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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第五章 憧れ
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episode83 癒しの檻と繭陣

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「確かにこの連携は脅威のようだ…」


 体に無数の傷を作ったミールは、感心した様子でベッルス達の攻撃を防ぐ。


「が、ここまでは君達の時間。これからは、私の時間だ」


 牢獄に閉じ込められ、処刑台に立たされたミール。

 だが、ミールは罪人だったのか。


「違う、私は君たちを処刑台の上で待っている処刑人だよ…罪人は君たちさ」


 ミールの目が細められ、先程とは比べ物にならないほどの威圧感が固有結界の中を支配する。


「臆するなッ!」

「ここが攻めどきです!」


 ミールの威圧感に怯む『デクストラ』のメンバー達。

 だが、ここで手を止める訳にはいかない。

 互いが互いのメンバーに喝を入れ、再び攻め始める『デクストラ』。


「【癒し(サーナーティオ)の檻(・キャージュ)】」


 そして、『デクストラ』の攻撃を嘲笑うようにミールを中心に、淡い緑色の球体が展開され、ミールの傷を一瞬にして癒す。


「総督直伝、【風刃】!」


 だが、ミールが魔術を展開する隙を付いて、ミラがミールに風の刃を飛ばす。


「う、うそ…ミラちゃんそんなの聞いてない…ゾ?」


 ミラの飛ばした【風刃】は、ミールの腕に深い傷を刻む。

 だが、一瞬にしてその傷は、高速で逆再生をするかのように回復していく。


「いや、聞いていたさッ!相手は全員不死身、もしくは、それに近いものがあるとねッ!」

「…寝てたかもしれない」

「後デ報告」

「それよりも、早く解決の糸口を見つけないとッ」


 空中に配置した魔術陣を足場にし、作戦を練るベッルス達。


「……総督…」


 他のメンバーが攻撃を再開する中、ウムブラは、静かにミールを見つめる。

 この初陣が始まる前、ウムブラは、レオから不死者及び、それに類似する事について事前知識を叩き込まれていた。


 不死身には、三つのパターンがある。

 一つ、レオやヴィデレのような吸血鬼、イティネのような種族による体質的なもの。

 不死身の中でも、高い再生能力と、攻撃性を持つ厄介な部類。

 二つ、ナーブスの死霊魔術のように、魔術による付与的なもの。

 条件が厳しいものが多く、魔力の消費や、時間がかかるものが多いが、条件さえ揃えば、体質的なものを上回る厄介なものになる。

 そして三つ、例は無いが、不死身の能力を付与する道具を使う間接的なもの。

 はるか昔に神に作られた道具だったり、呪われたものや、死者の魂が取り付いた武具など、それを壊せば問題無い分かりやすいものだが、所有者の実力次第では化けるタイプだ。


「アレハ、魔術的ナモノ…対策ハ、持久戦」


 ミールの力は、不死身では無く、常時圧倒的な回復を施す、あの球体による固有魔術。

 だが、致命傷を一瞬で治し、更に常時発動。

 その消費魔力は、対軍級魔術よりも遥かに上だろう。

 故に、こういった常時発動形の魔術によるものは、持久戦に持ち込み、魔力切れを狙うのが定石。


「ベッルス。ツーマンセル、繭陣ニシフトチェンジ…持久戦ニ持チ込ム」

「了解したッ!ツーマンセル、繭陣ッ!」


 中々攻めきれず、むしろ負傷者が増えていく中で、焔陣から作戦を変更する『デクストラ』。

 全員が胸ポケットから、指輪を二つ取り出すと、中指に装着する。


「まだ、手があるか…」

「かかれッ!」


 ベッルスの指示の元、先程の攻撃重視の動きから、撹乱重視の複雑な動きに変わる『デクストラ』のメンバー達。

 決してミールの間合いに入ることなく、安全に周りを動き回る。


「攻めてこないのなら、私から行かせてもらおう…」

「引っ張れッ!」


 中々近づいてこない相手に、攻めないのならばと、自分から攻めようとするミール。

 だが、ミールが一歩踏み出した瞬間、ミールの周りを動き回っていたメンバーが、両手をクロスするように腕を自分に引き付け、壁の方へと走る。


「ぐっ!?」


 急に驚愕が混ざった声をあげ、その場で静止するミール。

 体を動かそうと、何度か試みるも、どれだけ力を込めても動かない自分の体に戸惑いを隠せないミール。


「糸か…」


 何かに気づいたように、すぐに冷静さを取り戻すミール。


 繭陣。

 ウムブラが提案したこの作戦は、魔力を流すと目に見えないような細い糸を作り出す魔道具の指輪を全員が両中指に付け、対象者の周りを動き回り、糸を張り巡らせ、最後にその糸を引っ張ることで相手を拘束し、足止めするものだ。

 【癒しの檻】を解除する気配を見せないミールを見て、時間稼ぎにはこれが一番だと考えたウムブラ。

 そしてこの糸は、力を込めて引っ張っているため、徐々に肌へとくい込んでいく。そのため、このまま足止めを続けていれば、回復する量も増え、ミールの魔力の枯渇を促すことができるだろう。


「これは、侮った私の落ち度ですね…」


 ミールは反省するように、呟くと、抵抗を辞める。


「もう、侮りはしない。君たちを最大の敵として、()が相手しよう」


 だが、次の瞬間、ミールを覆っていた【癒しの檻】が強く光ると、中から長い白髪を揺らし、佇む青年がいた。


「久しぶりの全盛期の体だ、存分に暴れさせてもらう」


 青年は、剣を振り上げ、そのまま地面に振り下ろす。

 そうすると、轟音と共に地面に亀裂が入り、割れていく。


 【癒しの檻】。ミールが使う固有の魔術。

 常時発動形の回復魔術で、発動者の傷を致命傷だろうと、一瞬で治してしまう不死身に近い力。

 だが、その本質は少し違う。

 体を癒すのでは無く、【再生】させる。

 まだまだ動けると言っても、年は重ねているミール。その体を、【癒しの檻】で全盛期へと【再生】させたのだ。


「司令塔の君を潰すのが正解のようだな」

「ベッルス!」

「ッ…!!」


 先程まで目で追えていたはずの、ミールの動きが捉えられなくなり、瞬間的に距離を詰められるベッルス。

 ミールは、ベッルスに剣を振るい、指揮官であるベッルスを潰そうとする。

 ギリギリのところで、ミールの剣を防いぎ、距離を開けたベッルスだったが、完全にリズムを崩された『デクストラ』。


「『執行者』、ミール=トーナリ。参る…!」

明日は、レオくんの方を書きます

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