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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第五章 憧れ
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episode88 自信

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「情けない声を出すな…まだ、負けてないぞ。」

「総督!!」

「バッ!?確実に死んだはずだぞ!!」


 ブローディアが、魔槍を使って生命力を削り、倒したはずのレオ。

 そのレオが、地面に倒れたままとは言え、声を出したことに驚きを隠せないブローディア。


「槍を掠めた程度で、俺に勝ったつもりか?敵の大将を倒したのなら、首でもはねて持って行くべきだったな。」


 地面にネーザを突き刺し、それを支えにゆっくりと立ち上がるレオ。


「貴様らもだ。何を絶望に直面したような顔をしている。特に、ベッルス…そんな腑抜けた態度をとるなら、『デクストラ』のリーダーは、ウムブラにでも変わるか?」


 回復魔術を体に施しながら、フラフラと立ち上がるレオ。


「ッ…!!」

「ブローディア殿…。本当に彼を倒したのですか?」

「ああ。だが、これはもう別人だな…。」


 ボロボロのレオを見て、ブローディアとミールは、警戒心を最大まで高め、武器を構える。


 レオは、普段クールだが、戦闘になると熱くなる性格だ。

 肌に突き刺さるような殺気と威圧。頭は冷えているが、心は太陽のように燃え上がる。それがレオの戦闘スタイルであり、スタンスだった。

 だが、今のレオは、まるで別人のように冷えきっていた。

 頭も、心も冷えきっているレオ。冷静沈着を通り過ぎて、瞳の奥には闘志すら見ることができない。

 だが、ミールとブローディアは、警戒を緩めるどころか、より一層強めていた。


 二人の背中から溢れ出す汗。説明のつかない圧迫感に押し潰されそうになり、呼吸が早くなっていく。


(なんなんだよッ…今まで感じたことのネェ、この気持ちの悪サッ!前までのやる気も、闘志も感じられネェ、心臓を抉るような殺気も威圧も無くナッた…だけど、なんなんだアイツの発しているオーラは…まるで、どでかい山を相手にしているような感ジッ!!)


 まどろみの世界の中、レオが掴んだもの。

 【魔眼】のような大きな力を手に入れたわけでもない。

 特別、レオの何かが変わったわけじゃない。

 レオは、気づいたのだ。

 死に物狂いで手に入れた力と経験は、全部自分の血肉となっているのだと。


 絶対に負けられないという責任。

 戦闘中でも少しでも強くならなくてはという焦り。

 強くなれない自分への怒り。

 その全てがレオを、レオの実力を押さえ込んでいた。


 だが、レオは気づいた。

 責任も、焦りも、怒りも、全部杞憂だったと。

 ちゃんと強くなっている。自分は強い。

 荒れ狂う暴風のようだったレオは、それに気づき、凛と佇む大樹のように落ち着いた。


「そもそも、負けるはずが無い。」


 これまでのような慢心では無い。


(そう、負けるはずが無い。勇者だろうが、魔王だろうが、誰にも負けないくらい修行をしてきたのだから。)


 自信。

 レオは、自らの行いを信じたのだ。

 

 その自信が、押しとどめていたレオの実力を、解き放った。

 『不倒』。決して倒れることのない、自信という一本の柱を手に入れたレオは、ブローディアの感じた大山のような、存在感を放っていた。



 立ち上がらないでくれ。


 僕の憧れを壊さないでくれ。


 何故、立ち上がるんだ。


 醜いだけじゃないか。


 僕の求めた美しさはこんなはずじゃない。



 ベッルスがまだ中等部の頃の話だ。


 父に連れられてやったきた初めての戦場。

 ベッルスはそこで、戦場に咲く美しい一輪の花を見つけた。

 圧倒的な速さ。強さ。返り血を浴びることなく、汗をかくことなく、服にシミを付けることなく敵を蹂躙していく姿。

 ベッルスは、そんな彼の戦いに美しさを感じた。

 そして、ベッルスは、彼に憧れた。強い憧憬を抱いた。


 彼の名は、レイオス=フィエルダー。


 十歳にしてフィエルダー伯爵家の当主になり、戦場の最前線で戦ってきたベッルスの憧れ。


 ベッルスは、レオに憧れを抱いてから、戦いの中に美しさを求めるようになった。

 戦いの中で美しくあるためには、強くならなければならない。を信念に、ベッルスは、強くなるために修行を積んだ。

 常に美しくあるために。憧れに近づくために。


 そして、ベッルスの元に一つの知らせが届いた。

 レオが、王国に反旗を翻し、反乱軍を作ったということ。その仲間を募っているということ。

 ベッルスは、家のことなどかなぐり捨てて直ぐに、リベリオンに参加した。

 レオの元で、レオの近くで戦える。そして、間近であの美しさを見れる。その喜びでベッルスはいっぱいだった。


(なのに、何故君は、そんなに汗まみれ、血にまみれ、泥だらけで、傷だらけなんだ?)


 必死に抗い、戦い続けるレオ。

 その姿は、かつてベッルスが憧れたレオとは程遠かった。


「だけどッ…」


(何故僕は、そんな彼を美しいと感じるのだろう…!!!)


「そうかッ…そうだったのかッ…」


(そういう美しさもあるんだ。君は、僕の友は、やっぱりいつまでも僕の憧れなんだね…)


 過去の憧れに別れを告げ、新しい憧れに挨拶をしよう。


 そして、過去の僕に別れを告げ、新しい僕に挨拶をしよう。


「ここは僕に任せろッ。君たちは撤退の準備をッ!」

「ベッルス、もボロボロじゃん!」

「無理良クナイ」

「フッ、僕はあいつらに見せてけないといけないのさッ!」


 ベッルスは、真紅の髪を掻き上げ、白い歯を見せて笑う。


「美しい花には、棘と毒があるってことをねッ!」


 ベッルスの真紅の髪の半分が、紫色に染まる。


「ベッルス。そっちは任せたぞ。貴様ら!ベッルスの言う通り、負傷者を連れて撤退の準備をしろ!」

「仰せのままに…我が友、レオよッ!」

章タイトルでもある『憧れ』が出てきました!

クライマックス戦闘始まりマース!

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