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タキオン・リベリオン~歴史に刻まれる王国反乱物語~  作者: いちにょん
王国反乱編 第五章 憧れ
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episode75 ベッルス

誤字脱字報告、ブックマーク、感想、レビュー、文章ストーリー評価等いただけると幸いです。

「ミラは、久しぶりに家の方に顔を出しに行き、ウムブラは、お姫様と何かやることがあるとか言って、朝方出かけて行ったそうだよ総督ッ!」

「そうか…。ヴィデレにヒカル、ニーツ姉さん、レックス…ほとんどが出払っているとなると、今日はリベリオン全体で休暇だな。」

「了解した、今すぐ伝えてこようッ!」


 朝から、リベリオンの主要メンバーが出払っており、リベリオンにいたのは、毎回の如くリベリオンにいるレオと、その腹心のベッルス。


「いや、既に伝令を飛ばしたから問題ない。」

「そうか…最近、僕の見せ場が無くてね…腹心として総督の役に立ちたいんだがッ…」

「腹心っていうのも何だな…別の呼び方でも考えるか。」


 見せ場が無いと落ち込むベッルス。胸ポケットにささったバラが、ベッルスと同じように萎れている。

 だが、それを気にすることなく、レオは別のことを考えており、ベッルスは益々落ちこむ。


「ふむ、それはまた後で考えるとして…ベッルス。」

「なんだい総督ッ…僕は今、大変落ち込んでいるんだッ」

「訓練場で模擬戦をするか、戦うか、訓練をするか、鍛錬をするか、修行をするか選べ。」

「総督の頭の中には、戦う事か、己を鍛えることさか無いのかいッ!?」


 暇なら、鍛える。己を高める。それがリベリオンの総督であるレオ。

 ベッルスも、キャラではないツッコミをレオに繰り出す。


「それじゃあ、模擬戦をお願いしようかッ!総督と手合わせできるとなれば、僕も新しい力を手に入れられそうだッ!」

「そうか…しっかり、みっちり、死にたくなるまで相手してやる。」



『えー、ネーザちゃん使ってくれないんですかー?』

「貴様にだけ慣れていると、もしもの場合、対処出来なくなるからな。」

『ネーザちゃんに、もしもなんてのはありませんけど、使い手がへっぽこなんで、確かにそれはあるかもしれねぇですねー』

「叩き折るぞ。」


 体を軽くほぐしながら、木剣を振るレオに、壁に立て掛けて置いたネーザが、勝手に起動し、レオに文句と煽りを言い放つ。


「総督、僕の準備はオーケーだよッ」


 ベッルスも、胸の花を入れ替え、真紅の髪を掻き上げ、真っ白な歯を見せて笑う。


「では、行くぞ。」


 レオは、今更隠すことも無いので、【ギアス】を四枚解放、【魔闘気】、【魔眼】を無詠唱で発動する。


「【幻歩(げんぽ)】」

「なっっ!?」


 レオは、魔眼で訓練場全ての流れを視て、それに逆らい、新しい流れを生み出すことでベッルスに知覚できない動きでベッルスとの距離を詰める。


「【美しき花達よ 僕を守っておくれ 花鏡(フロース・スペクルム)】」


 だがベッルスも、ただただ見失う訳では無い。

 ベッルスは、胸からバラを取り出すと、バラを一振し、花びらを撒き散らす。

 そうすると、花びらに魔術陣が刻まれ、ベッルスの体を守るように花びらが集まり始める。


「【雷同】」


 レオが、その花の盾に雷同を撃ち込む。


「っ…これが、自然属性の魔術か。」

「これでも元男爵家の長男。実力は、お墨付きさッ!」


 レオの拳は、花の盾に当たると、魔力が逆流し、レオの拳に雷が迸る。


 ベッルスの使った【花鏡】。これは、ベッルスの生まれたエクスプローラートル家の自然属性の魔術の一つ。

 詠唱はベッルスのオリジナルだが、この魔術は、相手の魔術に使われている魔力を逆流させ、鏡のように反射する。

 ヒカルが使う【反魔術】、レオの【支配】と並ぶ魔術師殺しの技だ。


「【可憐な花達よ その棘を僕のために使っておくれ 花棘(フロース・スピーナ)】」

「はぁっ!!」


 ベッルスは、再びバラを一振し、花びらを空中に撒き散らすと、花びらに魔術陣が刻まれる。

 魔術陣が刻まれた花びらは、ベッルスの願いを答えるように、レオに向かって鋭く飛んでいく。


 レオは、飛んでくる花びらを木剣で叩き落とすも、同時に体の急所を狙って飛んでくる花びらを全て剣で防ぐことが出来ず、数枚の花びらが、レオの体に突き刺さる。


(普通の魔術と違って、魔術発動の動作が同じだけあって、魔眼を使っても読み辛い。自然属性か…ここまで厄介だとは思っても無かったな。)


 初見の魔術が多く、読み辛いため、今のレオでは、ベッルスの魔術を【支配】することは出来ない。

 だが、レオは、一方的に攻撃を食らうのは、数度まで。

 レオの頭と、魔眼、そして経験があれば、『厄介』なだけであって、敵ではない。


「【風刃】」

「【花鏡】」


 レオは、ベッルスに向かって魔術で風の刃を飛ばす。

 ベッルスはそれを、花鏡を使って反射する。


 が、ここでレオは新しい手を打つ。


「【支配(インペリウム)】」


 自然属性の魔術が支配できなくとも、馴染みの深い自分の魔術ならば、問題ない。

 レオは、反射された風の刃を支配し、ベッルスに向かって再び放つ。


「【花鏡】」

「【雷同】」

「なッ!!」


 レオは、風の刃が花の盾に当たると同時に、ベッルスとの距離を詰め、雷同を放つ。

 そうすると、ベッルスの花の鏡は、風の刃を弾くが、レオの拳は、貫通し、ベッルスの鳩尾へと撃ち込まれる。


「やはり、二つの魔術を同時に防ぐことは出来ないか。」


 一度防がれたら、それをもう一度行い、相手を油断させたところで、防がれた技で相手を攻撃する。

 やられたら、相手の自信と鼻を折るのが負けず嫌いのレオのやり方。レオ流だ。


「ふッ…これは、さすがの一撃…だッ…」


 鳩尾に綺麗に雷同を叩き込まれ、そのまま気絶するベッルス。

 流石のベッルスでも、レオの一撃には耐えられなかったようだ。


「まだまだ鍛え方が足りないな。」


 レオは、ベッルスの打たれ弱さに呆れつつ、気絶したベッルスに、無詠唱で魔術を発動し、ベッルスの顔へ水をかける。


「ぶべッ!?」

「気絶している暇は無いぞ。」

「す、すまない、総督ッ」


 水をぶっかけられ、目覚めたベッルス。口の中に入った水を必死に吐き出しながら、起き上がる。


「…二人きりの時は、レオでいい。」

「えッ?」


 レオの唐突な申し出に、驚きの声をあげるベッルス。


「昔、俺のことを総督と呼ばずに、名前で呼んでいたやつがいた。呼んでいたというより、俺が呼べと命令したが正しいか。そいつがいなくなってから、周りは、様付けに、小僧、総督、英雄とばかり呼ぶ。久しぶりに、名前で呼ばるのも悪くないからな。」


 照れを隠すように、早口で事情を話すレオ。


「…そうかッ!皆の前では、腹心として、二人きりの時は、友人として接して欲しいと言うわけだなッ!」

「【雷同】」

「なぜッ!?」


 誤魔化していたことを、全部言われ、顔をほのかに赤らめながら、ベッルスに雷同を撃ち込むレオ。

 雷同を再び撃ち込まれ、気絶したベッルスを、レオは、今度は起こそうとはしたかった。

タキリベでは、章ごとにメインのキャラがいます。

一章と三章がレオ、二章と四章がカーリ。順番的に次はレオかな?と思う人もいると思うんですが、五章のメインキャラはなんと、ベッルスくんです!章タイトルの『憧れ』がどう絡んでくるか、楽しみにしてください!

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