、まだまだ先になりそうだ。
すみません、遅れました。




